20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

『牛太郎、ぼくもやったるぜ!』(堀米薫著・佼成出版社刊)

2009年07月21日 | Weblog
 作家・堀米薫さんのデビュー作のご紹介です。
 
 専業農家に生まれた健太郎は4年生。
 逆子で生まれてくる牛の赤ちゃんのお産の手伝いをしたことから、健太郎はその牛の名付け親になります。
 メスの牛の名前は「牛太郎」
 その牛太郎と、健太郎の交流の物語です。
 けれど単なる交流の物語になっていないところが、この作品のすごいところです。
「著者紹介」を拝見すると、どうやら堀米さんは自ら酪農をおやりになっているようです。その体験的な実感が、ひとつひとつの文章に煌めいています。
 子牛が親牛と離ればなれに暮らす「自立」の瞬間や、新しく入った牛小屋での牛同士の関係。
 そういったディテールが、私たちにいろいろなことを教えてくれます。
 胸をゆさぶりながら。
 実感として伝わってくる牛たちの生きることへの細やかな描写と、健太郎自身の生きる姿勢。それが確かな言葉で迫ってきます。
 
「いまは弱虫でいいんだよ。牛太郎には、心も体もまだ強さが足りないんだ。でもかならず仕切り直しはできる」

 父ちゃんの言葉です。
 体験の強さと、実感の確かを感じたご本でした。
 
 実は堀米さんとは、まだお目にかかったことがありません。
 このたび、季節風を中心に8月29日、中野のサンプラザで、(明日、こちらでご紹介させていただく、『メン! 出会いの剣』(開隆人著 そうえん社刊))おふたりの出版お祝いの会が開かれます。
 私も発起人のひとりになっておりますが、当日どうしてもうかがうことができません。
 これからでも、間に合うと思いますので、ご参加希望の方はぜひお申し込みください。
 そして、このご本をぜひお読みになって下さい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする