ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

奈良の山あれこれ (134) 清水ヶ峰

2016-05-05 09:06:25 | 四方山話

*このシリーズは山行報告ではなく、私のこれまで登った奈良の山をエリアごとに、民話や伝説も加えて随筆風にご紹介しています。季節を変えたものや、かなり古いもの写真も含んでいます。コース状況は刻々変化しますので、山行の際は最新の情報を入手されますようお願いします。*

(134) 清水ヶ峰(しみずがみね) <1186.2m> 「美しい自然林の山」

五條市(旧大塔村)にある。地形図には山名記載のない標高1186.2m、三等三角点をもつ。奈良教育大学の実習林の山であり、ブナ、ミズナラなどの美しい自然林を歩く。2007年10 月中旬、日本山岳会の仲間ら10人で歩いた。

(以下、山日記から抜粋) 国道168号線で赤谷オートキャンプへ向かう。赤谷大橋を渡ると奈良大自然環境教育センターがあり、登山口は建物の裏手にある。スギ、ヒノキ林の中の急な階段道を登り標高500mのベンチがある分岐を左に行くと「左下・夫婦松」の標識がある。アカマツとゴヨウマツが根本で合体している仲の良い木である。尾根に出ると、標高600mの標識。ここからブナやリョウブなどの美しい緑の中を登り、登山口から45分で十坪平に着く。標高800mの休憩ベンチで道は分岐する。

等高線を捲くように付けられた沢道は「トチノキ回廊」と呼ばれ、往路はこの道を歩く。

涸れ沢を渡ると、斜面の右下に大きなトチノキが二本並んで立っていた。奈良県下一番の大きさといわれていて、一本の木には大きな洞が開いている。やがて水が流れ落ちるシャクナゲ沢出合を渡る。次の沢を渡るところにトリカブトに似たシロバナサンヨウブシがたくさん咲いていた。鉄塔の下を通って、小さな枝尾根を登った林の中で遅めの昼食。

ここからいったん沢に下り、登り返して「第三の(巨大)トチノキ」はすぐ横を通って行く。

広い「イノシシのヌタ場」を過ぎ、尾根道の勾配が緩むと平田平である。ミズナラの美林の中に大きなヤマナシの木があり、実がたくさん落ちていた。ここまで来ると頂上まではあと一登りである。

山頂は東から南にかけて開け、まず鋭鋒・釈迦ヶ岳の姿が目に飛び込んでくる。その左には孔雀岳、仏性ヶ岳と続く奥駈けの峰々。東南には整った形の笠捨山を挟んで、左に奥・中・南の八人山。右に地蔵岳、蛇崩山…と思った以上に素晴らしい展望だった。

ゆっくりと眺望を楽しんだあと、北東に延びる尾根道を下る。美しいブナ林の中を抜けて、800m地点で朝の道と合流。たっぷりと緑の森林浴に浸り、心身ともにリフレッシュできた楽しい一日だった。