営団地下鉄乗車券における国鉄窓口発売券の記号表示

菅沼天虎様のブログ菅沼天虎の紙屑談義4月13日エントリーの夕張鉄道 国鉄窓口発売券の記号表示および4月14日エントリーの三菱鉱業美唄鉄道 国鉄窓口発売券の記号表示に関連し、同じような「○囲み」の記号表示が営団地下鉄の乗車券でも見られることがわかりましたので御紹介いたします。

  images (表) images (裏)

こちらは営団地下鉄(現・東京メトロ)東西線中野駅発行の最短区間の乗車券です。東西線の中野駅は国鉄(現・JR東日本)中央線の構内にあり、開業時より出札業務および改札業務については国鉄に委託されています。

御紹介の券は、昭和41年3月16日の高田馬場~中野間が開通した初日に国鉄中野駅で買い求めたものです。
表面を見ますと、「中野から」の右側に「」という記号が表示されています。一瞬循環番号のように思えますが、開通初日に循環番号が4回転回ったというのは少々考えにくいものがあります。
裏面を見てみますと、活字は同じフォントのものが使用されていますが、「中野駅発行」の左側に「」という数字が印刷されています。こちらの方が循環番号であると考えた方がよろしいかと思います。

  images (表) images (裏)

では、同時代の営団地下鉄乗車券を見てみましょう。こちらは活字が違いますが様式は同じもので、昭和39年に丸ノ内線荻窪駅で発行されたものです。
表面には○囲みの数字は無く、裏面の発行駅名の左側に「」という循環番号と思われるものがあります。

  images (表) images (裏)

次に、「通用発売当日限り」から「発売当日限り有効」と表記の変わった昭和44年以降の券を見てみましょう。
これは昭和45年に銀座線および丸ノ内線の赤坂見附駅で発行された乗車券です。
表面にはやはり○囲みの数字は無く、裏面の裏面の発行駅名の左側に「○24」という循環番号と思われるものがあります。

以上のことからしても中野駅発行の表面に記載の「」の数字は東京鉄道管理局関東支社を示すの記号表示であることが推測されます。
関東支社管轄下の東京鉄道管理局は輸送量急増に対応するために、東西線中野駅開通3年後の昭和44年3月1日、東京北、東京南、東京西の3局(東京3局)に分割され、東京西鉄道管理局を示す「○西」の記号表示をしなくてはならなくなります。
そのため、営団地下鉄の「○囲み」記号表示の券はわずか3年間のみの発行ということになります。

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菅沼天虎様より、④の記号は東京鉄道管理局ではなく、関東支社を表している旨のコメントを戴きました。訂正させていただきます。
関東支社の管轄下には東京鉄道管理局・千葉鉄道管理局・水戸鉄道管理局・高崎鉄道管理局(昭和34年までは新潟鉄道管理局も)が該当しましたが、東鉄局3局分割後の昭和45年8月15日に支社制度が廃止され、管理局制に戻されています。

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路線バス振替乗車票

今月5日の土曜日、JR中央線の電車は信号トラブルにより半日以上の運休が発生し、ダイヤが終日乱れました。

このような時には振替輸送が実施されますが、振替輸送の範囲は振替乗車そのものが連絡運輸の一部として定められている関係で、振替輸送の起点駅にバス路線など代用可能な交通機関があっても、その事業者との間に連絡運輸の契約がない場合、振替輸送の対象とはならないようです。そのため、振替乗車票では連絡運輸契約のある他社局路線への振替に限られ、連絡運輸契約の無い路線バスは対象外となります。
しかし、振替輸送対象路線との接続の無い駅の場合、混乱を避けるために路線バスへの振替輸送が実施されることがあり、そのような旅客に対しては「路線バス振替乗車票」が配布されます。

  images (路線バス振替乗車票)

これは三鷹駅で配布されたもので、北口からの関東バスと西武バス、南口からの小田急バスと京王バスにそれぞれ振替輸送が行われました。
用紙はA型券よりも大きなもので、どこにも券番はなく、市販のメモ用紙のように糊付けされて束になっています。
他駅で発行されたものも見たことがありますが、発行駅名は補充式で、常備券は未見です。また、いちばん下にはパンチで発行日に印を付けるようになっていますが、パンチが廃止された現在では省略されているようです。

このようなものは国鉄時代から存在していましたが、振替乗車票が硬券の時代には赤字印刷の「連絡乗車票」として配布されていました。

  images (表) images (裏)

これは宇都宮駅で発行された連絡乗車票です。裏面を見ると「◎この票は、降車の際にお渡しください。」とあり、バスを降りる時(都市部の均一区間では乗車する時ですが…)に運転手さんに渡すことを前提とした注意書きが印刷されています。

この券の表題はあくまでも「連絡乗車票」であり、「振替輸送」という言葉はどこにも書かれていません。その理由は旅客営業規則の定めに拠るもののようです。

JR(国鉄)では、JR(国鉄)線の不通区間を他のJR(国鉄)線を使って迂回する扱いを旅客営業規則第7章 「乗車変更等の取扱い」の中で「他経路乗車船」として定めています。
一方、他社局との連絡運輸の取扱いを定めた「旅客連絡運輸規則」ではこの定めを準用しており、これが振替乗車の根拠となっているようです。
「振替輸送」とは連絡運輸の実際の取扱いについて規定する「旅客連絡運輸取扱細則」の中で「連絡会社線に関係する他経路乗車船の取扱い方法」として「振替乗車票を発行して…」と明記され、取扱い範囲を事前に協議して定めることや、振替乗車票の様式・発行方法などの扱いについて定められているようです。

この取扱細則に拠りますと、路線バスへの振替(迂回)乗車は振替乗車として定められているものではなく、むしろ「代行輸送」の部類に当たるようであり、敢えて「振替乗車票」という言葉が使用されていないものと思われます。
しかし、JRとなってから、「連絡乗車票」では旅客に対してあまりに不案内であるためか、敢えて「路線バス振替乗車票」という名前が付けらています。

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