友人の4人の作家の皆さんの新刊をご紹介します。
『願かけネコの日』(那須田淳・Gakken)
スリリングなはじまりの、物語です。
なにしろ三途の川の渡しから、このストーリーははじまるのですから。
賽の河原に住む「脱衣婆」と呼ばれる鬼婆。この鬼婆は死んだ人から衣服をはぎとるのだそうです。
衣服の重い人ほど、徳があり、三途の川を安全に渡航できるというのです。
ところが、その「脱衣婆」。実は元はかわいい少女、そしていまはネコに化身しているのです。
崖から足を踏み外し、死んでしまった主人公の「コースケ」は、死ぬ前に江ノ島の祭神である「三人の姫神」に、3つの願かけをしていました・・・。
その願かけの作法がよかった「コースケ」は6日間だけ、あの世にいくことを延長してもらいます。
奇想天外なストーリー展開と、軽妙な語り。
テンポのいい文章は、「人生の残り時間」をどう生きるかという重いテーマを、わくわくした気持ちで読ませてくれます。
テニスを扱ったスポーツ物語としても面白いですが、そこにひとひねりの工夫が施されていて、おもしろい作品に仕上がっています。ネコとの関係を描きながら、ラスト、待ち受けていた意外な結末にも驚かされます。
『すみれちゃんのすてきなプレゼント』(石井睦美・偕成社)
人気の「すみれちゃん」シリーズの第4巻です。
第1巻では、幼稚園児だったすみれちゃんが、このお話では3年生。
そのとき生まれた、妹の「かりん」ちゃんも、もう幼稚園の年少さん。
クリスマスが近づいたある日の、「すみれ」ちゃんと「かりん」ちゃんのやりとりが、とてもおしゃれに、そしてキュートに描かれています。
少しずつ大きくなってくると、人生には理不尽な納得できないことに遭遇する瞬間があります。
そういった真理を、哲学的ともいえそうな思索を絡ませ、妹との関係性を描いていきます。
やわらかな、おしゃれな文章で・・・・。
すみれちゃんの口調、とってもステキです。
『犬といっしょに』(山口節子・あかね書房)
犬たちが、お年寄りの施設や、学校や児童館。そして子どもの病院にいって、さまざまなふれあい活動をしているということを、このご本を読んで、はじめて知りました。
セラピー犬というそうです。
『犬といっしょに』には、そうしたセラピー犬が、表情の消えてしまったお年寄りや、病のなかで心を閉ざしてしまった子どもたちとふれあい、人びとを元気にしていく様子が生き生きと描かれています。
作者の山口節子さんは、作家でありながら、かつて医学書のベテラン編集者だった方です。
そういった医学書の編集者らしい視点からの記述もあるノンフィクションです。
本のなかには、「犬をもっと知ろう」というミニコラムも挟んであって、より詳しく犬とのつきあいがわかるような工夫もなされています。
『平清盛 新しい武士の世をひらく』(国松俊英・フォア文庫)
ご存知、国松俊英さんのフォア文庫(岩崎書店)からご出版されている「歴史ドラマのヒーロー・ヒロイン」シリーズの第5巻です。
歴史を子どもたちにも読みやすいように紐解いている、このシリーズはほんとうに奥が深いです。
平家というと、「平家物語」などで描かれているように、ある意味「悪名高い」武士というイメージがあります。けれど、このご本を読んでいると、清盛は、宋(中国)との貿易を盛んにしたり、広島の厳島神社との深い関係など、いままで知らなかったことを知ることが出来ます。
貴族と平家との関係。そして天皇と平家との関係。源氏との関係。そういった流れがとてもよくわかります。
また解説では、その『平家物語』についても国松さんは触れていらっしゃいます。
琵琶法師の語る、この「平家物語」は、清盛を中心とした平家一門の栄枯盛衰を描かれた本です。
私は、この「平家物語」の解説のくだりを、まずはじめに読者の方にお読みいただき、そして物語に入っていただくことをお薦めします。清盛への切なさがつのります
