先住民族関連ニュース

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アイヌを巡る最新施策を説明 政府が教科書セミナー

2019-07-24 | アイヌ民族関連
教育新聞 2019年7月23日[購読会員限定]
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北海道の先住民族アイヌを巡る施策について、政府が最新の情報を教科書出版社に提供する「令和元年アイヌに関する教科書セミナー」が7月23日、都内で開かれ、今年5月に成立したアイヌ施策推進法や、来年4月にオープンする国立アイヌ民族博物館など民族共生象徴空間「ウポポイ」について説明が行われた。
セミナーは内閣官房アイヌ総合政策室が毎年行っているもので、今回で3回目。……
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https://www.kyobun.co.jp/news/20190723_06/

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浦幌博物館アイヌ遺骨返還へ 6施設、白老に集約

2019-07-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/24 05:00

 十勝管内浦幌町の町立博物館が、保管するアイヌ民族の遺骨1体を浦幌アイヌ協会に返還することが23日、分かった。博物館や研究施設から地元のアイヌ民族団体へ遺骨が返還されるのは初めて。アイヌ民族の遺骨を保管している他の12施設のうち、少なくとも6施設は、来年4月に胆振管内白老町に設けられる「民族共生象徴空間(ウポポイ)」内の慰霊施設に遺骨を集約する方針であることも明らかになった。
 遺骨は近世以降の女性の頭骨や大腿(だいたい)骨の一部。町が1974年、町内の十勝太若月遺跡(縄文早期~擦文時代)の発掘調査で発見した。浦幌町立博物館は、浦幌アイヌ協会で受け入れ環境が整っていることや町立博物館では尊厳ある保管が難しいことなどから返還を決め、8月に再埋葬する。同協会の差間正樹会長は「自分たちの手で埋葬でき、うれしく思う。遺骨を地元で受け入れる流れができれば」と話す。
 同博物館以外で、遺骨を保管していることが明らかになっているのは、道内外の博物館や研究所など12施設。北海道新聞が各施設に今後の遺骨の取り扱いについて聞いたところ、室蘭市民俗資料館など6施設が地元アイヌ協会などと合意の上でウポポイ内に納めると回答。伊達市噴火湾文化研究所と上之国館調査整備センター(檜山管内上ノ国町)は、それぞれ納骨や慰霊できる環境を備えているとして今後も保管を続けると答えた。
 また樺太のアイヌ民族の遺骨を保管するいしかり砂丘の風資料館(石狩市)は、樺太アイヌ協会の意向を踏まえ、ウポポイには納めない方針で、今後の対応を協議中。東京国立博物館は地元アイヌ関係団体への返還も視野に調整している。
 ウポポイへの遺骨の集約を巡っては、一部のアイヌ民族から「遺骨が出土した土地に戻すことが尊厳ある慰霊だ」などと異論もある。博物館などが保管する遺骨について、文化庁は4月から各施設の返還意向などを調査していた。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/328148

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教科書出版社にアイヌ新法説明 内閣官房

2019-07-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/24 05:00
 内閣官房アイヌ総合政策室は23日、小中高校の教科書出版社を対象に、アイヌ民族の歴史や文化を紹介するセミナーを東京都内で開き、今年5月施行のアイヌ施策推進法について説明した。
 2017年から毎年開いており、12社の関係者ら計29人が出席。多くの出版社がこれまで教科書で1997年制定のアイヌ文化振興法を扱っており、今回は新たに制定されたアイヌ施策推進法をテーマに選んだ。
 アイヌ総合政策室の担当者は、新法でアイヌ民族が先住民族として明記されたことや、来年4月に胆振管内白老町に開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の展示概要などを紹介した。(鈴木誠)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/328129

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希少な湿原、観光資源に 天塩・研究者ら調査 市街地近く、独特の植生

