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「騎馬民族征服説」はどうなった?

2019-09-09 | アイヌ民族関連
デイリーBOOKウォッチ 2019/9/ 7

書名 考古学講義
監修・編集・著者名 北條芳隆 編
出版社名 筑摩書房
出版年月日 2019年5月 7日
定価 本体1000円+税
判型・ページ数 新書判・350ページ
ISBN 9784480072276
 大昔の日本列島はどんな社会だったのか。かつての「考古常識」はどう変わったのか。本書『考古学講義』(ちくま新書)には「考古学の最先端がこの一冊でわかる」というキャッチコピーが付いている。私たちのルーツについて、知識のバージョンアップを図りたい人向けの一冊だ。
日本語は孤立的言語
 全体は3部に分かれている。「Ⅰ 旧石器・縄文時代」「Ⅱ 弥生時代」「Ⅲ 古墳時代」。それぞれがさらに小分けされ、「列島旧石器文化からみた現生人類の交流」「縄文時代に農耕はあったのか」「土偶とは何か」など14講のテーマが並ぶ。編者は北條芳隆・東海大学文学部教授。テーマごとに気鋭の研究者が解説を担当している。
 印象に残ったところを紹介しよう。
 まず「アイヌ文化と縄文文化に関係はあるか」。答えから言うと、「縄文人の遺伝子的な特徴はアイヌ、沖縄人、本土人の順に強く認められ、わずかながら朝鮮半島の人びとにも認められる」。
 ユーラシア大陸で話されている言語は2500以上ある。その中で、同系関係がたどれない孤立的言語は9つにすぎず、うち4つが日本列島の周辺にある。アイヌ語、日本語、朝鮮語、サハリンのニヴフ語だという。アイヌが縄文の古層を色濃く残す人びとということであれば、アイヌ語が古層の言語の特徴を最も強く残している可能性がある。「アイヌこそがやまとことばを伝える人びと」という仮説も成り立ちうることを知る。さらなる「学際的な研究が求められる」としている。
 最近、『地図でみるアイヌの歴史――縄文から現代までの1万年史』(明石書店)や、『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』 (集英社新書)などアイヌ関係の出版物が目立っている。来年は北海道に国立アイヌ民族博物館も開館する。研究の進展が期待できそうだ。
「馬」はどこから来たか
 戦後間もなく日本社会に衝撃を与えた江上波夫氏の「騎馬民族説」についても書き込まれている。学界では既に退けられている説だが、本書ではそのキーポイントになった「馬」について熟考している。1990年代に入って韓国で発掘調査が急増、多数の馬具が出土した。中国東北部についても2000年代に入って情報公開が進んだ。
 本書は、これらの史料から、日本列島の古墳から見つかる馬具の直接的な系譜は朝鮮半島南部に求められるとする。しかし、騎馬文化が特定地域からの征服活動(または逆)によってもたらされたという見方に対しては否定的だ。あくまで、倭の社会における需要の高まりを前提とし、倭が朝鮮半島の様々な地域と主体的に交渉した結果、馬が流入したと見る。
 この時期に日本列島に持ち込まれた馬の飼育状況の遺跡などから、飼育自体は故地で馬匹生産に従事していた馬飼集団の渡来によって達成されたが、和人・渡来人の雑居の中で協業によって飼育されていたと考えている。
 そういえば、『公文書館紀行(第二弾)』(丸善プラネット)によれば、神奈川県山北町にある「武尾家本家資料館」の武尾家は、百済系の渡来人「馬氏」に由来し、朝廷の馬に関する職務に就いていたそうだ。本書の記述と重なるところがある。
 当時、日本列島が馬の導入を急いだ背景には、南下を図って膨張する高句麗の存在があったという。倭は5世紀初頭、高句麗の騎馬軍団に大敗しており、態勢の立て直しが急務だったと推測できる。倭も馬が欲しかったのだ。このあたりは『戦争の日本古代史――好太王碑、白村江から刀伊の入寇まで』(講談社現代新書)にたっぷり書かれていた。古代の日本列島に渡来人が増えたことは『渡来人と帰化人』(角川選書)に詳しい。
旧石器捏造事件から20年近く
 本書執筆の動機について編者の北條さんは2000年秋に発覚した旧石器捏造事件を挙げている。なぜインチキを見破れなかったのか、と各方面から指摘された。「層位学」と「型式学」を軸とした考古学の研究方法自体も大きなダメージを受けた。あれから相当の時間が過ぎて、その間に新たに科学的な分析法も開発された。特に材料分析の発展は著しい。遺伝子情報の解析も飛躍的に進んだ。東アジア全体、あるいは地球規模で問題を把握する方向性も定着した。そうした潮流を踏まえ、最新の研究成果を盛り込んだのが本書だという。
 本書には「縄文時代に農耕はあったのか」「弥生文化はいつ始まったのか」「鏡から古墳時代社会を考える」「出雲と日本海交流」など興味深いテーマが並んでいる。
 本欄では、本書と同じように最新考古学を概説したものとして『ここが変わる! 日本の考古学』(吉川弘文館)を紹介している。科学的な分析手法の進展については『文化財分析』(共立出版)を取り上げた。弥生時代の最大級集落については『ヤマト王権誕生の礎となったムラ 唐古・鍵遺跡』(新泉社)、古代の鏡については『古鏡のひみつ――「鏡の裏の世界」をさぐる』(河出書房新社)、韓国に残る前方後円墳については『古代韓半島と倭国』 (中公叢書)を紹介済みだ。
https://www.j-cast.com/bookwatch/2019/09/07009714.html

