2013-02-10reup
中学校教科書4社教材比較・2012年度版私見
作成日201*年*月30日
全文責:ブログ管理人 傭兵
1 教材評価はあくまで私見です。
(1)教材評価はいわゆる「読み物教材」に限りました。
漢字、文法などについての評価は難しすぎるためです。
(2)教材評価は教科書の掲載順に記述しました。
授業で扱う順番は、工夫次第で更に授業しやすくなると考えられます。
(3)「三省堂」は別冊を作成していますが、本編のみの評価をしました。
別冊をどう扱うかは別の問題と考えたからです。
2 評価4社は次のとおりです。
下線がついた作品は他社と共通したもの。
(1)東京書籍(以下・東書)
(2)光村図書(以下・光村)
(3)教育出版(以下・教出)
(4)三省堂(以下・三省堂)
3 評価のおおよその考え方は次のとおりです。
◎ =おそらくほとんどの国語教員が傑作と考えるだろうと思われるもの。
作品の完成度と教材としての価値の高さの両方を兼ね備えるもの。
◯◯=長く教材として扱われた優れた教材。
ただ、あまりに長く扱われている、国語教員の教材に対する好みがある、
教師の年代ごとの評価が分かれる等の可能性があると思われるもの。
◯ =作品として優れており、教材として扱うに適切と思われるもの。
◯△=◯よりもやや作品、あるいは教材として授業する点で難点があるもの。
△◯=◯△よりもやや扱いにくいと思われるもの。
△ =まず、古典・漢文教材は各社似通っており、扱わざるをえないためすべて△とした。
また、他は教材としての長短を含むもの。
△×=△よりもやや難点があるもの。
×△=△×よりもやや難点があるもの。
× =作品を「生徒が読んだ場合」興味を持たせることが困難と思われるもの。
また、教材として授業する点でかなりの難点があると思われるもの。
4 コメントは重ねてあくまで私見です。
付けていないものもあります。
1 『東書』教材評価
■東書・中学1年■:(読書=読書教材、つまり読み聞かせ用教材)
1 △ 風の五線譜(詩)
2 ◎ 話し方はどうかな <使える>
3 △◯ 詩の心・発見の喜び <使われている詩は良いと思う>
4 △ 遠い山脈 <文章の筋書きが1年生にとってはあいまいでは>
5 ◎ さんちき <傑作。ただ長文。そのため二学期に行なうのがよいかも>
6 ◯◯ オオカミを見る目 <構成が明確です>
7 ◎ 碑(読書) <読み聞かせるべき文章。中学3年でも良い良文>
8 △ 伊曽保物語(古典)
9 △ 竹取物語(古典)
10 △ 矛盾(漢文)
11 △ 月夜の浜辺(詩) <中学1年にはどうでしょうか>
12 ◎ 脳の働きを目で見てみよう <さすが川島隆太。図も良い。ただ長文>
13 ◎ 少年の日の思い出 <戦後からの掲載だが良教材と言わざるを得ない>
14 ◯◯ コンビニ弁当十六万キロの旅(読書) <面白い。授業の価値も有り。ただ長文>
15 ×△ ニュースの見方を考えよう <池上彰氏、文章力は疑問。話題詰め込みすぎ>
16 ◯ 木(詩) <田村隆一作品。何となく良さそう>
17 ◯ トロッコ(読書) <授業価値のある傑作。ただ非常に長文。また話題が古い)
■以上◎5・◯◯2・◯2・△◯1・△6・×△1=17教材■
■東書・中学2年■:(読書=読書教材、つまり読み聞かせ用教材)
1 ◯△ 木とともに(詩) <谷川俊太郎作品>
2 △ 伝えたいと思うから <東書中1の「話し方はどうかな」が導入として優れる>
3 ◯◯ 短歌を楽しむ <短歌も解釈も良い>
4 ◎ 字のないはがき <向田邦子作品。二十年以上掲載の短文にして傑作>
5 △ 卒業ホームラン <重松作品。繊細で地味すぎるか。長文。19ページ>
6 ◯◯ 食の世界遺産・鰹節 <構成が意識され一貫してぶれがない>
7 ◯ 小さな労働者(読書) <読み聞かせに適切>
8 △ 枕草子(古典)
9 △ 徒然草(古典)
10 △ 平家物語・那須与一(古典)
11 △ 漢詩(漢文)
12 ◯ 落葉松(詩) <詩の古典。多技法、文語詩教材の基本>
13 △◯ 恥ずかしい話 <悪くないが文体を崩しすぎ。簡潔さに欠ける>
14 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
