JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
桟橋を持つ駅の入場券
前回の拙ブログにて函館駅の入場券について御紹介いたしましたが、その中で少々触れさせていただきましたように、函館駅以外の桟橋を持つ駅(=連絡船の発着する駅)の入場券にも、連絡船内への立ち入りを制限する文言が書かれています。
まずは青函連絡船の本州側の駅である、青森駅の入場券についてです。
これは仙台印刷場で調製された、青森駅の入場券です。
「旅客車内に立ち入ることはできません。」の文言に代え、「車・船内に立ち入ることはできません。」という文言が印刷されています。どうしても一行に収めたかったのか、ずいぶんと省略された表現になってしまっています。
ところが、昭和60年頃の仙台印刷場が閉鎖によって、同駅発行の乗車券類の印刷が東京印刷場に移管されるようになりますと、発行駅名の表記を残すといった様式は仙台印刷場のものに近づけてありますが、連絡船関連の表記は消えてしまったまま民営化を迎え、JR東日本になってからも連絡船の文言の入った入場券は発行されなかったようです。
次に、宇高連絡船の駅について見てみましょう。
宇高連絡船の本州側の駅である宇野駅発行の入場券です。
こちらの文言は「旅客車内又は連絡船内に立ち入ることはできません。」となっており、印刷場別の様式上の違いはあるものの、函館駅のものと同じ表現になっています。
次に、反対側の(讃)高松駅のものを見てみましょう。
これは昭和51年頃に発行されたこくてつ地紋入りの小児用入場券です。なぜなのかわかりませんが、この時、高松駅と松山駅の小児用入場券だけが地紋入りで登場しています。
高松印刷場の場合、「旅客車内に立ち入ることはできません。」の文言は裏面に印刷されており、表面にはその記載がないのが特徴です。高松駅のものも「旅客車内又は連絡船内に立ち入ることはできません。」と印刷場別の様式上の違いはあるものの、函館駅や宇野駅のものと同じ表現になっています。
以上のように、青函・宇高連絡船の存在していたころ、桟橋を持つ各駅には、連絡船内への立ち入りを制限する文言が書かれていたことがわかります。
意味合いは若干違いますが、同じ国鉄連絡船である宮島航路の場合、宮島口駅の入場券は宇野駅のものと同じ広島印刷場の調製券ですが、連絡船内への立ち入りを制限する文言はありませんでした。さらには、鉄道路線の無い宮島駅に至っても、宮島口駅同様、連絡船関連の文言は無かったようです。