2019-07-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/24 05:00
 【天塩】湿地について研究するグループの研究者や学生らを招いた「ウェットランドセミナーin天塩」(町、天塩かわまちづくり協議会主催)が町内で開かれ、天塩川河口域の湿原でフィールドワークを行った。学生らが「テセウ湿原」と呼ぶ、地元でも知られていない湿原だが、希少性の高いアカエゾマツが生育するなど特徴的で、研究者からは「観光振興に役立つのでは」との提言もあった。
 研究グループ「ウェットランドセミナー」は札幌などの研究者らで構成し、毎月1、2回、札幌などで勉強会や情報交換を行っている。天塩では初めてで、今月11日に開いた。北大農学部大学院の山田浩之講師や酪農学園大の吉田磨教授ら研究者、学生ら15人と町民ら計24人が参加した。
 フィールドワークは、北大天塩研究林(幌延町)の小林真准教授の案内で、天塩川東岸の町川口地区にある国有林内の湿原を歩いた。
 小林准教授は湿原について、大学院生がリポートの中で、天塩の地名の由来であるアイヌ語「テセウ」から「テセウ湿原」と非公式に「命名」したことを紹介。泥炭やコケが多いほか、アカエゾマツの樹高が他の地域に比べて低いなど独特の特徴があり、希少性が高いことなども説明した。
 アカエゾマツの樹高が低いのは、土壌が豊かではない環境で育つためとみられる。成長が遅い一方、緻密な年輪を持つ特徴がある。その堅さから、戦前には道外の業者がこの湿原のアカエゾマツを使い、バイオリンを製作するなど、楽器材として珍重された時期もあったことも紹介された。
 小林准教授は「市街地から車で10分と近いところにこれだけ立派な湿原があるのは珍しい。歩道を整備したり、フットパスを設けたりすれば、観光振興に役立つのでは」と提案した。
 フィールドワーク後に町内で行われた意見交換会では、町民から「存在自体知らなかった。こんなに近くにあるとはびっくり」という声が上がった。学生からは「思ったより乾燥し、ササが多かった。近くの農地造成によって乾燥化が進んでいるのでは」といった意見が出た。(福田講平)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/328061

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安否不明者の公表 国に基準作成提言 全国知事会議が開幕

2019-07-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/23 12:25
 全国知事会議が23日、富山市で2日間の日程で始まった。同日午前は、昨年に大規模災害が相次いだことを受け防災について議論。被災者の円滑な救助などのため、国に対し安否不明者の氏名を公表する際の統一基準を求める提言をまとめた。
 昨年の胆振東部地震などの大規模災害では、プライバシーの保護などを理由に自治体が一部の安否不明者らの氏名を公表しなかった。公表されれば、住民からの情報が集まり効率的な捜索活動につながることが期待され、そのあり方が課題となっている。23日の会議では安否不明者の氏名公表について「円滑な救助・救急活動の実施などの観点から、全国統一的な公表基準を作成すること」を国に提言した。
 一方、就任後初めて出席した鈴木直道知事はあいさつのなかで、来年4月に開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」をPR。「みなさんの協力で年間来場者100万人という目標を達成したい」と訴えた。
 会議に先立ち、火山を抱える22都道県の知事で構成する火山防災強化推進都道県連盟も設立された。同日午後には東京一極集中の是正や人口減少対策について協議が行われる。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/327912

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先祖を思い丸木舟悠々 勇払川 苫小牧アイヌ協会

2019-07-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/23 13:02 更新
 【苫小牧】苫小牧アイヌ協会は21日、アイヌ民族伝統の丸木舟「チプ」による川下りを市内の勇払川で行った。苫小牧と千歳で制作・保存されている2隻に地元や千歳などの7人が乗り込み、河畔林に囲まれた流れにさおを差し入れて先祖の姿に思いをはせた。
 操船技術の継承が目的で23回目。地元と千歳、恵庭両市、胆振管内むかわ、日高管内新冠両町のアイヌ関係団体から約60人が集まり、出発前には河畔で安全を祈るカムイノミを行った。
 勇払川はかつて胆振地方と石狩地方を結ぶ交通路の一部をなし、ダイナミックな交易活動を営んだアイヌ民族や、和人の舟がサケなどの物資を積んで行き交った「川の道」。この日はカツラとバッコヤナギの大木で作った長さ約5~7メートルの2隻を連結し、ウトナイ湖下手の沼ノ端橋から約3キロを40分ほどで下った。
 2度目の乗船で初めて船頭を務めた千歳市の川浪一輝さん(16)は「場所ごとに水深が違って操船は難しかった」としつつも、無事下り終えて手応えを感じた表情。苫小牧アイヌ協会の沢田一憲会長(64)は「舟は水に浮かべてこそ。今後も隻数を増やして続けられたら」と語った。(中川大介)
☆「チプ」の「プ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/327739