皆さま、この4冊、ぜひお読みになってください。
『願かけネコの日』(那須田淳・Gakken)
スリリングなはじまりの、物語です。
なにしろ三途の川の渡しから、このストーリーははじまるのですから。
賽の河原に住む「脱衣婆」と呼ばれる鬼婆。この鬼婆は死んだ人から衣服をはぎとるのだそうです。
衣服の重い人ほど、徳があり、三途の川を安全に渡航できるというのです。
ところが、その「脱衣婆」。実は元はかわいい少女、そしていまはネコに化身しているのです。
崖から足を踏み外し、死んでしまった主人公の「コースケ」は、死ぬ前に江ノ島の祭神である「三人の姫神」に、3つの願かけをしていました・・・。
その願かけの作法がよかった「コースケ」は6日間だけ、あの世にいくことを延長してもらいます。
奇想天外なストーリー展開と、軽妙な語り。
テンポのいい文章は、「人生の残り時間」をどう生きるかという重いテーマを、わくわくした気持ちで読ませてくれます。
テニスを扱ったスポーツ物語としても面白いですが、そこにひとひねりの工夫が施されていて、おもしろい作品に仕上がっています。ネコとの関係を描きながら、ラスト、待ち受けていた意外な結末にも驚かされます。
『すみれちゃんのすてきなプレゼント』(石井睦美・偕成社)
人気の「すみれちゃん」シリーズの第4巻です。
第1巻では、幼稚園児だったすみれちゃんが、このお話では3年生。
そのとき生まれた、妹の「かりん」ちゃんも、もう幼稚園の年少さん。
クリスマスが近づいたある日の、「すみれ」ちゃんと「かりん」ちゃんのやりとりが、とてもおしゃれに、そしてキュートに描かれています。
少しずつ大きくなってくると、人生には理不尽な納得できないことに遭遇する瞬間があります。
そういった真理を、哲学的ともいえそうな思索を絡ませ、妹との関係性を描いていきます。
やわらかな、おしゃれな文章で・・・・。
すみれちゃんの口調、とってもステキです。
『犬といっしょに』(山口節子・あかね書房)
犬たちが、お年寄りの施設や、学校や児童館。そして子どもの病院にいって、さまざまなふれあい活動をしているということを、このご本を読んで、はじめて知りました。
セラピー犬というそうです。
『犬といっしょに』には、そうしたセラピー犬が、表情の消えてしまったお年寄りや、病のなかで心を閉ざしてしまった子どもたちとふれあい、人びとを元気にしていく様子が生き生きと描かれています。
作者の山口節子さんは、作家でありながら、かつて医学書のベテラン編集者だった方です。
そういった医学書の編集者らしい視点からの記述もあるノンフィクションです。
本のなかには、「犬をもっと知ろう」というミニコラムも挟んであって、より詳しく犬とのつきあいがわかるような工夫もなされています。
『平清盛 新しい武士の世をひらく』(国松俊英・フォア文庫)
ご存知、国松俊英さんのフォア文庫(岩崎書店)からご出版されている「歴史ドラマのヒーロー・ヒロイン」シリーズの第5巻です。
歴史を子どもたちにも読みやすいように紐解いている、このシリーズはほんとうに奥が深いです。
平家というと、「平家物語」などで描かれているように、ある意味「悪名高い」武士というイメージがあります。けれど、このご本を読んでいると、清盛は、宋(中国)との貿易を盛んにしたり、広島の厳島神社との深い関係など、いままで知らなかったことを知ることが出来ます。
貴族と平家との関係。そして天皇と平家との関係。源氏との関係。そういった流れがとてもよくわかります。
また解説では、その『平家物語』についても国松さんは触れていらっしゃいます。
琵琶法師の語る、この「平家物語」は、清盛を中心とした平家一門の栄枯盛衰を描かれた本です。
私は、この「平家物語」の解説のくだりを、まずはじめに読者の方にお読みいただき、そして物語に入っていただくことをお薦めします。清盛への切なさがつのります
皆さま、この4冊、ぜひお読みになってください。