1994年1月8日 錫杖ヶ岳(和子と)
1997年1月8日 伊勢・牛草山(和子と)
1994年1月8日 錫杖ヶ岳(和子と)
名阪国道向井ICから舗装の林道に入る。登山口まであと10分という所で路肩が大きく崩れ通行不能となり、先行者のものらしい車が2台停めてある。私たちもここから歩き出す。小さな峠を越え、すぐに登山口の標識がある。かなり良く整備された道を、荒れた谷を左手に見ながら緩く登る。
30分足らずで柚ノ木峠に着き、南側、経ヶ峰方面の展望が開ける。ここで直角に左に折れ、明るい尾根道を登る。この辺りは十両、アオキ、シキミなどが目につく。杉の植林を過ぎ、檜と雑木の混じる狭い尾根道を小さく登り下りして、クヌギや樫の落葉樹の枝越しに頂上の見える所に来る。
ここから胸を突くをつくような急坂になり、木の根が階段のようになっている所を木の幹につかまって登る。足下に丈の低い熊笹が見られるようになると、岩場が混じるようになり、ニヵ所ほど連続して鎖が設けられているが、なくもがなの気もする。勾配はあるが短いので難なく登り切ると、大きな花崗岩が積み重なったような頭上に着いた。
先着の4人パーティに写真を撮って貰い、ゆっくりと四囲の展望を楽しむ。まさに360度の眺めで、北に油日・那須ヶ岳・高畑山、その右に綿向・雨乞・鎌・野登など、南は経ヶ峰から青山高原、西に霊山と見飽きない。眼下の錫杖湖の姿も美しい。やがて人声がして数人のパーティが上ってきたので、頂上を明け渡し、湖への降り口を少し下った屋根付きの立派な展望台で昼食にする。
殆ど汗もかかずにきたので喉も乾かず、持参の缶酎ハイはザックに返す。元の道の下りは本当に楽で、辺りの植物を見ながらあっという間に峠に着いた。ここで和がマユミの木の美しい果実を見つける。再び暗い荒れた谷間に沿い、車を停めた林道に帰る。天候は申し分なく、短い所要時間で大展望が楽しめ、幸先の良い初登りとなった。
1997年1月8日 伊勢・牛草山 (和子と)
丑年ということで「山渓」新年号に紹介されていた牛草山に登る。伊勢自動車道玉城ICを出て更に南へ宮川の支流・一之瀬川に沿って走る。川口集落から五里山橋を東に渡って林道に入ると工事中の標識があり、バス道から少し入った空き地に車を置かせて貰う。すぐ左手に山肌が明るいカヤで覆われている神岳が見える。
一之瀬川の更に支流、五里山川に沿う林道は殆ど平坦で、時どき現れる小さな滝や川原の岩を見下ろしながら歩く。30分ほど歩いてウォーミングアップが出来た頃、岩伏場橋に着く。ジャケットを脱いで身軽になる。ここから虎ヶ岳林道と名を替えた林道の終点がやっと山道の始まりで、ここまで休憩を入れて45分、ガイドでは1時間だからまずまずのペースだ。しばらく沢沿いに檜の植林の中を登る。
荒れた感じの道は勾配を増すと、いつの間にか沢と離れ高度を上げる。再び沢に出会う所では流れが細くなり、岩伝いに対岸に渡る。かなり高いところに稜線が見える。上に来るほど風が強くなり、木の梢が擦れ合って人声や鳥の鳴き声、はては天狗の高笑いのようにも聞こえる。やっと檜林を抜け、広葉樹林のジグザグの急登となる。ほとんど海抜0メートルからなので、思ったより登りでがある。尾根に出て山名と矢印が記入されたビニールテープを見つける。500mピークを越えて二つ目の520mピークに向かう。ここから、やや急坂を登り切ると、明るく視界が開け小さい岩がごろごろした小広場の山頂だった。
雑木が何本か切り開かれて、正面に五所ヶ浦の眺めが拡がる。他は木に遮られ、展望はただそれだけ。すでに13時。お湯を沸かす時間がもったいないので、焼酎の水割りと肴、それにお握りで昼ご飯。ホッカイロで保温してきたお握りは、まだ暖かかった。それにしてもひどい風だ。おまけに午後になって、かえって気温が下がってきた気がする。あるだけ着込んだが寒くてたまらない。震えながら食事を終えて、写真を2、3枚撮り、追われるように頂上を後にする。凍えそうな手に手袋を2枚重ね、忠実にもとの道を帰る。
稜線を離れる分岐点で、ふと来るときとは逆に右の捲き道に入ると、金属板にマジックインクの細かい文字がある。曰く「牛草山へは、これを読んでいるあなたの背後の道がベター。正面も行けるが小ピークを二つ越すことになります」。なんと地図にない稜線通しの道を歩いて、往路だけで30分の時間と累積標高差250mの体力を浪費したことになる。駆けるように林道終点に下って大休止、熱いココアを沸かしてやっと人心地がつく。迷った時間込みで歩行4時間10分、休憩60分。結構よく頑張った。終日誰にも出会うことのないウィークデーの、高年夫婦二人だけの静かな山だった。
*過去の今日はどこの山に登っていたかを振り返ってみました。このシリーズは新しい山行報告ではなく、かなり古い記録や写真も含んでいます。山行の際には、必ず最新の情報をご参考ください。*