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<ワールドナビ>トナカイ遊牧再起へ奮闘 サハリン先住民族ウイルタの8人 密猟で絶滅の危機/伝統的生活での生計困難

2019-09-08 | 先住民族関連
北海道新聞 09/08 05:00
 ロシア・サハリン北部のタイガの森を転々として暮らす先住民族ウイルタのトナカイ遊牧民が、存続の瀬戸際に立たされている。伝統的な生活で生計を立てるのは難しく、密猟でトナカイも全滅寸前に追い込まれたためだ。だが、2年前からトナカイを大陸から導入して数を増やす取り組みを始めるなど、伝統の生活を守ろうと奮闘している。(サハリン北部で細川伸哉、写真も)
■飼育数増やし後継者育成
 サハリン北部の町ノグリキから北へ150キロ。途中から干潟を四輪駆動車で走り、さらに車では進めない湿地を約1時間歩いて「トナカイ村」を目指した。
 村には遊牧民が寝泊まりする小さいテントが一つ。一帯はハイマツと低木だけの乏しい植生で、厳しい自然環境を物語る。「今年は秋が早い。次の遊牧地に向け、トナカイたちを集めているところだ」。チモフェイ・ボルズノフさん(48)が笑顔で迎えてくれた。
 ボルズノフさんらは、サハリンの約400人のウイルタのうち、唯一、現在もトナカイの遊牧を続ける団体「ユクテ」の構成員。40~69歳の計8人が2カ所に分かれ、年間を通じてテント生活を送っており、自宅がある町に戻るのは月1回程度。冬期間はトナカイそりでの移動だ。
 ボルズノフさんは10歳の時、祖父からトナカイの扱い方を習ったことを今も心のよりどころにしている。「いつもトナカイを気遣い、心を通わせるように心がけている。タイガの森が自分を呼んでいる」
 ノグリキ郷土博物館のタチヤナ・カルターブフ館長(67)によると、旧ソ連時代、サハリンにはトナカイの肉や毛皮を製品にするソフホーズ(国営農場)が3カ所あり、先住民族約300人が1万頭以上のトナカイを遊牧していた。遊牧を生業としてきたウイルタの暮らしを国が農業生産に利用した形だが、伝統的生活の維持につながった。
 だが、1991年の旧ソ連崩壊後、ソフホーズ解体で給料が出なくなり、遊牧をやめる人が相次いだ。野生となったトナカイは密猟の格好の的となり、10年前には姿が見られなくなった。
 その結果、サハリンのトナカイはユクテが飼育する群れだけとなり、近親交配が繰り返され、死産などが増加。2年前、数は過去最低の100頭まで減った。ユクテ副会長のガリーナ・マカロワさん(69)は「残ったトナカイを処分し、遊牧を放棄することも話し合った」と振り返る。
 しかし長老から励まされ、昨年と一昨年、極東のサハ共和国から計60頭のトナカイを導入。サハリン北部で石油開発を行う外資系企業が伝統的生活の支援として補助した。おかげで今春生まれたトナカイの子は健康だ。今年7月にはウイルタやニブフの子ども12人がサハ共和国を訪れ、大規模な遊牧生活に触れるなど後継者育成にも力を入れる。
 サハリンの先住民族には伝統的な利用目的でサケ・マスを年1人300キロまで捕獲する権利が与えられ、遊牧生活の食費の一部は州政府が補助。ただ、トナカイ遊牧の収益はゼロで、ボルズノフさんらの現金収入は町に戻った際のアルバイト代などに限られる。
 ユクテ最年少のエフゲニー・ウラジミーロフさん(40)は「都会生活で地位のある仕事に就くのは頑張れば誰でもできるが、トナカイ遊牧は自分たちにしかできない。息子たちにも伝えていく」と力強く語った。
<ことば>サハリンの先住民族 ニブフ約3千人、ウイルタ約400人など計約4千人が主にノグリキやオハなど北部で暮らす。州政府や石油関連企業は文化伝承や生活の支援を行っているが、先住民族の収入はサハリン平均の半分ほどとされる。1945年の太平洋戦争後、サハリン南部に暮らした樺太アイヌと一部のウイルタ、ニブフは日本人と共に「引き揚げ」の形で北海道などに移住した。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/342557