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アマゾン奥地で生きる先住民族を捉えた映像公開

2019-07-24 | 先住民族関連
テレ朝[2019/07/24 07:17]
ブラジルのアマゾン奥地で社会と隔絶したなかで生きる先住民族の様子を捉えた映像が公開されました。
 大きなナイフを持った男性がカメラに気付いたのか警戒して身をかがませます。アマゾンの熱帯雨林で伝統的な暮らしを続ける、アワ族と呼ばれる先住民が狩りをする様子を捉えた映像が公開されました。映像を公開した先住民の権利保護を訴える団体によりますと、アマゾンの奥地では今も社会との接触を断っている多くの先住民がいる一方、彼らが生きるために必要な熱帯雨林が違法な開発で次々に失われていると訴えています。ブラジルではボルソナロ大統領が訴える経済成長優先の政策で、アマゾンでの不法伐採や開拓による森林破壊が急速に進んでいます。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000160345.html

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研究に患者が参加する意義=聖路加国際大教授 中山和弘

2019-07-24 | 先住民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2019年7月24日 東京朝刊
 医療者が患者と情報や価値観を共有し、患者の自己決定を支援することを意味する「シェアードディシジョンメーキング」(協働的意思決定など)の国際学会に参加しました。開催地のカナダ・ケベックシティーは、世界遺産でもある美しい石畳の旧市街や虹がかかる巨大な滝があり、その多彩な魅力は、多様性を尊重する国づくりを象徴するようでした。カナダの国名の語源は、先住民族の言葉で「村落」や「住居」を意味する「kanata」で、そこに住むすべての人が平等に社会参加する多文化主義を掲げています。
 今年のテーマは、「患者指向のシェアードディシジョンメーキング研究」でした。患者不在での意思決定はし…
この記事は有料記事です。
残り711文字(全文998文字)
https://mainichi.jp/articles/20190724/ddm/016/040/004000c

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』世界興収歴代1位に!抜かれた『アバター』ジェームズ・キャメロンが祝福

2019-07-24 | 先住民族関連
シネマトゥデイ 2019年7月23日 14時06分

アイアンマンおめでとう! - 画像は『アバター』海外版公式Instagramのスクリーンショット
 映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』が長年王座に君臨してきた『アバター』(2009)を抜いて世界興行収入1位になったことを受け、現地時間22日、ジェームズ・キャメロン監督が祝福のメッセージを発表した。
【動画】アイアンマンがふざける!『アベンジャーズ/エンドゲーム』MovieNEX予告編
 『アバター』の公式InstagramやTwitterには、同作の舞台である衛星パンドラに暮らす先住民族ナヴィが崇める「魂の木」から祝福を受けるアイアンマンのビジュアルが。キャメロン監督は「新たなボックスオフィスの王となった『アベンジャーズ/エンドゲーム』、おめでとう」と温かい言葉を贈った。
 巨匠からの祝福に『エンドゲーム』のメガホンを取ったルッソ兄弟も感激したようで、キャメロン監督にTwitterで返信。「あなたは、僕たちがそもそも映画と恋に落ちることになった大きな理由です。いつも僕たちをインスパイアしてくれて、そして何が可能かということに対して世界の目を開かせてくれてありがとうございます。あなたが僕たちを次にどこへ連れて行ってくれるのか、待ち切れません」というメッセージと共に、『ターミネーター』『エイリアン2』『タイタニック』『アバター』というキャメロン監督作を観て興奮する二人のシルエットを加えた画像もアップしている。
 Box Office Mojo によると、21日までに『アベンジャーズ/エンドゲーム』の世界興収は27億9,059万1,417ドル(約3,070億円)に到達し、約10年にわたって世界興収ナンバー1だった『アバター』(27億8,967万9,794ドル・約3,069億円)を抜き去った。(1ドル110円計算)
 マーベルは20日、米サンディエゴで開催された「コミコン・インターナショナル2019」でブラック・ウィドウ単独映画や『ドクター・ストレンジ』の続編、『マイティ・ソー』シリーズの第4弾をはじめ“フェーズ4”以降の新作映画ラインナップを一挙発表。一方のキャメロン監督も、『アバター』第2弾を2021年12月17日、第3弾を2023年12月22日、第4弾を2025年12月19日、第5弾を2027年12月17日に全米公開する予定で、今後もマーベルとキャメロン監督は映画界を盛り上げ続ける。(編集部・市川遥)
https://www.cinematoday.jp/news/N0110135

