目黒蒲田電鉄 戸越銀座駅発行乗車券

昭和10年9月に目黒蒲田電鉄の戸越銀座駅で発行された、桐ケ谷・五反田間ゆきの乗車券です。

 

   


JPRてつだう地紋のB型券で、当時の関東私鉄では一般的と言えるのではないかと思われますが、矢印式の大人・小児券となっています。印刷をした調製場はわかりませんが、池上電気鉄道や武蔵野鉄道などで使用されていたものとよく似ています。

 

   


裏面です。

券番の他に、会社名と発行駅名が記載されています。
「(や)」というのは本体部分と小児断片部分にあることから、循環符号であると思われます。

 

   


活字を拡大してみますと、「目蒲田電 (戸越銀座驛發行)」と、旧活字体が目立ちます。


目黒蒲田電鉄は東京急行電鉄(東急電鉄)の前身となる会社で、大正12年に現在の多摩川線の一部である目黒~丸子(現・沼部)間の開通を初めとして路線を延長し、昭和8年には池上線の前身である池上電気鉄道を吸収合併し、さらには昭和14年には(旧)東京横浜電鉄を吸収合併して、(新)東京横浜電鉄となっています。
(この合併ではもともとの東京横浜電鉄が吸収合併されてしまい、名前こそ東京横浜電鉄ではありますが、親は目黒蒲田電鉄であることに注意。)


また、着駅の桐ケ谷駅についてはあまり資料がありませんが、昭和2年に池上電気鉄道の五反田寄りの終着駅として開業したようですが、開業2ヶ月後に大崎広小路駅まで延伸されて途中駅となってしまいます。その後、昭和20年5月の大空襲で被災して営業休止となり、昭和28年に正式に廃止されてしまっているようです。


戸越銀座駅と言えば「戸越銀座商店街」という活気のある、しょっちゅうテレビで紹介される有名な駅前商店街のある駅で、東京にあまり地の利のない方でも御存じの方が多いのではないかと思います。

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日本交通公社発行 印発機用定期券

昭和59年4月に日本交通公社(現・JTB)新宿西口支店で発行された、国鉄線用の印発式定期券です。

 

   


灰色国鉄地紋のプリカットされたカードのような券紙となっており、個別管理をするために券紙そのものにも券番を付ける必要があったため、右下に4ケタの券番が予め印刷されています。

図示いたしませんが、裏面は白色無地の樹脂となっており、当時国鉄各駅で発行されていた印発機券とはかなり趣の異なったものとなっていました。
さらに、モザイクで伏せてありますが、発行する際に氏名をカタカナ入力するようになっており、現在でも磁気定期券に見られる直筆がそのまま印字されるようなものではありませんでした。


現在JTBではJRの定期券発売の委託契約は解除されていますが、JR化後初期までは日本交通公社だけでなく、近畿日本ツーリスト等の旅行代理店においても定期券を発売することができました。そして、御紹介のような連絡定期券も発券することができました。

しかし、大抵旅行代理店で発券される定期券は常備式券タイプもしくは補充式券タイプの手書きのものが殆どで、他にも存在していたかもしれませんが、御紹介するような印発式の定期券を発行していた店舗は、私の知る限りでは日本交通公社の新宿西口支店と渋谷支店の例しか存じ上げません。

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山形交通 高畠線乗車券

昭和43年6月に高畠駅で発行された、山形交通高畠線の乗車券です。

 

   


日本交通印刷調製の青色TTDてつどう地紋のB型券で、相互式となっています。活版の都合だったのでしょう、25円の「2」と「5」が段違いになっているところが面白い券です。


山形交通高畠線は奥羽本線糠ノ目駅(現在の高畠駅)から高畠へ至る5.2km、途中駅2駅の小さい路線でしたが、かつては二井宿駅までの10.6kmの区間がありました。しかし、昭和41年8月の水害によって高畠~二井宿間の運転が休止されてバス代行となり、そのまま昭和43年10月に廃止されています。さらに、残された糠ノ目~高畠間も、昭和49年11月に廃止されてしまっています。


この券の着駅である一本柳駅は糠ノ目から1つ目の駅で、最後まで残された区間の乗車券ということになります。

 

   


こちらは竹ノ森駅で発行された、糠ノ目までの往復乗車券です。


日本交通印刷調製の青色TTDてつどう地紋のA型券です。この券はコレクションの先輩からの頂きもので、往券と複券の双方が残された使用済券です。竹ノ森駅は高畠から糠ノ目寄りの1駅目の駅で、やはり最後まで残された区間の乗車券ということになります。

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JR東日本 下館駅発行品川・目黒間ゆき硬券乗車券

平成4年1月に下館駅で発行された、品川~目黒間ゆきの硬券乗車券です。

 

   


青色JRE地紋のA型券で東京印刷場にて調製されたものです。

平成4年当時、下館駅はすでに硬券は廃止されておりましたが、発行箇所名が「〇社 下館駅発行」となっておりますように、関東鉄道側の窓口ではまだ硬券による発売が行われていました。


現在では下館駅は東京近郊区間内の駅となっており、同区間は有効期間1日で途中下車ができませんが、この券は東京近郊区間拡大前のものであるため、途中下車可能で有効期間は2日間の青券となっています。


