先住民族関連ニュース

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新疆人口、10年で18%増 中国がウイグル自治区で白書

2021-09-27 | 先住民族関連
日本経済新聞 2021年9月26日 18:00
【北京=川手伊織】中国国務院(政府)は26日、新疆ウイグル自治区の人口動態に関する白書を公表した。2020年の国勢調査によると、総人口は2585万人で前回調査の10年前から18.5%増えた。漢民族が大きく増え、ウイグル族の比率は下がった。白書は米欧が批判を強めるウイグル族への迫害についても反論した。
総人口の伸びは2000年から10年にかけての増加率(18.2%)とほぼ同じだった。民族別でみると状況は異なる。漢民族は10~20年で23.7%増えた。増加率は10年までの10年間(17.9%)からさらに伸びた。対照的にウイグル族の伸びは19.8%から16.2%に鈍化した。
この結果、民族ごとの比率はウイグル族が45.0%、漢民族が42.2%となった。両民族の差は3ポイント弱で前回10年の半分に縮まった。漢民族の移住が進んだとみられるほか、都市部に住む漢民族の夫婦も2人まで子を産めるようになり出産が増えた可能性がある。
白書は、海外が「中国でウイグル族への迫害が広がっている」と批判していることにも反論した。強制労働、強制不妊手術、親子分離、文化絶滅、宗教迫害という5つの批判に対して反発した。例えば強制労働の疑惑について、過激化抑制のために建てた職業技能教育訓練センターは国連などの反テロ決議の原則に合致していると強調した。
そのうえで、米国などの反中勢力は先住民迫害の歴史や構造的な人種差別という自国の問題を無視していると批判した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM261UL0W1A920C2000000/

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「四島帰属解決し平和条約」 アイヌ民族の地位向上図る 岸田氏書面インタビュー

2021-09-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/26 05:00
 自民党総裁選に立候補した岸田文雄前政調会長は25日、北海道新聞の書面インタビューに答え、ロシアとの北方領土交渉で、北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するとした政府の基本方針を「外交の一貫性としても継続する」と語った。1956年の日ソ共同宣言を交渉の基礎に位置付け事実上の歯舞、色丹の2島返還路線に転換した安倍晋三前首相の方針を継承するかどうかは回答しなかった。
 岸田氏は、安倍氏の対ロ外交を「北方四島での共同経済活動を含め、評価している」と指摘。共同経済活動を巡る日ロ間の協議は停滞しているが、「幅広い分野で日ロ関係全体を発展させ、北方領土問題の解決を図っていく」と訴えた。
 アイヌ民族政策に関しては、法律で初めて先住民族と位置付け差別を禁じたアイヌ施策推進法に触れ、「引き続きアイヌの人々の民族としての誇りが尊重され、社会的・経済的な地位の向上が図られる社会の実現を目指す」と述べた。
 9条への自衛隊明記など党の憲法改正案4項目については、新総裁に選出されれば「任期中に国民的な議論を前に進め、改正のめどを付けるべく取り組みたい」と強調した。(玉邑哲也)
岸田文雄前政調会長との一問一答は次の通り。
 ――日ソ共同宣言を平和条約締結交渉の基礎に位置付けた方針を引き継ぐか。
 「(同宣言には触れず)北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとのこれまでの政府の基本方針を、外交の一貫性としても継続する」
 ――地方創生は。
 「第5世代(5G)移動通信システムの導入やテレワーク、自動運転などで、都市部との距離を克服する『デジタル田園都市国家構想』を実現したい」
 ――全国で停止中の観光支援事業「Go To トラベル」の今後は。
 「新型コロナウイルス感染症がある程度落ち着いた時期に、ワクチン接種証明などと組み合わせ、大手だけでなく中小業者にも、お金が回るように制度設計した『Go To 2・0』を実行に移す」
 ――物価上昇率2%を早期に達成する目標に関し、変更や廃止を検討するか。
 「引き続き、目標は維持したい」
 ――年金制度の考えは。
 「厚生年金と国民年金の格差がある中で、厚生年金の適用拡大を進めることで、働き方と関係なく充実したセーフティーネットを受けられるようにする」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/593049

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「ゴールデンカムイ」27巻がベストセラーランキングに登場 ついにタイトルの意味が![コミックスベストセラー]

2021-09-26 | アイヌ民族関連
ブックバン 9/25(土) 8:00
 9月22日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、コミックス第1位は『東京卍リベンジャーズ(24)』が獲得した。
 第2位は『ダンジョン飯 11巻』。第3位は『東京卍リベンジャーズ(23)』となった。
 1位の『東京卍リベンジャーズ(24)』はこの夏実写映画版が公開され、興行収入42億円(興行通信社調べ)を突破し大ヒットした記憶もあたらしい。2位の『ダンジョン飯 11巻』はモンスターを調理し美味しく食べてしまうという異色のはじまりで大きな注目を集め大ヒットとなった作品。ファンタジー世界の住人や動植物の生態系を描くことで骨太のストーリーが展開し、物語は佳境を迎えている。
 4位以下で注目は4位にランクインした『ゴールデンカムイ 27』。北海道を舞台にアイヌの残した金塊をめぐり様々な勢力が争奪戦を繰り広げる物語。重厚な歴史や文化を下敷きにアクション、グルメ、ギャグ、BLなど様々な要素が詰め込まれた「闇鍋ウェスタン」となっている。7月から9月20日まで集英社のウェブマンガサイト「となりのヤングジャンプ」で全話無料公開が行われ、累計2億PV超の大反響となっていた。27巻は最終決戦を目前にし、ついに本作のタイトル「ゴールデンカムイ」の意味が明かされる重要な巻となっている。
1位『東京卍リベンジャーズ(24)』和久井健[著](講談社)
最新タイムリープ・サスペンス第24巻!!  ついに現代でマイキーと再会したタケミチ。しかし、彼にかつての面影はなかった……。マイキーとの”握手”で、またしてもタイムリープしたタケミチは、マイキーを救うべく、最後の戦いに挑む! 東京卍リベンジャーズ、最終章開幕!! (講談社ウェブサイトより)
2位『ダンジョン飯 11巻』九井諒子[著](KADOKAWA)
伝説級のドラゴンを大量に召喚し、絶大な力を見せつける迷宮の主・シスル。 仲間を失い、絶体絶命のライオスは、ありとあらゆる魔物の知識を総動員して 最後の戦いに挑むがーー!?  一方、悪魔を封印するため深層に潜るカナリア隊が ライオス達のすぐ側まで迫っていた。  人々の欲望渦巻く第11巻! 著者描き下ろしの[モンスターよもやま話]も4ページ収録し、 盛りだくさんの内容でお届けします。(KADOKAWAウェブサイトより)
3位『東京卍リベンジャーズ(23)』和久井健[著](講談社)
最新タイムリープ・サスペンス第23巻!!  ついに最高の現代(みらい)に辿り着いたタケミチ。しかし、そこに”彼”の姿はなかった……。手掛かりを求め、タケミチは約束の日、タイムカプセルを開ける。そこに隠されていたのは、マイキーの驚くべき”真意”だった―――!?(講談社ウェブサイトより)
4位『ゴールデンカムイ 27』野田サトル[著](集英社)
5位『ONE PIECE 100』尾田栄一郎[著](集英社)
6位『怪獣8号 4』松本直也[著](集英社)
7位『終末のワルキューレ  12』アジチカ[画]梅村 真也[原作](コアミックス)
8位『ゆびさきと恋々(5)』森下suu[著](講談社)
9位『ジョジョリオン 27』荒木飛呂彦[著](集英社)
10位『東京卍リベンジャーズ(9)』和久井健[著](講談社)
〈コミックスランキング 9月22日トーハン調べ〉
Book Bang編集部 2021年9月25日 掲載
https://news.yahoo.co.jp/articles/85809b5ac37eed966940a634cd55ad8b9359ddd2