15 × 神奈川沖浪裏(読書) <内容が面白くない。中学生に伝わらないと思う>
16 × 情報検索で開ける世界 <一貫してない。言葉難しい。文章あまりうまくない>
17 ◯ わたしが一番きれいだったとき(詩) <茨木のり子作品>
18 ◯ 坊っちゃん(読書)
■以上◎1・◯◯2・◯5・◯△1・△◯1・△6・×2=18教材■
■東書・中学3年■:(読書=読書教材、つまり読み聞かせ用教材)
1 △ 生命は(詩) <悪くないが>
2 △× 言語の有限性と無限性 <文章が小難しい。内容が面白くない>
3 ◯◯ 俳句の読み方、味わい方 <解説も俳句も良い>
4 ◎ 形 <傑作。2学期後半に教師の腕試しとして授業したい教材>
5 △× 風の唄 <情緒的に過ぎる>
6 ◯◯ 絶滅の意味 <一貫性と構成の意識有り。良いはず>
7 × 星の航海術(読書) <面白くない>
8 △ 万葉・古今・新古今(古典)
9 △ おくのほそ道(古典)
10 △ 論語(漢文)
11 ◯◯ 初恋(詩) <良詩。授業に暗誦に良し>
12 ×△ テクノロジーとの付き合い方 <面白くない。小難しい>
13 △ テクノロジーと人間らしさ <可不可なし>
14 ◯◯ 故郷 <良作とも傑作とも時代遅れとも。長文。最後が難しい。生徒は好き>
15 ×△ 何のために「働く」のか(読書) <残念。姜氏は文章が非常に難しい>
16 ◯◯ 「正しい」言葉は信じられるか <良い。授業してみたい>
17 △ レモン哀歌 <なぜ今、レモン哀歌なのか?>
18 ◎◎ 最後の一句(読書) <すごい。中3なら是非読書でなく授業に挑戦したい>
19 △ 楼蘭の夜(読書) <内容が地味すぎるか>
■以上◎◎1・◎1・◯◯5・△7・△×2・×△2・×1=19教材■
2 『光村』教材評価
■光村・中学1年■
1 △○ 野原は歌う(詩) <音読にはまあまあとてもよい・中1はノリノリ>
2 ◯ にじの見える橋 <なかなか良い>
3 ? ダイコンは大きな根
4 ◎ ちょっと立ち止まって <説明的文章の傑作>
5 △ はじめての詩 <詩の例があまりに良くない>
6 △◯ 詩四篇 <文語詩の基礎と暗誦にはまずまず>
7 △◯ 雪とパイナップル <読み聞かせにはまずまず>
8 ◯△ 江戸からのメッセージ <江戸ファンにはたまらない杉浦日向子作品>
9◯ ◯◯ 星の花が降るころに <なかなか面白い>
2014/11/19<展開・比喩が素敵な優良教材>
10 ◎ 大人になれなかった弟たちに <三十年扱われる傑作>
11 △× シカの「落ち穂拾い」 <面白くない。1年生の作文指導には難しい>
12 ◯ いろは歌(古典) <古典だがあえて◯>
13 △ 七夕に思う(古典)
14 △ 蓬莱の玉の枝・竹取物語(古典)
15 △ 今に生きる言葉(故事成語)
16△ ◯◯ 流氷とわたしたちの暮らし <惜しい。説明というより随筆>
2014/11/19<読み間違えた。骨のある良教材。扱うべき>
17 ◎ 少年の日の思い出 <戦後からの掲載だが良教材と言わざるを得ない>
18 ◯ 木は旅が好き(詩) <茨木のり子作品>
■以上◎3・◯4・◯△1・△◯2・△6・△×1・?1=18教材■
■光村・中学2年■
1 ◯ 明日 <谷川俊太郎作品>
2 ◯ アイスプラネット <椎名誠作品。教材としてうまく書けている>
3 △ 枕草子(古典)
4 △◯ やさしい日本語 <内容良いが語句が難しい。中3なら良い>
5 ◯ 新しい短歌のために <まずまず>
6 ◯ 短歌十二首 <まずまず>
7 △× メディアと上手に付き合うために <池上彰氏、文章力は疑問>
8 × 旅する絵描き <面白くない。わからない>
9 ◯ 五重の塔はなぜ倒れないか <なかなかわかりやすい。授業に良い>
10 ◯ 盆土産 <三浦哲郎の秀作。ただ長文>
11 ◎ 字のない葉書 <向田邦子作品。短文にして傑作>
12 × 君は「最後の晩餐」を知っているか <評論でなく随筆か。何が言いたいのか>
13 △ 平家物語(古典)
14 △ 扇の的・平家物語(古典)
15 △ 仁和寺にある法師・徒然草から(古典)
16 △ 漢詩の風景(漢詩)
17 ◯◯ モアイは語る <授業に適する良作>
