趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
青い森鉄道 全線開業1周年記念 乗車券・入場券セット
平成23年12月に発行された、全線開業1周年記念の乗車券。入場券セットです。
いつもはこのような記念きっぷの類には手を出さないのですが、通常発売の入場券と乗車券に硬券が無い同社のものであり、しかも表面に「呪文」の文言がないデザインであったので購入した次第です。
台紙の表紙部分です。どのような券が出てくるのか、ワクワクする瞬間です。では台紙を開いてみましょう。
硬券の入場券と乗車券が出てきました。
同鉄道には通常発売の硬券入場券および乗車券はありませんので、このような呪文のない券は大変貴重は存在です。
入場券です。
白色無地紋のB型券で、日本交通印刷にて調製されたものと思われます。「青森駅」の前に「口青」の符号が入っているのはJR青森駅と区別するために入れられたものと思われます。
硬券入場券の裏面です。
通用期間についての文言(呪文)が印刷されています。
続いて、乗車券です。
青色青い森鉄道自社新地紋のB型一般式券で、やはり日本交通印刷にて調製されたものと思われます。こちらも入場券同様、発駅の頭に「口青」の符号を印刷し、JR青森駅との区別を明確化しています。
新地紋を拡大してみました。大変淡い色で見づらいですが、電車に森を表す杉(?)の木が描かれています。
こちらは乗車券の裏面です。
通用期間が裏面に記載され、さらにワンマン列車の料金機対策として、裏面にも区間の表記が記載されています。
三陸鉄道 久慈駅発行 宮古ゆき乗車券
昭和62年9月に三陸鉄道久慈駅で発行された、宮古ゆきの片道乗車券です。
水色三陸鉄道自社地紋のB型一般式券で、日本交通印刷にて調製されたものです。
この券はまだ開業してから4年目に発行されたもので、現行の券とはちがって活版印刷による時代のものとなっていますが、様式としては現行のものと変わっていません。
同鉄道は3年前の平成23年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を被ってしまい、震災後5日後の16日から北リアス線 陸中野田~久慈間の運転再開を皮切りに、少しづつ部分復旧してきたものの、南リアス線に至っては長い間全線が不通となる事態に陥ってしったのは皆様ご存じの通りです。
しかし、本年4月3日に南リアス線の盛~吉浜間の運転が再開された2日後の5日には全線が再開され、昨日6日には北リアス線の不通区間も再開し、めでたく全線運転再開を果たしています。
JR東日本 東海駅発行日立電鉄線連絡乗車券
昭和63年12月に東海駅で発行されました、大甕接続日立電鉄線110円区間ゆきの連絡乗車券です。
桃色JRE地紋のB型券で、東京印刷場にて調製された様式です。
このころになりますと連絡乗車券の券売機化が進んできており、硬券の連絡乗車券そのものがだんだんと姿を消しつつある時期であり、日立電鉄ゆきの硬券の連絡乗車券はあまり多くの駅には設備されていなかったようで、あまり見かけませんでした。
金額の上の部分には「日立線」と記載されておりますが、同社の金額式乗車券では「日立電鉄線」と記載されており、「日立線」というのは少々聞き慣れない表現です。尤も、東京印刷場の金額式連絡乗車券の場合、「鉄道」や「電鉄」といった単語は省略されるのが一般的でありますので「それに倣った」わけなのでしょうが、「日立電鉄線」としたほうが、旅客に対してもわかりやすかったのでは無いかと思います。
ちなみに、東京印刷場の金額式連絡乗車券では、津軽鉄道への連絡乗車券の場合のみ「津軽鉄道線」となっており、これは「津軽線」ではJR津軽線と誤解される可能性があるし、「津鉄線」では何のことだかわからないし、ということから講じられた例外措置であるものと思われます。
日立電鉄線は日立製作所傘下の、常北太田駅~鮎川駅間18.1kmを結んでいた鉄道路線で、常北太田~大甕間および大甕~鮎川間の2路線となっていましたが、殆どの列車は直通運転がなされており、事実上1路線のような感じでした。
沿線には日立製作所関連の工場が点在し、名前の通り日立製作所のための通勤路線のような鉄道でしたが、設備の老朽化によって維持管理が難しくなり、平成17年4月に路線廃止となってしまっています。
氷川駅発行 東京電環ゆき乗車券
昭和37年7月に青梅線氷川駅で発行された片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式券で、東京印刷場にて調製されたものです。
氷川駅は現在の奥多摩駅で、昭和46年2月に駅名が改称されています。山小屋風の駅舎があり、東京都内の駅としては最西端かつ最も標高の高い駅となっています。
経由欄に国立と記載されていることから乗車経路は氷川~(青梅線)~立川~(中央本線)~東京電環という経路が一般的であると考えられますが、意味なく敢えて遠回りをする旅客はそう居ないものと思われるものの、実際には途中の拝島から非電化路線である八高線で八王子を経由する旅客も少なからず居たのではないかと考えます。
JRグループ 急行料金券類の有効期間変更
本日から消費税率が5%から8%に変更され、それに伴ってJRや私鉄各社の運賃料金が変更されましたが、それとは別にJRグループ各社では本日から発売される自由席の急行料金券類(急行券・自由席特急券・新幹線自由席特急券)の有効期間を、今までの2日間から当日限りに変更しています。
これは、新幹線にしてもラッチ内の乗継に限られますが、在来線の急行列車等は1回限りの乗切り制で途中下車の概念が無いために有効期間を2日とする必要がなく、規則が変更されたものと思われます。JRグループは「昨今のお客様のご利用状況」を考慮し、2014年4月1日発売分から有効期間開始日当日限りの1日間に変更することにしたとしています。
今回は、国鉄から民営化された直後に発行された硬券急行券類を御紹介いたしましょう。
まずは急行券です。
昭和62年10月に二ツ井駅で発行された急行券です。桃色こくてつ暫定地紋のA型券で、東京印刷場にて調製されたものです。
急行列車は本来普通列車より到達スピードを重視した自由席を基本としている列車ですので、急行券は自由席用となり、指定席の場合は別途指定席券が必要となります。
在来線の急行列車等には途中下車の概念が無いため、「1回限り 2日間有効」と表記され、1回限りの乗切り制であるが有効期間は2日間ということになります。
購入した翌日に使用するならまだしも、現在でも青森~札幌間を唯一の夜行急行列車である「はまなす」が運転されておりますが、途中下車をしなければ「1回限り」が日を跨いでいても有効なため、購入当日に乗車した場合は2日間有効である必要性は無く、今回の規則改正になったものと思われます。
次は昭和62年11月に長野駅で発行された在来線用の自由席特急券です。これも桃色こくてつ暫定地紋のA型券で、東京印刷場にて調製されたものです。
特急(特別急行)列車は急行列車と違い、到達スピードの他にも「快適性」を求めている性格から、基本的に座席は指定制となっており、特急券といえば指定席の特急券を指しますので、自由席特急券は「亜流」のような特急券です。
特急券にも途中下車の概念が無いため、「1回限り 2日間有効」と表記され、1回限りの乗切り制であるが有効期間は2日間ということになります。
最後は昭和63年2月に東京駅で発行された、新幹線自由席特急券です。これも桃色こくてつ暫定地紋のA型券ですが、こちらは名古屋印刷場にて調製されたものです。
新幹線の自由席特急券は新幹線のラッチ内に限って乗継ができるようになっており、在来線のように乗切り制とはなっていません。そのため「途中出場できません。 2日間有効」と表記されています。そしてなぜか、2日間有効の「2」の文字に大きな活字が使用されているのが特徴でした。
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