20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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つりばし、わたれ。

2011年06月20日 | Weblog
              

 山吹の黄色い色をみると、小学生のころの遠足を思い出します。
 
 小さな電車にのって、近郊の山へいったことを覚えています。
 そこで、目の前に現れたのが、つりばし・・・。
 このつりばしを渡らなければ、目的地に着きません。
 つりばしは、だれかが歩くたび、ぐらぐらゆれます。
 眼下には、渓谷がそそり立っています。

 私は、自分の順番が近づくにつれ、恐怖のため、足ががくがくしているのがわかりました。
「はい、次」
 先生に、そう言われて、足を一歩つりばしにのせた瞬間、風景がぐらぐら・・・。
 私はそのままその場にしゃがみこむと、前へすすめなくなってしまいました。
 後ろには、友だちが並んでいます。
 泣きたくなりました。

 私はその場にへたりこむと、這ったまま、つりばしを渡りきりました。
 生きた心地がしませんでした。
 渡り終えたところにあったのが、この黄色い山吹の花。
 生きていると実感した瞬間、目に入った花でした。

 この山吹の花を見ると、私はもう何十年も前の出来事を、こうして昨日のことのように思い出します。
コメント (14)
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