JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
南仙台駅発行 仙台から上野まで新幹線指定席特急券
1985(昭和60)年6月に東北本線南仙台駅で発行された、仙台から上野までの新幹線指定席特急券です。
若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
当時の特急や急行列車用の座席指定券類は若草色(みどり色)の地紋となっており、特にマルス端末用の特殊共通券紙がみどり色であったことが、現在の「みどりの窓口」の由来となったと言われています。
当時の南仙台駅では新幹線用の指定券は硬券による発券となっており、わざわざ硬券特急券を入手したいがため、特急券を仙台駅で購入せず、レンタカーで立ち寄った南仙台駅で購入した次第です。
新幹線用の指定席特急券は、表面には乗車区間や料金など、必要最小限の情報しか記載されておらず、座席指定などの情報は裏面に記載するようになっていました。
裏面です。
左から縦書きで乗車日が記載され、その右側には座席指定情報が2段書きで記載できるようになっています。これは、改札内での途中駅を一部通過する速達タイプの列車は「やまびこ」号と、途中すべての駅に停車する各停タイプの「あおば」号相互間の乗換をした場合を考慮したものとなっています。
現在の東北新幹線には「あおば」号という列車はありません。これは、JR化後の1995(平成7)年に「あおば」号のうち東京駅~那須塩原駅間だけ走っていた列車の名前を「なすの」号として分離されたことからはじまりました。
東京駅~那須塩原駅間の運転では「あおば」の名前の由来だった青葉城がある仙台を通らないため、那須塩原駅の北西側に広がる(那須野原)にちなんだ「なすの」号になったと言われています。
そして長野行新幹線(北陸新幹線の高崎駅~長野駅間)が開業した1997(平成9)年に、JR東日本は新幹線の列車名を、通過駅の区別ではなく「行先」によって分けることとし、東北新幹線は、東京駅~仙台駅・盛岡駅間を走る列車が「やまびこ」号、東京駅~那須塩原駅間の列車が「なすの」号に統一され、これにより「あおば」号が廃止されています。
これはいろいろな名前があって分かりにくいと利用者から苦情が寄せられていたことによるそうなのですが、これによって「あおば」号は初めて廃止された新幹線の列車名になっています。