JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
(信) 高田駅発行 東京都区内ゆき 片道乗車券
1985(昭和60)年4月に信越本線高田駅で発行された、東京都区内ゆきの片道乗車券です。同駅は現在、北陸新幹線の長野駅~金沢駅間の開業に伴って並行在来線として経営分離され、えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの駅になっています。
青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、民間印刷場で調製されたものです。
経由欄には「宮内、渋川、熊谷経由」とスッキリと書かれていますが、高田~(信越本線)~直江津~(信越本線)~宮内~(上越線)~高崎~(高崎線)~大宮~(東北本線)~東京都区内という営業キロ344.3kmの乗車経路になります。
発駅表記には「(信)」と記載されていますが、これは同駅が信越本線に所属する駅という意味であり、国鉄には他に奈良県の和歌山線の高田(たかだ)駅と、長崎県の長崎本線にある高田(こうだ)駅という同じ表記の駅名があるため、どの駅かを明確にするために表記されていたものです。
裏面です。確か、この券が発行される9日前に国鉄では運賃改定を行っていたと思いますので、運賃改定印が捺印されていないことから改定後の新券ではないかと思われ、券番が0040ということはだいたい4枚/日程度の発売実績であったと推測されます。
東京都区内ゆきの発売実績としては些か少ないような気もしますが、軽井沢経由であれば営業キロ289.1kmで55.2km短縮され、しかも乗り換え無しで行けることから軽井沢経由の方が一般的で需要があると思われますので、直江津経由での発売実績は少なかったものと思われます。
国鉄末期、出札機器による印発化が行われると硬券の需要は減ってきており、需要減によるコスト削減のため、新潟および仙台印刷場の硬券印刷業務は民間印刷場に外注されるようになり、民間印刷券が誕生し、印刷場は外注管理もしていたようです。
そのような流れからと思われますが、国鉄では、1983(昭和58)年4月に「印刷場」の名称を「乗車券管理センター」に改称しています。ただし、拙ブログではいちいち区別して表現するのも煩雑なため、乗車券管理センターとなった時代についても印刷場と表現しています。