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本別イチャルパ、20年ぶり復活 実行委、25日開催 次世代に継承へ 阿寒アイヌ協会協力

2021-09-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/24 19:08
2001年9月22日に町内で開催されたイチャルパ(本別アイヌ協会提供)
【本別】本別アイヌ協会(小川哲也会長、20人)は25日、伝統の先祖供養祭「イチャルパ」を20年ぶりに町内の上本別生活館周辺で復活させる。イチャルパはアイヌ民族の生活に根ざした重要な儀式だが、地元では具体的な作法などを知る人が少なくなり、長らく途絶えてきた。今回は本別出身者がいる阿寒アイヌ協会などの協力で再現し、次世代に継承する「本別イチャルパ」として残していきたい考えだ。
 イチャルパは祭具などを使って先祖の霊を弔う。神々に祈りをささげる「カムイノミ」と並ぶ儀式として知られる。本別では2001年9月22日に公式開催されたが、イチャルパに関する文献や資料は残されておらず、祭具の作り方や作法などを知る人もほとんどいないのが現状という。
 北海道アイヌ協会理事でもある小川会長は先人の伝統文化を風化させまいと企画した。公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)の国内文化交流助成を受け、実行委形式で行う。阿寒アイヌ協会の広野洋会長らにイチャルパの作法などを学び、ヤナギの木で祭具のイナウ(木幣)を製作するなど準備を進めてきた。
 25日は雨天決行で午前10時スタート。イチャルパではイナウやトノト(酒)を自然界の神々にささげる。さまざまな果物や料理、菓子などを供え、故人に思いをはせながら現世の無事を祈る。この後、動植物などを表現した多種多様な古式舞踊を披露する。当初は伝統料理のオハウ(煮込み汁)などを振る舞う予定だったが、新型コロナウイルス感染対策で取りやめる。
 小川会長は「イチャルパには地域性があり、先人の知恵や先輩の助言を生かしながら本別でも生活習慣の一部として定着させていきたい。アイヌ文化を広く理解してもらうきっかけになれば」と話している。(岡田圭史)
※「イチャルパ」の「ル」は小さい文字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/592708

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県内初、アイヌ文化フェス 講演や舞踊、口承文芸 来月2日高崎で /群馬

2021-09-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/9/25 地方版 有料記事 529文字
 アイヌ民族の音楽や舞踊、伝承などを広く紹介する「アイヌ文化フェスティバル」が10月2日、群馬音楽センター(高崎市高松町)で開かれる。公益財団法人アイヌ民族文化財団が主催する。同フェスは1998年から全国各地で開催しており、県内での開催は初めて。
 ステージは同日午後1時に開演。北海道大アイヌ・先住民研究センターの山崎幸治准教授が「アイヌのくらしと民具」と題して基調講演をするほか、国の重要無形民俗文化財に指定された「アイ…
この記事は有料記事です。 残り318文字(全文529文字)
https://mainichi.jp/articles/20210925/ddl/k10/040/122000c

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多様な音楽文化発信 10月23、24日福野で「スキヤキ」、アイヌ民謡含む国内6組

2021-09-25 | アイヌ民族関連
北日本新聞 2021/09/25 00:35

 南砺市福野地域で10月23、24日に開かれるワールドミュージックの祭典「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド2021」の出演者が決まった。新型コロナウイルスの影響で海外のアーティストは招待せず、国内在住の6組が出演する。アイヌ民族やインドネシアの伝統音楽など多様な音楽文化を発信する。 (堀佑太)
 注目アーティストの一組は、アイヌ民謡「ウポポ」にロックやレゲエなど現代音楽を融合させたバンド「オキ・ダブ・アイヌ・バンド」だ。アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」にベースやドラムを重ねた厚みのある音が特徴で、欧米やアジアなど世界各国の音楽イベントに出演している。
 音楽ユニット「滞空時間」はインドネシアの伝統打楽器「ガムラン」やトリニダード・トバゴ発祥の打楽器「スティールパン」を演奏する。音楽家で影絵師の川村亘平斎(こうへいさい)さんが主宰し、影絵を取り入れた舞台演出も魅力だ。
 このほか、自作の竹製楽器を用いた埼玉県秩父市発のバンド「アジャテ」やアンデス音楽を演奏するギタリスト、笹久保伸と女性シンガーソングライター、マルコポロポロによるユニットなどが出演する。
 スキヤキのプロデューサーで南砺市福野文化創造センター館長代理のリバレ・ニコラさんは「日本のワールドミュージックの今を発信したい」と話す。
 昨年は新型コロナの影響で中止し、開催は2年ぶり。30回目の今年は感染防止のため、同センターでステージ演奏のみ行う。1席ずつ座席の間隔を空けて観客を入れ、公演の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」で生配信する。
 チケットの一般発売は25日から。問い合わせは同センターの「スキヤキ」実行委員会事務局、電話0763(22)1125。北日本新聞社共催。
https://news.goo.ne.jp/article/kitanihon/region/kitanihon-20210925003500.html

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【続日本100名城・志苔館(北海道)】海を渡り和人が築いた室町時代の城

2021-09-25 | アイヌ民族関連
城びと 2021/09/24 18:00

入口にある志苔館の看板と碑
15世紀頃、アイヌの人々が暮らす北海道に本州から渡った“和人”が築いた12の館(城)「道南12館」をご存知でしょうか? 道南12館の一つ「志苔館(しのりだて)」は、函館空港から車で5分ほどで到着するアクセス良好のスポット。アイヌの人々との戦いで2度の落城を経験し、江戸時代を前に役目を終えたこの館(城)跡を探検してみましょう!
築城年代が推定できる道内最古の和人の城「志苔館」
現在の北海道はかつて「蝦夷地」と呼ばれ、狩猟や漁労を生業に暮らすアイヌ民族が住む地域でした。蝦夷地の南部には本州から「和人」が移り住んだ地域もあり、鎌倉時代には彼らをまとめる役目として、津軽半島の十三湊(とさみなと)に拠点を置く安藤氏(のちの安東氏)が選出されています。安藤氏は、執権北条氏の家臣として流刑になった罪人の管理も行っていましたが、海上貿易で財を成し「蝦夷管領」と呼ばれていました。
15世紀になると、渡島(おしま)半島の海岸線に沿って和人の館(城)を築きます。これらが「道南12館(どうなんじゅうにだて)」です。なかでも最東端に位置しているのが「志苔館」で、松前藩の史書『新羅之記録』によれば、館を築いたのは小林太郎左衛門尉良景という人物でした。小林氏は安東氏の家臣にあたり、ちなみに先祖は上野国(現在の群馬県)出身だそう。
東北の南部氏と戦っていた安東氏は、道南12館築城を皮切りに勢力を立て直そうとしましたが……一方で、アイヌの人々は生活を圧迫されるようになっていきました。
https://news.goo.ne.jp/article/shirobito/region/shirobito-20210912171053726.html

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結婚後にトイレ禁止、死者のパレード開催……、世界の「驚くべき風習」とは?

