日曜日が待ち遠しい若かった頃、私は一人の女性を好きになった。近くの銀行に勤める人で、ときどき帰りにすれちがい挨拶をしていた。ある夏、退社時に私達男3人は彼女達3人とばったり会い、日曜日に海水浴に行こうと切り出した。彼女は「いいわね、行きましょう」と応じてくれた。海水浴では一日中大いにはしゃいだが、どうしても2人きりにはなれなかった。その後、皆でお茶飲みにも行ったが、私は騒いでばかりだった。それから2年後、私は彼女が結婚した事を知って打ちひしがれた。70歳を過ぎた今でも好きな女性には冗談しか言えない私である。
鹿児島市 高野幸祐(74) 2007/6/1 毎日新聞鹿児島版掲載
鹿児島市 高野幸祐(74) 2007/6/1 毎日新聞鹿児島版掲載