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「サケ漁は先住民の権利」紋別アイヌ協会長への刑事告発に反発

2019-09-17 | アイヌ民族関連
毎日新聞 9/16(月) 10:26配信
 紋別アイヌ協会の畠山敏会長(77)が、サケ漁は先住民の権利として北海道の許可を得ずに川でサケ漁をしたとして、北海道が道警に刑事告発した問題で、畠山さんや支援する識者らが15日、札幌市内で記者会見し、先住権の保障を訴えた。
 畠山さんは「サケ漁は先祖が延々と続けてきたもの。アイヌを先住民と認めたのであれば、国は土地や資源の返還・補償を真剣に考えてほしい」と語った。
 畠山さんを支援する丸山博・室蘭工大名誉教授は「先住民の漁業権は国際法で保障されている。政府は権利回復の立法化を急ぐべきだが、議論にもなっていない。畠山さんの行動はやむを得ない問題提起だ」と話した。
 畠山さんは1日、紋別市内の藻別川で道の許可を得ずにサケを捕獲。道は同日、水産資源保護法と道内水面漁業調整規則に違反したとして道警に刑事告発した。【山下智恵】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190916-00000006-mai-soci

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「ときを結ぶ」(5) 「アイヌの伝統漁」

2019-09-17 | アイヌ民族関連
共同通信 2019.9.16 13:33
サケの魂、カムイに送る
  長老から受け継ぐ技能 感謝の精神、次世代へ
 やぶをかき分けながら川岸を下りて行くと、2羽のオオワシが羽音を立てて澄んだ青空に舞い上がった。
 北海道白糠町の茶路川。天内重樹(34)は、河原に立てたイナウ(木幣)の前に座り、カムイ(神)に祈った。「どうかサケを授けてくれますように」
 ▽もりで突く
 白糠アイヌ協会の会長としてアイヌ民族の文化保存、伝承に努める天内は毎年秋から初冬にかけて、茶路川で伝統のサケ漁をしている。
 水産資源保護法は河川でのサケ捕獲を原則的に禁止しているが、道は文化伝承の目的を認め、白糠アイヌ協会に特別採捕を許可している。
 漁にはマレクという、もりを使う。堅くてしなるヤチダモの柄に、鉄製のかぎを付けた素朴な漁具だ。かぎはサケに刺さると回転する。釣り針の「返し」のような役割をして、獲物を逃がさない構造になっている。
 「そこにサケがいる…」。天内がつぶやいた。日光が乱反射する川面に目を凝らすと、産卵を終えたメスが浅瀬をゆっくり泳いでいる。
 マレクを構え、水中に見え隠れする黒い背をめがけて突くが、サケはするりと逃げる。少しずつ川べりの茂みに追い込み、仕留めた。マレクを持ち上げると、えらにかぎが食い込んでいる。「頭の付け根辺りを狙わないといけない。身が傷つき、食べる所も減るから」
 天内はイパキクニというヤナギの棒でサケの頭をたたき、息の根を止めた。「この棒でたたくと、サケの魂をカムイコタン(神の住む場所)に送ることができる」
 河原の石をまな板代わりにして、サケの身をナイフでおろす。「鳥やキツネが食べられるように」と、頭や内臓は、そのまま石の上に置いた。こずえのカラスが、じっとこちらを見ていた。
 ▽同化政策で禁止
 白糠町には、2013年に95歳で亡くなった長老、根本与三郎がいた。「最後の熊撃ち」と呼ばれた根本は伝統的な狩猟や漁に通じ、指導者として尊敬を集めていた。
 天内は子どもの頃、根本が実演した「仕掛け弓」を見た。弦を留めた引き金に糸を張り、獣が糸に触れると、引き金が外れ、毒矢が放たれる。弓を使った独特のわなだ。
 根本は、マレクや鹿の角をとがらせたヤスによる漁にも精通していた。
 明治政府は同化政策の名の下に、アイヌ固有の言葉や慣習、生活基盤の狩猟や漁労を禁止し、農耕に従事するよう強制した。長老たちがひそかに伝承してこなければ、アイヌ古来の漁猟法は絶滅していたかもしれない。
 天内は成人してから根本の元に通い、マレクの作り方や漁法を一から教わった。夜の漁も経験した。1人がたいまつを持ち、明かりに近づいてきたサケを突く。「マレク漁は簡単に見えるが、やってみると難しい。川の流れ、サケの動きを読まないといけないから」
 天内は高速道路のパトロールの仕事を持つが「狩猟採集民のような暮らしをしている」と笑う。サクラマスを海で釣り、鹿を森で撃つ。春には行者ニンニクを採りに山へ入る。
 山で熊の話をすると、本当に現れるという言い伝えを根本から聞いた。「根本のじいちゃんは季節ごとの熊の行動をよく知っていた。春先の熊は、行者ニンニクやコケを食うため穴から出てくる。現地に行くと、言っていたことの意味が分かる」
 ▽食育の教室
 根本に教わった伝統漁を今、息子の基輝(7)や高校生のおい、地元小中学生らに伝えている。
 マレクの使い方を教えるとすぐ、川で実際にサケを捕らせるのが天内流のやり方だ。子どもらが「捕った!」と歓声を上げ楽しんだ後に、「カムイが授けてくれたんだよ」と言う。漁の前から心構えを諭すより、心に響くと天内は思っている。
 河原でたき火をして、サケを焼いて食べることも。夢中で漁をしていた子どもらは空腹になっている。寒い中、火に当たり、自分で捕ったサケを口にするのは格別だ。
 「昔のアイヌは捕れなかったら飯が食えなかったんだぞ。サケは命懸けで川を上るんだから、こっちも命懸けで捕ってやるべ」。天内の言葉に子どもらはうなずき、食べ物の大切さ、ありがたみを感じる。自然を舞台にした「食育」の教室だ。
 昨年4月、白糠町に完成したアイヌ文化施設「ウレシパチセ」を拠点に、天内は、祖母から習った古式舞踊にも取り組んでいる。だが、最も重要なのは、アイヌ精神の伝承だ。
 マレク漁を終えると、子どもらと一緒に祈り、サケが捕れたことを感謝する。「お礼を言わないと、次に来た時、サケをもらえない。カムイは人の行動を見ているから」
 物を大事に。感謝の気持ちを忘れると人への思いやりがなくなってしまう…。先祖から受け継いできた教えは多い。天内は、漁や伝統行事を通して、一つ一つ次世代に伝えていこうと思っている。(敬称略、文・藤原聡、写真・宇井眞紀子)
新法案と文化復興拠点 
 政府は、アイヌ民族を支援するための新たな法案を通常国会に提出、成立した。アイヌを日本の法律では初めて「先住民族」と明記した。
 アイヌの伝統的儀式などの場合に限り、河川でのサケ漁や国有林での林産物の採取をしやすくする。
 アイヌの文化伝承や地域振興を後押しするため、国から市区町村への新たな交付金も創設する。
 また、北海道白老町でアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」の建設も進めている。愛称はウポポイ(大勢で歌うこと)に決まり、2020年4月、オープンする予定。ウポポイには国立アイヌ民族博物館や慰霊施設などが整備される。
https://www.47news.jp/4003704.html