2021-09-25 | 先住民族関連
Pen Online 9/24(金) 17:07配信
「奇妙な風習? そう、人はたいてい、自分たちの慣習を当たり前だと思っているが、そうした慣習も、一歩離れたところから見るとかなり奇妙に感じられることがある。」(P6)
世界各地の“奇妙な”風習や儀式、祝祭、食文化など150の事例を取り上げている本書『世界の奇習と奇祭 150の不思議な伝統行事から命がけの通過儀礼まで』。我々の常識をことごとく覆す、風変わりでショッキングな慣習がずらりと並び、なかには、いまなお受け継がれているものもある。アメリカ在住のエディター兼コラムニストのE・リード・ロスがジョークを交えながらユーモラスに伝えている。一部を紹介しよう。
カエルのジュース
南米ペルーの一部地域では、カエルのジュースが飲まれているという。公用語のスペイン語で「フーゴ・デ・ラナ」といい、カエル一匹丸ごとを数種類のハーブや蜂蜜と一緒にミキサーにかけて作られる。古代より勃起障害に効果があると伝わり、「ペルーのバイアグラ」とも呼ばれる。このジュースは現地で大人気だそうで、原料として使われるカエルの種が絶滅の危機に瀕するほど。ペルー政府が種の保護対策を講じているとのことだ。
ワニのかみ傷
パプア・ニューギニアのセピック川ほとりに住む先住民族は、人間の先祖がワニであると信じている。この地域の若い男たちの体にはでこぼこした傷跡がある。少年から大人になるにあたって、竹で作った道具で体に切り込みを入れる儀式が行われるのだ。傷跡はワニの歯形を意味し、先祖とされるワニへの敬意や大人の男の証明の意味合いがあるという。若い女がかみ傷をつける村もある。ワニにかまれるほどの痛みに耐えることで、人は強く、賢くなると考えられているという。
文・一ノ瀬 伸
https://news.yahoo.co.jp/articles/1db0041271950f00ce9207df8cda3a2c1d43ab70

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来月2日から特別展 ビーズをテーマに 国立アイヌ民族博物館

2021-09-25 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2021/9/24配信
 白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)は10月2日から、「ビーズ アイヌモシリから世界へ」と題した特別展を開催する。10万年前に誕生し、世界のさまざまな民族が作り出してきた装飾品ビーズをテーマ…
この続き:485文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/58558/

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島を歩く 日本を見る 古代ロマンと被災の陰で 奥尻島(北海道奥尻町)

2021-09-25 | アイヌ民族関連
産経新聞 2021/09/24 09:59

奥尻島を象徴する奇岩「なべつる岩」。鍋の取っ手(つる)に似ているのが名前の由来© 産経新聞 奥尻島を象徴する奇岩「なべつる岩」。鍋の取っ手(つる)に似ているのが名前の由来
北海道の最西端に位置する奥尻(おくしり)島は、縄文初期から長い歴史を刻んできた。島名はアイヌ語の「イクシュン・シリ(向こうの島)」が由来となり、晴れた日は北海道本島から雄大な島が望める。船で向かうと、島のシンボルである〝なべつる岩〟が港近くで迎えてくれる。緑豊かな島の清涼な空気に、肩の力がふっと抜ける。
奥尻島には数多くの遺跡が点在する。島内最大級の青苗遺跡からは、縄文時代や北海道特有の文化が栄えた擦文(さつもん)時代など、各時代の遺構や遺物が発見されている。
近くの青苗砂丘遺跡では、オホーツク文化の特徴をもつ土器や北方民族由来の装身具をまとった人骨、独特の住居跡などが見つかり、島がオホーツク文化の最南端拠点であったと推測されている。
一方、本州の文化を色濃く受けた遺物も多く発見されており、奥尻町教育委員会の稲垣森太学芸員は、「奥尻島は南北の交易地や交流地として多様な文化が混ざってきた。後のアイヌ文化の成立にも影響を与えているだろう」と語る。
昭和51年に青苗遺跡で発掘された丁字頭(ちょうじがしら)勾玉は、島を代表する古代ロマンの象徴である。新潟県糸魚川(いといがわ)産の翡翠が使われた長さ5センチ、幅2センチの大きな丁字頭勾玉は、古墳時代に近畿地方で使用された遺物で、時を経て奥尻島へもたらされた可能性が高いようだ。
島の長い歴史を語る上で、現代の悲しい出来事も忘れてはならない。平成5年7月12日、奥尻島沖でマグニチュード7・8を観測した北海道南西沖地震が発生。直後に巨大な津波が島を襲い、奥尻町だけで死者と行方不明者計198人の甚大な被害をもたらした。
地元の建設会社は震災後、復興のために始めたブドウ栽培をきっかけに平成20年、「奥尻ワイナリー」の製造工場会社を設立した。島を襲う台風や塩害に苦心しながら、日本の離島で初めてワイナリーをつくった。
同社の菅川仁さんは「ブドウ栽培からワイン製造、販売まで全てを島でやることに価値がある」とし、ミネラル感のある〝海を感じるワイン〟を目指して試行錯誤を続けている。
古代から絶えず人の生きた足跡が残る島で、幾千の物語が島に眠っていることだろう。過去に思いをはせながら、新たな物語が紡がれている今の島をゆっくりと巡りたい。

アクセス 北海道江差町の江差港からフェリーで2時間10~20分。函館空港からの空路もある。

プロフィル 小林希 こばやし・のぞみ 昭和57年生まれ、東京都出身。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後に『恋する旅女、世界をゆく―29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマにしている。これまで世界60カ国、日本の離島は100島を巡った。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/e5-b3-b6-e3-82-92-e6-ad-a9-e3-81-8f-e6-97-a5-e6-9c-ac-e3-82-92-e8-a6-8b-e3-82-8b-e5-8f-a4-e4-bb-a3-e3-83-ad-e3-83-9e-e3-83-b3-e3-81-a8-e8-a2-ab-e7-81-bd-e3-81-ae-e9-99-b0-e3-81-a7-e5-a5-a5-e5-b0-bb-e5-b3-b6-ef-bc-88-e5-8c-97-e6-b5-b7-e9-81-93-e5-a5-a5-e5-b/ar-AAOKSrq?ocid=BingNewsSearch