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河北春秋

2019-09-09 | アイヌ民族関連
河北新報(2019.9.7)
 北海道むかわ町を流れる鵡川(むかわ)の上流に「大崩れ」と呼ばれる場所がある。昔、盗賊集団が通り掛かった時、赤い鉢巻きの女神が踊っていた。盗賊は感謝し、その場に野宿する。すると、夜中に崖が崩れて…▼岩石に埋まった盗賊の魂はマムシになった。だから、この土地にマムシが多くなったという。『北海道の伝説』(更科源蔵・安藤美紀夫著)にあるアイヌ民族の伝承である▼アイヌ伝承は自然災害に関係した話が多い。専門家によると、鵡川流域は崩れやすい岩があることから、災害を伝えるための伝説と考えられるという。伝説の舞台となったむかわ町や隣接する厚真、安平町で大きな被害が出た北海道地震からきのうで1年になった▼関連死を含め44人が死亡。今も3町の約420人が仮設住宅に暮らす。被災者は少しずつ生活再建を進めているが、心配されるのは心のケア。大切な人や家を失った悲しみが消えない▼アイヌ語で「こんにちは」は「イランカラプテ」。直訳すると「あなたの心にそっと触れさせていただきます」の意になる。「育て合う」を意味する「ウレシパ」という言葉も使われた。神である自然と共生し、他人を大切に思い、助け合いながら生きてきたアイヌの人々。心の復興を支援するため、その精神を生かせればと思う。
https://www.kahoku.co.jp/column/kahokusyunju/20190907_01.html

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アイヌらがサケ漁規則改正要望へ

2019-09-09 | アイヌ民族関連
共同通信 2019年9月7日 / 19:00 / 2日前
 アイヌ民族の男性が北海道紋別市の川で、サケ漁は認められた先住民族の権利だとして、道が規則で定める許可申請をせずに儀式のためのサケを捕獲し、道警の取り調べを受けていることを巡り、アイヌや学者らでつくる市民団体が、規則を改正するよう近く道知事などに意見書を提出することが7日、分かった。
 提出するのは「アイヌ政策検討市民会議」。意見書では、先住民族の権利は、国際人権規約や人種差別撤廃条約などで保障され、漁も文化享有権の一つとして認められていると指摘。憲法で国際条約などの順守を定める日本が「アイヌの権利回復について議論すらしていない」と批判する。
https://jp.reuters.com/article/idJP2019090701001962

