時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

まんまことシリーズ6~ひとめぼれ~其之参

2020-06-17 | 読書
第5話「心の底」

八丁堀定廻り同心相馬小十郎が
笑みを浮かべながら
と清十郎に頭を下げた

不機嫌な顔を向けられるより
三倍は怖い!


今回持ち込まれた揉め事は
小十郎の伯母・お浜の嫁ぎ先
料理屋花梅屋の孫娘・お雪の許嫁
葉茶屋鳴海屋の次男・丈之助の捜索願いです

丈太郎は
番頭の八五郎と小僧の三太と共に
藤枝での商いを済ませた帰り
三島宿で別れた切り
行方知れずとなったという
可愛い孫娘の縁談相手が
行方知れずとあっては一大事!
同心&同心見習の相馬家男子は
お役目を休むわけにもいかず
さりとて
花梅屋のある町名主に頼もうにも老齢
その跡取りは逆に若過ぎる!
という事で
お鉢が
麻之助と清十郎に回ってきのです


清十郎は町名主
同心様同様 気軽に旅ヘはでられません
そのうえ清十郎の妻であるお安さんは今 懐妊しております
初めての子でございます
となると亭主は 妻の側にいなければなりません


妻・お寿ずを難産で亡くし
生れた子までうしなっている
麻之助としては
力説せずにはいられません!

となる
すべては麻之助に…

万事
旅支度をすませ
道中
ご当地名産?の妙薬なんぞ
買ってきてくれい!と
人探しに行くんだか
薬の買い付けに行くんだか
わからないなぁ~と思ってた矢先
突然
旅の話が頓挫

行方知れずの丈之助を
両国橋の船着き場で見かけたと言う人物
三河にある茶屋の手代・勝之助が現れます

すると
鳴海屋の主は
江戸に戻っているのに
丈之助が戻らないのは花梅屋のお雪との縁談に
不満があって帰ってこないんじゃないか!?

と言い出した!
これを聞きつけたお雪の祖母・お浜が
ぶっちぎれた!
お雪との縁談が不満なら取りやめにしょう
まだ口約束で結納もしていない
破断は簡単だ!


意地になった鳴海屋の跡取り長介
売り子と何買い言葉で
承知!

料理屋花梅屋のお雪と
葉茶屋鳴海屋の次男・丈之助との縁談は
あっという間に消滅!

お雪としては
それはそれで良いと思ってはいるが
両家の縁組が無くなり
十日過ぎても
丈之助は姿を現さない
当初
丈之助の父・葉茶屋鳴海屋当主が
女遊びで有名な人だったこともあり
その息子丈之助も同様
三島宿あたりに懇意の人がいるのではないか?
今回
その人に子が出来たと言われ
何とかしてくれとせがまれた
丈之助には
花梅屋のお雪との縁談が決まっている
祝言を前に女やまして子が現れたとしたら大騒ぎ!
だから
鳴海屋に顔をだせないんじゃないか?
江戸にいれば
縁談が無くなったと噂で聞きつけ
そのうち姿を現すのでは?
と思っていた麻之助たちも
スッキリしない

小十郎から再度
申請を受け
真相究明にあたります

結論

江戸に現れたのは
三島宿で葉茶屋を営んでいる
丈之助の腹違いの兄弟・三海屋浩助
妹(もちろん鳴海屋当主の子)が縁づくための
祝い金を丈之助から受け取るはずが
肝心の丈之助が待てど暮らせど来ないため
江戸に来たと言う

葉茶屋鳴海屋の内情は火の車
なのに主は
苦労してやり繰りたお金を
妾の子供に湯水のように使う
心底愛想が尽きたと
八五郎ともう一人の番頭は
揃って鳴海屋を辞めてしまいました
二人の番頭に頼りっぱなしだった
鳴海屋主と跡取り長介
後悔先に立たず
この先
落ちぶれていくことは確実!

丈之助は
三海屋へ行く途中
賊に襲われ持ち金すべてを奪われた挙句
大怪我を追い
近くの寺で寝付いているとか

お雪さん
取敢えず
破断になって良かったです

詳細については文庫297頁以降を
一読ください


第6話「ひとめぼれ」
孫娘・お雪の事で世話になったと
料理屋花梅屋の隠居・お浜から
雪見をしましょうと誘いの文が届いた
麻之助と清十郎は
迎えに来た舟で
深川にある料理屋風花屋へに向かうも
何故か
相馬小十郎・一葉の父娘と
吉五郎まで同席するという
勿論
お浜さんと小十郎は縁続きなのだから
雪見の席に誘っても
何ら問題はない!
しかもお雪の件でお浜を助けているし

お城の礎石よりも石頭で融通のきかない相馬家の二人が何で雪見?
しかも小十郎は一葉まで連れてきた
そもそもお雪の件でお礼の品を受け取っているのに
世話になったからと雪見のために深川に呼ぶ?
吉五郎はさっきから舟底なかり睨んでるし…
ん?今 二人共月番のハズ
なのに昼間っから雪見に行くか?
よく見れは
あの船頭…岡っ引き?