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アマゾン先住民族の「ありのまま」の姿を映し出す。映画『カナルタ』監督インタビュー

2021-09-25 | 先住民族関連
ideasforgood 9月 24, 2021

近年、森林破壊をはじめとしたさまざまな環境問題が私たちの身の回りで起きている。中でも森林火災などで大規模な損失が報道されている熱帯雨林。ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、2020年7月までの1年間でアマゾンの熱帯雨林の森林消失面積が前年の同じ時期より9.5%多い11,088平方キロメートルに広がったという。前年の数値を上回るのは3年連続であり、消失面積は3年前から約6割増えた。温暖化による乾燥で森林火災が発生しやすくなったことや、違法伐採が相次いだことが要因だとの見方もある(※1)。
そうした問題がある中で、あらためて人間と自然環境の関係性を捉え直す議論が世界各地で展開されている。そして、そのような議論に大きな示唆を与えてくれるのが自然環境と密接に触れ合いながら生活を営む先住民族の姿だ。
失われていく自然環境の中で、先住民族の人々はどのような営みを続けているのだろうか。今回、人類学者として1年間アマゾンに入り込み現地の先住民族の暮らしに密着したドキュメンタリー映画『カナルタ 螺旋状の夢』を制作した太田光海さんに取材した。
話者プロフィール:太田光海さん(おおた・あきみ)
太田さん1989年東京都生まれ。神戸大学国際文化学部、フランス・パリ社会科学高等研究院(EHESS)人類学修士課程を経て、英国・マンチェスター大学グラナダ映像人類学センターにて博士号を取得した。パリ時代はモロッコやパリ郊外で人類学的調査を行いながら、共同通信パリ支局でカメラマン兼記者として活動した。この時期、映画の聖地シネマテーク・フランセーズに通いつめ、シャワーのように映像を浴びる。マンチェスター大学では文化人類学とドキュメンタリー映画を掛け合わせた先端手法を学び、アマゾン熱帯雨林での1年間の調査と滞在撮影を経て、初の監督作品となる『カナルタ 螺旋状の夢』(2020年)を発表した。本作は2021年10月2日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で劇場公開される。
Instagram: https://www.instagram.com/akimiota/
Twitter: https://twitter.com/akimiota
Note: https://note.com/akimiota
フランスで異文化を見つめた学生時代
日本の大学を卒業後、フランスに渡り人類学を本格的に学び始めた太田さん。太田さん自身の人類学への関心は、日本社会への違和感にまでさかのぼる。
太田さん:日本という社会の中でずっと小さい頃から生きづらさを感じていました。学校でも、自由がないと感じたり、人間関係もみんなが監視しあっている雰囲気を感じたり。そうした生きづらさがありながらも、世界全体で考えたらいろんな生き方があるんだよなと思い、「異文化」というものに惹きつけられていきました。
そこで、太田さんは異文化について体系的に学べる人類学を専攻し、修士課程に進むタイミングで、人類学の伝統が長く、アートを取り巻く環境が魅力的なフランスへ渡った。進学先のパリ社会科学高等研究院(EHESS)では社会科学系の授業を中心に、セミナーだけでなく国際移民学やドキュメンタリー映像論など領域横断系の授業を履修したそうだ。
そして、修士課程入学前にもパリに1年間の交換留学生として滞在していた際に、太田さんのその後の活動に大きな影響を与えた出来事があった。それが2011年に起きた東日本大震災だったという。徐々に、太田さんは自身の関心の変化を無視できなくなっていった。
太田さん:福島の原発事故もあり、強い衝撃を受けました。この先自分が何をやっていけば良いのか、ゼロから考えざるを得なくなって。その時に、「人間が自然と、どうやって共生しているか」に関心を持つようになりました。
当時フランスで活躍していていた人類学者フィリップ・デスコラ氏のエクアドルのアチュアール族に関する研究にインスピレーションを受けた太田さんは、アマゾンの先住民の研究を通して自然と人間の関係を問い直していきたいと思ったそうだ。
映像を通して伝えるアマゾンの日常
太田さんは文化人類学を学ぶ中で、映像という手法を通してアマゾン先住民のありのままの姿を発信していきたい気持ちになったという。
太田さん:文化人類学にはフィールドワークが大切です。彼らの習慣や言語、考え方を参与観察していき、彼らと同じ気持ちに至るまでに自分自身をまわりの環境に適用し、そこから自分を客観視して、何かを論じる学問だと思っています。それってすごく貴重な体験だと思うのですが、そうした体験が世の中に伝わっていない感覚がありました。その体験を、ハードルを低くした上でより多くの人に届ける手段を考えた時に、「映像」が面白いと思ったんです。もともと私も写真が好きでカメラに親しみがあったので、そうした手法と融合させて何か伝えていきたいなと。その中で、「映像人類学」という分野に出会いました。
映像人類学は世界的にも珍しい学問であり、フランスに専門の学科がなかったため、太田さんはこの分野を牽引するイギリス・マンチェスター大学の博士課程に進んだ。そこで研究テーマの詳細を詰め、1年間アマゾンでフィールドワークをすることに。知人やエクアドル現地の人々との繋がりもあり、アマゾンに住むシュアール族の元へと訪問した。
実際に1年をかけてシュアール族の人々の生活に入り込む中で、太田さんは社会問題起点の発信や、撮影対象を美化するやり方ではない方法を意識しながら撮影したという。
太田さん:先住民族を扱う映像作品は、環境問題に警鐘を鳴らしたり環境保護を啓発したりと、「社会問題」を前面に出す傾向が強いと感じます。問題として伝える方法にも意義があると思いますし、自分もそうした作品を通して学んでいますが、それだけでは伝わりきらない側面があると思っていて。「問題」としてパッケージ化してナレーションを入れて伝えるより、視点をずらして「ありのまま」の彼らとの距離感や、自分がどう伝える立場にいるべきなのかを考えました。また、先住民族の生活を美化したものにもしたくなくて。映像での発信における第三の道を模索していきました。でも、つまらなかったら人は見てくれない。面白い映像にするけど、扇情的じゃないという加減が難しいと感じました。
実際に太田さんの作品『カナルタ』は、終始静かに淡々とシュアール族の日常生活が映し出され、場面が展開されていく。また、まるで現地にいるかのような臨場感のある音響は観る人をアマゾンの世界に没入させてくれる。ビジュアルや音響を誇張せずシンプルにありのままを映す太田さんの思想を感じさせる部分だ。