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「アイヌ漁に許可必要ない」専門家ら道の対応を批判

2019-09-17 | アイヌ民族関連
日刊スポーツ [2019年9月15日19時20分]

アイヌ民族の畠山敏さん(77)が北海道紋別市の川で、先住民族の権利だとして道の許可を受けずに儀式に使うためのサケを捕獲し、道警の取り調べを受けたことを巡り、先住民族の専門家らが15日、札幌市内で記者会見し、「アイヌ10+ 件の漁に許可は必要はない」などと道の対応を批判した。
会見には室蘭工業大の丸山博名誉教授や北海道大大学院、東北学院大、鹿児島純心女子大の学者ら4人が参加。自己決定権や漁業権などが認められた海外の先住民族の例を挙げつつ、「アイヌの漁に許可を求めるのは人権侵害」「権利のない先住民族などあり得ない」などとの意見が出された。
また丸山氏は「国連の先住民族権利宣言などは先住民族の権利を保障している。アイヌ10+ 件施策推進法など国内法で規定がなくても、国際法上正当な行為だ」と話した。
畠山さんも同席。「川の周辺にはかつてアイヌのコタン(集落)があり、先祖代々自分たちの手でサケを捕ってきた。(今回の漁は)歴史にのっとったもので、道知事の許可は必要ない」と訴えた。
アイヌのサケ漁は明治政府が一方的に禁止。道は2005年から道内水面漁業調整規則で伝統儀式や漁法伝承に限り、申請を受けた上でサケの捕獲を許可している。
畠山さんは9月1日、道に申請せずサケなどを捕獲。道から水産資源保護法違反などの容疑で告発を受けた道警が畠山さんの自宅を家宅捜索するなどして捜査を進めている。(共同)
https://www.nikkansports.com/general/news/201909150000971.html

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先住民の土地に侵入し森林破壊、アマゾンのカウボーイ ブラジル

