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3 中学1年学級経営案・学級経営成功の軸 |
(1) 最初の三日間で決まる
① 学級経営は、四月五日からの三日間で一年間の勝負が決まる。
② 三日間ですべき二つのことは「組織を決め」「動き方を教える」ことである。
③ 三日間でできないことは、その後取り返すことはできない。
(ゆるく考えて最初の五日間ですべて決まる。
三日間で済ませられなかった事柄を、残り二日間で拾うということだ。)
(2) 三日間の指導事項
① 「担任が生徒の名前を覚える」以上に重要なことはない。
② 「班のメンバーの名前」
と
「班の仕事内容」
を覚えさせることが第二である。
何も知らなかった私の初任の年、
クラス解散のとき
「氏はわかるが名を知らん」
「誰々さんとは話したことがない」
状態だった。
担任が仕組まないとこうなる。
年度末に調査してみるとよい。
③ 「生徒同士のコミュニケーション」を深めることが第三に重要である。
④ 「クラスの決まりごと」を示し、納得させることが第四である。
⑤ 以上の①~④の指導の中で、担任が指示を出し、激励し、
生徒の信頼を得ることができれば学級経営は成功である。
クラス全体を担任が「統括」するのである。
(3) 四月いっぱいで習熟させる
① 最初の三日間でなぞらせた、クラスの決まりごとを、四月中に習熟させる。
② そのため、四月は担任だけでなく
教員すべてがただ二つのことに専念する。
「時間を守らせる」
「黙って話を聞かせる」
ことの二つである。
③ 生徒に徹底させるということは、教員がして見せるということだ。
「授業開始チャイムの前に教室に入り」
「決して一秒も(一分ではない。一秒である)授業は延ばさず」
「黙って聞くに堪えるだけのいい話・いい授業を行う」
(4) 班替えの見通しを持つ
① 班替えは、年間の計画に従って行なう。
班替えの計画がないのは、
クラスをどう育てるかというビジョンがないということだ。
「班替え」と「席替え」は全く思想が異なる。
「席替え」は担任が、生徒の前後左右の人間関係しか考えていない。
「班替え」は<意図的に><その班の人間関係を深める>ことだ。
② 班には、その期ごとに「目標」を示す。
示す、のであって、考えさせる、のではない。
それが「教育のための経営」だ。
「みんなで考えましょう」
…これはTOYOTAが車の値段を消費者に決めさせるのと同じだ。
例えば
「クラスの仕事を覚える」
「修学旅行の成功」
などである。
「目標」は学級経営案に書いておく。
③ 班替えにより
「班長が育ち」
「班員は仕事を覚える」。
つまり担任が班長を育て、班員に学級内の所属意識を育てる意識を持ち
「班替え」を仕組むということだ。
④ したがって、効果的な時期にタイミングを逃がさず班を替える。
学校の年間計画を予想しないと難しい。
生徒に
「もう飽きたから席替えしてよ~」
と言われるたび答えられず、押されて「席替え」する。
「やっぱり気に入らないからまた替えて~」
で、おろおろする。ビジョンがないからだ。
それで、生徒に振り回されてグチャグチャになる。
4月に「年間班替え計画一覧表」を生徒に示し、
班替えのたびに、
「この班の目標は体育祭の成功と中間テスト対策です」
「解散日は10月25日です」
といちいち宣言して文書に(学級通信とか掲示物とか)残せばよい。
(5) 三年先を見通す
① 学級経営の指導事項は、一年生の四月から常に三年先を見通す。
一年生の4月5日に担任が、学年教員が、
三年後の卒業式の日に
どんな態度で、
どんな言葉を言い、
どんな歌をうたって
中学校を出て行くか
映像としてくっきりとイメージを持つ。
② たとえば
「行事の決まりは生徒の話し合いで決めさせる」