σ(^_^;)
何てこたぁ~ない
今回も
雪見にかこつけたトラブル処理
雪見は
頼み事をするまえの‘えさ’?

料理屋風花屋で
店の沽券(土地の権利を記した書き付け)が盗まれる
と言う騒動がおきました
犯人は奉公人の一松だったらしく
お白州で死罪の判決が出ていると言う
これで沽券の件は解決と思われたが
また沽券絡みの騒ぎが起きたらしい

話は三日前
差出人のない文が風花屋に届いた

沽券の話はまだ終わっていない
そして風花屋の沽券も 実は すでに盗まれている
沽券は 一旦 料理屋の蔵へ隠してある


風花屋の主が調べてみると
店奥の内蔵に置いてあったハズの沽券が
庭に立つ一番蔵の奥に移されたと言う

今回も 店の奉公人が疑わしいのではないですか
ならば 我らが同道したのはこの訪問が取り調べではなく
あくまでも雪見だと店の者たちに思わせるためですか?
一葉さんを連れてきたのも同じ理由?


ってことは
すくなくとも
我ら三人(麻之助・清十郎・一葉)は
美味しい料理を食べながら
雪見としゃれ込める!
取敢えず
確認しておこうと
吉五郎に声をかけるも
微動だにせず
変わらず舟底を睨んでる
そう言えば
小十郎までもが思いにふけっている

奉行所の方々に町役人のお二人様
本日は風花屋へ
お調べに来られたとのこと
ご苦労様にございます

と早々に正体をばらしたのは
貞たちを彷彿させる綺麗な面の男
花梅屋の隠居お浜の孫・春四郎   … 実家 決まった寺相手に手堅い商いをしている仏具屋黒田屋
                   兄弟 長男を筆頭に男子四人いる兄弟の末っ子・四男坊
                   容姿 江戸っ子が良しとする‘いなせな所なし’‘気っぷの良い様子なし’
                      女形が並みの男の姿で現れたような‘ただただ優しげな風情’の持ち主
                   体力 二階の階段あがると息切れする程度
                   頭脳 頭の回転は早そう 
                      自分の置かれている立場はそこそこ理解している
                   評判 男の身内や友からの受けが悪い
                      若い娘からは好かれるがその親からは悉く不評
                      よって養子の先ひとつなく‘ろくでもない男’と思われいる
                   野望 先行きのない将来を案じ環境を変えれば起死回生できるかも!? 
                      と親戚筋の相馬一葉に目をつけた

春四郎さん
今は町人ですけど先々お武家になられる事も考えておいでなんですって
だから最近父の働きぶりを見に来られているんです

お武家の養子に入るんなら持参金を貯める方が
先じゃないですかね
春四郎さん あんた どうやって武家になろうとしているんだい?


麻之助と春四郎は
玄関先で問答し始めちゃいます
そこに
風花屋の主登場

春四郎さん 今回はお浜さんにも手を貸して頂いたのだから
お前様も雪見をしたいなら おいで下さいと言いました
ですが勝手をされては困ります

ご主人 勝手などしませんよ 
あたしは一葉さんから小十郎様達が風花屋へ行くと聞きした
で この春四郎も小十郎様に手を貸したいと
お伝えしたかっただけなんです


春四郎は
先々武家になるなら
一度
小十郎と共に働いてみるべき!
と考えたらしい

一様に笑みを向けながら
一葉さん
良い考えだと思われませんか?


十二歳の一葉の頬が
紅花の花びらのように染まる

吉五郎の顔を見た後
揃って顔を顰めた麻之助と清十郎

なるほど…
吉五郎が舟底を睨んでいた訳は これか


σ(^_^;)
そうきたか
でもね春四郎とやら
同心は
顔が良くて口が達者で
頭の回転がそこそこ早いからって
なれるもんじゃ~ないんだよ!

あんたには
致命的に欠けてるもんがある!
すぐに
後悔することになる!

少なくとも
丸三と吉五郎信者の貞&手下(仲間)を敵にまわしたな
江戸市中に顔晒して歩けなくなる気がする
と言うか
お浜にお灸をすえられて
家出されるかも!?

一葉を除く面々が
母屋の内蔵へ向かうも
開けておくよう言っていた蔵が開いていない
主が急ぎ鍵を通りに戻るも
なかなか戻ってこない

あのっ 蔵の鍵が二本とも消えてしまいました
い 一葉様 お嬢様も姿がみえません!


其之肆に続く

文面の一部を原作より抜粋しています

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