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台湾のチームに中国の「五星紅旗」を用意 ポーランドの芸術イベント

2019-07-24 | 先住民族関連
中央フォーカス台湾 2019/07/23 16:04
(台東 23日 中央社)ポーランドで開かれた国際児童フェスティバルの開幕式で、主催者側が台湾からの参加チームに中国の「五星紅旗」を用意していたことが23日までに分かった。チームは持参していた中華民国国旗を掲げて入場行進を行った。
同フェスに参加したのは、台湾東部の離島・蘭嶼の椰油小のパフォーマンスチーム「小飛魚文化展演隊」。児童のほぼ全てが台湾原住民(先住民)タオ族である同校は蘭嶼の伝統的な歌や踊りの発展を重視しており、チームはこれまでに台湾内の多くのイベントに出演、賞を獲得している。同フェスには主催者側からの招きを受けて参加した。
同チームは22日、フェイスブックで事の顛末を説明。主催者側は全ての参加国に国旗を用意しており、受け取った国旗を開いてみると五星紅旗だったという。「自分たちの国旗を自分で準備していたから良かったが、そうでなかったら退席して抗議をしていたかもしれない」と心境をつづった。投稿された開幕式の写真には、中華民国の青天白日満地紅旗が写っている。
同フェスはポーランドのノビ・ソンチで21日に開幕。28日まで開かれる。
(李先鳳/編集:名切千絵)
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201907230004.aspx

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縄文人のゲノムが現代人並みに解読された

2019-07-24 | アイヌ民族関連
論座 2019年07月23日 
古代人の顔つきばかりか、体質や性格までもが分かる時代に
米山正寛 朝日新聞記者(科学医療部)