2019-09-17 | 先住民族関連
AFPBB News / 2019年9月16日 14時44分

【AFP=時事】アマゾン(Amazon)に日が落ちる頃、狩猟を生活手段としている先住民ウルエウワウワウ(Uru-eu-wau-wau)がイノシシの脇腹から竹の矢を引き抜き、肉をあぶり始めた。
 繊細で神聖な暮らしが繰り広げられるこの地の反対側の境界線から数キロ離れたところでは、馬に乗ったカウボーイが広大な牧場で牛を集めている。
 ブラジル・ロンドニア(Rondonia)州中部の住民19人が暮らす集落を率いる若き指導者ウルエウワウワウのアワピーさん(38)は、「彼らとは何の問題も起こっていない」と話す。
 この地域では、世界最大の熱帯雨林の行く末をめぐり裕福な土地所有者と先住民が激しく対立しており、このような友好的表現を聞くことはめったにない。
 180ヘクタールに及ぶ資源豊かな先住民の居住区は、開発のためなら森林伐採さえもいとわない木材業者や土地所有者、鉱山業者といった脅威に絶えずさらされてきた。
「19~20歳の頃から侵略に直面してきた。彼らは脅威だ。なぜなら私たちは抵抗しているからだ」とアワピーさんは話す。「命を危険にさらすことを恐れてはいない。それしか方法がない」
 七つの集落があるこの居住地で暮らす数百人の住民の抵抗の歴史は長い。自然の番人を自負し、森を監視したり脅威から身を守ったりするため、1990年代初頭に定められた土地の境界線上で暮らす人が多い。
 アワピーさんの村には、わらぶき屋根の木造家屋やタイル屋根のコンクリート家屋など6軒ほどの小さな家がある。村に住む5家族はほぼ森の外側で暮らしているが、毎日、森で狩りをしたり、必要な時には侵入者を追い払ったりしている。侵入者は組織された集団であることが多く、対立が暴力に発展することもよくあるという。
 州都ポルトベーリョ(Porto Velho)の南に位置するこの地域では、森林破壊が進んでいることを示す新たな開拓地や草地が上空から確認できる。火災による森林破壊も多く、最近も世界的なニュースとなった。
■「動物園の動物」
 複数のNGOによると、こうした土地には国の目が行き届いておらず、ギャングの温床となったり、土地の占拠が行われたりしている。最終的にそのような土地は畜産農場の一部に組み込まれることも多い。
 ウルエウワウワウの人々は、1月にジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)氏が大統領に就任して以降、侵入者らは自分たちが守られているように感じているようだと話す。ボルソナロ氏は先住民の保護区を農業や鉱業のため開放するという考えを支持しており、就任演説では、先住民は社会に統合される必要があり、「動物園の動物のように」保護区で暮らすべきではないと述べた。
「以前はこんなことはなかった。だが今、彼らはすべてを切り払おうとしている」とアワピーさんは話す。
■牛肉、聖書、銃弾
 森林に沿って車で1時間半ほど走ったところにある小さな町モンテネグロ(Monte Negro)では、農業関連業者がロデオを開催しており、約20人のカウボーイが技を競い合っていた。
 カウボーイハットにジーンズ、ブーツ姿の参加者は、数十年間にわたり切り開いた森に整備した広大な畜産農場で働いている。
 この地域は保守的な田舎町で、ボルソナロ氏の地盤となっている。住民は「牛肉、聖書、銃弾」の頭文字を示す「BBB」と呼ばれる層に属している。農業関連産業、キリスト教福音派、銃支持ロビー団体というこれら三つの強力な利益団体が、ボルソナロ氏を権力の座に押し上げるのに一役買ってきた。
 環境保護団体らは、よそ者に対し横柄で用心深い土地所有者が公有地や先住民居住区に損害を与えており、アマゾンで進む破壊の責任の一端を担っていると非難している。
 だが、土地所有者らは、先住民の土地との境界線は守っており、自分たちには土地を開発する権利があり、農業の発展がブラジル経済にとって重要だと主張している。
■「アマゾンはわれわれのもの」
 自分が育てた牛を売り込むためにロデオに来ていたある農場主は、個人的な意見だとしながら、森の木を伐採し、木や土地を売っているのは先住民自身だと語った。
 また、メディアは森林火災の拡大を大げさに伝えていると主張する土地所有者もいる。彼らはエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が先月、アマゾン熱帯雨林の保護を「国際化しよう」と呼び掛けたことをあざ笑っている。
 ある土地所有者はこう言った。「アマゾンはわれわれのものだ。マクロンにそう伝えろ!」
【翻訳編集】AFPBB News
https://news.infoseek.co.jp/article/afpbb_3243306/

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