JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
原宿駅発行 渋谷接続東急線80円区間ゆき 片道連絡乗車券
1985(昭和60)年1月に山手線原宿駅の券売機で発行された、渋谷接続東急線80円区間ゆきの片道連絡乗車券です。
桃色国鉄券売機用特殊地紋のA型キレート式券となっています。キレート式券のため、経年による酸化により印字が薄くなってきています。
当時の券売機による連絡乗車券は、国鉄近距離用の券売機とは別に私鉄連絡券専用の券売機を設置のうえで発売されておりましたので、あまり利用客の多くない駅については専用の券売機は設備されておらず、窓口で硬券による発売のみが行われていました。
40年近く前のことなのでうろ覚えですが、私鉄連絡用の券売機には「近郊連絡線用」表示されていました。そして、発券選択ボタンは横に並んだようなボタンではなく、操作盤に国鉄と私鉄の簡単な路線図が書かれており、路線図内の任意の場所に金額の書かれた丸い選択ボタンが並んでいたような記憶があります。
東京横浜電鉄 渋谷から祐天寺ゆき 片道乗車券
今から83年前の1939(昭和14)年4月7日に東京横浜電鉄(現・東急電鉄)渋谷駅で発行された、祐天寺ゆきの片道乗車券です。
桃色てつだう地紋のB型一般式小児専用券となっています。
渋谷駅は「澁谷」、祐天寺は「祐天寺」、通用発売日共は「(通)用發賣日共」等の旧字体が使用されています。
裏面です。券番の他発行駅名の記載があります。こちらも「渋谷駅発行」が「澁谷驛發行」と旧字体になっています。
東京横浜電鉄は現在の東急東横線で、現在は地下駅となった渋谷駅と祐天寺駅は現在も営業していますが、経由駅となっている並木橋駅は地上線時代の渋谷駅と代官山駅の間の、現在の並木橋交差点付近にあった駅ですが、1945(昭和20)年5月24日および25日の空襲によって駅舎が全焼したため休止され、翌年正式に廃止されています。
箱根ロープウェイ 特殊補充券
本年4月に箱根登山鉄道と合併した箱根ロープウェイの話題ですが、今回で連載を終了の予定ですので、もう少しお付き合いください。
同社には特殊補充券の設備もありました。
合併後になりますので時効かと思いますが、同社の特殊補充券です。大涌谷から姥子の区間で発売して頂いたものになります。
若草色PJRてつどう地紋券で、等級制度のあった時代の残券のようです。モノクラス制となって以後に設備された等級制の表記が無い様式もあったようですが、管理人のコレクションはこの1枚しかございません。
同社は観光鉄道なので土日祝日の窓口は大変混雑しており、訪問してもなかなか補充券の発券をお願いできる状況ではなかったのであまり伺わなかったのですが、コレクション仲間の話では、同社は補充券の発行は厳格であり、コレクション用として発行して頂けることは珍しいとのことでした。
鉄道各社ではこのような補充券を「出札補充券」とか「特別補充券」とか呼んでいますが、同社では「特殊補充券」と呼ばれていたようです。
図示致しませんが、裏面には何の印刷もなく、ただ真っ白です。
箱根ロープウェイ 桃源台から参宮橋ゆき 3社連絡乗車券
廃札券になりますが、箱根ロープウェイ大涌谷駅で発行された、小田急電鉄小田原線参宮橋ゆきの片道3社連絡乗車券です。
平成7.-7.-7.の日付を入れた状態にして、横浜駅で開催されていた鉄道イベントで販売されていたものです。
青色PJRてつどう地紋のA型準常備式大人・小児用券で、シンコー印刷で調製されたものと思われます。
乗車経路は、桃源台~(箱根ロープウェイ)~早雲山~(箱根登山鉄道鋼索線/ケールカー)~強羅~(箱根登山鉄道線/電車)~小田原~(小田急小田原線)~参宮橋という経路の3社連絡の乗車券になります。
前回エントリーでも申し上げましたように、箱根フリーパスの利用率が高い同社から、東京方面へ乗車券を購入する需要はあまり多くなく、小田急線内の途中駅については、本厚木や町田などの需要の多い駅以外については準常備券にまとめられて口座数の削減がされていたようです。
こちらも前回エントリーで申し上げましたが、同社では経由の表記方法が箱根登山鉄道までの連絡乗車券の場合が「早雲山・強羅経由」と駅名で表記するのに対し、小田急線までの3社連絡の場合には「箱根登山・小田急経由」と社名で表記されています。しかし、準常備券の場合には経由表記を記載するスペースが小さいことから、「登山・小田急経由」と省略して記載されています。
また、同社および小田急線の自社完結乗車券の有効期間は当日限りですが、箱根登山鉄道の当時の自社完結乗車券の有効期間は発売日共2日間となっておりましたため、こちらも箱根登山鉄道の有効期間に合わせた2日間有効になっています。
裏面です。券番と発売駅名の他、やはり「途中下車可」の文言が印刷されています。
箱根ロープウェイ 桃源台から新宿ゆき 片道3社連絡乗車券
本日(2022年4月1日)、箱根ロープウェイは箱根登山鉄道と合併し、合併後の商号は「箱根登山鉄道株式
会社」を継続使用することとなりました。そのため、箱根ロープウェイの社名の入る乗車券は、昨日を以て発売終了しています。
1989(平成元)年1月に箱根ロープウェイ桃源台駅で発行された、小田急電鉄新宿駅までの片道3社連絡乗車券です。
青色PJRてつどう地紋のB型一般式大人・小児用券で、やはりシンコー印刷で調製されたものと思われます。
乗車経路は、桃源台~(箱根ロープウェイ)~早雲山~(箱根登山鉄道鋼索線/ケールカー)~強羅~(箱根登山鉄道線/電車)~小田原~(小田急小田原線)~新宿という経路の3社連絡の乗車券になります。
同社は小田急電鉄のグループ会社であり、また、「箱根ゴールデンコース」の一部区間という性格からこのような3社連絡の乗車券が設備されていたようですが、東京方面からの観光客はたいてい、箱根エリア内の箱根登山電車・箱根登山ケーブルカー・箱根ロープウェイ・箱根海賊船・箱根登山バス(指定区間)・小田急ハイウェイバス(指定区間)・東海バス(指定区間)・観光施設めぐりバス(箱根登山バス)が乗り降り自由になっている「箱根フリーパス」を所持しているため、新宿までの乗車券の発売需要はあまり多くはなかったようです。
様式は箱根登山鉄道への連絡乗車券と似ていますが、同社では経由の表記方法が箱根登山鉄道までの連絡乗車券の場合が「早雲山・強羅経由」と駅名で表記するのに対し、小田急線までの3社連絡の場合には「箱根登山・小田急経由」と社名で表記されています。
同社および小田急線の自社完結乗車券の有効期間は当日限りですが、箱根登山鉄道の当時の自社完結乗車券の有効期間は発売日共2日間となっておりましたため、こちらも箱根登山鉄道の有効期間に合わせた2日間有効になっています。
裏面です。自社完結券同様に券番と社名の他に「途中下車可」の文言があり、新宿駅までの全区間において途中下車することが可能でした。
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