船泊遺跡の23号人骨の頭骨=いずれも国立科学博物館提供
 縄文人が核に持っていた全ての遺伝情報(ゲノム)が、国立科学博物館など国内7機関の共同研究で初めて現代人並みの高精度で解読され、その結果が日本人類学会の英文誌Anthropological Scienceで公表された。解読の対象となったのは、北海道礼文島にある船泊遺跡から1998年の発掘で出土した、約3500~3800年前(縄文時代後期)の23号人骨(女性)だ。解読成功の話はすでに昨年から断片的に伝えられていたが、論文の公表を機に、ここから何が得られて、今後にどんな展開が待ち受けているのかを、改めて整理してみたい。
現代人・古代人のゲノム研究の主な経緯(国立科学博物館による)
2003年  国際協力による現代人のゲノム完全解読完了
2010年  日本人のゲノム完全解読
2014年  ネアンデルタール人のゲノム完全解読
2016年  縄文人(三貫地遺跡)のゲノム一部解読
2019年  縄文人(船泊遺跡)のゲノム完全解読
DNAの保存状態が良かった船泊遺跡の23号人骨
 ゲノム解読に当たって必要なのは保存状態の良い核のDNAだ。現代人なら皮膚や血液からすぐに新鮮なDNAを得られるが、古代人に関しては人骨が置かれていた条件によってDNAの状態は大きく異なる。状態の良いDNAが、全ゲノムの5%ほどから得られれば、まずまずというレベルらしい。一般には寒冷地の方が状態が良いとされ、船泊遺跡の23号人骨に関しても、ほぼ日本最北の地という立地が幸いして、現代人並みに高精度の解読ができたそうだ。もちろん土壌や湿度などミクロな環境条件も関わっており、同じ遺跡の中には、ずっと状態の悪かった人骨もある。23号人骨の大臼歯を使って、細胞のミトコンドリアDNAを先行して調べていた安達登・山梨大学教授(法医学)は「私たちの研究で状態の良さが確認されていたため、残っていたサンプルから核のDNAを抽出し直して分析した」と説明する。
 データの解析に当たった国立科学博物館人類研究部の神澤秀明研究員と篠田謙一部長は、主な成果として次の5点を記者会見で挙げた。それらを順番に説明していこう。
縄文人ゲノム完全解読の主な成果
① 現代日本人が縄文人から受け継いだDNAの割合が分かった
② アジア人集団における縄文人の祖先の起源がはっきりしてきた
③ 縄文人の祖先集団の人口動態が明らかになった
④ 個々の縄文人が持つ遺伝的な特徴をつかめるようになった
⑤ HLAクラス1の配列を決定した
本土日本人はゲノムの10%が縄文人由来
① 現代日本人が縄文人から受け継いだDNAの割合が分かった
 東京在住者に代表される本土日本人のゲノムの約10%が縄文人に由来すると推定できた。また北海道のアイヌ民族の人々は7割くらい、琉球の人々は3割くらいを受け継いでいると考えられた。これらの割合について、神澤さんは「従来、形態的な特徴などの研究から言われていたこととほぼ一致した」と話す。
② アジア人集団における縄文人の祖先の起源がはっきりしてきた
 縄文人は漢民族に代表される大陸のアジア人集団と比較的古い時期に分かれ、それは約3万8000年前から約1万8000年前までの間とみなすことができた。少し幅があるが、最近は縄文時代を約1万6000年前~約3000年前の間と考えるようになっており、それより前だということに意味がある。つまり縄文人の祖先集団は、縄文時代に入る前の旧石器時代末には集団として確立していたことになる。「旧石器時代人と縄文人は日本列島の中でつながっており、列島内にいた人たちが縄文土器を作り始めて縄文時代が始まった」と篠田さんは考えている。
 ただ、縄文人の遺伝的要素を持つ人々は日本列島のみならず、ロシア沿海州、朝鮮半島、台湾など東アジアの沿岸部に少なからずいることも分かってきた。こうした要素を持つ人たちが大陸沿岸部に分散する中で一部が日本列島へ渡ってきた可能性が高そうだが、現状では日本列島の縄文人が大陸沿岸部に広がった可能性も否定できない。
③ 縄文人の祖先集団の人口動態が明らかになった
 ゲノム情報を活用した統計的な分析から、過去5万年にわたり縄文人集団の規模は小さいままで推移してきたと推定できた。縄文人につながる人々が日本列島へやって来たのは早くとも約4万年前なので、それ以前の大陸にいた時代から人口の増加はあまりなかったらしい。これは狩猟採集生活を送っていたことと関係するとみられ、同じような人口動態を示す例として挙げられるのは現在の南米先住民族だという。比較的早くに農耕生活を始めた漢民族などで、集団の規模が爆発的に膨らんでいったのとは大きく異なる。
遺伝的な特徴を盛り込んで復顔像を作製
④ 個々の縄文人が持つ遺伝的な特徴をつかめるようになった
 外見的に分かる遺伝的特徴を取り込んだ23号人骨の復顔像は昨年、科博が開いた特別展「人体」において初めて公開された(今年のNEWS 展示「北海道縄文人の全ゲノムを完全に解読」でも公開)。肌の色は濃いめでしみができやすい、髪の毛は細くて巻きぎみだった、目の虹彩の色は茶か黒、といった具合だ。このほか、前歯がシャベル型になる程度は弱い、耳あかは湿ったタイプ、血液型はA型でRh+、などという特徴もつかめた。アルコールやアルデヒドの分解に関わる酵素は活性型で、生活の中でお酒を飲む機会があったかどうかは分からないが、お酒に強い体質の人だった。