太田さん:エフェクトを入れたり奇をてらった細工をしたりしなくても、僕らのいる世界は音も景色も美しいと思います。僕自身にはミニマリズム的な感覚があって、楽しく生きるために必要なものは多くないと思っていて。これはアマゾンの世界にも通じます。森という自然の中で日々様々な発見をしながらクリエイティブに生きている。この作品でエフェクトを多く使っていないのは、彼らのシンプルな生き方が十分面白いと思っているからです。
すべてがつながり合う、円環の思想
1年間のアマゾンでのフィールドワークと撮影を通して太田さんが一番心に響いたのは、自身を取り巻く物事や世界に対するシュアール族の思想だという。
太田さん:シュアール族にとって、物質や自身を取り巻く全てのものが地続きです。例えば、一般的に私が持っているコップはただの「コップ」としか認識できないですが、シュアール族は「これは土からできている」というレベルから向き合っています。プラスチックや木のケースであっても、どう切り出されて加工されたか、何でできていてどこから来ているのか、どう作れるのかを常に考えている。「自然は綺麗なもの」に留めず、「この土を使ったら土器が作れる」、「この草を組み合わせたら健康になれる」など、あらゆるものがプロセスとして繋がっている世界観があるのだと感じました。
作品の中で印象的なシーンの一つに、幻覚作用を持つ植物・アヤワスカを使用し未来のビジョンを見ようとするシュアール族の場面がある。植物を媒介に自身を覚醒させ、時に内省する姿は、まさに自然と自分自身を地続きに考えているように見え、心に残るものがあった。
太田さん:彼らは、アヤワスカも地球上に存在している「普通のもの」と認識しています。彼らには様々な薬草に対する知識がある中で、他の薬草には他の役割があるように、幻覚作用のあるアヤワスカを特別視せず「そういう作用のある薬草なんだ」という認識を持っています。文献を読むだけではこうした彼らの感覚はわかりません。そうした感覚は、研究者として現地へ行って感じたことや考えを突き詰めた上でわかったことですね。
夢を通して世界を理解するシュアール族のまなざし
この『カナルタ〜螺旋状の夢〜』というタイトルには、シュアール族が大切にする言葉が込められているという。
太田さん:「カナルタ」という言葉には、「おやすみなさい」、「良い夢を」、「ビジョンを見なさい」という3つの意味があります。シュアール族の彼らは、寝る前やアヤワスカを使用して覚醒するときにこの言葉を使います。つまり、彼らにとって自分自身のビジョンを見ることと眠ることはイコールで、地続きの感覚です。彼らが夢を通していろんなものを理解していくプロセスを、「カナルタ」という言葉は象徴しているように感じました。
実際に、作品の中では「夢」をきっかけに部族初の女性リーダーになった女性や、先に述べたアヤワスカを用いて自身のビジョンを見ようとする男性の姿が映し出されている。
太田さん:もともとこの作品は、「Kanarta: Alive in Dreams」という英語のタイトルを先に考えていました。彼らの世界観の特徴として、何かが膨張していき自分が世界を支配している感覚よりも、同じ状態がずっと続く円環的な感覚が強いと思っていて。一方で、円環だからと言って同じものの繰り返しではなく、回っているけどどこか別の場所にも向かっている状態のような。これが、「螺旋状の夢」というタイトルに繋がっていきました。
太田さんは、タイトルだけでなく編集の仕方にも工夫を凝らしている。様々なシーンがループしているかのように、場面のサイクルを2、3周させてデジャブ感を起こすような編集にし、螺旋的な動きとして表現に落とし込んでいったそうだ。
太田さんは東日本大震災をきっかけに、これまでの消費主義的な生き方から抜け出すためのオルタナティブな可能性を求めて研究や制作を行なってきた。その中で、大切なのは私たち自身がよりしなやかに生きていくことだと話す。
太田さん:土台にある考え方は変わっていませんが、仰々しくその可能性をまわりの人たちに提案しても、人間誰しも急激には変われないと思います。たしかに変化する希望もあるけど、それ以上に伝えたいのはもっと自由にしなやかに生きていいのではないかということです。彼らの生活を想像するときには、いつも水のメタファーが思い浮かびます。水は、形はないけど必要なものです。水のようにあらゆるものに溶け込みながらこの世界を生き抜く感覚は、よりオルタナティブな可能性を切り開くことの必要性を思い出させてくれます。今後も、この世界の中でのよりしなやかな生き方、考え方を、撮ったり書いたりしていきたいです。
編集後記
今回の取材で印象的だったのは、シュアール族の人々の暮らしや価値観に対する、人類学者としての太田さんの視点だった。「先住民族」は、「古くからの伝統を守る人々」というように、ある意味で美化された対象として切り取られることが多いと感じる。一方で、太田さんは先住民族の生活や価値観に対して1年もの間、現地に密着し彼らの様子を映像に収めた。だからこそ、シュアール族の日常生活という「外面」だけでなく、彼らの心の奥にある「内面」に至るまでが映像に込められているように感じた。そして、視聴者である筆者自身もその世界に入り込む感覚になった。
また、「映像を見れば世界を分かった気になってしまう」というドキュメンタリーの持つカタルシスの作用に対しての太田さんの考えに、筆者自身もはっとさせられた。昨今様々な社会問題に関するドキュメンタリー映像を観る機会が増える中で、問題の現状を知ることができるのはメリットであるのと同時に、映像の中で語られていることが全てだと思わせる作用がある。太田さんの作品はミニマリズム的な感覚でアマゾンの世界の「ありのまま」の姿を映し出そうとされており、映像の中で完結した世界を知って満足するのではなく、映像を通してもっとこの世界を探求してみたいという気持ちにさせてくれる。まさに、今まで知らなかったアマゾンという奥深い世界の入り口が開かれた感覚があった。
人間と自然との関係を捉え直し、新たな視点を得たい方にぜひこの作品を視聴いただきたい。
上映スケジュール
10月2日(土)〜 シアター・イメージフォーラム(東京)
10月29日(金)〜 伏見ミリオン座(愛知)
11月6日(土)〜 横浜シネマリン(神奈川)
11月19日(金)〜 出町座(京都)
11月20日(土)〜 シネ・ヌーヴォ(大阪)、元町映画館(兵庫)
その他の上映スケジュールはこちらを参照
※1 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66837710R01C20A2EAF000/)
【参照サイト】akimi ota
https://ideasforgood.jp/2021/09/24/kanarta/