18 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
19 △ 言葉の力 <二十数年前教科書冒頭にあった。いまひとつ>
■以上◎1・◯◯1・◯7・△◯1・△6・△×1・×2=19教材■
■光村・中学3年■
1 △ 朝焼けの中で <素敵だが教材としてどうか?>
2 ◯◯ 握手 <井上ひさしの秀作>
3 △× 「批評」の言葉をためる <わかりにくい>
4 △ 月の起源を探る <文章は悪くない。生徒の興味が別れるのでは>
5 ◯ 俳句の可能性 <まずまず>
6 ◯◯ 俳句十六句 <選択がなかなか良い>
7 × 蝉の声 <浅田次郎がダメになってからの書き下ろし>
8◯ ◎ 高瀬舟 <無論傑作。長文。読み聞かせに良し>
20130615<発問と討論の宝庫。中3後半授業すべき教材>
9 × 光で見せる展示デザイン <とてもつまらない>
10 ◎◎ 挨拶(詩) <詩として、原爆教材として名作>
11 ◯◯ 故郷 <良作とも傑作とも時代遅れとも。長文。最後が難しい。生徒は好き>
12 △ 「記憶」と「資料」 <可不可なし>
13 △ 古今和歌集・仮名序(古典)
14 △ 君待つと・万葉・古今・新古今(古典)
15 △ 夏草・おくのほそ道から(古典)
16 △ 古典の伝統(古典)
17 ? 論理の展開に着目して読もう <判断できない妙な教材>
18 ×△ ネット時代のコペルニクス <論説でなく随筆か。言葉が難しい>
19 △ 学びて時にこれを習ふ(漢文)
20 ×△ アラスカとの出会い <星野道夫氏。写真家で文章のプロではない>
21 ◯◯ 温かいスープ <良い>
22 △◯ 聴くということ <評論か? 随筆として読むならよい>
23 ◎ わたしを束ねないで(詩) <秀作。「朝焼けの中で」に代えて最初にどうか>
■以上◎◎1・◎1・◯◯4・◯2・△◯1・△8・△×1・×△2・×2・?1=23教材■
3 『教出』教材評価
■教出・中学1年■
1 ◯ わたしの中にも <新川和江作品>
2 △ 私の好きな春の言葉 <俵万智は歌人。文章力は疑問>
3 △× 花の形に秘められたふしぎ <言葉が難しい。不必要に長い>
4 △× 暗やみの向こう側 <1年生にはもっとわかりやすい典型を>
5 △ ベンチ(読書) <読み聞かせにはまあまあ>
6 ◯ 河童と蛙(詩) <1年生が大好きな音読の詩>
7 ◎ オツベルと象 <傑作>
8 △× 百年後、千年後の友人であるあなたへ(古典) <川柳。あえて△×>
9 △ 物語の始まり・竹取物語(古典)
10 △ 中国の名言・故事成語(故事成語)
11 ◯ 笑顔という魔法 <わかりやすい。池谷裕二氏は読ませるべき>
12 △× 自分の頭で考える? <無駄に長い>
13 △? 写真と言葉が生み出す世界 <扱いがわからない>
14 △ 三好達治の詩 <詩の選択がもうひとつ>
15 ◎ 少年の日の思い出 <戦後からの掲載だが良教材と言わざるを得ない>
16 ×△ 言葉がつなぐ世界遺産 <言葉がとても難しい。面白くない>
17 △ 言葉の上達は競技を上達させる <言いたいことはわかる>
18 ◯ 蜘蛛の糸(読書) <芥川。授業がどうなるか興味あり>
■以上◎2・◯4・△6・△×4・×△1・△?1=18教材■
■教出・中学2年■
1 ◯ 虹の足(詩) <充分授業にはなる>
2 ×△ アオスジアゲハとトカゲの卵 <説明ではなく随筆か?>
3 △× タオル <重松清作品。生徒に理解できないと思う>
4 △ 夢を跳ぶ
5 ◯△ 近代の短歌 <まずまず>
6 ◎ 夏の葬列 <傑作。やや難しいが、教師の授業の腕試しに使える>
7 △ 直実の流した涙・平家物語・敦盛の最期(古典)
8 △ 随筆の味わい・枕草子・徒然草(古典)
9 △ 孔子の言葉(論語)
10 ×△ 悠久の自然 <星野道夫氏。写真家で文章のプロではない>
11 △× ガイアの知性 <わかりにくい>
12 ×△ 物語を読み解く・ごんぎつね <なぜ、ごんぎつね?>
13 △ レモン哀歌 <なぜ今、レモン哀歌なのか?>
14 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