ことである。
そして、
「自分で決めた以上守らざるをえない状況を作る」。
話し合いの内容は、その学年その時期にふさわしいものを
教員が企画する。
③ たとえば
「決まりは徐々にゆるめる」
ことである。
一年生の5月の校外行事でいきなりジュースを自由に買わせていたら、
三年生になったらたまらない。最初は厳しく。
守れたら信用するスタンスで、徐々に決めさせる壁を高くする。
④ 肝に銘じるべきは
「一年生でできなかった指導は二年生ではできない」
ということだ。
一年生で無計画に許した指導、手をつけなかった指導は、
二年生でやり直すことはできない。
最もわかりやすく、この三十年間絶えないのは、
一年生のとき、言うことを聞かなかったらぶっとばし、
三年生になり、力で越えられて殴り返される崩れ方だ。
(6) システムは学年でそろえる
どのクラスでも行なうべき指導のシステムは、
学年の全クラスでそろえるべきである。
一年生の四月にそろえたシステムは、クラス替えがあっても継続しやすい。
また、崩れにくい。そして、崩れそうな時にフォローしやすい。
①一つ。
「班隊形の作り方と班の番号」
②二つ。
「班の仕事の作り方」
班別に一つずつの専門職形式か、
班内で一人か二人に一つずつのどの班も分業している形式か。
③三つ。
「班の仕事の内容」
たとえば、班長・副班長・美化・学習など。
④四つ。
「授業評価表」
中学授業指導案かな?教科日誌と使い方
単純で分かりやすいものがよい。
授業が終わるたび、教科係が教壇へ走り訊く。
教科係「今の授業評価をお願いします。集中度は? 発言は? 私語は?」
教 員「(集中度は?)Bビー、(発言は?)Aエー、(私語は?)Aエー」
一つ一つどんどん聞く。
教員は「エー。ビー。シー」と言うだけ。
係は教科日誌に記入する。
単純なのが良い。
教科担任に「文で」書いてもらうのはダメ。
急いでいるしひと言で言うのは難しいから。
⑤五つ。
「掃除点検表」
過去作ったものの中では最も効率がよい。
⑥六つ。
「HRファイル」
二穴ファイルと印刷プリントがよい。
ノートに糊付けするのは時間の無駄。
手元に保存すべきプリントをファイルさせることもできる。
⑦七つ。
「持ち帰り用クリアファイル」
学校の配布物をはさみこませる。翌日にはカラになって持ってくる。
担任はじめ学年教員は、保存プリントは穴を開けて配る習慣をつける。
生徒は穴の開いていないプリントは
自然に「クリアファイル」にはさむようになる。
これは、三年の進路指導の時期に役に立つ。
進路指導に関する書類の受け渡しの確率が上がるからである。
これはものすごく良い。
ただし「翌日カラにして、持ってくる」のは
デキル生徒だけ。
できない生徒はクリアファイルがゴミ貯めになる。
整理できない大人と同じこと。
だから、週か月に一度担任が整理してあげる。
(7)学級が崩れ始める指導事項
①そうじ(略)
②SHR(略)
③食事(経営案にあり)
クラスは目の届かないところから崩れ始める。
だから、四月最初のそうじの日には、細心の注意を払い計画を立てる。
やり方を教え、それが当然の状態にする。
(8)学級を伸ばすための指導事項
①班長選挙(略)
②委員選挙(略)
③学級通信(保護者の信頼・クラスの世論を作る)
④班員通知票(略)
⑤合同班長会 ◆年間通して計画的にプラスの指導を行なう。
◆生徒の思考力・行動力を育てる。
カテゴリー別目次 ・ 記事一覧
1試す価値
2四月五日から一週間の仕事
3学級経営成功の軸
4春休みの準備
5中学1年経営案
6中学校班の組織と役割
7班内仕事分担一覧表
8班の組織と役割
9年間通して行うこと
10年間班組織計画表
11最初の一週間計画
12第1日目
13第2日目
14第3日目
15第4日目
16第5日目
17そうじ点検表と使い方(画像あり)