事の発端は、7月8日に芝浦と場(東京都港区)で行われた放射線量調査だった。
原発事故以来、厚労省の指導があるたびに5回、サンプリング調査をしてきた。これまで何の問題もなかった。今回も儀式的な調査だと思っていたら、突 然とんでもない数値が出て、慌てて東京都に報告した。【関係者】
牛の出荷元は、福島県南相馬市の畜産農家。この農家が出荷した11頭すべてから、国の安全基準(500Bq/kg)を超える数値が検出され、最高値は実に基準の6倍以上、3,200Bq/kgに達した。
実は、この農家から入荷した牛は、5月と6月、すでに6頭が市場に出回っていた。追跡調査により、その6頭の残った肉から1,998Bq~3,400Bqの高線量が検出された。
ここから、上を下への大騒ぎとなった。
2次販売店(卸売店)から仕入れる3次以降の業者にとって、汚染肉を客に売ってしまうのは、自力では避けようがない。
この識別番号の牛を取り扱ったか、という保健所からの照会には、正直に申告するしかない。
問題があるのは、人気メニューのハラミだ。勘違いしている人が多いが、ハラミは生肉ではなく内蔵(横隔膜周辺)だ。内蔵には生肉と違って個別の識別番号がない。飲食店に入ってくる段階では「国産」としか表記されない。だから、正確な産地はわからない。ハラミが福島産か否かを見分けることはできない。今回の汚染牛のハラミを含めた内臓は、今も流通し続けているはずだ。【荒川区の焼肉店主】
国はICRP(国際放射線防護委員会)の基準に照らしても大丈夫、という言い方をずっとしてきた。だが、そもそもICRPという機関は、内部被曝の影響をどのように隠すか、という動機のもとに結成された団体だ。チェルノブイリ原発事故の際も、内部被曝の影響はない、と主張することに全力を挙げて取り組んできた団体だ。健康被害が憂慮されるのは、外部被曝より内部被曝。内部被曝は少量の放射性物質でも身体への影響力が大きい。遺伝子の変性が繰り返されると発ガンに至る。3,400Bq/kgは、ガンなど晩発性障害を考える上で、非常に高い数値と言わざるをえない。【矢ヶ崎克馬・琉球大学名誉教授】
さらに問題なのは、今回の汚染牛肉は、間違いなく氷山の一角だ、ということだ。
ニュースを見てもやっぱりな、と思うだけだ。原発事故以降20km圏内が立ち入り禁止になり、家畜が野良牛化した。その牛を集めて運び、解体してハンバーグなどの加工肉として売りさばいていた業者がいる【注】。業務用の加工肉になっちゃえば、産地なんて絶対にわからない。【大阪の焼肉店主】
震災後、福島県の特に原発周辺は事実上の無法地帯になっていたわけで、何があっても驚くにあたらない、というのがこの店主の感想だ。
原発の影響で飼料が届かなかったんだから、仕方ない。こっちは命がかかってんだ。あの農家への怒りはまったくない。仲間だし、同じ立場だから理解できる。追いつめられたら、俺だって同じことをしたかもしれない。【汚染牛を出荷した農家の近隣に住む農家】
【注】「【震災】原発>事故後に20キロ圏内にいた牛の肉が関東に流れている」参照。
以上、記事「ハラミとハンバーグに要注意 あなたの食卓にセシウム汚染牛肉」(「週刊現代」2011年7月30日号)に拠る。
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原発事故以来、厚労省の指導があるたびに5回、サンプリング調査をしてきた。これまで何の問題もなかった。今回も儀式的な調査だと思っていたら、突 然とんでもない数値が出て、慌てて東京都に報告した。【関係者】
牛の出荷元は、福島県南相馬市の畜産農家。この農家が出荷した11頭すべてから、国の安全基準(500Bq/kg)を超える数値が検出され、最高値は実に基準の6倍以上、3,200Bq/kgに達した。
実は、この農家から入荷した牛は、5月と6月、すでに6頭が市場に出回っていた。追跡調査により、その6頭の残った肉から1,998Bq~3,400Bqの高線量が検出された。
ここから、上を下への大騒ぎとなった。
2次販売店(卸売店)から仕入れる3次以降の業者にとって、汚染肉を客に売ってしまうのは、自力では避けようがない。
この識別番号の牛を取り扱ったか、という保健所からの照会には、正直に申告するしかない。
問題があるのは、人気メニューのハラミだ。勘違いしている人が多いが、ハラミは生肉ではなく内蔵(横隔膜周辺)だ。内蔵には生肉と違って個別の識別番号がない。飲食店に入ってくる段階では「国産」としか表記されない。だから、正確な産地はわからない。ハラミが福島産か否かを見分けることはできない。今回の汚染牛のハラミを含めた内臓は、今も流通し続けているはずだ。【荒川区の焼肉店主】
国はICRP(国際放射線防護委員会)の基準に照らしても大丈夫、という言い方をずっとしてきた。だが、そもそもICRPという機関は、内部被曝の影響をどのように隠すか、という動機のもとに結成された団体だ。チェルノブイリ原発事故の際も、内部被曝の影響はない、と主張することに全力を挙げて取り組んできた団体だ。健康被害が憂慮されるのは、外部被曝より内部被曝。内部被曝は少量の放射性物質でも身体への影響力が大きい。遺伝子の変性が繰り返されると発ガンに至る。3,400Bq/kgは、ガンなど晩発性障害を考える上で、非常に高い数値と言わざるをえない。【矢ヶ崎克馬・琉球大学名誉教授】
さらに問題なのは、今回の汚染牛肉は、間違いなく氷山の一角だ、ということだ。
ニュースを見てもやっぱりな、と思うだけだ。原発事故以降20km圏内が立ち入り禁止になり、家畜が野良牛化した。その牛を集めて運び、解体してハンバーグなどの加工肉として売りさばいていた業者がいる【注】。業務用の加工肉になっちゃえば、産地なんて絶対にわからない。【大阪の焼肉店主】
震災後、福島県の特に原発周辺は事実上の無法地帯になっていたわけで、何があっても驚くにあたらない、というのがこの店主の感想だ。
原発の影響で飼料が届かなかったんだから、仕方ない。こっちは命がかかってんだ。あの農家への怒りはまったくない。仲間だし、同じ立場だから理解できる。追いつめられたら、俺だって同じことをしたかもしれない。【汚染牛を出荷した農家の近隣に住む農家】
【注】「【震災】原発>事故後に20キロ圏内にいた牛の肉が関東に流れている」参照。
以上、記事「ハラミとハンバーグに要注意 あなたの食卓にセシウム汚染牛肉」(「週刊現代」2011年7月30日号)に拠る。
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