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サケ漁は先住民族の権利とアイヌらが規則改正要望へ

2019-09-09 | アイヌ民族関連
日刊スポーツ [2019年9月7日20時14分]
アイヌ民族の男性が北海道紋別市の川で、サケ漁は認められた先住民族の権利だとして、道が規則で定める許可申請をせずに儀式のためのサケを捕獲し、道警の取り調べを受けていることを巡り、アイヌや学者らでつくる市民団体が、規則を改正するよう近く道知事などに意見書を提出することが7日、分かった。
提出するのは「アイヌ10+ 件政策検討市民会議」。意見書では、先住民族の権利は、国際人権規約や人種差別撤廃条約などで保障され、漁も文化享有権の一つとして認められていると指摘。憲法で国際条約などの順守を定める日本が「アイヌの権利回復について議論すらしていない」と批判する。
また、アイヌの文化享有権が「個人の尊重」をうたう憲法13条で保障されることを認めた1997年の二風谷ダム訴訟判決などに照らし、サケ漁をした男性の取り調べは人権侵害にあたるとして、規則を改正し漁業権を保障するよう求める。
アイヌ10+ 件のサケ漁は明治時代の禁漁や水産資源保護法で一方的に禁止。道は2005年、道内水面漁業調整規則で、許可を得れば伝統的な儀式や漁法の伝承のための捕獲を認める規定を設けた。
男性は「漁をするかどうかは(先住民族の)自己決定権だ」として8月31日からサケ漁を実施。道は9月1日に同規則違反などで告発、道警が男性宅を家宅捜索するなどして捜査している。
4月成立のアイヌ10+ 件施策推進法ではアイヌを「先住民族」と明記。海外では漁の権利を認めた国もあるが、同法は先住権を認めなかった。(共同)
https://www.nikkansports.com/general/news/201909070000942.html

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鈴木北海道知事が「アイヌ文化発信の拠点」をPR

2019-09-09 | アイヌ民族関連
日刊スポーツ[2019年9月8日14時48分]
<日本ハム-オリックス>◇8日◇札幌ドーム
北海道知事・鈴木直道氏(38)が試合前、来年4月にアイヌ文化発信の拠点として北海道・白老町にオープン予定の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の宣伝を行った。
同施設は北日本エリアでは初の国立博物館となる「国立アイヌ民族博物館」や、アイヌ民族の伝統芸能が上演される「体験交流ホール」、さまざまな体験プログラム行われる「体験学習館」などアイヌ民族の文化を複合的に学ぶことができる国立施設となっている。北海道アイヌ協会の加藤理事とともに、栗山監督へ記念品を贈呈。贈呈前にはスタンドのファンへ向けあいさつし、同施設をPRした。
https://www.nikkansports.com/baseball/news/201909080000371.html

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<ラグビーW杯>友情 勇壮 柏ハカ NZキャンプ地の縁 マオリ出身ポキノさん制作

2019-09-09 | 先住民族関連
東京新聞 2019年9月7日 夕刊
「柏ハカ」を踊るカール・ポキノさん(中)=7月、いずれも千葉県柏市で(吉田意人さん提供)
 20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)の優勝候補ニュージーランド(NZ)代表の事前キャンプ地、千葉県柏市で、同国の民族舞踊「ハカ」のオリジナルバージョンが誕生した。同市ラグビー協会は「柏ハカ」と名付け「W杯のレガシー(遺産)にしたい」と普及に力を入れている。
 南太平洋の国々の選手が試合前に勇ましく踊る儀式は見どころのひとつ。中でも有名なのがNZ代表のハカだ。
 柏ハカを制作したのは、NZのオークランドでラグビーコーチをするカール・ポキノさん(32)。協会の招待で三月に柏市を訪れた際、学生らがNZ国歌を合唱し歓迎してくれたことに感激し、お返しとして制作した。NZでは学校やチームごとに独自のハカがあり、先住民族マオリ出身のポキノさんには制作の経験もあった。
 マオリ語で書かれた柏ハカには「鼓動する柏の大地よ」との言葉や、市内にある有名なチューリップ畑をイメージした「真っ赤に燃えるように勇気と名誉を持って立つんだ」との歌詞が入る。足踏みや胸をたたく基本的な動作に、チューリップが咲く様子を表現したという、手を上げて揺らしながら下ろす独特の動きも組み込んだ。
 ポキノさんは再来日した七月、協会と一緒に市内の高校ラグビー部などを訪れ柏ハカを伝授。協会はポキノさんの帰国後も保育園や地域のイベントなどで普及を続ける。十四日には来日したNZ代表との交流会で、高校生らが披露する予定だ。
 ポキノさんは「みんな敬意を持って柏ハカを学んでくれた。マオリよりも上手だ」とエールを送り、協会理事の吉田意人(おきと)さん(49)は「W杯を機にさまざまな場所で披露されるようになってほしい」と話している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019090702000256.html

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