JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
蒲原鉄道 電車線廃止記念乗車券
ちょうど13年前のきょう、新潟県の磐越西線五泉駅から村松駅までの4.2kmを走っていた蒲原鉄道が廃止されました。
同線は大正12年に五泉~村松間が開業し、昭和5年には信越本線加茂駅まで21.9kmが全線開業しておりますが、他の地方ローカル線同様利用客の減少に伴い、昭和60年3月に村松~加茂間が部分廃止され、平成11年10月に残された区間が廃止されてしまっています。
(乗車券袋)
今回御紹介いたしますのは、同線が全線廃止された時に発行された「電車線廃止記念乗車券」です。
乗車券袋には、開業当時に導入されたデ1形電車の写真が載せられています。
実はこの記念乗車券は当時購入したものではなく、先月の半ばに購入しました。購入場所は村松にある蒲原鉄道の本社内にある蒲鉄トラベル村松店で、今でも1部500円で発売されています。
(蒲鉄トラベル村松店)
ここは単に蒲原鉄道の本社社屋であるだけでなく、鉄道線が走っていた時代の村松駅駅舎でもあります。現役時代は建物裏にホームがあり、建物左手に現在ローソンがある場所に村松電車庫がありました。
では本題に戻り、中に封入されている乗車券を見てみましょう。
1枚目はモハ41形電車の写真のある、村松から今泉までの片道乗車券です。車両の説明については記されておりませんが、同車は廃線時までの主力車両として活躍した中の1両です。
乗車券の着駅である今泉駅は晩年同線唯一の途中駅で、自動車学校のある辺りにありました。
券はTTDてつどう地紋の一般式券で、現役時代の乗車券類が日本交通印刷で調製されていたことから、この地紋になっています。
裏面には、車両竣功図表が印刷されています。
以後図示いたしませんが、すべての券の裏には、表の写真の車両の竣功図表が印刷されています。
2枚目はモハ71形電車の写真のある券で、村松から〇社五泉ゆきの乗車券です。モハ71形電車は西武鉄道の前身である武蔵野鉄道の車両です。
乗車券は1枚目同様のTTDてつどう地紋の片道乗車券です。同社では両端の駅である五泉駅および加茂駅が国鉄線との接続駅でありましたため、駅名の前には「〇社」もしくは「(社)」の符号が付けられていました。
3枚目はモハ61形電車の写真のある、村松~今泉間の往復乗車券です。
片道乗車券同様TTDてつどう地紋の券で、硬券の往復乗車券に準じた体裁になっています。しかし、硬券には付いていた復路の券の「〇復」の符号は無く、往路・復路、どちらから使用しても構わないような券です。
また、往路券と復路券の間には切り離し用の点線が印刷されていますが、券自体には切り離し用のミシン線は付けられておりません。
4枚目はモハ31形電車の写真のある、村松~〇社五泉間の往復乗車券です。モハ31形電車は下回りはそれぞれ別の電車から供出されているために異なっていますが、1枚目のモハ41形電車ともともとは同型の車体で竣功しています。(モハ41型は車体延長の改造を受け、3扉車になっています。)
券は3枚目同様の往復券で、やはり「〇複」の符号と切り離し用のミシン線がありません。
5枚目はED1形電気機関車が除雪作業をしている写真の券で、この券だけ乗車券部分がピンク色となっています。
やはりTTDてつどう地紋ですが、復刻券のような体裁になっており、使用できないおまけの券となっています。
以上5枚の券が封入されている乗車券で、当時の発売額1,500円分となっています。鉄道線はすで存在しないために乗車券は使用できませんが、金額的にも1/3の金額である500円で、13年も経過した今でも発売されていることに驚きです。
購入時にはまだ在庫はありましたので、興味のおありの方、五泉・村松方面へお出かけの節には是非お求めになられることをお勧めします。
この記事は、相互リンクを張らせて頂いておりますじゅん様のブログ、「きっぷ展示館」2009年5月2日エントリーの「蒲原鉄道」にトラックバックさせてただきました。