山吹の黄色い色をみると、小学生のころの遠足を思い出します。
小さな電車にのって、近郊の山へいったことを覚えています。
そこで、目の前に現れたのが、つりばし・・・。
このつりばしを渡らなければ、目的地に着きません。
つりばしは、だれかが歩くたび、ぐらぐらゆれます。
眼下には、渓谷がそそり立っています。
私は、自分の順番が近づくにつれ、恐怖のため、足ががくがくしているのがわかりました。
「はい、次」
先生に、そう言われて、足を一歩つりばしにのせた瞬間、風景がぐらぐら・・・。
私はそのままその場にしゃがみこむと、前へすすめなくなってしまいました。
後ろには、友だちが並んでいます。
泣きたくなりました。
私はその場にへたりこむと、這ったまま、つりばしを渡りきりました。
生きた心地がしませんでした。
渡り終えたところにあったのが、この黄色い山吹の花。
生きていると実感した瞬間、目に入った花でした。
この山吹の花を見ると、私はもう何十年も前の出来事を、こうして昨日のことのように思い出します。