JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
西日本鉄道 改札補充券
西日本鉄道(西鉄)の改札補充券です。
水色Nishitestu地紋で、改札端末のプリンターで発行されています。
この券は拙ブログ2008年10月5日エントリーの「西日本鉄道(西鉄)の特別補充券」で取り上げていますが、改札端末を使用した全く新種の特別補充券であるのに、様式は全く従来の様式を踏襲しており、初めて手にした時には意表を突かれたものでした。
その後、似たようなものが阪急電鉄にも存在することを確認しておりますが、関東地方でも端末で特別補充券を発行する例があるものの、特別補充券と言いながらも単なる端末発行の定期券サイズの乗車券のような様式となっており、このような従来型の券は未見です。
新幹線遅れ承知特急券
見本券ですが、東京駅発行の準常備新幹線遅れ承知特急券です。
橙色こくてつ地紋のD型券で、東京印刷場にて調製されたものです。
新幹線遅れ承知特急券は新幹線のダイヤが大幅に遅れている時、2時間以上の遅延であっても払戻しが出来ない条件で発売される新幹線特急券で、通常料金の半額で発売されていました。
特別な時でなければ出てこないものでありましたため、簡単にコレクション出来るものではなく、たまたま何らかのトラブルに遭遇しなければ入手の叶うものではありませんでした。
そのような性格から、新幹線の精算窓口では、大幅な遅れが生じると奥の事務所から硬券の束が持ち出されて発売が開始されますので、基本的に「前売り」は存在しなく、有効期間も発売当日限りとなります。そして、遅れが解消されると、遅れ承知特急券の発売は終了します。
そのため、窓口には区間が予め印刷された常備券が使用されていたと記憶しておりますが、こちらの見本券は区間が発着駅ともに記入式の準常備式となっています。
裏面です。
発売当日限り有効であることと、途中出場が出来ない旨が記載されています。
前売り等の扱いのない遅れ承知特急券ですが、どのような理由でこのような発着駅が記入式の券が設備されたのか、興味深いところです。
阿佐ヶ谷駅発行 東京都区内ゆき発駅準常備乗車券
見本券ですが、阿佐ヶ谷駅発行の東京都区内ゆき発駅準常備乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型券で、東京印刷場で調製されたものです。
復路用として実際に使用するために作成されたものなのか、発駅準常備の様式見本用として作成されたものなのか分かりませんが、発駅は浜松・豊橋・岐阜・岡山となっており、全く関連性が見出せない券です。強いて言えば、復路用の常備券を置くほどではないけど、そこそこの需要が見込める区間を寄せ集めたものなのでしょうか?
この券の作製された理由は定かではありませんが、これほどまでに苦し紛れな見本券が存在するように、着駅準常備券とは違って発駅準常備券は使用例がさほど多いものではなく、存在自体が希少なものでした。
幾例か実際に使用されていた発駅準常備券を所持しておりますが、その殆どが発行駅近辺の駅から大きなターミナル駅や東京都区内などの需要が多い駅までのものであり、御紹介の券のように往路用として設備されていた例は、かなり希少であったと思われます。
JR東日本 小田原駅発行吉原ゆき相互式乗車券
JR化まもない昭和63年8月に小田原駅で発行された、吉原ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型券で、東京印刷場で調製されたものです。
JR民営化から1年間は準備期間としてこくてつ地紋の使用が認められており、この券は民営化の際に設備されたものと思われます。
小田原~吉原間は営業キロ57.4kmであり、現在は950円となっています。当時は消費税というものがありませんでしたから、運賃本体価格900円のみとなっていますが、現在は消費税が5%加算されますので、900円 x 1.05 = 945円となり、切り上げで950円になっています。
57.4kmと言いますと発売当日限り有効・下車前途無効の「近距離きっぷ」に当たるため、券売機であれば金額式券で充分のような感じがしますが、当該区間は小田原~熱海間がJR東日本・熱海~吉原間がJR東海という他社連結の乗車券となるため、運賃配分の関係から相互式券として設備されたものと思われます。
逆に、JR東海からJR東日本への近距離の他社連結券は一般式が用いられており、会社の考え方によって乗車券の様式はバラバラだったように思います。
茨城交通 殿山から東京山手線内ゆき乗車券
平成20年1月に茨城交通湊線(現・ひたちなか海浜鉄道)殿山駅で発行された、東京山手線内ゆきの片道乗車券です。
青色茨城交通自社地紋のA型券で、千切り式券となっています。
当時、殿山駅は駅周辺に高校があることから駅員配置駅となっており、このような乗車券を発売しておりました。券売機もありましたが、きっぷを蒐集している旨を伝え、常備軟券にて発売いただきました。
乗車経路は勝田にてJR常磐線に乗換えて一路東京まで向かうルートですが、この券が設備された当時は東京から101km以上の区間で、かつ東京近郊区間のエリア外となることから2日間有効で途中下車が出来ましたが、現在は101km以上であっても東京近郊区間内となってしまっているため、途中下車は出来ず、当日限りとなります。
平成20年となりますと、勝田はすでに東京近郊区間内に含まれていましたから、本来この券が発券された時には「発売当日限り有効 下車前途無効」となっていなければならず、修正を失念してそのままとなってしまったものと思われます。尤も、あと2か月少々で新会社に引き継がれる時期となっており、この時期にわざわざ常備券の内容をチェックするようなことも行われなかったのでしょう。
実際、この券を所持した旅客が東京山手線内より手前の駅で途中下車をしようとしたら、現場的には乗車券に記載されている通りに途中下車を認めたのでしょうか?
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