電事連が使っている広告費は、年間800億円で、そのうち東電は250~300億円くらいだ。震災後、東電はまだ20億円くらい広告費を使っている。
驚くべきは、この期に及んで、お詫び広告でカネをもらうメディア側の感覚だ。お詫び広告費を返却したのは、福島のテレビ4局とラジオ2局だけだ。だから、福島に対して謝っているのに、福島の人だけはそれを見ていない。
原子力担当の武藤栄副社長の記者会見は、3月23日から、社名と氏名を名乗らなければならなくなった。途端に、民放の記者たちは、借りてきた猫のようにおとなしくなった。たまに質問しても、東電側にヨイショする質問ばかりだった。【注】
震災直後の14日、17時から19時の間に2号炉の炉圧が7.403から0.63になっていることについて、「おかしい、爆発したんじゃないか」とフリーランスの記者が問いつめた。
ところが、記者クラブメディアは追求しないどころか、相手を逃がすように別の質問をした。
東電の記者会見で、3月11日に勝俣恒久・東電会長が既存メディアOBを引き連れて中国に接待旅行に行った件について、田中龍作が質問した。
すると、周りから「そんな質問するな!」。
東電の記者会見で、上杉隆が質問した。「おかしいじゃないか! 作業員、被曝しているんじゃないか?」
すると、黙っているならまだしも、「そんな質問するな!」「おまえたちの会見じゃないんだぞ!」と、周りの記者クラブメディアが邪魔した。違う質問をして話をずらすだけではなく、完全に妨害した。
東電の記者会見では、日隈一雄、木野龍逸、田中龍作および上杉隆の4人が代わる代わるチェーン・クエスチョンした。東電の情報隠蔽を追求した。格納容器のこと、工程表の件、海洋への漏出、清水社長がどこへ行ったか・・・・。
東電にとって不都合な情報で今発表されているものは、3月の段階で上杉らが追求してきたことだ。フリー記者が追求してきたこと以外は、何ひとつ発表されていない。記者会見にフリーのジャーナリストが入れないか、入ってもまとまっていなかったら、ここまで追求できなかった。
東電は、追求しなければ何も発表しない。工程表も、日隈一雄が追求してから実際に出すまで1ヵ月以上かかった。プルトニウムについては、上杉隆が訊いてから1~2週間、海洋漏出については木野龍逸が追いつめてから3週間。
フリー記者が追求してやっと発表されたものを、既存メディアはあたかも今初めて発表されたかのように出した。読者や視聴者はそれを見て、東電が自主的に発表しているかのように思うが、今明らかになり始めているものは、3月中旬にフリー記者が質問したものばかりだ。
記者クラブは、情報の多様性を認めてこなかった。日本では、「こうあってほしい」と「こうだ」が混合してしまう。「こうであってほしい」と願っていることと違う意見は、全部排除した。そこに議論をぶつければいいのに、抹消されてしまう。
ジャーナリズムは、嫌われ役に徹っすることになっても、見たくないものでも報じなければならない。日本の記者クラブは、まったくそれができない。現場にも行ってない。安全デマ・安心デマという空気に完全にのまれてしまい、抵抗できなかった。結果として、記者クラブは国民を洗脳するための最高のスピンシステムとなった。洗脳している側に洗脳しているという意識がないと、国民が二重に騙されてしまう。
3月12日、原子力安全・保安院の会見で、その後すぐに更迭されてしまった中村幸一郎審議官が、メルトダウンが始まっている、と言った。
これを受けて、そのままツイートしたのが最初のつぶやきだ。燃料棒が少なくとも3時間以上空気中に出ている、ということだから、格納容器も含めてかなり危ない状況だ、と推測できる。ならば福島第一原発から数キロ先にいる人はできるだけ避難したほうがいいんじゃないか、とツイートした。その後も、にこにこ動画、TOPKYO FMで警告を繰り返した。
既存メディアは、「一緒にやろう」と声をかけてくるどころか、上杉隆を排除した。TBSには番組を降ろされた。朝日新聞でもコメントをもう出すな、と言われた。
自由報道協会の20人ほどは、みんな疲れている。既存メディアがフェアでないからだ。
自由報道協会主催で孫正義の記者会見を開いたとき、既存メディアはそれを報道しながら、絶対に自由報道協会の名前は出さなかった。
ホリエモンの記者会見のとき、TBSは上杉隆にモザイクをかけた。
【注】このくだりは、田中龍作「「『東電情報隠し』の裏で進行する放射能汚染 ~その9~」(2011年3月31日 自由報道協会<ザ・ニュース>)に拠る。
以上、上杉隆(ジャーナリスト/自由報道協会代表)「3・11以降の『今ここにある、そして加速度的に悪化していく危機』を語る。『我々は、今、大本営発表の時代と同じ世界にいる』」(「SIGHT」2011年夏号)に拠る。
