武蔵野鉄道 池袋から上り屋敷ゆき片道乗車券

昭和5年3月に武蔵野鉄道(現・西武鉄道池袋線系統)池袋駅で発行された、上り屋敷(あがりやしき)駅(廃駅)ゆきの片道乗車券です。


   


桃色PJRてつだう地紋のB型矢印式大人・小児用券です。
同社の当時の乗車券は通用期間が2日間であったようです。


   


裏面です。
社名「(武蔵野鐵道)」および発行駅名が記載されています。上にある「(ゐ)」の符号は、本券および小児断片それぞれに印刷されていることから、循環番号に相当するものと思われます。


武蔵野鉄道は西武池袋線系統の前身の会社で、大正4年に開業し、池袋~飯能間が開通しています。その後、大正11年に池袋~所沢間が直流1200Vで電化され、高速電車による電車運転が始まりましたが、戦後の昭和21年11月に、武蔵野鉄道と西武農業鉄道が合併し、現在の西武鉄道となっています。


上り屋敷駅は起点である池袋駅から0.9km、次の椎名町駅から1.0kmのところにあった駅で、昭和20年2月に戦況悪化と両駅間が近いことから不要不急駅として営業が中止され、駅施設はそのまま残されていたようですが、終戦後も再開されることがないまま、昭和28年1月に正式に廃止されてしまっています。


現在の上り屋敷駅跡の状況です。


   


駅の前後に踏切がありますので観察しやすいですが、左右の草が生い茂って盛り上がっているところが当時のホームの残骸で、最近まで構内の跡が確認できたようですが、現在では駅舎のあったあたりにコンビニのサンクスが営業しています。
この付近は現在の地名は「目白」となっていますが、上り屋敷というのは旧地名であるとのことで、こちらのサンクスが「上り屋敷店」という名称である他、付近のアパートなどに名前が残されています。


   


飯能方面ゆきのホーム跡です。角が取れて丸くなってしまっているので単なる土盛りのように見えます。
これらの遺構の感じから、2~3両編成程度の長さのホームであったものと推測されます。

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