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アイヌ民族の昔話一冊に 週刊まなぶん連載「ミンタラ」の27話収録

2021-09-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/23 11:07 更新
「ミンタラ《1》 アイヌ民族27の昔話」の表紙
 毎週土曜日の朝刊別刷り「道新こども新聞 週刊まなぶん」で、アイヌ文化を紹介している連載「ミンタラ」が本になった。「ミンタラ《1》 アイヌ民族27の昔話」(北海道新聞社)。さまざまなカムイ(神)や魔物、英雄たちが登場するドラマチックな物語をかわいらしいイラストとともに収録。ともにアイヌ民族出身の、筆者で北大アイヌ・先住民研究センター准教授の北原モコットゥナシさん(45)と、イラストレーターの小笠原小夜さんに話を聞いた。
■カムイや英雄、ドラマチック 筆者・北原モコットゥナシさん/イラストレーター・小笠原小夜さん
 ミンタラは、週刊まなぶん創刊1周年の2016年春から続く月1回の人気連載。今回の本には、19年1月~21年3月に掲載したアイヌ民族の昔話シリーズ「ネウサラ(おはなし) イェコロ(語りながら)ヌコロ(聞きながら)」全27話を収録した。
 北原さんは、道内各地や樺太に伝わるアイヌ民族の昔話の中から毎月紙面に載せる話を選び、子供にも分かりやすい文体に書き直してきた。「地域によってアイヌ語の語りの録音が残るものもあれば、日本語に翻訳された筋書きしかないものもある。翻訳されたものは聞いた人の解釈が入っていることが多く、なるべく原文が残る話を選ぶように心がけました」と話す。
■女性も生き生き
 アイヌの昔話はストーリーが多彩でドラマチックな人情物語が多い。例えば北原さんのいちおしは、登別市に伝わる「銀のキセル、ウラシペッの村長を救う」という話。食糧不足の村に山裾のクマの神が現れ、村長に仕留められて村を助ける。が、クマの神は村長が感謝してささげた宝刀を自慢してほかの神々の怒りを買い、村長が神々に詰問される―というあらすじだ。
 「紙面では少し短くしましたが、この村長の父親が動物を敬愛する人で、普通の狩人なら山で解体して無造作に捨てる動物の内臓を、草を敷いてきれいに並べ鳥の神々にささげる。その心がけにシマフクロウが感激して宝刀を授けた…という背景がある。元の話にはそうした事柄もアイヌ語で詳しく表現されていて、すごくおもしろいんです」
 「食べ物を大切に」と説く物語も少なくない。「なぜそんな話ができたかといえば、昔の人も食料が豊富な時はおそらく粗末にしたからで、戒めのために作られたのでしょう。ご先祖もやっぱり人間なんだよなと思います」と笑う。ほかにも女性や女神が生き生きと活躍する話も多く、勇気づけられる読者は多いだろう。
 昔話のほか、現代に生きるアイヌの人たちのインタビューやアイヌ語地名クイズなども収録。ミンタラは大人からも人気があり、小学校などの授業で活用される例も少なくない。北原さんは「本にまとめたことで、より読みやすくなったと思う。学校ではもちろん、家庭でもぜひ親子で楽しんでほしい」と勧める。
■単純明快に表現
 ミンタラの昔話には、かつてのアイヌ民族の暮らしぶりや神々の姿が頻繁に登場する。小笠原小夜さんの描くイラストは、読者の理解を助け、想像力をかき立てるのに一役買っている。
 「私が小学生のころ図書館でよく読んでいた昔話集には、残念ながらアイヌ民族のお話がありませんでした。この本が全国の学校図書館に行き渡ることを願っています」と小笠原さん。作画ではアイヌ民族の世界観が伝わるよう単純明快な表現を心がけ、「お化けや死人などは子供が泣いてしまわないよう適度な怖さとかわいさを目指している」という。
 森羅万象に魂が宿るという世界観から、昔話では物が擬人化されて登場することも多い。そうした“キャラクター”の中で小笠原さんのお気に入りは、踊りが上手な「銅のなべ」と、勇気ある「銀のマレク(魚を捕る鉤銛(かぎもり))」だ。「日本の昔話には出てこないアイヌ民族特有の風習や道具など、イラストで分かる文化の違いにも注目してみてほしい」と話している。

 「ミンタラ《1》 アイヌ民族27の昔話」はB5判、152ページ。1980円。書店、アマゾンなどインターネットサイトのほか道新販売所でも扱う。問い合わせは道新出版センター(電)011・210・5744(平日午前9時半~午後5時半)へ(元井麻里子)
<略歴>きたはら・モコットゥナシ 東京都生まれ、埼玉県育ち。自身がアイヌ民族と知ったのは4歳のころ。樺太生まれで日高管内平取町に住む祖母の影響で、樺太の言葉や文化に関心を持った。現在は主に昔のアイヌ民族の言葉や音楽、文学、宗教などを研究し、新聞などを通してアイヌ文化を広く紹介している。
<略歴>おがさわら・さよ 小樽市生まれ、江別市育ち。先祖は日高管内新ひだか町静内地区のアイヌ民族。大人になってから踊りやししゅうなどのアイヌ文化を覚え、海外の先住民族との交流経験もある。幼少期から絵が好きで、アイヌ民族の世界観を描くイラストレーターとして多方面で活躍している。
◆「ミンタラ」と「ネウサラ」の「ラ」、「北原モコットゥナシ」さんと「ウラシペッ」の「シ」、「イェコロ」と「ヌコロ」の「ロ」、「マレク」の「ク」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/592007

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伝統無縁の類似品出現 アイヌ文様保護に議論を=平山公崇(北海道報道部)

2021-09-24 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/9/24 東京朝刊 有料記事
 今、北海道の先住民族アイヌの文化に注目が高まる。「伝統文様がかっこいい」。こんな感覚が若者らの間で広まっている。道内で生まれ育ち、アイヌの歴史や現状を取材する私にとっても喜ばしい状況だ。しかし、そのブームの陰で伝統文様をまねた「偽物」が目立ち始めた。独特の文様をいかに守っていくか、新たな課題について考えたい。
残り1708文字(全文1864文字)
https://mainichi.jp/articles/20210924/ddm/005/070/014000c

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オーストラリアは世界に説明せねばならない=外交部

2021-09-24 | 先住民族関連
CRI 2021-09-23 20:43
 国連人権理事会第48回会議において、オーストラリアは重大な人権侵害行為について広くから批判を浴びたと報じられています。中国外交部の趙立堅報道官は23日の定例記者会見で同件に関連する質問を受け、「オーストラリアは世界の人々に説明をせねばならない」と述べました。
 趙報道官は、「オーストラリアは歴史上、先住民族を大量虐殺し、先住民族の児童10万人を強制的に家族から引き離して、永遠の痛手を負わせた。オーストラリア先住民族の平均寿命は現在、白人より8.2歳低い。先住民族の人口は総人口のわずか3.3%だが、刑務所収監者全体の28%を占めている。オーストラリア先住民族は、生存条件や法執行などの分野で甚だしく不公平な扱いを受けている」と指摘しました。
 趙報道官はまた、「アフガニスタン戦争において、オーストラリア軍人は2012年から2013年にかけて現地で、捕虜や民間人を銃殺し、虐殺した。オーストラリア軍人は深刻な犯罪に手を染めたが、今も法の外でのうのうとしている。アフガニスタン人の命も命である。オーストラリアは世界の人々に、説明せねばならない」と論じました。(馬げつ、鈴木)
http://japanese.cri.cn/20210923/52ca15fc-c088-5b5f-9079-12f1f028201e.html

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エミー賞ノミネート『POSE/ポーズ』、キャストとプロデュサーが舞台裏を語りつくす