15 △ 学ぶ力 <随筆のような何か>
16 △ 感覚を言語化する <話題に無理がある>
17 ◯ 坊っちゃん(読書)
■以上◎1・◯3・◯△1・△7・△×2・×△3=17教材■
■教出・中学3年■
1 △◯ 春に(詩) <谷川俊太郎作品>
2 × 「新しい博物学」の時代 <言葉が難しく文章があまりにうまくない>
3 ×△ みどり色の記憶 <情緒的、抽象的に過ぎる>
4 × 不思議の国のアリス(読書) <面白くない>
5 ◯ 近代の俳句 <まずまず>
6 × 無言館の青春 <とにかくわかりにくい>
7 △ 旅への思い・おくのほそ道(古典)
8 △ 和歌の調べ・万葉・古今・新古今(古典)
9 △ 春の山河(漢詩)
10 ×△ 歴史は失われた過去か <小難しく構成の意識がない>
11 × 文化としての科学技術 <毛利衛氏。文章の素人の作品。第一段落はあり得ない>
12 × 情報を編集するしかけ <扱いがわからない>
13 ◯◯ 初恋(詩) <良詩。授業に暗誦に良し>
14 ◯◯ 故郷 <良作とも傑作とも時代遅れとも。長文。最後が難しい。生徒は好き>
15 △× 言葉の力 <光村中2・大岡信作品と同名だが、別物>
16 △× 言葉は私の聴診器 <香山リカ氏。他にいくらも素晴らしい記事作品有り>
17 ◎◎ 最後の一句(読書) <すごい。中3なら是非読書でなく授業に挑戦したい>
■以上◎◎1・◯◯2・◯1・△◯1・△3・△×2・×△2・×5=17教材■
4 三省堂教材評価……前書きした通り「本編」のみ
■三省堂・中学1年■
1 ◯△× 声に出してさまざまな作品を読もう <評価分かれる>
2 △ 竹取物語(古典) <いきなり?>
3 △ 水田のしくみを探る <急に難しい文章になる>
4 ◎ 空中ブランコ乗りのキキ <傑作>
5 △◯ ユニバーサルな心を目指して <内容は良い。説明的文章ではない>
6 ◯◯ 詩三編・夕焼け・いるか・雨ニモマケズ <詩選択が良い>
7 △ この小さな地球の上で <説明文ではない何か>
8 ◯ 信頼をつなぐ <一貫している。なかなか良い>
9 △× タオル <重松清作品。生徒に理解できないと思う。「教出」は中2にある>
10 △ 「故事成語」を使って書こう(古典)
11 ◯ トロッコ(読書) <授業価値のある傑作。ただ非常に長文。また話題が古い)
12 ◯△× せりふとト書き <四コマ漫画は十数年前に流行った>
13 △◯ 食感のオノマトペ <惜しい。もっと易しく書ければ◯>
■以上◎1・◯◯1・◯2・△◯2・△4・△×1・◯△×2=13教材■
■三省堂・中学2年■
1 △ 枕草子・徒然草(古典) <いきなり?>
2 △ 漢詩の世界(漢詩) <いきなり?>
3 △× 壁に残された伝言 <言い回しが粘っこい>
4 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
5 △ 日本人はアリスの同類だった <高畑勲。文章の素人の作品は重んじない>
6 △ 短歌の世界 <いまひとつ>
7 ◯◯ 小さな手袋 <説明?!何かの間違いでは? 授業になる素敵な物語です>
8 △ 「循環型社会」とは何か <組み立てと進め方がいまひとつ>
9 ◯ 蒼い道 <なかなか良い物語かも>
10 △ 平家物語(古典)
11 △◯ 詩二編・△◯大阿蘇・◎わたしを束ねないで
12 ◯ 日本語メガネのかけ替え <面白いかも。だが決して説明文でなく随筆>
■以上◯◯1・◯3・△◯1・△6・△×1=12教材■
■三省堂・中学3年■
1 △ おくのほそ道(古典) <いきなり?>
2 △ 中国の古典の言葉(古典) <いきなり?>
3 △ 冥王星が「準惑星」になったわけ <長すぎる。生徒の興味が分かれる>
4 △× 「文殊の知恵」の時代 <「走れメロス」の例は無茶すぎる>
5 ◎ 猫 <中3に授業する傑作>
6 ◯ 俳句の世界
7 ◯ 海馬 <池谷裕二・糸井重里。2002年『海馬・脳は疲れない』より。秀作>
8 ◯ ◎ 高瀬舟 <無論傑作。長文。読み聞かせに良し>
20130615<発問と討論の宝庫。中3後半授業すべき教材>
9 △ 好きな和歌を紹介しよう(古典)
10 ◯ 詩二編・◎初恋・◯うち知ってんねん
