この度、あかね書房より「伝記を読もう」全10巻が刊行されました。
企画・編集は野上暁さんです。
私が書いた荻野吟子というのは、日本で初めて女医になった人です。
荻野吟子の伝記は、1970年に渡辺淳一の筆により『花埋め』(河出書房新社、のち新潮社)と言うタイトルで発表されベストセラーになりました。
しかし子ども向けの本としては、これが初めてです。
ちょうどNHKの朝の連ドラ『あさが来た』と同じ時代が舞台です。
吟子とあさは同年代です。
まだ女性が入れる医学校も、医師になる資格さえ許されていなかった時代、吟子は日本で初めての医師になります。
女性が自覚的にがんばっていかないと、自らの道を選び取ることなどできない時代でした。
吟子はそのために、女医としてだけではなく、社会変革の道にも突き進んでいきます。
晩年、ずっと一緒だった養女の「トミ」と吟子の関係を、書きながらもずっとひきづっていました。
ですからあとがきには、その「トミ」のことを書かせていただきました。
お読みいただけましたら幸いです。