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驚くべきは、この期に及んで、お詫び広告でカネをもらうメディア側の感覚だ。お詫び広告費を返却したのは、福島のテレビ4局とラジオ2局だけだ。だから、福島に対して謝っているのに、福島の人だけはそれを見ていない。
原子力担当の武藤栄副社長の記者会見は、3月23日から、社名と氏名を名乗らなければならなくなった。途端に、民放の記者たちは、借りてきた猫のようにおとなしくなった。たまに質問しても、東電側にヨイショする質問ばかりだった。【注】
震災直後の14日、17時から19時の間に2号炉の炉圧が7.403から0.63になっていることについて、「おかしい、爆発したんじゃないか」とフリーランスの記者が問いつめた。
ところが、記者クラブメディアは追求しないどころか、相手を逃がすように別の質問をした。
東電の記者会見で、3月11日に勝俣恒久・東電会長が既存メディアOBを引き連れて中国に接待旅行に行った件について、田中龍作が質問した。
すると、周りから「そんな質問するな!」。
東電の記者会見で、上杉隆が質問した。「おかしいじゃないか! 作業員、被曝しているんじゃないか?」
すると、黙っているならまだしも、「そんな質問するな!」「おまえたちの会見じゃないんだぞ!」と、周りの記者クラブメディアが邪魔した。違う質問をして話をずらすだけではなく、完全に妨害した。
東電の記者会見では、日隈一雄、木野龍逸、田中龍作および上杉隆の4人が代わる代わるチェーン・クエスチョンした。東電の情報隠蔽を追求した。格納容器のこと、工程表の件、海洋への漏出、清水社長がどこへ行ったか・・・・。
東電にとって不都合な情報で今発表されているものは、3月の段階で上杉らが追求してきたことだ。フリー記者が追求してきたこと以外は、何ひとつ発表されていない。記者会見にフリーのジャーナリストが入れないか、入ってもまとまっていなかったら、ここまで追求できなかった。
東電は、追求しなければ何も発表しない。工程表も、日隈一雄が追求してから実際に出すまで1ヵ月以上かかった。プルトニウムについては、上杉隆が訊いてから1~2週間、海洋漏出については木野龍逸が追いつめてから3週間。
フリー記者が追求してやっと発表されたものを、既存メディアはあたかも今初めて発表されたかのように出した。読者や視聴者はそれを見て、東電が自主的に発表しているかのように思うが、今明らかになり始めているものは、3月中旬にフリー記者が質問したものばかりだ。
記者クラブは、情報の多様性を認めてこなかった。日本では、「こうあってほしい」と「こうだ」が混合してしまう。「こうであってほしい」と願っていることと違う意見は、全部排除した。そこに議論をぶつければいいのに、抹消されてしまう。
ジャーナリズムは、嫌われ役に徹っすることになっても、見たくないものでも報じなければならない。日本の記者クラブは、まったくそれができない。現場にも行ってない。安全デマ・安心デマという空気に完全にのまれてしまい、抵抗できなかった。結果として、記者クラブは国民を洗脳するための最高のスピンシステムとなった。洗脳している側に洗脳しているという意識がないと、国民が二重に騙されてしまう。
3月12日、原子力安全・保安院の会見で、その後すぐに更迭されてしまった中村幸一郎審議官が、メルトダウンが始まっている、と言った。
これを受けて、そのままツイートしたのが最初のつぶやきだ。燃料棒が少なくとも3時間以上空気中に出ている、ということだから、格納容器も含めてかなり危ない状況だ、と推測できる。ならば福島第一原発から数キロ先にいる人はできるだけ避難したほうがいいんじゃないか、とツイートした。その後も、にこにこ動画、TOPKYO FMで警告を繰り返した。
既存メディアは、「一緒にやろう」と声をかけてくるどころか、上杉隆を排除した。TBSには番組を降ろされた。朝日新聞でもコメントをもう出すな、と言われた。
自由報道協会の20人ほどは、みんな疲れている。既存メディアがフェアでないからだ。
自由報道協会主催で孫正義の記者会見を開いたとき、既存メディアはそれを報道しながら、絶対に自由報道協会の名前は出さなかった。
ホリエモンの記者会見のとき、TBSは上杉隆にモザイクをかけた。
【注】このくだりは、田中龍作「「『東電情報隠し』の裏で進行する放射能汚染 ~その9~」(2011年3月31日 自由報道協会<ザ・ニュース>)に拠る。
以上、上杉隆(ジャーナリスト/自由報道協会代表)「3・11以降の『今ここにある、そして加速度的に悪化していく危機』を語る。『我々は、今、大本営発表の時代と同じ世界にいる』」(「SIGHT」2011年夏号)に拠る。
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