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2年ぶり食の祭典「サーカス」開幕 「胆振東部」被災地支援感謝企画も

2019-09-08 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/08 05:00
 7日にJR函館駅周辺で開幕した食の祭典「はこだてグルメサーカス2019」。昨年は胆振東部地震の影響で中止し、2年ぶりの開催で、同日は9万9千人が訪れた。日高・胆振の自治体や飲食店が復興支援に感謝する特別企画「ニッタンサンクス!フェア」が注目を集め、被災地の特産品を使ったグルメや、アイヌ民族の古式舞踊などが、多くの来場者を楽しませた。
 同企画のスペースでは、胆振管内厚真町特産のハスカップを使ったクレープや名物「あづまジンギスカン」などに長い列ができた。家族でジンギスカンを食べた七飯町の主婦小林史絵さん(37)は「お肉が厚く、食べ応えがあっておいしい。子供もぺろりと平らげました」と目を細めた。
 ステージでは白老民族芸能保存会の会員が、アイヌ民族の伝統楽器ムックリの演奏と、鶴の親子や狩りの様子を表現した舞などの古式舞踊を披露した。
 また、今年は青森市と函館市の「青函ツインシティ」提携30周年を記念し、青森ねぶたを展示。ねぶた祭りのステージは、お囃子に合わせて踊り手の「跳人」が跳びはね、観客も「ラッセラー」と声を張り上げるなど会場を盛り上げた。
 グルメサーカスは函館市や北海道新聞函館支社などでつくる実行委が主催。8日は午前10時~午後4時。(菊池真理子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/342526

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シャクシャイン慰霊のリレー 長万部を出発 多民族共生願い込め

2019-09-08 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/07 19:38 更新
 【長万部】アイヌ民族の英雄シャクシャインが350年前、松前藩と戦った経路をたどる「慰霊のリレー」が7日、主戦場となった渡島管内長万部町を出発点に始まった。地元の小中学生や関係者が、アイヌ文様の刺しゅうの入ったパッチワークをたすき代わりに当時と同じ波打ち際を歩いた。
 シャクシャインは1669年、松前藩による不平等交易で困窮したアイヌ民族約2千人を率い、日高管内新ひだか町から向かった長万部町で同藩と戦った。日本近世史で最大の民族衝突とされ、シャクシャインを含む多くの犠牲者が出た。
 慰霊のリレーは長万部町と北海道アイヌ協会が企画。新ひだかまでの太平洋岸240キロを「シャクシャインロード」と名付け、通過する13市町を徒歩と船でつなぐ。新ひだかで23日に開かれるシャクシャイン法要祭でのゴールを目指す。
 長万部の「古戦場跡碑」を出発した参加者らは、公募により道内外26市町から集まったアイヌ文様の刺しゅうをつなぎ合わせたパッチワークを手に、戦没者へ思いをはせながら砂浜を歩いた。出発前の安全祈願祭で、アイヌ協会の大川勝理事(新ひだかアイヌ協会会長)は「戦いの歴史を語り伝えるとともに、多民族共生社会の実践の一つとなることを切に願う」とあいさつした。(古田佳之)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/342461

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道の「人権施策基本方針」、16年ぶり見直し検討

2019-09-08 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/07 05:00
 道は6日、基本的人権が尊重される社会づくりを掲げた「道人権施策推進基本方針」について、2003年の策定以来初めてとなる見直しの検討を始めた。アイヌ民族を先住民族と位置づけたアイヌ施策推進法の施行、性的少数者(LGBT)への配慮を求める声の高まりなど、社会情勢の変化と照らし、基本方針の追加や変更を行う予定。
 現行の基本方針は、女性、子ども、高齢者、障害者、アイヌの人々、外国人―などの項目に分かれ、それぞれの「現状と課題」と「施策の展開方向」を列記している。ただ、アイヌ民族やLGBTを巡る課題のほかにも、子どもの貧困、外国人材の受け入れ拡大など、方針策定時とは異なる状況が生じている。
 6日、知事をトップとする道人権施策推進本部と、課長級で構成する幹事会をそれぞれ開き、各部の担当課ごとに点検を開始。12月末までに各課からの結果を取りまとめた上で、見直し作業に移行するという。(高橋澄恵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/342335

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