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「民族の歴史伝えたい」 舞台「アイヌ旺征露」英公演

2019-07-25 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2019/7/24配信

ロンドンでの「アイヌ旺征露」上演に臨む上野さん
 仙台市を拠点に、英劇作家のシェークスピア作品を東北弁で上演する劇団「シェイクスピア・カンパニー」が8月、ロンドンの老舗舞台、タラ劇場で「アイヌ旺征露(オセロ)」を上演する。この公演でただ一人、千歳から出演する女性がいる。4人組のアイヌ舞踊集団「ピリカップ」の一員、上野亜由美さん(52)。歌と踊りを披露するほか、せりふもある。上野さんは「イギリスで千歳のアイヌ民族を発信するいい機会」と意気込みを語る。
 同作はシェークスピア四大悲劇の一つ「オセロ」の舞台を幕末の北海道に置き換え、差別の歴史を織り交ぜながらアイヌから見た和人との関係性を描いた。2018年に仙台をはじめ東京、札幌でも上演。札幌公演を同劇場芸術監督のジャティンダ・ヴーマさん、美術監督のクローディア・メイヤーさんがそろって見たことがきっかけでルネサンス演劇の巨人を生んだ本場での上演が実現した。
 上野さんは平取町出身。母方がアイヌ民族の家系だ。同町で事務職、千歳市内の工場や宝石店に勤務。結婚、出産を経て学び直そうと決意し、仏教大学=京都=の教育学部(通信教育課程)に入学した。
 卒業論文で、小学校の総合学習の時間にサケの皮から靴を作る授業の展開を取り上げて注目を浴びた。学びを深める間にアイヌ文化が根付く道内各地も訪問。研究をきっかけとして伝承活動に関わり、千歳に伝わるアイヌ舞踊を本格的に学ぶようになった。
 昨年末、すでにロンドン公演が決定していたピリカップの早坂ユカさんからメンバー入りの誘いを受けた。まず札幌で観客として「アイヌ旺征露」を鑑賞した上野さんは「驚きましたが、この機会を逃すと次はない。歴史ある劇場で日本の先住民族のことを発信したい」と参加を決心した。
 英国公演向けに仕上げてきた「アイヌ旺征露」では同カンパニー劇団員とピリカップによる東北弁とアイヌ語が飛び交う筋書きとなる。現地の鑑賞者は英語の字幕を読む。上野さんは「言葉は違っても気持ちがあれば伝わるか確かめたい。気持ちを込めて演じます」と張り切る。「私のベースは千歳。劇に参加する唯一の千歳のアイヌとして地域の文化を広めるきっかけにできたら」との思いも抱き、稽古を重ねてきた。
 8月3日に出発し、7~10日の公演を予定。シェイクスピア・カンパニーは公演に必要な費用捻出への協力を呼び掛け、インターネットで資金協力を求める「クラウドファンディング」を31日まで受け付けている。詳細は「アイヌ旺征露」専用ページ https://camp-fire.JP/projects/view/167838
https://www.tomamin.co.jp/news/area1/16787/

