戦時特別運賃

今日は63回目の終戦記念日です。これにちなんで、戦時中ネタをひとつ。

   images (昭和18年3月発行)

これは戦時中の昭和18年3月に上野駅で発行された3等10銭の地図式乗車券です。
当時の地図の原版は手書きで、文字の字体に独特な風情のようなものが感じられます。
地紋も「てつだうしゃう」の文字がくっきりとし、堂々とした佇まいです。

   images (昭和18年9月発行)

ところが、同じ昭和18年9月に五反田駅で発行された地図式券を見ますと、地紋がありません。
このころになると戦局は悪化し、「ぜいたくは敵だ!!」のスローガンの下、硬券にも戦時色が見えてきます。その第一弾が地紋の廃止でした。
入場券を除く殆どの乗車券類には偽造防止対策として地紋が刷り込まれているのが一般的ですが、地紋を印刷する印刷工程を省略するため、当時、比較的偽造がしにくいと言われていた地図式券については地紋が廃止されました。

   images (昭和19年4月発行)

昭和19年4月5日に蒲田駅で発行された3等35銭の地図式券です。
戦局はますます悪化し、帝国議会に於ける、「戦時下ニ於ケル鉄道運営ノ現況並ニ一般経済ノ諸情勢二鑑ミ陸運ノ強化ヲ図リ併セテ購買力ノ吸収卜旅客輸送ノ調整二資スル為鉄道運賃ニ付左ノ措置ヲ講ズルモノトス」という決定により、昭和19年4月1日以降、普通運賃の他に3割を上限とする「戦時特別運賃」が加算されるようになりました。
それまで、左上に「(裏面注意)」と書かれていたところが「特別運賃共」となり、戦時特別運賃が加算されていることがわかります。

平和になった現在では考えられないことですが、これが60年以上前の日本が直面していた現実です。

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