山手線内の駅までの2日間有効の青券は、営業キロが200km以内であれば「東京山手線内」ゆきで、201km以上であれば「東京都区内」ゆきとなっているものが一般的ですが、この券を一瞬見ると「品川・目黒間ゆき」となっているために違和感を感じます。
しかし、下館から小山経由で品川までの営業キロは103.6km、目黒までの営業キロは107.7kmなのに対し、東京山手線内ゆきの基準である東京までの営業キロは96.8kmしかないため、東京山手線内ゆきとはならなかったことによります。

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蒲原鉄道 電車線廃止記念乗車券

ちょうど13年前のきょう、新潟県の磐越西線五泉駅から村松駅までの4.2kmを走っていた蒲原鉄道が廃止されました。


同線は大正12年に五泉~村松間が開業し、昭和5年には信越本線加茂駅まで21.9kmが全線開業しておりますが、他の地方ローカル線同様利用客の減少に伴い、昭和60年3月に村松~加茂間が部分廃止され、平成11年10月に残された区間が廃止されてしまっています。

 

   (乗車券袋)


今回御紹介いたしますのは、同線が全線廃止された時に発行された「電車線廃止記念乗車券」です。

乗車券袋には、開業当時に導入されたデ1形電車の写真が載せられています。


実はこの記念乗車券は当時購入したものではなく、先月の半ばに購入しました。購入場所は村松にある蒲原鉄道の本社内にある蒲鉄トラベル村松店で、今でも1部500円で発売されています。

 

   (蒲鉄トラベル村松店)


ここは単に蒲原鉄道の本社社屋であるだけでなく、鉄道線が走っていた時代の村松駅駅舎でもあります。現役時代は建物裏にホームがあり、建物左手に現在ローソンがある場所に村松電車庫がありました。


では本題に戻り、中に封入されている乗車券を見てみましょう。

 

  


1枚目はモハ41形電車の写真のある、村松から今泉までの片道乗車券です。車両の説明については記されておりませんが、同車は廃線時までの主力車両として活躍した中の1両です。

乗車券の着駅である今泉駅は晩年同線唯一の途中駅で、自動車学校のある辺りにありました。


券はTTDてつどう地紋の一般式券で、現役時代の乗車券類が日本交通印刷で調製されていたことから、この地紋になっています。

 

  


裏面には、車両竣功図表が印刷されています。

以後図示いたしませんが、すべての券の裏には、表の写真の車両の竣功図表が印刷されています。

 

  


2枚目はモハ71形電車の写真のある券で、村松から〇社五泉ゆきの乗車券です。モハ71形電車は西武鉄道の前身である武蔵野鉄道の車両です。

乗車券は1枚目同様のTTDてつどう地紋の片道乗車券です。同社では両端の駅である五泉駅および加茂駅が国鉄線との接続駅でありましたため、駅名の前には「〇社」もしくは「(社)」の符号が付けられていました。

 

  


3枚目はモハ61形電車の写真のある、村松~今泉間の往復乗車券です。

片道乗車券同様TTDてつどう地紋の券で、硬券の往復乗車券に準じた体裁になっています。しかし、硬券には付いていた復路の券の「〇復」の符号は無く、往路・復路、どちらから使用しても構わないような券です。

また、往路券と復路券の間には切り離し用の点線が印刷されていますが、券自体には切り離し用のミシン線は付けられておりません。

 

  


4枚目はモハ31形電車の写真のある、村松~〇社五泉間の往復乗車券です。モハ31形電車は下回りはそれぞれ別の電車から供出されているために異なっていますが、1枚目のモハ41形電車ともともとは同型の車体で竣功しています。(モハ41型は車体延長の改造を受け、3扉車になっています。)

券は3枚目同様の往復券で、やはり「〇複」の符号と切り離し用のミシン線がありません。

 

  


5枚目はED1形電気機関車が除雪作業をしている写真の券で、この券だけ乗車券部分がピンク色となっています。

やはりTTDてつどう地紋ですが、復刻券のような体裁になっており、使用できないおまけの券となっています。


以上5枚の券が封入されている乗車券で、当時の発売額1,500円分となっています。鉄道線はすで存在しないために乗車券は使用できませんが、金額的にも1/3の金額である500円で、13年も経過した今でも発売されていることに驚きです。


購入時にはまだ在庫はありましたので、興味のおありの方、五泉・村松方面へお出かけの節には是非お求めになられることをお勧めします。

 

この記事は、相互リンクを張らせて頂いておりますじゅん様のブログ、「きっぷ展示館」2009年5月2日エントリーの「蒲原鉄道」にトラックバックさせてただきました。

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銚子電気鉄道 仲ノ町駅発行補充往復乗車券

銚子電鉄仲ノ町駅には、補充往復乗車券(補往)の設備もあります。

 

   


前回エントリーの補片と同じ区間にて発券していただきました。

補片同様青色JPRてつどう地紋の軟券式で、山口証券印刷調製と思われる、私鉄用の一般的な様式です。


補片同様、同社には発駅および発行駅名の印刷されてものはなく、すべて記入式となっています。


なお、同社の補片および補往は銚子駅でJR接続であることが発券できる条件となっているようで、車線内完結では発券できないようです。

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