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三重)松浦武四郎ちなんだ特産品、松阪の商工会員ら開発

2019-07-25 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2019年7月24日03時00分
 幕末の探検家で北海道の名付け親になった松浦武四郎(1818~88)の出身地の三重県松阪市に、武四郎や北海道にちなむ観光特産品7点が新たにできた。松阪北部商工会員らが地元食材を使い開発した。
 野瀬岩朗会長ら会員の5事業者が作った。一部を除いて経済産業省の2018年度補助金140万円を活用した。
 野瀬商店の「武四郎袋入り煎り大豆」(税別800円)は、地元の特産品・嬉野大豆を煎って、釧路市の民芸品店とコラボして作ったアイヌ文様入り巾着袋に収めている。ヤマダヤの和菓子「たけしろうる」(同190円)は、地元特産・島田ビワの葉の粉末と、嬉野大豆で作った豆乳を生地に使った和風ロールケーキ。北海道産小豆入りの「黒」と、地元のイチジクジェルと白あん入りの「白」がある。箱入りは税別1本1500円。
 松屋製菓舗の焼き菓子「緑茶のフィナマル」(同150円)は、大台町の緑茶粉末を生地に練り込み、北海道産バターを使用。フィナンシェを丸い形に仕上げたことから命名した。「枝豆のパウンドケーキ」(同170円)もある。寿総合食品の「武四郎のピリカル スープカレー」(同800円)は、松阪牛と北海道のジャガイモがコラボした。
 ムトウデンキの「松阪みそぶたまん」(税込み400円)は、電器店が食に参入。地元の原木シイタケ、みそ焼き肉たれと北海道のブランド豚・三恵豚(さんけいとん)を使っている。「ON(オニ) Y Va(ヴァ)珈琲(コーヒー)」は、武四郎の当初の命名案だったとされる「北加伊道(ほっかいどう)」にちなむ「加伊珈琲」(同160円、同190円)を商品化。幕末から明治初期に飲まれていたコーヒーをイメージして作ったという。
 同市小野江町の松浦武四郎記念館近くにあるいせやでは、各商品を詰めたギフトセット(税別3千円、同5千円)を扱っている。
 野瀬岩朗会長は「武四郎生誕200年、北海道命名150年で記念館の来館者が増えているのに、土産物がほとんどなかった。来館者に喜んでもらえるよう今後も増やしていきたい」と話した。
 問い合わせは松阪北部商工会(0598・56・2039)へ。(中川史)
https://digital.asahi.com/articles/ASM7B6JK5M7BONFB00R.html?_requesturl=articles%2FASM7B6JK5M7BONFB00R.html&rm=346

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台湾・屏東の児童合唱団、ウイーンのコンペで金賞受賞

2019-07-25 | 先住民族関連
中央フォーカス台湾 2019/07/24 11:23

(屏東 24日 中央社)南部・屏東県の青葉小の合唱団がオーストリア・ウイーンの合唱コンペティションで、民謡部門の金賞を獲得した。初の国際コンペ参加で快挙を成し遂げた。
同小がある三地門郷青葉村は台湾原住民(先住民)ルカイ族が居住する地域で、同小の在籍児童は40人のみ。合唱団はルカイ族の古謡の伝承を推進しており、小中高校生や教師を対象にした民謡の全国大会で最高評価の「特優」を6年連続で獲得したほか、台湾のナショナル・コンサート・ホール(国家音楽庁)の舞台に3度立った実績もある。
今コンペには同小の1年~6年生までの19人が参加し、伝統衣装姿でルカイ族に伝わる楽曲2曲を披露した。
同小の頼維振校長は、ルカイ族の民謡に対する国際的な評価を通じて、児童たちに自分の文化や民謡の美しさをさらに認めてもらい、自信を付けてほしいと語る。この自信をその他の分野の学習や将来の挑戦にも生かしてもらえればと期待を寄せた。
コンペは「ウイーン国際合唱コンペティション・フェスティバル」のプログラムの一つとして18日に行われた。 (編集:名切千絵)
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201907240001.aspx

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アイヌ遺骨 来月にも返還へ 浦幌博物館保管で初 /北海道

2019-07-25 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2019年7月24日 地方版
 浦幌町立博物館が、保管するアイヌ民族の遺骨1体を浦幌アイヌ協会(差間正樹会長)に返還することが23日、関係者への取材で分かった。博物館が地域のアイヌのグループに遺骨を返還するのは初めて。8月にも返還し、同協会が町内の墓地に再埋葬する。
 同博物館によると、遺骨は江戸時代のアイヌ女性とみられ、1974(昭和49)年に町が十勝太若月遺跡(縄文時代早期~江戸時代)から発掘した。同館は文化庁が今年4~5月に全国の博物館を対象に実施した遺骨保管状況・返還意向調査に回答した。
 返還意向調査では、アイヌの遺骨について(1)白老町に来春オープンする民族共生象徴空間(ウポポイ)の…
この記事は有料記事です。
残り348文字(全文632文字)
https://mainichi.jp/articles/20190724/ddl/k01/040/186000c

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道産食材や自然をPR JALが北海道東部の魅力を発信するプロジェクト 北海道(北海道)