11 △× 「ありがとう」と言わない重さ <随筆のような何か>
■以上◎1・◯4・△4・△×2=11教材■
(以上4社評価終了)
中学校教科書4社教材比較・2012年度版私見
作成日201*年*月30日
全文責:ブログ管理人 傭兵
1 教材評価はあくまで私見です。
(1)教材評価はいわゆる「読み物教材」に限りました。
漢字、文法などについての評価は難しすぎるためです。
(2)教材評価は教科書の掲載順に記述しました。
授業で扱う順番は、工夫次第で更に授業しやすくなると考えられます。
(3)「三省堂」は別冊を作成していますが、本編のみの評価をしました。
別冊をどう扱うかは別の問題と考えたからです。
2 評価4社は次のとおりです。
下線がついた作品は他社と共通したもの。
(1)東京書籍(以下・東書)
(2)光村図書(以下・光村)
(3)教育出版(以下・教出)
(4)三省堂(以下・三省堂)
3 評価のおおよその考え方は次のとおりです。
◎ =おそらくほとんどの国語教員が傑作と考えるだろうと思われるもの。
作品の完成度と教材としての価値の高さの両方を兼ね備えるもの。
◯◯=長く教材として扱われた優れた教材。
ただ、あまりに長く扱われている、国語教員の教材に対する好みがある、
教師の年代ごとの評価が分かれる等の可能性があると思われるもの。
◯ =作品として優れており、教材として扱うに適切と思われるもの。
◯△=◯よりもやや作品、あるいは教材として授業する点で難点があるもの。
△◯=◯△よりもやや扱いにくいと思われるもの。
△ =まず、古典・漢文教材は各社似通っており、扱わざるをえないためすべて△とした。
また、他は教材としての長短を含むもの。
△×=△よりもやや難点があるもの。
×△=△×よりもやや難点があるもの。
× =作品を「生徒が読んだ場合」興味を持たせることが困難と思われるもの。
また、教材として授業する点でかなりの難点があると思われるもの。
4 コメントは重ねてあくまで私見です。
付けていないものもあります。
1 『東書』教材評価
■東書・中学1年■:(読書=読書教材、つまり読み聞かせ用教材)
1 △ 風の五線譜(詩)
2 ◎ 話し方はどうかな <使える>
3 △◯ 詩の心・発見の喜び <使われている詩は良いと思う>
4 △ 遠い山脈 <文章の筋書きが1年生にとってはあいまいでは>
5 ◎ さんちき <傑作。ただ長文。そのため二学期に行なうのがよいかも>
6 ◯◯ オオカミを見る目 <構成が明確です>
7 ◎ 碑(読書) <読み聞かせるべき文章。中学3年でも良い良文>
8 △ 伊曽保物語(古典)
9 △ 竹取物語(古典)
10 △ 矛盾(漢文)
11 △ 月夜の浜辺(詩) <中学1年にはどうでしょうか>
12 ◎ 脳の働きを目で見てみよう <さすが川島隆太。図も良い。ただ長文>
13 ◎ 少年の日の思い出 <戦後からの掲載だが良教材と言わざるを得ない>
14 ◯◯ コンビニ弁当十六万キロの旅(読書) <面白い。授業の価値も有り。ただ長文>
15 ×△ ニュースの見方を考えよう <池上彰氏、文章力は疑問。話題詰め込みすぎ>
16 ◯ 木(詩) <田村隆一作品。何となく良さそう>
17 ◯ トロッコ(読書) <授業価値のある傑作。ただ非常に長文。また話題が古い)
■以上◎5・◯◯2・◯2・△◯1・△6・×△1=17教材■
■東書・中学2年■:(読書=読書教材、つまり読み聞かせ用教材)
1 ◯△ 木とともに(詩) <谷川俊太郎作品>
2 △ 伝えたいと思うから <東書中1の「話し方はどうかな」が導入として優れる>
3 ◯◯ 短歌を楽しむ <短歌も解釈も良い>
4 ◎ 字のないはがき <向田邦子作品。二十年以上掲載の短文にして傑作>
5 △ 卒業ホームラン <重松作品。繊細で地味すぎるか。長文。19ページ>
6 ◯◯ 食の世界遺産・鰹節 <構成が意識され一貫してぶれがない>
7 ◯ 小さな労働者(読書) <読み聞かせに適切>
8 △ 枕草子(古典)
9 △ 徒然草(古典)
10 △ 平家物語・那須与一(古典)
11 △ 漢詩(漢文)
12 ◯ 落葉松(詩) <詩の古典。多技法、文語詩教材の基本>
13 △◯ 恥ずかしい話 <悪くないが文体を崩しすぎ。簡潔さに欠ける>