 注目されたのは、この23号人骨の女性が、CPT1A(カルニチンパルミトイル基転移酵素1A)欠損症という、現代では脂肪の代謝に関連する疾患とみなされる遺伝的変異を持っていたことだ。この変異は、23号以外の船泊遺跡人骨からも見出された。「エスキモーやイヌイットなど極北の地でアザラシなど海獣類を対象に狩猟生活を送ってきた人たちの中には、この変異が高頻度にみられる」と神澤さんは説明する。高脂肪食を摂る人々の集団ではこの変異が有利に働くようで、正の自然選択がかかるからだ。篠田さんは「船泊遺跡の人たちが海獣類を多く食べていた考古学的証拠と整合性がある。考古遺物とゲノムのデータが一致した、おそらく初めての例だ」と話す。船泊遺跡からは、もっと南の海域に生息する貝を使った装身具も出土しており、縄文人が広域の交易をしていた点でも注目される。
⑤HLAクラス1の配列を決定した
 HLAは白血球の血液型として発見された。クラス1は白血球のみならず、ほぼすべての細胞にあって、自他の認識や免疫の反応に関わる重要な分子だ。そもそも複雑な構造をしているのでDNA配列を知ることは特に難しいそうだが、それにも成功した。23号人骨はそっくり同じタイプを2組持っていたため、両親から同じタイプを引き継いだと言える。
アジアの古代人ゲノム研究における基本情報
 完全解読に成功し、こうした成果を生んだ23号人骨のゲノムについて、篠田さんは「この縄文人ゲノムの解読は、日本列島をめぐるゲノム研究へ過去にさかのぼる時間軸を与える成果だ。アジアの古代人ゲノムの研究で、常に参照される基本のゲノム情報になる」と意義を強調する。
 ただ、ここまで説明を受けて、北海道の離島で主に海獣などを食べて暮らしていたという船泊遺跡の人たちは、本州の多くの縄文集落で暮らしていた人たちとは違うのではないか、という疑問を持つ人もいるだろう。筆者も真っ先に「船泊遺跡の人が縄文人の代表と言えるのか」と尋ねてみたが、答えは「縄文人は、遺伝的には現代の東アジア集団からは明確に区別しうる集団で、船泊縄文人はその一員だ」とのことだった。
 グループは完全解読ではないにしろ、2016年に一部解読を報告した福島県・三貫地遺跡の人骨など、すでに約100体もの縄文人骨からDNAを抽出して解析してきた。それらのデータを船泊遺跡の23号人骨と比較すると、ライフスタイルはとても違っているように思えても、23号人骨と他の縄文人骨との間に、海獣食に適応したCPT1A欠損症以外は特別な違いを見いだせないのだという。篠田さんは「船泊遺跡の考古遺物からは、特殊な縄文人がいたように見える。だが、そう見えるだけで、実際には日本列島にいる他の縄文人と同じだということが、これからもっと分かってくるだろう」と考えている。
 今回の発表は、昨年度に始まった新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」(ヤポネシアとは、日本列島とその周辺を指す言葉)の成果でもあり、その代表者を務める斎藤成也・国立遺伝学研究所教授も「こんなに良い状態のゲノムは、将来にも出てこないかもしれない。まさにザ・縄文人だ!」と今回の解読結果を礼賛した。
縄文人の起源や現代日本人の成立過程の研究に大きなはずみ
 解読された縄文人ゲノムをもとに、今後はどんな展開が予想されるのだろうか。
 遺伝子の持つ意味は現代人も古代人も共通する。従って、現代人のゲノム解析が進めば、外見だけでなく、「病気、体質、性格、能力といった古代人の遺伝的な特徴がさまざまに分かってくる」と神澤さん。23号人骨の女性も顔つきは分かったが、さて、明るい?暗い?どんな性格の人だったのか、何が得意だったのか、どんな病気を持っていたのか……。そんな縄文人一人一人の姿が、鮮やかに描き出される日も遠くない予感がする。
 今回、CPT1A欠損症の変異を検出したが、日本人における他の遺伝的疾患がいつごろからもたらされたのかも、多くのゲノム解読結果が積み重なる中で分かってくるはずだ。HLAは免疫関連の疾患など、様々な病気との関わりも指摘されており、治療などに結びつく有益な情報が長いタイムスケールの中から得られる可能性がある。
 これまで縄文人の起源について、人骨の形態などの研究では主に南方起源説が唱えられ、一方、現代人の遺伝情報をもとにした研究では北方からの影響も強かったとされ、はっきりしたことは言えていない。今回分かった縄文の要素を持つ人々の分布から、大陸の沿岸から人々が渡ってきた可能性が高まってきており、大陸側の古代人骨や現代人でゲノム解析が進めばもっと多くのことが言えるようになるだろう。
 「ヤポネシアゲノム」の研究では今後、日本列島の弥生時代や古墳時代においても古代人ゲノムの解読が進められる。そうした時代の人々でも高精度の解読結果が導かれ、そこに縄文人がどんな影響を残しているのかが分かってくれば、日本列島に暮らす人間集団の形成について、さらなる研究の展開も生まれるだろう。
 北海道礼文島に生きた一人の縄文人女性。そのゲノム解読結果が、日本の古代人ゲノム研究に大きな弾みをつけようとしている。
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019071500005.html

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