2021-09-24 | 先住民族関連
Harper’s BAZAAR 9/23(木) 22:20配信
ドラマ『POSE/ポーズ』
ドラマ『POSE /ポーズ』の制作と原案を手がけたスティーヴン・キャナルスは、共に制作に携わってくれるクルーを見つけるために、166回もミーティングを重ねたという。
『POSE /ポーズ』は、エイズの感染が最も深刻化していた頃のニューヨークのボールルーム・シーンが舞台となった作品だ。黒人とプエルトリコの血が流れるクィアの男性が中心となって脚本を手がけ、メインキャストはほぼ全員が非白人、トランスジェンダー女性が中核に据えられている3シーズンのドラマだ。
いまだBIPOC(Black:黒人、Indigenous: 先住民族、People of Color : 有色人種)とLGBTQ+を扱った作品が必要であり、利益を生むものであるとを認めるのに苦労しているハリウッドの重鎮たちは、プレゼンの段階では必ずしも全員がいい顔をしないだろうと思われたドラマシリーズだ。
最終的に、プロデューサーにライアン・マーフィー、テレビ局はFXを拠点とすることに決定した。しかし自分たちが実際に経験してきたことを芸術作品へと導き、かつ社会的現象にまで引き上げられる才能のあるトランスジェンダーの女性たちをプロデューサー陣が見つけるまでは、この作品に命が吹き込まれない。大変な苦労の末、彼らが発掘したメンバーの中にいるのがこの女性たちだ。
アクティビストでベストセラー作家のジャネット・モック。11歳で演技を始め14歳でボールルーム・シーンに入り、キャリアの半ばでトランスジェンダーであることを公表したMJ・ロドリゲス。
養護施設で育ち、10代の頃にはいじめを受けたが、現在はIMGとモデル契約を結んでいるインディア・ムーア。トリニダード・トバゴ出身の移民で真のボールルーム・アイコンになったドミニク・ジャクソン。
彼女たちはみな、苦難、ホームレス、セックスワーク、人から拒絶された時の対処法などを経験上、知っている。
しかし『POSE /ポーズ』を作り上げる際の彼女たちの仲間意識とケミストリーのおかげで、この物語は単なる苦労話以上の作品になった。この作品は喜びも伝えているのだ。苦労の末にボールルームで祝福を受けた時の喜びは、世界中のリビングで映し出された。
この見事な3部作のドラマの最後のエピソードが終了する前夜に、『POSE/ポーズ』のメインキャスト3名と脚本家のジャネット・モックが撮影の開始当時の幸福感や甘く切ない思い出について語り合う。
ジャネット・モック(以下JM):レディたち、このところ私はいつもこのマントラを頭の中で唱えているのよ。「新型コロナウイルスのパンデミックの中で、半年にわたってこのドラマを撮影できたんだったら、この先、私はほぼなんだってできるはず」って。
私たちを信じてくれたこの作品のプロデューサー、ネットワーク、スタジオを心から誇りに思っている。私たちのストーリーを信じてくれて、このドラマに価値を見出してくれて何百万ドルも投資してくれたこと、このドラマのシーズン1を作るために既に予算がかさんでいたにもかかわらず、私たちを再び起用してくれたことに本当に感謝している。私たちのストーリーは重要な課題で、とても大切で、放送されるべきものだから。
まずは、最初に戻ってみんなに聞きたい。MJ、ブランカのオーディションについて話してもらえる?
MJ・ロドリゲス(以下MR):私はその当時キャリアの岐路にいた。あまりにも多くの「ノー」ばかり受けていたから、演技を続けるべきか、続けたいのか悩んでいた。そこに2つのチャンスが舞い込んできた。ひとつは初のブロードウェイのショー。
もうひとつは『Backstage』誌で見つけた『POSE/ポーズ』の役柄の詳細だった。それを読んだ時に、ブランカとはどういう人間なのか、何を伝えたいのかを知って、私はこの役を欲しいと思った。
今も思い出すのが、オーディション会場でドミニクと少し話したこと。そこで私は、“なんだかいい感じ。このドラマはそれまで自分のストーリーを語ってこなかった強い黒人のトランス女性だけの話ではなくて、私が本当に知っている人に寄り添っているものだ”と思った。
ただその頃、私は個人的には自分がトランスジェンダーだということをそこまで広く公言していなかった。世界がどのように私を受け入れてくれるのか、また私たちのストーリーをどのように受け入れてくれるのかが心配で仕方がなかった。でも私は間違っていた。ハニー、私たちはそれを覆したのよ。
インディア・ムーア(以下IM):私がエンジェル役のオーディションを受けた時、会場には大勢の人がいた。私はこの業界では全くの経験不足で、ライアン・マーフィーのことなんて全然知らなかった。けれど、スティーヴンの顔があったのを覚えている。スティーヴンは私の家族にとても似ていた。
そう、彼は私に似ていたの。親近感を覚えてすごく気分が盛り上がったのよ。だって、この役が自分に合っているのか、私が演じる価値があるのかもわかっていなかったから。でも、なんだろう、そういうことから私たちの現実が始まるのかな、と思った。
JM:それってすごく力を与えてくれる言葉。2017年の7月から8月にかけてみんなはオーディションを受けていた。その頃、私はライアンに出会った。当時彼は『アメリカン・クライム・ストーリー』の現場で監督を務めていた。
現場のセットチェンジをしている最中に30分ほど私は彼と軽いミーティングをしたの。ライアンに「君のこれまでの作品を読んだよ。ロサンゼルスに来てこのドラマの脚本を書く気が君にあるかどうかを教えてほしい」と言われた。それに対して私は「私にとって素晴らしいチャンスだと思います。
でもその前に、質問したいことが山ほどあります」と答えた。彼は非常にクリアに、私が知りたいと思っていたことを全て明確に説明してくれた。そこで私は参加することを決めた。私は「このドラマに私は貢献できる」と思ったの。
IM:ジャネットが脚本家兼プロデューサーとして現場に現れたとき、私はこのドラマに出演するみんなは絶対に大丈夫だと安心した。ハリウッドの曲解や偏見を持った視点から私たちを守ってくれて本当に感謝してる。私たちだけでは抱えきれなかったから。
JM:撮影現場に初日に行ったとき、この作品はマジックになると確信した。インディアとMJ、ドミニクから受け取った愛情の深さを覚えている。ドミニクが完璧なママ・エレクトラの衣装で私のところに来てくれて、ハグしてくれて、「ガール、あなたがこのドラマを書いてくれていることを聞いた瞬間、私はこれが絶対にうまくいくと思ったわよ」って言ってくれた瞬間があった。
撮影期間中、ずっと私は出演しているシスターたちの保護者なのだと自分に言い聞かせていた。私はみんなを守るためにここにいる。このドラマの中での私の唯一の仕事は、その軸を守ることだけよ。
素晴らしい才能を持った演者たちによる壮大なアンサンブルの中で、女性の存在が失われないようにすること。プロデューサーとして、演出家として現場で必ず確認することが私の最も大切な仕事だと思っているから。
ドミニク・ジャクソン(以下DJ):みんなの存在がどれほど私の心に響いたか、まだ話してなかったわね。それはエンジェルが、私が演じたエレクトラに対して「ママ」と言ったときのこと。そのとき私は、「ちょっと待って、私本当に彼女のママになったみたい」と感じていた。
JM:実際にみんながボールルーム出身だからこそ聞きたいのだけれど、このドラマで欠かせないと思ったシーンはどこ? そして役を手にしたとき、それは自分にとってどんな意味があると感じた?
DJ:私は生きていても、どうあがいても手が届かないレベルがあると理解して、そこに落ち着こうとしていたところだった。2016年にウーピー・ゴールドバーグとトム・レオナルディスがエグゼクティブ・プロデューサーを務めた『ストラット』(トランスジェンダーのモデルを起用したリアリティショー)に出演した。
でもその時すでに40歳だったから、年齢の壁にぶつかったの。ウーピーは私のために戦ってくれた。オーディション会場では誰もが私に会おうとしていたけれど、私の年齢を聞いたとき、ちょっと待て、と思われたのよ。「黒人で、トランスジェンダー、移民でしかも40歳?」と思われていたはず。でも私は脳内で、「でも、とにかく私を見てよ!」と思っていたわ。
その当時のエージェントから連絡をもらって、このドラマのことを教えてもらった。エレクトラのキャラクターの部分だけを読んだ。エレクトラ以外は見なかった。私は40歳を超えているから、ブランカの役柄の詳細に関してはエージェントが私に伝えてこなかった。
エンジェルの役に至っては一切知らなかった。エージェントは多分、私にはこの役しかない、という感じだったのね。でも(この脚本には)親近感を持った。1990年代に(「House of Dupree」のマザーだった)パリス・デュプリーとニューヨークの「Two Potato」のバーで飲んでいたときのことを思い出した。
彼女はバカルディの151ショットを飲んでいて、私はキール・ロワイヤルを飲んでいた。そのとき私はこう思っていた。「どうしてこの人は私に話しかけているんだろう? ただ静かに飲んでいてはだめ? あっちに行って踊りながらつけまつげを外す様子を見せてほしいわ。そのために私は今ここにいるんだから」と思っていた。
でも彼女はエイヴィス・ペンダーヴィスやドリアン・コーリー、ペッパー・ラベイジャなどのマザーたちの話をずっとし続けた。時を経て、それが全て私の現実になった。あらすじを読んでいるときに、「ああ、この人たちがあの時に聞いた女性たちだ」と思った。
それで私は一回目のオーディションに行って、衣装を身につけた。オクタヴィア・サンローランやダニエル・レヴロンがどのように表現をしていたか、どのように現れたのかを思い出していた。彼女たちは本当に大胆な存在だった。
会場に入った私は、すでに全てのセリフを覚えていた。オーディションのシーンは、エレクトラがブランカに対して自分の頬骨を自慢する部分だったの。
JM:「空の上の太陽のように高い!」
DJ:「あなたにはまだ早い!」
MR:「あなたはまだ私と……」
全員:「並ぶなんて早い!」
DJ:(キャスティングディレクターのアレクサ・L・フォーグルと)彼女のアシスタントが互いに目を見合わせた。私はその場に立っていて、「とにかく私の時間をちょうだい」と思っていた。再び呼ばれることなんて全く期待していなかった。
「私はグリーンカードを手に入れたばかり。仕事もあるし、十分恵まれているじゃない。これ以上何か望んだらバチが当たる」と自分に言い聞かせていた。
今、みんなの前だから正直に言うけど、あの頃の私は生涯の夢を叶えている最中だった。性別適合手術の最終段階だったの。(二度目のオーディションの連絡をもらったとき)私はハイヒールを手に取って、自分に「このヒールを履いたら、傷口が開いてしまうかもしれない。病院に戻ることになるかもしれない」と、自分に問いかけた。
お金が手元にあまりなかったので、タクシー代を人に借りた。ヒールを履いてもいつもと同じような良い気分にならなかったから涙が出てきた。痛くて。でもオーディション会場に入ったときにふと何かが変わった気がした。
帰り道も私は泣いていた。でもそのときは痛かったからではなくて、達成感があったから。私はオーディション会場に行って、やり切ったと感じた。
そしてその後合格したと連絡をもらったときには、演技を学ぶ手段さえ持てなかった私は本当に幸福を感じたし、他の誰にもできない価値のあることを成し遂げたと思った。
JM:MJは11歳の頃からこの業界にいるでしょう? 技術面での準備はできていたと思うけれど“旅”の経験は浅かった。トランスジェンダーの女性として、公にトランジションをしなければならないということで、このような先駆的な女性の役を演じるという未知の次元に対する恐怖感と不安はあった ?
MR:私は以前、自分がトランスジェンダーであることを公表したけれど、当時は私を知る人は少なかった。けれどもこのようなプロジェクトの一員になるとしたら?と自問した。
「何かを公表することで自分を危険にさらし、その後の反発に耐えられるだろうか。しかもトランスジェンダー女性であるだけではなく、ラテン系かつアフリカ系アメリカ人の女性。本当に気持ちの準備はできている?」と。
ナーバスになっていたけれど、『POSE/ポーズ』に関して言えば、私が伝えたいメッセージと目的を知るためにしっかり頑張ったつもり。
つまり、この作品は私たちがどのような人間で、どう生きてきたかを示す作品でしょう。ドラマの設定は1987年から1994年だけど、その時期だけではなくて、今もこれからも私たちに何ができるかを伝えているものでしょう。
そしてここにいる仲間たちと一緒に仕事をすること、これまでずっと日陰に隠れていた私たちがさまざまなイベントで団結して立ち上がること、力を示すこと、私たちの立場を肯定して、どういう人間なのかをわかって共に立ち上がることができる、という事実のおかげで私は準備を整えられた。万端だった。いや、それ以上だったかも。
IM:私は自分自身が“スター”と呼ばれることにずっと慣れなかった。自分自身でも認めなかったし。なぜかわからないけれど、不健康な感じがしていた。でも、エンジェル役を演じている自分の姿をテレビで見た時、“オー・マイ・ゴッド、私スターだ”って感じずにはいられなかった。
JM:ハニー、そうよ、感じて!
MR:それでいいのよ、ベイビー!
JM:みんなが自分の姿を画面で見て、“ビッチ、私はスターよ”と感じてくれたのはとてもうれしい。だってそれは大切だもの。ちゃんと認めないと。それだけ影響力のあることをしたんだから。
あなたたちのために脚本を書いて演出ができたことは私の人生の中で最高のギフトだった。この先、『POSE/ポーズ』でみんなと一緒に仕事したことを超えるようなクリエイティビティにあふれた経験をできるのかはわからない。
でもこの作品は、誰からも何も与えられなかった頃にハウスを作り、社会的に認められず、何も持っていない子たちの夢をかなえた初期のマザーたちのおかげなの。
彼女たちは素晴らしいレガシーを残したと思う。私にとって『POSE/ポーズ』は、ゼロから魔法を生み出した、そんなマザーたちへのラブレターよ。
From Harper's Bazaar September 2021
https://news.yahoo.co.jp/articles/55576827e4858cfd997626807ce2638f703e8576

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