2019-07-25 | アイヌ民族関連
STV 7/23(火) 9:03配信
日本航空が、北海道東部の魅力を発信するプロジェクトを発表しました。機内誌や機内上映されるビデオで北海道東部を特集するほか、ファーストクラスの夕食で道東の食材を使ったメニューを提供するとうことです。
このプロジェクトは、北海道東部での外国人観光客の需要が見込めるとして、日本航空が地元自治体と協力し、8月限定で実施します。日本航空は、国際線を含む全ての便の機内誌で釧路湿原や阿寒湖などを日本語と英語で特集するほか、羽田と道内を結ぶ路線などでは自然や食を映像で紹介します。また国内線のファーストクラスでは、釧路産のパプリカや道内産のホッケなどを使った機内食が提供されるということです。日本航空では、地域の活性化とともに阿寒湖の自然やアイヌ文化などが観光客に受け入れられればと期待しています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190723-00000130-stv-hok

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オーストラリア・ケアンズ、森の世界遺産モスマン渓谷で太古の息吹を

2019-07-25 | 先住民族関連
朝日新聞2019.07.24
オーストラリア北東部に位置するクイーンズランド州の中心都市ケアンズ。目の前の海は世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」を望み、街の背後には「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」で世界最古級といわれる熱帯雨林が広がる。どちらも世界遺産に登録されている貴重な自然だ。
ケアンズから車で北に1時間30分ほどのところにあるデインツリー国立公園の熱帯雨林は、太古にあったとされる巨大大陸のゴンドワナ大陸に起源を持つといわれる。その一部を形成するモスマン渓谷は先住民族であるクク・ヤランジ族が所有する特別な地域。一部は一般開放されているが、そのほとんどは彼らの案内なしでは立ち入ることが出来ない。クク・ヤランジ族の伝統的な生活や文化を体験できる施設「モスマン・ゴージ・センター」のアクティビティー「ドリームタイムウォーク」に参加した。
【関連記事】オーストラリア・ケアンズ、海の世界遺産グレートバリアリーフで遊び尽くす
(文・写真・動画/鈴木博美)
全てが美しい森で、先住民の英知に触れる
ビジターセンターで手続きをすませると、ちょっぴりこわもてのガイドのクク・ヤランジ族のロイさんとともに出発。ここから先は一般車両の進入は不可。専用シャトルバスに乗って散策路の入り口まで行くと、体長20センチほどのボイドモリドラゴンという大きなトカゲが木につかまったまま微動だにせずに出迎えてくれた。ここでクク・ヤランジ族の伝統的な悪霊を取り払うという煙の儀式が行われ、彼らの聖地である森の中へと入る。
モスマン渓谷の森と共存してきたクク・ヤランジ族は、木の皮や葉っぱ、草花など何百種類もの植物を薬効によって使い分けてきたとガイドのロイさんは話す。そしてけがや体の痛みに効くという植物の伝統的な使用法、食べられるかどうかなどサバイバル術を伝授してくれる。石で板根(ばんこん)をたたいて音を出し、自分がいる位置を知らせる、遠方にいる仲間への連絡方法も実演。森で迷子になったときの術だ。
文字を持たなかったクク・ヤランジ族を始めとするオーストラリアの先住民族は、洞窟の壁や岩に絵を描き、厳しい自然環境を生き抜くために必要不可欠なことなどを伝承してきた。その際に使用された「オーカー」と呼ばれる染料は、岩や粘土から採取され、壁画の他に踊りや儀式に使われたそうだ。赤い色は一族を表し、黄色は太陽、白は魂。この色素を採取する場所は決まっていて、ほかの部族ともしばしば交換された。腕に描かれたドットは雨を表している。
ロイさんが「ソープリーフ」と呼ばれる葉を水につけてゴシゴシもむとあっという間に泡が立つ。ボディーペイントの色素を落とすせっけんだ。こうした生活の知恵は「ドリーミング」と呼ばれ、先祖代々受け継がれてきた。
そんなモスマン渓谷は熱帯雨林地帯だけに一年の大半が雨。湿度は平均80%を超える。しかし、植物の匂い、雨粒が葉に落ちる音、時折差し込む太陽の光、全てが美しい。
「ドリームタイムウォーク」は1時間30分ほどのガイドツアーだったが熱帯雨林の森を十分に満喫できる。クク・ヤランジ族の人々は現在でも祖先から受け継いだ狩猟採集の知恵を使いながら生活している。彼らの英知を、現代を生きる私たちの視点で見つめることは、とても意味のあることだと思う。
モスマン渓谷にはガイドを付けず各自で散策出来るトレイルコースもある。ケアンズから少し足を伸ばして太古の森の息吹を感じに訪れてみてはいかがだろう。
住所:212r Mossman Gorge Rd, Mossman Gorge QLD 4873 Australia
営業時間:8:00~18:00(ビジターセンター)
入場料(シャトルバス利用代含む):大人11.8ドル、5-15才5.90ドル、
ファミリーパス29.50ドル(大人2+子供2)
シャトルバス運行時間:8:00~17:30
「ドリームタイムウォーク」
所要時間:1時間30分
出発時間:毎日 10:00, 11:00, 12:00, 13,00, 15:00
料金:大人78ドル、5~15才38.5ドル
ファミリーパス:194.5ドル(大人2+子供2)
歩きやすい服装での参加が望ましい。
■取材協力
・ポートダグラス コネクションズ
・クイーンズランド州政府観光局
・ケアンズ観光局
「あの街の素顔」ライター陣
こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、松田朝子
鈴木博美
旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。
https://www.asahi.com/and_travel/20190724/114526/

