20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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クリスマスのパリ

2018年12月10日 | Weblog

           

 息子がソルボンヌ大学の客員研究員をしていた頃、息子たち夫婦を訪ね、夫と二人でパリに行ったのは、ちょうどクリスマスシーズンでした。

 パリのクリスマスシーズンは、イルミネーションやツリーの飾りつけなど、とても美しく、シャンゼリゼ通りなど息をのむようでした。

 

 けれど、今のパリは、燃料費高騰などで、大きなデモが起きています。

 人々の生きる権利も守られず、日々の生活にも困窮しています。

 

 先日、「フォーラム・子どもたちの未来のために」で、お話しいただいた金平茂紀さんと、二次会で飲みながらおしゃべりしていたら、金平さんがこうおっしゃっていました。

「今の日本は、まさに階級社会という言葉がピッタリくるような社会だ。その階級は生まれた時から決まっている」

 若いママたちが、冗談のように「カースト」という言葉を使っているのは聞いたことがあります。

 でも敢然とした階級社会と聞くと、ドキッとします。

 とくに地方がその様子が著しいようです。

 地方の格差はひどく、独居老人も多いし、貧困に喘いでいる人が多いそうです。

 

 政権は、これまでの支援団体であった農協を切り捨て、農家に対して、お肉の問題、お米の問題など、どんどん追い詰めています。

 もう農協の支持など、必要なくなったからです。

 今、政権を支援しているのは、経団連(東京五輪や関西万博で、労働者の人出が足りないといえば、外国人受け入れを拡大し、使い捨て労働力強化を狙っている(朝日新聞))や、日本会議。

 地方など、眼中にないのです。

 

 けれど都市だって、まだ気づいていないだけです。

 消費税は上がるというし、年金は年々減らされ、介護保険料はどんどん上がって行きます。

 先日、マンションの住人の、あるおばあさまに、道でばったりお会いしました。

「亡くなった主人の弟が、奥さんも亡くし、一人で過ごせなくなってしまったので、施設に入っています。これから行くのですが、施設も入ったときは、それなりの金額のお金を支払ったのに、病院に連れて行ってもらった、何を手伝ってもらった、と、それだけでどんどんお金が加算されます。請求金額を見ると、私のひと月の生活費より、全然高いんですよ」

「介護保険があるんじゃないですか?」

「いえいえ、あんなもの、どこに使われているか、わかりませんよ。ですから月々の支払額が、入居金も1000万単位で払っているのに、月々ひとり、40万円近くかかるんですよ。年金なんかでは足りません。今日も義弟の貯金をおろして持っていてあげるところです」と。

 それを聞きながら、ええ?介護保険料を、毎月あんなに取られているのに、別枠ですごいお金がかかるの?

 これは地方の市や、区の状況によって若干の違いはあるようですが・・・。

 

 これから水道だって民営化して、どれほど高くなるかわかりません。水質も悪くなるかもしれません。

 原発だって、世界中の原発に興味を持っていた国々が、3・11などを教訓に、「買うのをやめた」と拒否しているのに、それを作っている企業のために、日本では原発再稼働を目論んでいます。

 横田基地にはオスプレイが搭載され、軍事飛行機は、三沢基地へ、岩国基地へと日本の空を、毎日飛び続けています。

 先日は四国に墜落もしています。

 沖縄の人たちの苦しみを、人ごとだと思っていた、本土の人たちも、じき、我が身と実感する日がやってくるでしょう。

 

 でもある日、突然、日本に、今のパリのような大規模なデモが巻き起こる日がこないとはいえません。

 同じような、暴動が起きるとも限りません。

 まるで、コップの水が、一気に溢れ出すように・・・。

 そんな、今や、すれすれの状況を、多くの人たちは生きているのですから。

 気づいていないだけです。

 勉強していないだけです。

 金平さんもおっしゃっていましたが、特に若者たちは「バブル」などの、いい思いをした経験がなく大人になりつつある。

 だから現状維持で、どうにか生きていければそれでいいと、諦めにも似た気持ちで、日々を生きていると。

 それが保守化に繋がっていると・・・。

 若者たちだって、きっといつか気づくはずです。

 でも、気づいて、どうする? 

 その「どうする?」の部分が弱いから、こんな不遜で、厚顔無恥な政権が許されているのです。

コメント
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