堀江さん橋駅発行 仁方ゆき片道乗車券

1980(昭和55)年5月に仁堀航路の堀江さん橋駅で発行された、仁方ゆきの片道乗車券です。


   

青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、広島印刷場で調製されたものです。

仁堀航路はかつて国鉄が運航していた鉄道連絡船(航路)ルートで、呉線仁方駅から徒歩15分くらいのところにある仁方港と予讃本線堀江駅から徒歩5分くらいのところにある堀江港を結んでいました。
もともとは宇高航路(現在廃止)の補助的な航路として開設されたようですが、ローカル航路として細々と営業していたようですが、戦後、赤字を理由として廃止された唯一の国鉄連絡船航路と言われています。
開業当初は四国鉄道局所管になっていたようですが、昭和30年代初頭に広島鉄道管理局に移管されていますので、御紹介の券が堀江港(愛媛県)発であっても高松印刷場ではなく、広島印刷場の券が使用されていたものと思われます。

仁方航路の営業キロは70kmとされていましたが、実際には40km程度で、競合する民間の航路と運賃の調整をするための擬制キロが使用されていたようです。
そのため、御紹介の券は当時の営業規則で営業キロ51km以上に該当するために発売日共2日間有効となっていましたが、この券が発売される約1ヶ月前の4月の運賃改定で営業規則が変更となり、有効2日となる乗車券は営業キロが101km以上になったことから、「発売当日限り有効 下車前途無効」の文言付きの運賃改定印が捺印されており、調製された時点では2日間有効であったものが、発売された時点では有効当日限りになっています。

仁堀航路は航海時間が約2時間10分となっており、1日3便程度の運航で、管理人の手元にある時刻表では、仁方港945(3便)・1450(5便)・2000(7便)発、堀江港1155・1700・2210着および、堀江港710(2便)・1223(4便)・1720(6便)発、仁方港920・1433・1930着となっており、堀江港を出港して仁方港に接岸すると、約30分後に仁方港を出港して堀江港に戻るダイヤ編成になっていたようです。

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