先日の句会で、宗匠が「これは隠喩?それとも直喩?」と、俳句のそれぞれの表現を、句友たちに尋ねるシーンがありました。
俳句表現を、レトリックの視点から考えたことがなかったので、それはとても新鮮な発見でした。
私たちが文章を書くとき、それをどう表現するか、さまざまなレトリックを考えます。
ステキなレトリックが思い浮かんだときには、ひとり悦にいってしまいます。
「作家でレトリックがうまい人はだれ?」
宗匠から尋ねられました。
すかさず私は
「洗練されたレトリックなら村上春樹。そして小川洋子・・・」
と答えました。
そんなやりとりに刺激され、Amazonでレトリックの本を買ってしまいました。
賞の最終選考の原稿読みのあいまに、ぱらぱらとページを繰っていて見つけたのが蕪村の一句。
春雨やものがたりゆく蓑と傘 与謝蕪村
これは換喩(指示をずらす)だそうです。
蓑をかぶった人と、傘をさした人が、雨のなかをものがたりゆく・・・。
換喩による、鮮やかな映像がうかんできます。
レトリックと、ひと言でいいますが、そこにはさまざまな形や手法があるのを、本を読みながら知ることができ、なかなかおもしろそうです。