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ゾーイ・シュランガーに学ぶ異常気象講座 植物の知性、エコ不安神経症、私たちが失うかもしれないもの

2019-07-25 | 先住民族関連
SSENSE July 24, 2019

この記事は、「環境と共存するファッション」特集の一環として書かれたものです。
環境問題に関してゾーイ・シュランガー(Zoë Schlanger)のレポートが感じさせる切迫感にはいつも強い印象を受けてきたが、それに劣らず私の心を揺さぶるのは、自然界の神秘的な智慧に寄せる彼女の絶大な敬意だ。シダのゲノム配列が初めて解読されたときは – ちなみに、シダはヒトよりゲノムのサイズがはるかに大きい – 彼女はその微小な植物のタトゥーを左腕に入れた。ティク・ナット・ハン(Thich Nhat Hanh)なら「他者に対する深い気づきと理解から愛が生まれる」と言うところだろうが、確かにゾーイは、自然界の真実を見ているからこそ、自然界を愛することができる。今回のインタビューは、私たちの運命と他の生物との繋がりを理解する講座でもある。
受賞歴のある科学ジャーナリストとして、また、人間が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった「人新世」の美意識に精通したエキスパートとして、ゾーイは非常にユニークな立ち位置にある。まだ確立されていないもっとも不安定な分野で経歴を積む一方、気候変動という、もっとも深刻な世界的危機の最前線に立っている。環境破壊が一種の見えざる戦争であり、その前線で大きな災害や何百万もの一般市民の死傷が発生していると考えるなら、多くの場合、ゾーイの仕事は被害状況を調査し、白日の下にさらすことだ。取材するのは、種の絶滅であったり、企業による汚染が 原因の癌であったり、水資源の枯渇であったりする。彼女と話す機会があれば、単に彼女の仕事についてだけでなく、日々、取材という密接な作業を通じて一般人には理解不可能なほど大きな問題に直面するという体験について、ぜひ聞いてみたいと私は思っていた。環境の危機的な状況を憂慮するあまり、エコ不安神経症が発症することだってあるのだから。
ゾーイは、アウトドア ブランドとして定評のあるChacoのウェアとユーティリティ パンツで現れた。環境ジャーナリストの定番とも言うべきこのスタイルは、最近のトレンドでもある。SSENSEのエディトリアルとして執筆した 記事で、「エコ的ファッション」はノスタルジアとニヒリズムの境界線上にある一時的な流行に過ぎない、とゾーイは論じた。着る人は、嘘偽りなく、失われつつある地球への想いを切実に感じているのかもしれない。だが「エコ的ウェア」の製造そのものが、文字通り、環境を破壊しつつある。「確かにレトロだ」。ドライなユーモアを込めて、ゾーイは書いている。「それももっともだ。現実の世界では、野生はレトロなのだから」
サラ・レオナード(Sarah Leonard)
ゾーイ・シュランガー(Zoë Schlanger)
サラ・レオナード:あなたが書いた人新世のファッションに関するSSENSEのエディトリアル、すごく良かったわ。そこで、最近サステナビリティを口にし始めた業界について、あなたの考えを聞かせてほしいの。見せかけだけの欺瞞か、本当に生産的な取り組みか…どうやって見分けるのかしら?
ゾーイ・シュランガー:私たちが新しいものを製造し続ける限り、私たちが招いた状況に歯止めをかけて、逆の方向へ転換する、という主な目的と真っ向から対立するわ。今私が持っているものは、ほとんどが中古。実は私のパートナーはもっと徹底していて、基本的に我が家では新品はタブーになってるわ。