14 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
15 × 神奈川沖浪裏(読書) <内容が面白くない。中学生に伝わらないと思う>
16 × 情報検索で開ける世界 <一貫してない。言葉難しい。文章あまりうまくない>
17 ◯ わたしが一番きれいだったとき(詩) <茨木のり子作品>
18 ◯ 坊っちゃん(読書)
■以上◎1・◯◯2・◯5・◯△1・△◯1・△6・×2=18教材■
■東書・中学3年■:(読書=読書教材、つまり読み聞かせ用教材)
1 △ 生命は(詩) <悪くないが>
2 △× 言語の有限性と無限性 <文章が小難しい。内容が面白くない>
3 ◯◯ 俳句の読み方、味わい方 <解説も俳句も良い>
4 ◎ 形 <傑作。2学期後半に教師の腕試しとして授業したい教材>
5 △× 風の唄 <情緒的に過ぎる>
6 ◯◯ 絶滅の意味 <一貫性と構成の意識有り。良いはず>
7 × 星の航海術(読書) <面白くない>
8 △ 万葉・古今・新古今(古典)
9 △ おくのほそ道(古典)
10 △ 論語(漢文)
11 ◯◯ 初恋(詩) <良詩。授業に暗誦に良し>
12 ×△ テクノロジーとの付き合い方 <面白くない。小難しい>
13 △ テクノロジーと人間らしさ <可不可なし>
14 ◯◯ 故郷 <良作とも傑作とも時代遅れとも。長文。最後が難しい。生徒は好き>
15 ×△ 何のために「働く」のか(読書) <残念。姜氏は文章が非常に難しい>
16 ◯◯ 「正しい」言葉は信じられるか <良い。授業してみたい>
17 △ レモン哀歌 <なぜ今、レモン哀歌なのか?>
18 ◎◎ 最後の一句(読書) <すごい。中3なら是非読書でなく授業に挑戦したい>
19 △ 楼蘭の夜(読書) <内容が地味すぎるか>
■以上◎◎1・◎1・◯◯5・△7・△×2・×△2・×1=19教材■
2 『光村』教材評価
■光村・中学1年■
1 △○ 野原は歌う(詩) <音読に
2 ◯ にじの見える橋 <なかなか良い>
3 ? ダイコンは大きな根
4 ◎ ちょっと立ち止まって <説明的文章の傑作>
5 △ はじめての詩 <詩の例があまりに良くない>
6 △◯ 詩四篇 <文語詩の基礎と暗誦にはまずまず>
7 △◯ 雪とパイナップル <読み聞かせにはまずまず>
8 ◯△ 江戸からのメッセージ <江戸ファンにはたまらない杉浦日向子作品>
9
2014/11/19<展開・比喩が素敵な優良教材>
10 ◎ 大人になれなかった弟たちに <三十年扱われる傑作>
11 △× シカの「落ち穂拾い」 <面白くない。1年生の作文指導には難しい>
12 ◯ いろは歌(古典) <古典だがあえて◯>
13 △ 七夕に思う(古典)
14 △ 蓬莱の玉の枝・竹取物語(古典)
15 △ 今に生きる言葉(故事成語)
16
2014/11/19<読み間違えた。骨のある良教材。扱うべき>
17 ◎ 少年の日の思い出 <戦後からの掲載だが良教材と言わざるを得ない>
18 ◯ 木は旅が好き(詩) <茨木のり子作品>
■以上◎3・◯4・◯△1・△◯2・△6・△×1・?1=18教材■
■光村・中学2年■
1 ◯ 明日 <谷川俊太郎作品>
2 ◯ アイスプラネット <椎名誠作品。教材としてうまく書けている>
3 △ 枕草子(古典)
4 △◯ やさしい日本語 <内容良いが語句が難しい。中3なら良い>
5 ◯ 新しい短歌のために <まずまず>
6 ◯ 短歌十二首 <まずまず>
7 △× メディアと上手に付き合うために <池上彰氏、文章力は疑問>
8 × 旅する絵描き <面白くない。わからない>
9 ◯ 五重の塔はなぜ倒れないか <なかなかわかりやすい。授業に良い>
10 ◯ 盆土産 <三浦哲郎の秀作。ただ長文>
11 ◎ 字のない葉書 <向田邦子作品。短文にして傑作>
12 × 君は「最後の晩餐」を知っているか <評論でなく随筆か。何が言いたいのか>
13 △ 平家物語(古典)
14 △ 扇の的・平家物語(古典)
15 △ 仁和寺にある法師・徒然草から(古典)
16 △ 漢詩の風景(漢詩)
17 ◯◯ モアイは語る <授業に適する良作>
