先日、従兄弟が今年の2月に亡くなったことを知りました。
家族だけで密葬を行い、従兄弟の奥さんの意向で親戚には知らされず、先日の叔母の一周忌の法要の折り親戚中がはじめて知り、驚いたようです。
従兄弟の中で一番年長で、71歳でした。心臓がお悪かったようです。それも知りませんでした。
最近の動向で小耳に挟んでいたのは、弓道で段をとられていたこと・・・。
お互いの親戚を束ねていた親たちが亡くなると、親戚もだんだん縁遠くなっていくものなのかと、少しさみしい気持ちがします。
従兄弟は、とてもノーブルな雰囲気を漂わせた人で、少年時代はきりっとしたお顔立ちをしていました。
夏になると、母に手をひかれ、八百屋さんでスイカを買って、毎年従兄弟たちの家を訪ねたものです。
藤棚と、庭の隅には釣瓶竿のついた古井戸のある家でした。
伯母手作りの海苔巻きやいなり寿司をご馳走になり、ひとしきりたつと、私たちは庭に飛び出します。
そして従兄弟たちと、古井戸に石を投げ、深い穴を見つめました。するとしばしの時間が経ち「ポチャン!」とくぐもった音がします。
「この井戸が深いってことだよ」
異界を覗かされたような、ぞわぞわした気持ちを抱えながら、従兄弟たちの顔を見たことを思い出します。
そんなときも、その年長の従兄弟は、私たちから少しだけ距離をおき、小さい弟や妹そして同じく従兄弟である私や弟を見ていました。
古井戸に落ちないように、用心深く見守りながら。
従兄弟はいま、ほんものの、冥界という異界へ行ってしまいました。
実感はまったくありませんが・・、ただただご冥福をお祈りしたいと思います。