私が注目してるのは、すっかりファッションになったハイキングやキャンピング用のウェアの成り行きね。アウトドア用品は、決してファスト ファッションではないわ。1シーズンしか使えないようには作られていない。とても耐久性に優れているの。ハイキング ブーツを1足買うほうが、今後10年でKedsを40足買うより、はるかにいい。気がかりなのは、あらゆるトレンドと同じように、今のトレンドもどんどん変化して、それにつれて消費者の手持ちのウェアもどんどん入れ変わって、せっかく環境的に有効なアウトドア用品が用なしになることなの。まだeBayみたいなサイトで売るんだったら、使わなくなったものを活かしているって意味で、少しはマシだけど。
だけど何と言っても、現在の状況の大半は企業の責任だわ。だから、企業がよく考えて、思い切った運営方法に転換して、環境劣化の問題に対して有意義な対処を講じるのであれば、もちろん素晴らしいことよ。ただし、そのためには、非常に大規模な変革でなくちゃダメね。サステナビリティという言葉は何にでも使える。つまり、中身が全く空っぽな場合もありえる。だから、生産過程を根本的に見直しもせずに、炭素クレジットだけ買って排出量を相殺しておきながら、 サステナビリティを謳い文句にしている企業の取り組みには、私はとても懐疑的よ。私が訴えているのは、うわべだけの変化じゃないわ。これという数字の基準があるわけじゃないけど、企業が収益のかなりの部分を投じて取り組むのでなければ、おそらく不十分でしょうね。
数字の基準があるわけじゃないけど、企業が収益のかなりの部分を投じて取り組むのでなければ、おそらく不十分
あなたが去年の夏に完結させた、テキサス州とメキシコの国境地帯の水資源に注目したプロジェクトだけど、パート1からパート9まで、1年がかりで水資源の枯渇を取材した素晴らしいシリーズだったわ。最近は、終末論的なショック療法で気候変動に対する関心を喚起しようとする人が多いけど、あなたはそれとは逆のアプローチをとっている。長い時間と忍耐が必要な気候変動やサステナビリティについて語る一方で、すべてを火急の事態として感じているのは、どんな気持ち?
今は、もっと微妙な意味合いのある記事を書いて、「すべてが緊急事態」という視点を変えようとしてるところなの。そうしないと、私という人間が壊れかねないもの。毎日毎日、種の絶滅や気候変動に関するレポートを読みながら、同時に私は快適な生活を送っている。そういう大きな矛盾を意識するのは、イリヤ・カミンスキ(Ilya Kaminsky)が「We Lived Happily During the War – 戦争が続くあいだ、私たちは幸せに暮らした」で書いたこととすごく近いわ。何もかも狂ってるとわかっていながら、家へ帰って、パンを焼いて、映画へ行く…。
水資源のプロジェクトは、イェール大学が気候に関するアメリカ国内の認識をまとめた地図を見て、思いついたの。どの地域の住民が気候変動を唱える科学者の言葉を信じているか、生活が気候変動に影響を受けていると思うか…それを調査した結果で、地図が赤と青に色分けしてあったわ。テキサス州は赤い塊。ところが南へ下って国境地帯を見ると、青になっている区画が沢山ある。「一体どういうこと? これはリオグランデ川沿いじゃないの」って、びっくりしたわ。農民はもちろん、あの地域の住民にとって水不足は疑う余地のない明白な事実で、気候変動はごく当然の帰結だったわけ。あのプロジェクトで、気候変動をもっと身近に感じてもらえたと思う。事実、気候変動は紛れもなく身近な問題なんだから。
私は去年の10月テキサス州のオースティンにいて、気候変動が原因という洪水に遭遇したの。水処理工場の操業がストップして、先ず水を煮沸するように指示されて、次に、水の使用を控えるように勧告されたわ。ボトル入りの水は売り切れだし、車がないと、隣の郡まで出向いて水を買うことさえできない。あれほど環境に恐怖を感じたのは初めてだった。水が手に入るということは、生活のすごく重要な基盤なのに、手に入らないかもしれないという恐ろしい体験をするまで、当たり前のように思ってるのよね。
