京成トラベルサービス 空港ターミナルから京成上野ゆき船車券 ~その1

緊急事態宣言が解除され、「感染の状況を確認しつつ段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくこととする」という前提のもとで世の中が以前のスタイルに戻ろうとしています。夜までレストランが営業できるようになったり、少しずついろいろなお店や施設が開くようになり、イベントも小さなものから行われるようになって行きます。楽しい社会生活を徐々に取り戻しつつも警戒する心は忘れず、またいつか、旅行に行ったりすることができる日常が戻ってくることを祈ります。


ということで、今回はかつては海外旅行に行くのにワクワクした記憶から、成田空港へ行ったときに購入した乗車券を御紹介致しましょう。
1989(平成元)年11月に、京成電鉄系列の旅行会社である京成トラベルサービスで発行された、空港ターミナル(成田空港ターミナル)から京成上野ゆきの船車券です。


   

若草色JPRてつどう地紋のA型大人専用券で、山口証券印刷で調製されたものです。

船車券は旅行会社がJRや航空会社以外の運輸機関と船車券契約を締結したうえで発売するもので、旅行会社の費用で券を作成して発売し、毎月翌月末までに発売月報と発売計算書を添え、所定の手数料(概ね5%)を差し引いた額を運輸機関に支払う方法が採られています。

この券は成田空港ターミナル内にあります京成トラベルの営業所で発行されたもので、空港ターミナルから成田空港(現・東成田)駅まで成田空港交通の路線バスを経由し、成田空港駅から京成電鉄で京成上野駅までというルートになっています。

つまり、この券は京成電鉄の他、成田空港交通の2社に対する船車券であることになります。
船車券という題字の下に、運輸機関名である「京成電鉄・成田空港交通」の記載があり、その下には乗車区間である「空港ターミナル ➡ 京成上野」と経由表記の「(成田空港 経由)」、運賃1030円と下車前途無効の文言があります。
また、改札掛員の視認性を向上させるためのものと思われますが、横赤一条の線が引かれています。


経由表記が「(成田空港 経由)」となっており、事情を知らないと何のことだか分からなくなりますが、ここに記載されている成田空港駅は初代の成田空港駅で、現在の東成田駅であるということに由来します。

成田空港駅は1978(昭和53)年5月に成田国際空港最寄駅として開業した京成電鉄の駅ですが、国鉄末期に存在した成田新幹線計画の影響で空港ターミナルへの乗り入れが出来ず、同駅から空港ターミナルまでは路線バスでの連絡となっていました。しかし、1991(平成3)年に成田新幹線計画が頓挫すると、新幹線の施設として建設されていた部分を活用した第三セクターの成田空港高速鉄道が開業して空港ターミナルへ直接乗り入れすることとなり、成田空港駅~京成成田駅間を東成田線とし、成田空港駅は東成田駅に改称されています。


   

裏面です。
「空港ターミナル・成田空港間は、バスで連絡いたします。」という案内文の他、発売当日限り有効の文言、京成トラベルサービスで発行されたことを示す社名が記載されておりますが、この券には「発行箇所名」の記載はありません。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )