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<ウポポイ 共生の森開設へ>年100万人達成に意欲 菅官房長官が白老視察 「現実味ない」地元は不安も

2019-07-02 | アイヌ民族関連
北海道新聞07/01 05:00

ウポポイ視察の感想を語る菅官房長官(中央)と鈴木知事(右)ら=6月29日、白老町社台
 【白老】「ウポポイが北海道観光の起爆剤になるよう進める」―。アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」を視察した菅義偉官房長官は、国が掲げる年間来場者100万人の目標達成に強い意欲を示した。地元からは「一人でも多くの人が白老を訪れる機会になる」と期待の声が上がる一方、「現実味がない」と実現を不安視する声もある。
 視察は6月29日に行われた。菅氏は鈴木直道知事らと中核施設「国立アイヌ民族博物館」などの整備状況を確認。ウポポイの運営主体となるアイヌ民族文化財団の白老事務所では、財団職員の踊りの輪に民族衣装姿で加わった。菅氏が白老町を訪れるのは、旧アイヌ民族博物館を視察した2013年9月以来。
 視察後、菅氏は「道内はもとより道外や海外へのPR活動を強化し、外国人旅行者にもできるだけ多く来訪してもらえる態勢をつくっていきたい」と述べ、認知度の低さが指摘されるウポポイの周知に力を入れる方針を強調した。
 視察に同行した町内在住の加藤忠・北海道アイヌ協会理事長は「官房長官のウポポイに対する強い決意を感じた」と期待。戸田安彦白老町長は「100万人の目標に向け、地域の受け入れ態勢づくりを進めたい」と話した。
 開業まで300日を切り、町内では来場者100万人を目指す国の姿勢を疑問視する声もある。町内のある商店主は「来店した観光客に周知したいが、入場料や施設の売りについての情報が地域に入ってこない。国はもっと地元を巻き込んでPRを展開してほしい」と注文した。(金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/320683

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チャシ跡五つ 国後島南部に

2019-07-02 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/01 16:00
国後島南部のオタトミで発見されたチャシ跡(北海道博物館提供)
学術交流訪問団5月に発見
 【根室】国後島を5月24日から同27日まで訪れた北方四島ビザなし交流の北方四島歴史・文化学術交流訪問団(団長・右代啓視《うしろひろし》北海道博物館研究部長)が、同島南部のオタトミで、アイヌ民族のチャシ(とりで)跡五つを発見した。18~19世紀初めに築かれたとみられ、当時の同島でアイヌ民族の勢力が強かったことを物語る。右代団長は「北方四島でこれだけ多くのチャシ跡がまとまって一度に見つかった例はない」と話しており、今後も調査を続ける考えだ。(今井裕紀)
 今回の訪問団には右代研究部長ら道内外の6人が参加した。一行は5月26日朝、ボートでオタトミの岸に到着。段丘を歩いて航空写真で見当を付けていた場所を目指すと、チャシ跡五つを発見した。
 チャシ跡は海岸段丘のがけの地形を利用した「面崖(めんがい)式チャシ」と呼ばれる様式で、上から見るとV字形やU字形に掘られた壕(ごう)が確認された。それぞれのチャシの全長は約20~26メートル。一部のチャシは途中で築造をやめた形跡があった。今回の発見場所の近くのオタトミ墓地へ元島民らが墓参したことがあるが、これまでチャシの存在は確認されていなかった。
 訪問団は2006年からビザなし交流の枠組みで北方四島で調査を行ってきた。色丹島東部のチボイや国後島中央部の植古丹(うえんこたん)など、これまでに北方四島で22カ所(択捉島2カ所、色丹島6カ所、国後島14カ所)のチャシ跡を確認している。
18~19世紀初め築造 現地アイヌ民族、勢力の強さ反映
 右代団長によると、チャシが造られた18世紀ごろのクナシリ・メナシ地方(現在の国後島や根室管内)は、アイヌ民族の勢力が強い地域で、特に国後、択捉、色丹各島は松前藩の勢力の影響を受けていない地域だった。18世紀末ごろに松前藩の場所請負制の下で商人が入ってきたという。
 訪問団が5月27日に根室港に帰港後開いた記者会見で右代団長は「国後島の東沸湖などにも、チャシ跡が残っているという情報がある。今後も調べる機会があれば、アイヌ関係のものがどんどん見つかるだろう」と指摘。北海道博物館の鈴木琢也学芸主査は「オタトミには戦前、研究者が行っていたがノーマークだった。チャシ跡の周辺にはかなり勢いのあるコタン(アイヌ民族の集落)があったと予想できる」と話した。
 近年は根室市内のチャシ跡に多くの観光客が訪れるなど全国的に注目度が高まっている。根室市歴史と自然の資料館の猪熊樹人(しげと)学芸員は「四島のチャシ跡がどういうものか実際に見ることができた。今後、資料館の来館者に四島の状況を説明する上でも意義は大きい」と振り返った。
チャシ跡 チャシは「柵」、「囲い」などを意味するアイヌ語。自然の地形に盛り土をしたり壕(ごう)を掘って区切ったりして多くは16~18世紀につくられた。戦いのためだけではなく、漁の見張りや祭祀(さいし)の場として使われたと考えられている。北海道教育委員会によると、道内で確認されたチャシ跡は515カ所。その内、釧路管内では122カ所、根室管内では80カ所と、釧根管内で全体の約4割を占める。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/320865

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古のアイヌモシリの空に放たれた矢が語るものトワ?

2019-07-02 | アイヌ民族関連
カンフェティ 07/01
亡父が導いた己の存在を問う旅路。
宇梶剛士が全作品の作を担い、年齢・キャリアにとらわれない様々な色合いと匂いを持つ俳優陣が集う劇団PATHOS PACK(パトス・パック)の第21作目。とある事から3歳下の妹と血が繋がっていない事を知った主人公の海(カイ)は、亡き父の故郷である北海道へ疎遠の兄を訪ねる。旅路で出会う人々との交流の中で、自分という存在の不確かさにもがきながらも輪郭を見つけようとするカイ。一方で、古のアイヌモシリ(北海道)では、勇者によって空に放たれた一本の矢の行方を追い続ける男がいた……。2つの時間が交錯する時、あぶりだされる時代、国、世界の姿とは!? 自らもアイヌの血を引く宇梶剛士が初めて己のルーツと向き合い、渾身の力で描く意欲作だ。
“~とは?”という事象を問う姿勢を表現したい
――― アイヌの血を引きながらも、東京で生まれ育った主人公が、妹との血縁がない事をきっかけに、幼い頃に亡くした父の故郷、北海道を訪れることから物語は始まります。
「東京で生まれ育った主人公のカイは、アイヌであるという事を意識する事無く生きてきました。数年前、目的も告げず北海道に行ったまま疎遠となっていた兄は、父親に可愛がられたこともあって父との思い出があるのですが、幼かったカイはおぼろげしか覚えていない。訪れた父の生地で様々な人達との交流を通して自らの存在について考えていくという現代の話と、かつてアイヌがアイヌらしく暮らしていた時代から苦難に落とされていった時代をクロスオーバーさせて物語を紡いでいます。
ひとつには、1669年に起きたアイヌ民族による蜂起『シャクシャインの戦い』にインスピレーションを得ています。当時は幕府の力を背景にした松前藩による収奪や交易権の独占が推し進められる時代。生き残ったアイヌ達は搾取や暴力の圧政にあえぐ中、1人の弓の名手が松前藩側主力の倒そうと大木の上で待ち伏せて、弓を引き絞るのですが、いざ敵を目前にして、なぜか矢は敵ではなく空に向かって放たれるのです。結果、アイヌたちは戦いに敗れ奴隷化されていくのですが、勇者はなぜ敵に矢を射ずに、空に矢を放ったのか?という問いが後の時代に引き継がれていきます。当然、敵将を討つ事ができれば戦いは有利に進んだかもしれません。けれども勇者はその先にある何に向けて矢を放ったのか……
物語の2つの時代の底流に共通してあるのは、『~とは?』という事象を問うものです。これは僕自身が人生観として常に抱いている事で、すべての出来事の内外表裏を問うものです。オートメーション化や過多な情報の中にフェイクが跋扈する現代において、「今」だけの優位性ばかりを追う者の思惑や手段によって決められ既成事実化されていく事象について、立ち止まり心静めて考える機会が減っていると思いますが、それはとても残念なことです。この舞台では、観た人皆に問題の解決を提示できるとは考えていませんが、物語の中で起こる一つ一つの事象を『そんなものだろう』ではなく『そんなものとは?』というように共に考え思いを巡らせてもらえれば嬉しいです」
触れにくいテーマでも真正面から踏み込めるのが舞台
――― なぜアイヌというテーマを選んだのでしょうか?
「きっかけは昨年3月末の舞台『木漏れ日、わらとーんどぅ』でした。太平洋戦争末期、沖縄・渡嘉敷島での集団自決を下敷きに描いた作品ですが、振り返れば9年もの間、書き始める事ができなかったんですね。それほど沖縄の問題を扱う勇気がなかった。でもここで沖縄の話を書けなかったら、もうこの先には絶対に書けないぞという自分の内なる声に後押しを受けたことがとても大きかったです。
アイヌの事も沖縄と同じく、どこかアンタッチャブルでした。けれど昨年の『木漏れ日、わらとーんどぅ』の稽古が佳境に入った時に、次回公演の為の劇場予約の企画書の仮申請が必要だと連絡があったんですね。ちょうどその時に、アイヌ文化の継承活動をおこなう母親とトークショーに出演することになり、アイヌとして生きてきた母と久しぶりに向き合ったことも影響したのかもしれません。「アイヌの物語を書くよ」と。
50歳を過ぎて気がつけば、自分の中にいたアイヌが自然と出てきていたのかもしれませんね。そしてそれから日を置かず、幕末の蝦夷地を調査し、北海道の命名者となった松浦武四郎を描くNHKの北海道150年記念ドラマ『永遠のニシパ』(主演:松本潤、7月15日全国放送)へのアイヌ役での出演が決まったり、来年、北海道白老町にオープンする国立アイヌ民族博物館のアンバサダーに任命されたりと、アイヌにまつわる事が自分を包み込んでいて、何かが背中を押してくれたのだと思います。
僕はこの仕事を選んだ時から、政治・宗教・血の問題には踏み込まないと決めていました。それでも知っておく必要はあると思っていました。触れにくいテーマでも学び見つめ踏み込み、心を込めて渡すことが出来るのが舞台をはじめとする芸術表現であり、その役目だと思っています」
――― テレビ、CMなどで人気を集めていますが、宇梶さんにとって舞台とはどの様な場所でしょうか?
「今は仕事に恵まれていますが、30歳過ぎまでは工事現場で働いていました。表現する事に飢えていましたが、その場がなかった。そんな時に渡辺えりさんの舞台に立たせてもらったことで、ものを作るとはどういうことかを学ばせてもらい、チャンスを広げることができました。与えられた場だけでなく、自分で伝えたい表現したい事を失敗を重ねながらも、続けてきた場であるし、好奇心や知識を深める場でもありました。ですので、舞台は僕にとっては出発点であり、現在地もその延長線とも言えます。あとは仲間がいるからでしょうか」
(取材・文&撮影:小笠原大介)
PROFILE
● 宇梶剛士(うかじ・たかし)
1962年8月15日生まれ、東京都出身。
錦野旦、菅原文太の付き人を経て、美輪明宏による舞台『青森県のせむし男』(寺山修司作)で初舞台。無名での下積み時代を経て、1980年代からトレンディドラマを中心に脇役で知名度を得て以降、数々のドラマや映画で好演。「打打芝居」「damim」など演劇ユニットで製作・作・演出・出演を重ねた後、“劇団”という共同体でしかでき得ない舞台作りをしたいと、2007年に金井良信、平野貴大と共に、劇団PATHOS PACKを結成。“夢”や“願い”“未来”や“思い出”“喜び”や“悲しみ”など、目には見えない、その手で触れることのできないものを、俳優たちが心と身体を使いきり、舞台に浮かび上がらせようと挑み続ける。
公演情報
劇団PATHOS PACK Vol.21 永遠ノ矢=トワノアイ
2019年8月8日(木)~12日(月・祝)
座・高円寺1
HP:公式HP
20名限定!4,500円 → 3,700円さらに200Pゲット!
https://www.confetti-web.com/sp/feature/article.php?aid=641

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永遠ノ矢=トワノアイ

2019-07-02 | アイヌ民族関連
劇団PATHOS PACK Vol.21
PATHOS PACK  2019.05.26


永遠ノ矢=トワノアイ
作・演出 宇梶剛士
STORY
祖父の葬儀を終え、主人公・海(カイ)は20年前に父親が亡くなってから交流も途絶えていた親戚たちが集まる中で、受け入れ難い話を耳にする。なんと3歳下の妹と自分とは血が繋がっていないと言うのだ…
CAST
宇梶剛士 金井良信 平野貴大 オバタアキラ 仲道和樹 三崎栞
鴫原桂(劇団新派) 下畑博文(パタパタママ) 杉本凌士(劇団メンソウル)
岩戸秀年 菅川裕子(バッカスカッパ) 並木秀介(大人の麦茶)
村上コウキ 蒼木まや
SCHEDULE
2019年
【東京】
8/8(木) 19時
8/9(金) 19時
8/10(土) 14時/19時
8/11(日) 14時/19時
8/12(月・振) 14時
【静岡】
8/21(水) 19時
8/22(木) 14時
THEATER
【東京】座・高円寺1
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-1-2 Map
【静岡】清水文化会館 マリナート 小ホール
〒424-0823 静岡県清水区島崎町214 Map
TICKET
【東京】全席指定
一般(前売・当日) 4,500円
学生(前売・当日) 2,500円(要学生証)
【静岡】全席自由
前売一般 4,000円
当日一般 4,500円
学生(前売・当日) 2,500円(要学生証)
チケット予約
劇団窓口
TEL: 080-1709-7235 (10:00~18:00)
MAIL: pathos_pack@yahoo.co.jp
カンフェティ窓口
TEL: 0120-240-540 (平日10:00~18:00)
http://pathospack.com/

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ウェンディゴ(カナダ)

2019-07-02 | 先住民族関連
大阪日日新聞2019年7月1日
亀井澄夫の妖精・妖怪世界の旅
病気として認定された妖怪

「なんだか人の気配がするが…」(イラスト(C)合間太郎
 カナダの森に棲(す)む精霊というか妖怪。先住民族である北米インディアンのオジブワ族やクリー族に、その伝説がある。ウェンディゴは人の背後に忍び寄り、気配だけは感じさせるが決して姿を見せない。それを幾日も続けて、やがて聞き取れないような小声で話しかけてくる。そうするうちに人はノイローゼとなり、発狂してしまうのだ。
 また、人々が自然を破壊しようとすると、襲ってきて人肉を食らうとも言われる。ウェンディゴに取り憑(つ)かれた人に食われると、その人もウェンディゴになる。ウェンディゴになった人は、さらに人肉を求めてさまようのである。
 しかし、これらの症状を医学的には「ウェンディゴ症候群」と言い、前述のインディアンの特定地域での精神病と言われている。気分が落ち込み食欲もなくし、自分がウェンディゴになるのではないかという度が過ぎた不安と恐怖で、しだいに人が食べ物に見えて襲いだす。治療法としては体を温め、熊の肉を食べさせたり、酒を飲ませたりすると治る。ウェンディゴは寒さゆえの病気であるのは確かで、冬の魔物とも言われている。
 それらの特徴を踏まえた記述が、実は子ども向けの妖怪図鑑に書かれていて、そこには「カナダの森に棲む氷の妖怪。背丈が5メートルもある骸骨の姿をしていて、氷の心臓を持っている。人を氷づけにしてガリガリと食べ、取り憑かれた人は、ほかの人を殺したくなる。ウェンディゴを殺すには氷の心臓を2度、火の中に入れて焼くこと」とある。この妖怪図鑑、精神病にふれずにうまくまとめている。確かに、ウェンディゴの心臓は氷でできているという伝承があるのだ。地域的にも極寒の地なので、ビタミン不足と栄養失調からくる妄想とも言われる。
 ウェンディゴは、世間的に病気として認定された珍しい妖怪だ。
 (日本妖怪研究所所長)
https://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/yousei/190701/20190701050.html

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安倍首相は無謀なアマゾン開発に突っ込むのか

2019-07-02 | 先住民族関連
東洋経済7/2(火) 6:00配信
 6月28日から2日にわたった20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)。この間、安倍晋三首相は複数の首脳と会談を行ったが、ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領とはレアメタルの一種であるニオブなどの開発について協議したことを、ボルソナロ大統領が自身のツイッターで明かした。
 ボルソナロ大統領は、日本に出発する前も自身のフェイスブックに「日本の首相と個別に会談を持ってアマゾン地帯の生物多様性の開発を共同で行うための合意を提案する予定だ」と、投稿していた。今回、開発についてどのような内容が話し合われたかの詳細は不明だ。
■森林破壊の速度が増している
 ボルソナロ大統領は以前からアマゾンの開発に積極的な姿勢を見せているが、世界最大の熱帯雨林であるアマゾンをブラジルが十分に保護していないという批判が世界から上がっている。これに対して同大統領は、「ブラジルがアマゾンを破壊しているという指摘は、われわれを批判するための外国の組織や裏切り者による策謀だ」とし、「私が大統領である限り、そのような破壊が行われることはない。安心してほしい」としている。
 ところが、複数の環境保護組織の調査によって、ボルソナロが大統領主任前の2018年5月には1時間当たり10ヘクタールが破壊されていたのが、今年1月1日のボルソナロが大統領に就任した後の5月には1時間当たり19ヘクタールが破壊されたということが明らかにされている。
 ボルソナロがアマゾンの環境保護という点において「危険人物」だとされているのは、大統領にとって環境保護は優先すべき政策ではないと見られているからだ。また、ボルソナロ大統領はアメリカのドナルド・トランプ大統領を崇拝しており、トランプ大統領が環境汚染による気候変動を否定していることから、ボルソナロ大統領も同様の考えを抱いている。
 この考えの延長線上で、ボルソナロ大統領は「われわれは人口2億人の国で、成長しているものとして農業ビジネスと家族農業がある。その成長を阻むことはできない」と、SNSで表明したことがある。そしてその成長のカギを握っている、と同大統領が見ているのがアマゾン地帯なのである。ボルソナロ大統領は以前にも、アマゾンの生物多様化の開発のために、高度なテクノロジーを持った先進国と組みたい表明したことがある。
大統領選挙中に対立候補のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長は「私のライバルが選ばれれば、それはアマゾン地帯の崩壊の始まりだ」と指摘していた。もっとも、アダジ氏と同党のルラ元大統領とルセフ前大統領の13年続いた労働者党政権下でも20万m2
以上が破壊されているので、ボルソナロ大統領だけが破壊者なわけではない。
 アマゾン開発の目的は、木材の採集から始まって、農耕牧畜による肉と大豆の生産を増やすことにある。また、埋蔵している自然資源ボーキサイト、金、鉄、マグネシウム、ニッケル、リン酸、錫、ウラニウム、石油、希少ミネラルといった資源の開発も有望視されている。さらに水力そして原子力発電の建設もテーマとしてある。ボルソナロ大統領はこれらの開発のどれかを、今回安倍首相に提案しようとしているわけである。
 しかし、この開発で問題となってくる点が2つある。1つは、アマゾン地帯の開発による破壊が地球の温度化をもたらし、生態系に想像できない悪影響をもたらす可能性が。もう1つは、先住民の保護問題である。
■20~25%が破壊されると大変なことに
ブラジルやコロンビア、ペルーなど南米9カ国にまたがるアマゾンの面積は740万m2
と、日本15個分にも相当する。そのほぼ6割に相当する約470万m2
がブラジルに広がる森林地帯で、これはブラジル面積の60~63%に当たっており、アマゾンにおけるブラジルの「役割」は大きい。
 1970年代のアマゾンの森林伐採などによる破壊はわずかか1%であった。それが1990年には9.6%、2000年には14%そして2017年には19.1%にまで及んでいる。問題は、専門家によると、この破壊が20%から25%に至ると取り返しのつかない地球の生態に悪影響をもたらすことになると指摘している点であると、現地メディアは報じている。
とくに、世界の熱帯雨林の半分以上の面積を占めるアマゾンは温度調整と二酸化炭素を吸収するという重要な役割を果たしているにもかかわらず、1070年代から現在まで、フランスとベルギーの面積の合計に相当する約70万m2
もの森林が伐採されている。ルセフ元大統領解任後に大統領に就いたテメル政権の1年間だけでも、7800m2
の森林地帯が消失しているのだ。
 森林伐採の目的は木材を調達だけでなく、ブラジルの主要輸出品である食肉や大豆を生産するための土地拡大にある。ボルソナロ政権で農業牧畜相に就任したテレサ・クリスチーナは「毒のミューズ」という綽名がついているほどで、農薬企業と密着した人物であるというのはよく知られており、ボルソナロ政権では今後も食肉と大豆生産に力を入れることは間違いないだろう。また、ボルソナロの大統領就任を支えた支援組織の中には自らを「肉、バイブル、銃弾同盟」と称したグループも存在している(ボルソナロ氏はキリスト教の福音派であり、銃規制反対者)。
 アマゾン地帯を開発するには、それに合わせて道路の建設が必要となってくるが、これがさらにアマゾンの破壊の度合いを強めている。道路の建設で自然の小川など、水の流れが遮断されるようになり、そこで生息していた魚が従来どおりエサをとりにいけなくなったり、生息ができなくなったということも起きている。また、資源の採掘で化学薬品を使用することによって水が汚染されたことで、そこで生活している先住民の健康に弊害が出ている。
 もう1つの問題は先住民の保護だ。アマゾン地帯で生活している先住民の保護地区は600あると言われており、ブラジル国土の13%を占めているという。先住民の人口は約90万人とみられている(ちなみに、1500年代にポルトガル人が侵入したころは300万~500万人いたと推定されている)。
 ブラジル政府は、これまで先住民を保護するための予算を組んできたが、その予算が次第に減少している。それに加えて森林の伐採が盛んになり、彼らの生活を脅かすようになっている。鉱物資源の採掘でアマゾンに侵入して来た採掘業者を追い返すだけの力も手段もない先住民は彼らの採掘を受け入れ、その代償として例えばワル保護地区の先住民の場合は利益の10%を受け取ることにした。
 ところが、鉱物の採掘で使用する化学薬品などで地質が侵食されてそこを流れていた小川の水がコーヒー色のように変色して先住民の子どもたちが下痢をするようになった。しかも、森林の伐採による影響で気温も5年前と比較して2度上昇して雨量が大幅に減少。このような現象から食料の確保にも問題が発生している。
■ボルソナロ大統領の支持率は悪化
 これはワル保護地区だけに限ったことではない。多くの先住民が同様の問題を抱えるようになっている。また、開発にくる人との接触が増えたことで、先住民の生活習慣に変化が見られるようになり、先祖の代からの習慣を守らない人たちも出てきている。
 ボルソナロ大統領は、先住民を保護するというこれまでの国の方針に些か批判的で、「先住民族がいる土地のその地下には富が眠っている」と発言したほど。実際、先住民を保護する組織「Funai」はこれまで法務・公共安全省の管轄下にあったが、それをボルソナロはあえてアマゾンの開発に積極的な農業省の管轄下に置く大統領令を就任早々に出した。
 もっとも6月に入って最高裁がそれを撤回し、その翌日には下院でもそれを却下したということでボルソナロの意向は覆された。
 ボルソナロは昨年10月に下院議員の選挙に勝利した後、「先住民の保護地区が私の決定に依存するだけであれば、彼らの保護地区はもう存在していない」と発言しており、先住民の存在がアマゾンの開発の障害になっているという考えを持っている。
 Ibope世論調査によると、ボルソナロ大統領が就任してから3カ月で支持率は67%から51%に落ちた。一方、同大統領を支持しない率は21%から38%に上昇。信頼率も1月の62%から49%に落ちている。現在も彼の支持率に下降はあれど回復はない。さらに、36%のブラジル国民は、ボルソナロ政権は「悪い」、あるいは「非常に悪い」と回答しているという。
 ラテンアメリカ最大の経済大国ブラジルはボルソナロが大統領に就任してからも依然景気の低迷は続いている。「アマゾン開発で一発あてたい」と考えるのも無理ないのかもしれないが、安易にこの計画に乗るのは危険でしかありえない。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190702-00289578-toyo-bus_all

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世界一ハッピーな動物や絶景に感動。直行便就航のパース&西オーストラリアが面白い!

2019-07-02 | 先住民族関連
ヤフーニュース7/1(月) 8:00
寺田直子 | トラベルジャーナリスト 寺田直子
西オーストラリア州は豪州大陸の約1/3を占める最も広い州。その州都がパースだ。パースはインド洋に面した西海岸線に近く、自然と都市がゆるやかに調和した美しい街。故・兼高かおるさんが「世界で最も美しい街、一番住みたい街」と絶賛したこともあるほど。そのパースに今年2019年9月1日からANAがデイリーで直行便を就航する。日本~パース間の直行便はかつてカンタス航空が週3便で成田から運航していたが、2011年に運休。今回、8年ぶりの直行便再開となる。
オーストラリアといえばシドニーやウルル、ケアンズなどが有名だが、パースもとても魅力的だ。パース、さらに足をのばした西オーストラリア州内でしかできない、出会えないユニークな体験も多い。たとえばロットネスト島(Rottnest Island)。パース近郊フリーマントルからボートで行く日帰りツアーも楽しめるリゾートアイランドだが、有袋類クオッカがインスタ映えすると世界的に大ブレイク中。オーストラリア本土の小さなコロニーを除けば、クオッカが群生するのはロットネスト島だけ。撮る角度でまるで笑っているかのような表情になるため、「世界で最もハッピーな動物」とも言われる。島のいたるところで見かけるので遭遇率も高い。ロットネスト島を訪れたクリス・ヘムズワース、ヒュー・ジャックマンなどハリウッドスターやテニス選手ロジャー・フェデラーたちもクオッカとのセルフィーをインスタグラムで公開し話題になっている。パースから日帰りのツアーで行くのもいいが、クオッカは本来夜行性の動物。夕方になるとあちらこちらから出てくるのでクオッカ狙いならぜひ1泊したい。島内にはオーシャンビューのグランピング的なエコロッジなど数軒の宿泊施設がある。
もうひとつネットで話題になっているのがピンクレイク。正式名称はヒリアー湖(Lake Hillier)。西オーストラリア州南部エスペランスという海沿いの街から約130キロ。沖合に浮かぶミドル島にある湖だ。陸や海路で行くことができないため見るためにはエスペランスから発着するセスナによる遊覧ツアーで行くことになる。水中に生息する藻やバクテリアの影響によりピンク色に変化するといわれているが、筆者がツアーに参加した際は曇っていたからかややグレーがかったピンク色に見えた。写真をうまく切り取るとピンクのハートに見えるのもインスタ映えする。
また、エスペランスから4WDツアーで訪れることができるケープ・ル・グランド国立公園(Cape Le Grand National Park) も必見!中でも公園内のラッキー・ベイ(Lucky Bay)はオーストラリアで最も美しいビーチと多くの人(含む筆者)が絶賛&感動するまぶしすぎるほど真っ白なビーチとクリアブルーの海が延々と続く絶景スポット。さらにユニークなのが、ビーチに野生のカンガルーが出没すること。カンガルーの多くは内陸部で多く見かけるが、ラッキー・ベイのようにビーチにいるのは珍しい。これもまた西オーストラリアならではの珍光景だといえる。
エスペランスへはパースから小型の国内線で約1時間40分。時間があればレンタカーを借りてセルフドライブで行くのも楽しい。距離にして約700キロ。車での所要時間は8~10時間。オーストラリアの道は日本同様に左側通行で、郊外は車も少なく普段運転しているのであればそれほどハードではない(ただし、夕方から夜になるとカンガルーや小型の有袋類などが道路に飛び出してくるので夜間の運転は避けること)。
パース~エスペランス間にはもうひとつの珍風景、まるで巨大な波のように深くえぐれたウェーブ・ロック(Wave Rock)や、カバのあくび(Hippos Yawn)と名付けられたなんとも力の抜けたゆるい観光ポイントもある。近くにモーテルがあるのでそこで1泊、のんびりゆっくり西オーストラリアの広大さを実感しながら自分のペースでセルフドライブを楽しんでほしい。
このほか、西オーストラリア州を代表する観光スポットとして、「荒野の墓標」と呼ばれる砂丘の上の奇岩群ピナクルズ(Pinnacles)、世界遺産に登録される地球の生命体の起源となる原始的な藻類ストロマトライト(Stromatolite)が現存するシャーク・ベイ(Shark Bay)、オーストラリア最後の秘境とされる北部にあるバングル・バングル(Bungle Bungle)、かつてのゴールドラッシュの町カルグーリー(Kalgoorlie)など広大な州には一度は訪ねたい絶景、感動空間が点在する。