18 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
19 △ 言葉の力 <二十数年前教科書冒頭にあった。いまひとつ>
■以上◎1・◯◯1・◯7・△◯1・△6・△×1・×2=19教材■
■光村・中学3年■
1 △ 朝焼けの中で <素敵だが教材としてどうか?>
2 ◯◯ 握手 <井上ひさしの秀作>
3 △× 「批評」の言葉をためる <わかりにくい>
4 △ 月の起源を探る <文章は悪くない。生徒の興味が別れるのでは>
5 ◯ 俳句の可能性 <まずまず>
6 ◯◯ 俳句十六句 <選択がなかなか良い>
7 × 蝉の声 <浅田次郎がダメになってからの書き下ろし>
8
20130615<発問と討論の宝庫。中3後半授業すべき教材>
9 × 光で見せる展示デザイン <とてもつまらない>
10 ◎◎ 挨拶(詩) <詩として、原爆教材として名作>
11 ◯◯ 故郷 <良作とも傑作とも時代遅れとも。長文。最後が難しい。生徒は好き>
12 △ 「記憶」と「資料」 <可不可なし>
13 △ 古今和歌集・仮名序(古典)
14 △ 君待つと・万葉・古今・新古今(古典)
15 △ 夏草・おくのほそ道から(古典)
16 △ 古典の伝統(古典)
17 ? 論理の展開に着目して読もう <判断できない妙な教材>
18 ×△ ネット時代のコペルニクス <論説でなく随筆か。言葉が難しい>
19 △ 学びて時にこれを習ふ(漢文)
20 ×△ アラスカとの出会い <星野道夫氏。写真家で文章のプロではない>
21 ◯◯ 温かいスープ <良い>
22 △◯ 聴くということ <評論か? 随筆として読むならよい>
23 ◎ わたしを束ねないで(詩) <秀作。「朝焼けの中で」に代えて最初にどうか>
■以上◎◎1・◎1・◯◯4・◯2・△◯1・△8・△×1・×△2・×2・?1=23教材■
3 『教出』教材評価
■教出・中学1年■
1 ◯ わたしの中にも <新川和江作品>
2 △ 私の好きな春の言葉 <俵万智は歌人。文章力は疑問>
3 △× 花の形に秘められたふしぎ <言葉が難しい。不必要に長い>
4 △× 暗やみの向こう側 <1年生にはもっとわかりやすい典型を>
5 △ ベンチ(読書) <読み聞かせにはまあまあ>
6 ◯ 河童と蛙(詩) <1年生が大好きな音読の詩>
7 ◎ オツベルと象 <傑作>
8 △× 百年後、千年後の友人であるあなたへ(古典) <川柳。あえて△×>
9 △ 物語の始まり・竹取物語(古典)
10 △ 中国の名言・故事成語(故事成語)
11 ◯ 笑顔という魔法 <わかりやすい。池谷裕二氏は読ませるべき>
12 △× 自分の頭で考える? <無駄に長い>
13 △? 写真と言葉が生み出す世界 <扱いがわからない>
14 △ 三好達治の詩 <詩の選択がもうひとつ>
15 ◎ 少年の日の思い出 <戦後からの掲載だが良教材と言わざるを得ない>
16 ×△ 言葉がつなぐ世界遺産 <言葉がとても難しい。面白くない>
17 △ 言葉の上達は競技を上達させる <言いたいことはわかる>
18 ◯ 蜘蛛の糸(読書) <芥川。授業がどうなるか興味あり>
■以上◎2・◯4・△6・△×4・×△1・△?1=18教材■
■教出・中学2年■
1 ◯ 虹の足(詩) <充分授業にはなる>
2 ×△ アオスジアゲハとトカゲの卵 <説明ではなく随筆か?>
3 △× タオル <重松清作品。生徒に理解できないと思う>
4 △ 夢を跳ぶ
5 ◯△ 近代の短歌 <まずまず>
6 ◎ 夏の葬列 <傑作。やや難しいが、教師の授業の腕試しに使える>
7 △ 直実の流した涙・平家物語・敦盛の最期(古典)
8 △ 随筆の味わい・枕草子・徒然草(古典)
9 △ 孔子の言葉(論語)
10 ×△ 悠久の自然 <星野道夫氏。写真家で文章のプロではない>
11 △× ガイアの知性 <わかりにくい>
12 ×△ 物語を読み解く・ごんぎつね <なぜ、ごんぎつね?>
13 △ レモン哀歌 <なぜ今、レモン哀歌なのか?>
14 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
15 △ 学ぶ力 <随筆のような何か>
16 △ 感覚を言語化する <話題に無理がある>