そういう意味で、人間は他の動物よりはるかに脆弱なのよね。人間が水なしで生きていられるのは3日程度だけど、犬は1週間くらい。人間はとてもデリケートな動物よ。ほとんどの人は、気候変動の問題はゆっくり忍び寄ってくると思っている。あなたの話は、そのことを教えてくれる好例ね。事実、水とか空気とか、私たちに欠かせないものの場合、環境はあっという間に変化することが多いのに。
私が取り上げているもうひとつのテーマは、水と空気の汚染や毒性なの。今は、あらゆる場所でこの問題が表面化してる。自治体は自分たちの水が安全ではないという報告を聞いて現実に目覚め始めてるけど、問題は多分10年も前から存在してたのよ。例のフリント市の水問題は、ほんの1例に過ぎないわ。私、水道水の煮沸消毒勧告とか、レジオネラ菌とか、最近ほぼあらゆる場所の上水道で検知されるようになった有機フッ素化合物(PFAS)とか、危険情報を受け取るようにGoogleアラートを設定してるの。それを見てると、たった一晩で問題が表出することだってあるし、人種や階級にも関係ない。上流階級のリゾートとして有名なマーサズ ヴィニヤードでさえ、今PFASの問題に直面してるんだから。
PFASの影響は十分に把握されてるの。癌発症率の増大から認識機能障害、もっとキワモノ系のイタリアでの調査によるとペニスのサイズの縮小まで、あらゆる健康被害を引き起こすようだわ。
ジョン・オリバー(John Oliver)とエドワード・スノーデン(Edward Snowden)のインタビューじゃないけど、環境に関して真剣な関心を呼び起こすには、ペニスを引き合いに出すのがいちばんの手段かもしれないわね。また、注目のレポートになるんじゃない?
編集者に伝えておくわ。
あなたは空恐ろしい情報を沢山知ってるのに、ほとんどの人にはそれが見えていない。まるでカサンドラ症候群みたいに、不安や抑鬱を感じることはある?
壁に頭を打ちつけてるような気がすることはあるわ。私自身そういう情報を発信してるのはわかってるけど、気候に関する新刊は読まないことも多いの。気分が悪くなるから。文字通り生命が存続するためには持続的な変革が必要だけど、同時に、問題に取り組もうとしない人たちの気持ちも、私にはよくわかる。実行に移さない理由のひとつは、私たちの理解を越える、はるかに大きな問題だからなの。そのことは、環境問題について書くライターにとっていちばん難しい点でもあるわ。でも、ジャーナリストの役割は変革を起こすことではなくて、人々に情報を説明すること、さまざまな報告をみんなが理解できるように伝えることだと、私は思ってる。そのことを忘れないようにすれば、絶望感がかなり和らぐわね。
紛れもなく身近な問題である気候変動を、もっと身近に感じてもらえたと思う
あなたのように環境危機を認識しているとエコ不安神経症になっても不思議はないけど、その点にはどう対処してる?
大きな問題に目を向けていると、つい最近まで、環境に役立つはずの小さなことを実行するのが難しかったの。例えば、リサイクリングとか…。かなり最近まで、私、リサイクリングをしてなかったのよ。そんなことをしたって、どうせニューヨーク市のリサイクリングの実態はいい加減なものだろうとか、ガラスでも何でもリサイクルする度に品質は劣化するし、プラスチックだって破砕や再処理で品質が低下するから、果たして排ガス抑制につながるかどうかわからない、と考えてた。
だけど、最近になって、そういう姿勢をきっぱり改めたの。精神にとっていちばん有害で、憂鬱を引き起こす要因は、何もかも知ってるくせに何もしないことだと思う。不健全な状態なのよ。少なくとも私は、本当に具合が悪くなる。些細なことを積み重ねても結果は出ないと思ってたし、今でもそう考えてる部分はあるけど…。でも、私はブルックリン植物園の近くに住んでるし、コンポストがそこで使われることを知ってからは、コンポストに協力し始めたわ。とにかくやればいいじゃないかって、考えるようになったの。そうすると、日常の行動への向き合い方が本当に変化したわ。
