2014-11-04
一年生。
毎時間お迎えが来る。
だから、早く行き過ぎると怒られるので、出入口を眺めて席で待つ。
一人現れたら席を立つ。
まとめて来るときはいいが、なかなかそうはいかない。
あとから来る三人に怒られる。
「なんで来るんですか!」
「だって、どうせ来てもすぐ行っちゃうじゃん」
「隠れる時間がいるんです!」
「あ、そうか」
今日も一人来て、廊下を歩くと遠くに次の三人が見えてすぐ消えた。
隠れる時間が必要なんだな。
一人とおしゃべりしながら階段を下りて曲がり角で言ってみた。
「キョウハ オムカエ コナカッタナア」
「ばぁ!!!」
「あああ!!! びっくりしたぁ!!!」
「もうー。何なのっ。絶対驚いてない。絶対わざと。もうやだっ!!!」
教室に入るまで、柱の陰にいた一人が地団駄踏んでいる。
僕は教室で、◯◯さんに怒られたぁ、と腕で涙をぬぐう。
すると、男子が昨日作った<蓬莱の玉の枝の玉>を見せに来る。
二年生。
三連休の前。
メロスが地団駄踏むと書いてある。
「全員起立。立たないとわからない。地団駄踏んで見せなさい」
一番おとなしい女子ができない。
まあ、とにかく『走れメロス』は毎回大好評だ。
あざ笑う。せせら笑う。ほほ笑む、などの脚注の語句を教える。
「コンビに、ほほ笑んで見せなさい」
「あざ笑いなさい」
「せせら笑ってごらんなさい。これは難しいな」
授業は終わり、感想用紙の一分間。
秋の草花のせいか、僕の顔がかなり赤くはれている。
「俺の三連休の過ごしかたはわかるか」
「洗濯」(もちろん女子)
「おっ。分かってきたな。今日顔が赤いだろ。いい男が台無しだ」
「言うと思った」(これももちろん女子)
「おっ。思ったか」
聞いた男子が、グガハグガハ、と勉強の成果を見せる。
「**くんが、ほら、あざ笑ってくれてるよ」
「グガガガガ。あーあ。6時間目も国語ならいいのになぁ」
高三。
毎時間毎時間、受験にない現国の問題で受験対策をする日々だ。
どこの誰に責任があるのか素人の僕には全くわからない。
昨晩放送、今朝ダウンロードしたてのヤマザキマリの講義を観せた。
SMBC presents 未来授業
聞く評論文、の読解だ、ということである。何ひとつおかしなことはない。
「白紙を配る。(A3)
メモを取りなさい。
A、B、Cで評価する。
大学の講義というのはこういうものだ。
黒板なんか書いてくれない。
僕はどんな汚い字でも読める。
書けるだけ書きなさい」
31分の講義を彼らは食い入るように聞いて、メモを取り続けた。
動画がプチッと終わると、エェっ、と声が上がった。
続きが観たい、どちらでもいい、もう観たくない、手を挙げなさい。
そう言うと、三分の二が続きを観たいと手を挙げた。
大成功だ。
大成功の意味と価値は僕にしか彼らとつきあっている僕にしか分からない。
説明もできない。
半分に感想を言わせると、次々いいことを言った。
久々に、彼らのいい言葉を聞いた。
A3の白紙、裏表にびっしりメモした生徒が二人いて、
ほぼ全員がA4一面を真っ黒に文字で埋めた。
明日が楽しみだ。
一年生。
毎時間お迎えが来る。
だから、早く行き過ぎると怒られるので、出入口を眺めて席で待つ。
一人現れたら席を立つ。
まとめて来るときはいいが、なかなかそうはいかない。
あとから来る三人に怒られる。
「なんで来るんですか!」
「だって、どうせ来てもすぐ行っちゃうじゃん」
「隠れる時間がいるんです!」
「あ、そうか」
今日も一人来て、廊下を歩くと遠くに次の三人が見えてすぐ消えた。
隠れる時間が必要なんだな。
一人とおしゃべりしながら階段を下りて曲がり角で言ってみた。
「キョウハ オムカエ コナカッタナア」
「ばぁ!!!」
「あああ!!! びっくりしたぁ!!!」
「もうー。何なのっ。絶対驚いてない。絶対わざと。もうやだっ!!!」
教室に入るまで、柱の陰にいた一人が地団駄踏んでいる。
僕は教室で、◯◯さんに怒られたぁ、と腕で涙をぬぐう。
すると、男子が昨日作った<蓬莱の玉の枝の玉>を見せに来る。
二年生。
三連休の前。
メロスが地団駄踏むと書いてある。
「全員起立。立たないとわからない。地団駄踏んで見せなさい」
一番おとなしい女子ができない。
まあ、とにかく『走れメロス』は毎回大好評だ。
あざ笑う。せせら笑う。ほほ笑む、などの脚注の語句を教える。
「コンビに、ほほ笑んで見せなさい」
「あざ笑いなさい」
「せせら笑ってごらんなさい。これは難しいな」
授業は終わり、感想用紙の一分間。
秋の草花のせいか、僕の顔がかなり赤くはれている。
「俺の三連休の過ごしかたはわかるか」
「洗濯」(もちろん女子)
「おっ。分かってきたな。今日顔が赤いだろ。いい男が台無しだ」
「言うと思った」(これももちろん女子)
「おっ。思ったか」
聞いた男子が、グガハグガハ、と勉強の成果を見せる。
「**くんが、ほら、あざ笑ってくれてるよ」
「グガガガガ。あーあ。6時間目も国語ならいいのになぁ」
高三。
毎時間毎時間、受験にない現国の問題で受験対策をする日々だ。
どこの誰に責任があるのか素人の僕には全くわからない。
昨晩放送、今朝ダウンロードしたてのヤマザキマリの講義を観せた。
SMBC presents 未来授業
聞く評論文、の読解だ、ということである。何ひとつおかしなことはない。
「白紙を配る。(A3)
メモを取りなさい。
A、B、Cで評価する。
大学の講義というのはこういうものだ。
黒板なんか書いてくれない。
僕はどんな汚い字でも読める。
書けるだけ書きなさい」
31分の講義を彼らは食い入るように聞いて、メモを取り続けた。
動画がプチッと終わると、エェっ、と声が上がった。
続きが観たい、どちらでもいい、もう観たくない、手を挙げなさい。
そう言うと、三分の二が続きを観たいと手を挙げた。
大成功だ。
大成功の意味と価値は僕にしか彼らとつきあっている僕にしか分からない。
説明もできない。
半分に感想を言わせると、次々いいことを言った。
久々に、彼らのいい言葉を聞いた。
A3の白紙、裏表にびっしりメモした生徒が二人いて、
ほぼ全員がA4一面を真っ黒に文字で埋めた。
明日が楽しみだ。