趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
「◯委」 草津温泉駅発行 B自由席特急券
1985(昭和60)年11月に「◯委」草津温泉駅で発行された、長野原(現・草津長野原口)駅からの200kmまでのB自由席特急券です。
桃色こくてつ地紋のA型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
御紹介の券は発駅名が空欄になっているもので、発駅が記入式になっている200kmまでの券であることから国鉄内部では「記B◯自特②」と呼ばれていたようです。
この券はこの券が発売された1985年3月のダイヤ改正で、それまで上野から万座・鹿沢口駅間を運転しておりました「急行草津」号が特急列車として格上げされた「新特急草津」号用に発行されたものになります。
「新特急」という愛称は現在では使用されておりませんが、当時の国鉄が1985年3月のダイヤ改正によって、上野発の東北本線や高崎線を走る急行列車を一斉に特急列車に格上げし、そのときに格上げされた列車について付けられた愛称で、特急や急行といった列車種別ではありませんでした。
「新特急」は今までの特急列車のような指定席が基本という列車編成でははく、急行列車のような自由席が基本として列車編成になっており、それまでは定期券では乗車できなかった特急列車にも特急券を購入することによって乗車できるようにし、50kmまでの区間については急行列車と同額の特急料金とされていました。
特急列車を名乗っていても、事実上は急行列車という中途半端な存在の列車ではありましたが、185系などといった従来の考え方では急行列車で充分であった旅客設備の車両を使用して特急料金を徴収できた訳ですから、当時の国鉄としては増収策の一環として捉えられていたものと思われます。
しかしながら、新特急の愛称は2004(平成14)年のダイヤ改正によって廃止されています。
「〇委」草津温泉駅は当時、国鉄バス(現・JRバス関東)志賀草津高原線の自動車駅で、JRバスと鉄道線間の連絡運輸が廃止された現在も「草津温泉バスターミナル」として営業しています。
草津温泉駅は、国鉄バスの他に草軽電気鉄道や西武自動車、上田丸子電鉄(現・上田電鉄)、長野電鉄などのバス路線が、路上にそれぞれ設けていた停留所の一元化を図って利用客の利便性を向上させるために、草津町が中心になって設置されたバスターミナルで、草津町との第3セクターである「草津バスターミナル株式会社」が設立されて開業しています。開業にあたっては、国鉄も約3割弱の出資をしていたようです。
そのため、自動車駅とはなっていますが、国鉄直営の駅ではなく、第3セクターに業務委託された業務委託駅となり、この券の発行箇所名も「〇委」草津温泉駅という標記になっています。