それは、すごくよくわかる。私自身、構造全体を分析してると、日常生活での選択は取るに足らないように思うことが少なくなかった。だけど、鍵はそこにあるのよね。人々が自然との繋がりを失っていることが、世界の変化に対する認識や理解が損なわれる理由のひとつだわ。繋がりには再生を促す力がある。
そう、「再生」という言葉がぴったりね。物理的に測定しえないレベル、魂のレベルで再生できるの。『Braiding Sweetgrass(邦訳:植物と叡智の守り人 – ネイティブアメリカンの植物学者が語る科学・癒し・伝承)』を読み終えたばかりなんだけど、あなたは読んだ?
いいえ。でも、ジェニー・オデル(Jenny Odell)の素晴らしい新著『How To Do Nothing』に、その本のことが書いてあったわ!
まあ、本当?! 著者のロビン・ウォール・キマラー(Robin Wall Kimmerer)は、アップステート ニューヨークに住んでる植物学者で、ネイティブアメリカンのポタワトミ族の出身なの。彼女の視点には、先住民族の智慧と科学が融合してる。植物に関する限り、基本的には、植物学という科学はまだ先住民族の智慧に追いつこうとしているところね。
本の中にイチゴに関する章があって、イチゴは人と動物に与えられた大地からの贈り物だと教えられて育ったと書いてある。そこから、贈り物に基づいた経済はどんなものになるだろう、贈り物を与えてくれる存在として世界をとらえれば、私たちはどんな行動をとるだろう、って進んでいくの。彼女が提示する枠組みは、国連が発表した新しい報告書と驚くほどぴったり一致してるわ。100万の種が絶滅の危機に直面している状況、資本主義が問題を作り出していること、農民に対する補助金制度は – 例えばハチのように – 無料で花粉を媒介してくれる生物の介在を考慮に含めていない点で財務上の計算がまったく間違っていること、補助金自体が、農民に与える利益より何兆ドルも多大なコストを地球に負わせていること…。
私たちの生活に存在しているあらゆるものは、自然のプロセスに関連している。特に、ほとんどは何らかの方法で植物に関連していることを考えれば、植物園のためのコンポストづくりにだって、繋がりを感じるわ。
ジェニー・オデルの本には、自然の中で精神的な健康が増進する感覚を説明した箇所があるの。特に、そこに生息している樹木や鳥類に親しみがある特定の場所。そして、環境保護が自分自身の保全に他ならないことを痛感する。自分が暮らしている地域で見かけるすべての鳥の名前を覚えるなんて、大多数の人は政治的に意味のある行動とは考えないだろうけど、実際には、そうやってオデルは、はるかに真摯に政治活動に取り組むようになった。地球上の存在が相互に繋がり合っていることを、オデルは心の底から感じてるのよ。
すごく共感する。実は今、植物の知性に関する調査プロジェクトに取りかかってるの。植物学者と植物の関係は、世間一般の人のそれとは根本的に違う。茂みの横を通り過ぎても、ほとんどの人は違いを見分けられないでしょ? それを植物学者は、色を見分けられないカラー ブラインドに倣って、プラント ブラインドだと言うの。動物なら、たとえ小さいものでも、マウスとかラットとか、ちゃんと区別できるのに、植物に関してはそういう認識が普及していない。ほとんどの場合、ただの「緑色のかたまり」ね。だけど植物学者は植物を主体としてとらえるし、植物には選択して、環境に適応して、生存を最適化するさまざまな能力があることを理解してる。つまり、私たちと同じ有機体として、植物を体験するの。
精神にとっていちばん有害で、憂鬱を引き起こす要因は、何もかも知ってるくせに何もしないこと
植物の知性って、例えばどういうもの?
