JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
吉原から東京山手線内ゆきA型硬券乗車券のいろいろ
これは、昭和51年に発行された、東海道本線吉原駅から東京山手線内ゆきのA型硬券乗車券です。
名古屋印刷場製の運賃活字の細い「前期型」の様式で、比較的一般的な券です。
裏面を見ますと、「東京山手線内各駅下車前途無効」の注意書きがあります。
これも名古屋印刷場の標準的なレイアウトであることがわかります。
しかし、昭和59~60年ごろになりますと、静岡地区で発行される硬券乗車券類については東京印刷場に印刷業務が移管され、様式がガラッと変わっています。
ただ、5月31日拙ブログにて御紹介いたしましたように、金額式B型乗車券同様、東京印刷場調整券であるにも拘らず、小児断片の中の文字が縦書きになっているなど、名古屋印刷場様式の雰囲気を随所に残したレイアウトとなっています。
裏面を見ますと、こちらは東京印刷場調整であることがはっきりわかるレイアウトになっており、名古屋印刷場の面影は微塵もありません。
JR化後になりますと、東京印刷場はJR東日本の管轄となり、JR東海の乗車券の印刷は名古屋印刷場に一本化されることになります。
そのため、吉原駅の硬券は、再び名古屋印刷場のものに戻ります。
これはJR化後に暫定的に発売された、国鉄地紋のJR乗車券です。
裏面を見ても、かつての名古屋印刷場のものと同じであることがわかります。
その後、恐らくJR地紋の券に変わって行ったであろうと思われますが、あいにくJR地紋券は所持しておりません。
吉原駅では、JR(国鉄)の窓口のほか、岳南鉄道の吉原駅でも委託発売が行われています。
これは岳南鉄道窓口で発売された東京山手線内ゆきの乗車券です。
ここで発売されている券はJR(国鉄)の券とは似ても似つかぬもので、とてもJRの乗車券であるとは思えないイデタチをしています。しかも、ヘッダーに「(岳南鉄道)」の文字があることから、一瞬「社線→JR(国鉄)線」の連絡乗車券のように見えますが、JR区間のみの乗車券となっています。
印刷は親会社の富士急行と同じ印刷場の調整と思われ、「JPRてつだう」地紋となっています。
また、岳南鉄道では、吉原駅の管理は吉原本町駅となっているようで、発行駅は吉原本町駅発行となっており、ますます連絡乗車券のような感じです。
(岳南鉄道券・印刷場不明、裏面)
裏面にはお決まりの注意書きがかかれており、その表現は名古屋印刷場のものに近いですが、私鉄乗車券によくある一般的な表現になっています。
その後、岳南鉄道の乗車券は関東交通印刷のものに仕様変更されました。
関東交通印刷の様式は国鉄東京印刷場のものに良く似ており、まさしく東京印刷場の再来のような格好になっています。
裏面を見ると、まさに東京印刷場のようです。
それでは次回、関東交通印刷のものと東京印刷場のものを比較してみましょう。