17 ◯ 坊っちゃん(読書)
■以上◎1・◯3・◯△1・△7・△×2・×△3=17教材■
■教出・中学3年■
1 △◯ 春に(詩) <谷川俊太郎作品>
2 × 「新しい博物学」の時代 <言葉が難しく文章があまりにうまくない>
3 ×△ みどり色の記憶 <情緒的、抽象的に過ぎる>
4 × 不思議の国のアリス(読書) <面白くない>
5 ◯ 近代の俳句 <まずまず>
6 × 無言館の青春 <とにかくわかりにくい>
7 △ 旅への思い・おくのほそ道(古典)
8 △ 和歌の調べ・万葉・古今・新古今(古典)
9 △ 春の山河(漢詩)
10 ×△ 歴史は失われた過去か <小難しく構成の意識がない>
11 × 文化としての科学技術 <毛利衛氏。文章の素人の作品。第一段落はあり得ない>
12 × 情報を編集するしかけ <扱いがわからない>
13 ◯◯ 初恋(詩) <良詩。授業に暗誦に良し>
14 ◯◯ 故郷 <良作とも傑作とも時代遅れとも。長文。最後が難しい。生徒は好き>
15 △× 言葉の力 <光村中2・大岡信作品と同名だが、別物>
16 △× 言葉は私の聴診器 <香山リカ氏。他にいくらも素晴らしい記事作品有り>
17 ◎◎ 最後の一句(読書) <すごい。中3なら是非読書でなく授業に挑戦したい>
■以上◎◎1・◯◯2・◯1・△◯1・△3・△×2・×△2・×5=17教材■
4 三省堂教材評価……前書きした通り「本編」のみ
■三省堂・中学1年■
1 ◯△× 声に出してさまざまな作品を読もう <評価分かれる>
2 △ 竹取物語(古典) <いきなり?>
3 △ 水田のしくみを探る <急に難しい文章になる>
4 ◎ 空中ブランコ乗りのキキ <傑作>
5 △◯ ユニバーサルな心を目指して <内容は良い。説明的文章ではない>
6 ◯◯ 詩三編・夕焼け・いるか・雨ニモマケズ <詩選択が良い>
7 △ この小さな地球の上で <説明文ではない何か>
8 ◯ 信頼をつなぐ <一貫している。なかなか良い>
9 △× タオル <重松清作品。生徒に理解できないと思う。「教出」は中2にある>
10 △ 「故事成語」を使って書こう(古典)
11 ◯ トロッコ(読書) <授業価値のある傑作。ただ非常に長文。また話題が古い)
12 ◯△× せりふとト書き <四コマ漫画は十数年前に流行った>
13 △◯ 食感のオノマトペ <惜しい。もっと易しく書ければ◯>
■以上◎1・◯◯1・◯2・△◯2・△4・△×1・◯△×2=13教材■
■三省堂・中学2年■
1 △ 枕草子・徒然草(古典) <いきなり?>
2 △ 漢詩の世界(漢詩) <いきなり?>
3 △× 壁に残された伝言 <言い回しが粘っこい>
4 ◯ 走れメロス <生徒は大好き。教師の好みが分かれる。授業に良し>
5 △ 日本人はアリスの同類だった <高畑勲。文章の素人の作品は重んじない>
6 △ 短歌の世界 <いまひとつ>
7 ◯◯ 小さな手袋 <説明?!何かの間違いでは? 授業になる素敵な物語です>
8 △ 「循環型社会」とは何か <組み立てと進め方がいまひとつ>
9 ◯ 蒼い道 <なかなか良い物語かも>
10 △ 平家物語(古典)
11 △◯ 詩二編・△◯大阿蘇・◎わたしを束ねないで
12 ◯ 日本語メガネのかけ替え <面白いかも。だが決して説明文でなく随筆>
■以上◯◯1・◯3・△◯1・△6・△×1=12教材■
■三省堂・中学3年■
1 △ おくのほそ道(古典) <いきなり?>
2 △ 中国の古典の言葉(古典) <いきなり?>
3 △ 冥王星が「準惑星」になったわけ <長すぎる。生徒の興味が分かれる>
4 △× 「文殊の知恵」の時代 <「走れメロス」の例は無茶すぎる>
5 ◎ 猫 <中3に授業する傑作>
6 ◯ 俳句の世界
7 ◯ 海馬 <池谷裕二・糸井重里。2002年『海馬・脳は疲れない』より。秀作>
8 ◯ ◎ 高瀬舟 <無論傑作。長文。読み聞かせに良し>
20130615<発問と討論の宝庫。中3後半授業すべき教材>
9 △ 好きな和歌を紹介しよう(古典)
10 ◯ 詩二編・◎初恋・◯うち知ってんねん
11 △× 「ありがとう」と言わない重さ <随筆のような何か>
■以上◎1・◯4・△4・△×2=11教材■
(以上4社評価終了)