そこまで時間がない。という場合はまずはパースを短期間で満喫するのもおすすめだ。パースの街はコンパクトにまとまっているので市内散策なら徒歩と、誰でも無料で乗れる巡回公共バス通称キャット(CAT)を乗りこなせばほぼ網羅できる。見どころはパースの街を一望する展望ポイントがあるキングスパーク(Kings Park)、開発されおしゃれなレストランやカフェが集まったベイサイドのエリザベスキー(Elizabeth Quay)、からくり時計がある英国風のアーケード、ロンドンコート(London Court)、州の特産品である金をテーマにしたミュージアムとゴールドショップを兼ねたパースミント(Perth Mint)など。パースミントでは純金を当日のレートで買うことができるほか特別記念コインなども販売している。
ホテルは2018年オープンしたのがザ・ウェスティン・パース。市内のメインストリートのひとつヘイ・ストリート沿いに位置。368室という規模なのでツアーでも数多く利用されている。前述のエリザベス・キーやロンドンコート、デパートやスーパーマーケットなども徒歩圏内。デザイン系が好みならばキュー・ティー・パース(QT Perth)がいいだろう。ゴールドコースト、シドニーなどでも運営するシャレたデザイン空間で知られるホテルグループで、ルーフトップバーやレストランは地元でも人気のナイト&ダイニングスポットになっている。そして、ホテル好きならほかの予算を削ってでも泊まってほしいのがコモ・ザ・トレジャリー。「オーストラリア・ベストホテル」に選ばれたパースきってのラグジュアリーホテルで郵便局、裁判所、財務省の19世紀に建てられた3つの歴史的建造物をみごとに融合。外観はクラシックなままに内部は洗練されたコンテンポラリーな仕様は実にエレガント。バリ島やブータン、プーケットなどでリゾートを手がけるコモはアジアンリゾート好きには知られた存在。パースではシティホテルの位置づけだが、インテリアのセンス、秀逸なスパ施設、好感度のあるホスピタリティはゆるぎがない。建物内にはパースで最もいきおいのあるレストランのひとつペティション(Petition)や、「アジアのベストレストラン50」でナンバーワンを獲得したタイ料理シェフ、デビッド・トンプソンによるロン・チム(Long Chim)、先住民族アボリジニの食文化にインスパイアされたモダンオーストラリア料理を提供するワイルドフラワー(Wildflower)などグルメシーンも多様性があり高品質だ。
パース滞在中、ぜひ訪れたいのはフリーマントル。インド洋に面した潮風を感じる風光明媚な港町だ。電車で約30分、スワン川をゆくフェリーなら約1時間。日本語ガイドによるパース市内からの半日~1日ツアーなどもある。今回は地元生まれでフレオ(フリーマントルの略称)をこよなく愛するマイケルが立ち上げたこだわりスポットを訪ねる英語のウォーキングツアーに参加した。
フリーマントルに行くなら金~日曜の週末のみ開催するフリーマントル・マーケット(Fremantle Market)はやはりハズしたくない。なんと1897年から続く歴史あるマーケットで、内部にはフルーツや野菜などの生鮮品からハチミツ、ジャム、チョコレートなどホームメイドアイテムやTシャツ、ぬいぐるみなどお土産までさまざまな店がズラリと並ぶ。またラーメン、ピザ、アイスクリーム、スムージーなどスナック類も食べられるので終日にぎわっている。マーケット周辺もシーフードレストラン、ハンバーガーショップ、カフェなど週末をのんびり過ごすのに最適の場所が並び、こちらも楽しい。地元の常連客や観光客両方で大繁盛するのがリトル・クリーチャー・ブリュワリー(Little Creatures Brewery)。パース生まれのクラフト系ビールブランドの醸造所で巨大なヨット倉庫だった跡地を改装。店内でフレッシュなフレーバービールを味わうことはもちろん毎日行われる見学ツアーに参加することもできる。
ANAのフライトスケジュールは成田発NH881が11:10、パース着同日20:15、帰路パース発NH882が21:45、成田着が翌日08:25。パース&フリーマントルのみ弾丸であれば金曜出発、土曜終日現地滞在、日曜に出発(月曜朝戻り)などでもしっかり楽しめる。ロットネスト島も加えるともう1日欲しい。ピナクルズやエスペランスなど広範囲に旅する場合は1週間~10日間は最低でも確保したいところだ。パース空港からは西オーストラリア州内はもちろんメルボルンやシドニーなど主要都市への国内線も充実している。広大な分だけ何度も訪ねることで深く、豊かな思い出が刻まれるのがオーストラリアの旅のだいご味。その一歩をパースからはじめてみてはどうだろう。
<データ>
・オーストラリア政府観光局(日本語)
・西オーストラリア州政府観光局(日本語)
https://news.yahoo.co.jp/byline/teradanaoko/20190701-00131911/

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