すごく面白いのよ。私が左腕にシダのタトゥーを入れてるのは、たまたま去年、シダのゲノム配列が初めて解読されたからなの。シダのゲノムは人間のゲノムよりはるかに大きさが大きいから、それまで誰も解読できなかった。ともかく、最初にゲノム配列を解読されたのが、アゾラフィリクロイデスという学名の小さな小さなシダ。本当に世界一可愛らしい、親指の爪程度の大きさのシダなの。全体に緑色の鱗に覆われたような外見で、生息しているのは湖や池の浅い水面上の凍結部分。過去に地球に訪れた最後の暖候期の後は、北極圏全域にかけて大量に繁殖して、気候状況を変えるほど大量の二酸化炭素を吸収して、惑星の温度を下げる役割も担ったのよ。
そういうことで植物に興味を持って、植物学者の話を聞くようになって、ここ15年くらいの間に行なわれた植物の知性に関するプロジェクトを研究してるところ。「行動」とか「選択」とか、私たちが当たり前のように使っている言葉の一般的な定義に照らし合わせるなら、植物は完全にその範疇にあてはまるわ。人によっては、植物を私たちと同じ感覚を持つ生物に含めるべきじゃないかって考えてるほどよ。
イネは同類を認識できるわ。仲間に対しては日差しを遮るようなことはしないし、根を張る場所を争うこともない。ところが、関係のない植物の隣に植えると、容赦なく根を広げようとする。本当に唖然とするほど。ハエジゴクは数だって数えられる。木の葉が落ちただけで無駄に葉を閉じたりしないように、昆虫が触れる数で閉じるタイミングを判断するの。雌性植物は受粉した花粉の遺伝物質を判断して、受精するかどうかを選択する。つまり、非常に高度な、人間よりはるかに高度な選択にしたがって交配する。
人類が環境を明確に理解するのは確かに難しいことだけど、世代交代が進行しているのも間違いないわね。もっとも先鋭的な環境保護グループの先頭に立っているのは本当に若い人たち、ジェネレーションZだわ。彼らのスイッチを入れたのは何だと思う? 若者が緊急性を肌身に感じられるのは、なぜなのかしら?
若い人たちは素晴らしい行動を起こしてる。子供たちが不正に対してとても敏感なのと同じで、きっと、問題がはっきり見えるんだと思う。社会という集団の構成員として要求される意識、クールを装うポーズ、夢の挫折…私たち誰もが大人になる過程で通る体験を、まだ経ていない。子供にとっては、ハエを殺すのさえ辛かったりするでしょ?
小さい頃、クモを踏みつぶしたことがあるの。すごく後悔したわ。今でも覚えてる!
そういうこと。気候変動にも、同じ気持ちを感じるんだと思うわ。グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)のステートメントはとても明確だし、ダボスの世界経済フォーラムでの講演では「そこに坐っているあなたたち、あなたたちの面目が潰れても、私は気にしません。私が気にするのは、地球という惑星の生存です」と言ってのけた。個人的な損得や失うかもしれないものに惑わされないで、現在進行していることの公正さと正しさを判断できるのは、人生で唯一、あの時期だけなのかもしれない。ああいうキッズたちのスピーチを聞くだけで、私たちのなかにいる10歳の子供が目を覚ますわ。自分の中にいる10歳の私たちは、公正や正しさを知っているし、これまでも、ずっと知っていたのよ。
Sarah Leonardは、ニューヨーク在住のエディターであり、ライターである
文: Sarah Leonard
写真: Heather Sten
https://www.ssense.com/ja-jp/editorial/culture-ja/a-climate-crisis-master-class-with-the-award-winning-science-journalist-zoe-schlanger

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