20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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与謝蕪村

2009年07月13日 | Weblog
 昨日の「日曜美術館」は郷愁の詩人、与謝蕪村でした。
 蕪村が花開いたのは60歳を過ぎてからだそうです。
 自分で絵筆を握り描いた水墨画や俳句。そして彼の孤高でかなしい生涯などが紹介されていました。

 実は私は、与謝蕪村が俳人のなかでは一番好きなんです。
 そんな話をずいぶん以前にしたら、友人がその蕪村の俳句を書いた書をたくさんプレゼントして下さいました。
 いくつもの蕪村の俳句を、すてきな和紙に優雅でたおやかな書で綴ってくださって・・・。

 すずしさや鐘をはなるるかねの声
 花いばら古郷の路に似たるかな
 夕だちや草葉をつかむむら雀
 不二ひとつうづみ残してわかばかな
 楠の根を静かにぬらす時雨かな
 水晶の山路わけ行く清水かな
 門を出れば我れも行く人秋のくれ
 山鳥の枝踏みかゆる夜長かな
 遅き日のつもりて遠き昔かな
 広庭や牡丹や天の一方に
 凧のぼりきのふの空の有りどころ
 水仙や寒き都のここかしこ

 こんなにたくさんの蕪村の俳句を、升色紙、料紙、和紙の葉書に書いてくださったのです。
 写真は、升色紙のたとう紙と、その俳句をいくつか。
 葉書サイズのたとう紙も手作りで作ってくださって、それに一枚一枚、薄紙で仕切られて納められていました。

 それを手にしたときは、感動して胸がつまりそうでした。
 お膝の手術をなさったばかりの友人は、痛みをおして机にむかい、これを書いて下さったのです。
「まだ、お膝が痛いのに」と言うと、
「ううん、東の窓からふいてくる風にふかれながらの、すてきな時間だったわ」と友人。
 ほんとうに私の宝物です。
 
 別れ際、さらに友人は、手作りの根ショウガの黒酢漬けと、らっきょうの甘酢漬けをプレゼントしてくださいました。
 友人の、まるで母のような深い愛にふれるたび私は、その友人の大きさを憧憬の眼差しで見上げる、まるで子ネコみたいな自分を感じます。
コメント (4)
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