20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『メン! 出会いの剣』(開隆人著・そうえん社刊)

2009年07月22日 | Weblog
 作家・開隆人さんのデビュー作のご紹介です。
 
 まずは、書き出しのシーンから衝撃的に物語は展開します。
 剣道の防具を洗う?
 夏のまぶしい太陽のひかりをたらいに受けながら、防具を洗っているシーンに、まずは読者の胸はぎゅっと鷲づかみされます。水しぶきが飛んでくるようです。
「おお、なんと活きのいい作品だこと!」
 その印象は、読み進めていく中で、なお確信に変わります。

 快活で、正義感に富み、潔く清潔な少女ミク。
 イケメンで、瞳は野性的。知能派でスポーツ万能、サッカー部エースで、一学年年下のケンヤ。
 ふたりの出会いからはじまるこの物語は、表紙の絵のように、実にシャープです。
 
 ケンヤがなぜ、サッカー部をやめて剣道部に入部しようと思ったのか。
 友人であり、同じくサッカー部を退部してきたヨウジ。ハル。ヒロ。
 第一巻では、これらの少年たちがモノローグで、おのおのの物語を語ります。
 その語りの内実が、もしかしたら作家・開隆人の特徴になるかもしれないと予感させて。
 そこには彼らのキャラクターが丁寧に描かれていきます。

 真夏の太陽の下、しぶきを上げ、剣道の防具を洗うミクとケンヤは、この剣道部で、はたしてどんな事件を起こしていくのか。
 また意地っ張りなふたりの関係は、今後どうなっていくのか。
 剣道部はどうなっていくのか。
 さまざまな興味を残しながら、次作へと繋がっていきます。
 
 皆さま、ぜひ、この活きのいい人間模様をお読みになってください。
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