時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

春琴

2010-12-09 | 舞台/役者
谷崎潤一郎の小説「春琴抄」と
随筆「陰翳礼讃」をモチーフにした『春琴』

幼いころに失明しながらも
三味線の指導者となる春琴と
彼女の衣食住すべてを献身的に世話する
奉公人・佐助との究極の愛を描いた物語に
「陰翳礼讃」で谷崎が描いた

陰翳のあやに存在する日本の美学

が織り込まれています

俳優の動きを際立たせるシンプルな舞台装置
陰影に富んだ照明
耳に強く残る三味線の音色
洗練された舞台空間で
濃密かつ重層的に繰り広げられる物語

             世田谷パブリックシアター/シアタートラムHPより引用



久しぶりに
見終わった後
背筋がゾクっとした…

同じ
美を追求した
作家・三島由紀夫
美と老いは相反するものであり
老い=醜悪という思いが強かった
三島由紀夫とはえらく違います

谷崎潤一郎は
随筆「陰影礼賛」の中で
美は物体にあるのではなく
物体と物体との作り出す陰翳のあや・明暗にあると考え
それらを
漆器の椀・座敷の砂壁・障子の陰翳
文楽の人形・日本女性の美と闇の相互関係等々
例をあげて語っております

日本の伝統様式の中から
見出され育まれて来た‘美’に対する意識・感覚
しかしそれが
日一日と、崩れ、消え去るものである…
滅びゆくものをいとおしみながらも
滅びるままにするしか仕方ない!
それよりも
来るべき新しき事態に対し
我々日本人が
どのように対峙し
適応すべきかを明快に解き明かしたのが
「陰翳礼賛」の逆説的な真意なのでは?
と思っております

変化を否とするのが
三島由紀夫の‘美’なら
変化を肯定するのが
谷崎潤一郎の‘美’かな?


         

演出家サイモン・マクバーニーは
かつては身近に感じ
共存していたであろう
日本人の‘美意識’が消え去ろうとしていることに
危機感を覚え
「春琴」を通して
我々現代人に警鐘を発しているようにも感じました

「日本への回帰」を意図としているのか
谷崎潤一郎同様
その先にある
‘来るべき新しき事態に対する意識’を
意識しているのか…

ともかく
歎美な世界が
此処にあります!

演技を終え
俳優陣が揃って舞台に登場する中
深っちゃんこと深津絵里さんが
自分の演じた春琴から
まだ抜け切れていないような
半ば恍惚状態の表情を残したまま
舞台上に立つ姿…

その姿をみつめているうちに
感極まってしまいました
静かな感動と申しますか
心の奥底にある何かが
共鳴した感じです
琴線に触れるっていうのかな?

幼少期の春琴を人形が演じ
その後
俳優が入れ替わって演じていくという
演出もなかなか面白かったです

今週一杯
上演中でございます
立ち見が若干あるようなので
是非足を運んで頂きたい
絶品です

すっかり雪化粧

2010-12-08 | 徒然
今年は
毎日欠かさずと言うわけには
参りませんが
2階のベランダから
霊峰富士を撮影しておりました

昨夜の雨も上がり
今朝も
雨戸を開けると
綺麗な霊峰が…

と言うことで
一枚!

なんか
スッキリとした気分で
始められそうです

〈ジウ〉サーガ1 ジウ三部作Ⅰ 127

2010-12-08 | 読書
捜査第一課・第一特殊犯捜査
通称‘SIT’に所属する
門倉美咲と伊崎基子
水と油のように対照的な2人だったが
白昼発生した人質籠城事件を境に
門倉美咲は
目黒の碑文谷署へ飛ばされ?
児童誘拐事件「利憲くん事件」の
捜査本部に加わることになり
一方
伊崎基子は
女性初の
警備第一課・特殊急襲舞台
通称‘SAT’に配属(栄転)を任じられた

人質籠城犯・岡村和紀の供述で
誘拐事件の主犯が
中国人の少年・ジウであることが判明する
ジウの潜伏先を探していた捜査本部は
ある痕跡から
1軒の廃墟のホテルに目星を付け張り込みを開始する

そこで発生した新たな誘拐事件
SATが出動し事件は解決するが
SAT第一小隊制圧二班
雨宮崇史巡査が殉職し
主犯と思われていたジウも
確保された犯人の中にはいなかった


「ICO -霧の城-」を読んだ後だけに
テンポよく進む「ジウⅠ」
面白かったどぇす

門倉美咲…
伊崎基子女史同様
どうしてこんな人が
‘SIT’に配属されているのか
理解できません
と申しますか
警察官なら
せめて護身術くらい…

果てしなく
見るからに
弱々しい
しかも
軟弱な女・門倉美咲
プロファイリングに優れているわけでもなく
交渉術があるにはあるようだけど
米倉涼子が演じた宇佐木玲子ばりに
犯罪者の心理を洞察できる観察眼もなく
交渉術に秀でている訳でもない

交渉に向かって
人質を救出せめて
人質の身代わりになるならまだしも
一緒に人質になるとは…
しかも
人質に大怪我負わせるって…

ん~

何故
主人公のヒロインのひとりに
門倉美咲を登場させたのか!
本庁から飛ばされるのも
無理はない!
でも
ちゃんとした部署に異動…
恵まれ過ぎ
そんなに大器なの?
伊崎基子と究極の立場に位置する
存在として
今後
キャラクターがどう成長するのか…
ジウの心の闇に
美咲の言葉は届くのか…

むしろ
個人的には
伊崎基子に注目しております
基子が
美咲の振る舞いに憤慨する気持ち
よ~く分る
読んでてもイライラするもの


怪我をした江藤久美子の見舞いには行くな!
警察は
負けちゃ駄目なんだよ
世間にも犯罪者にも…
そう言いきる伊崎基子!

夜叉と菩薩の両面を持つ
彼女が
雨宮崇史の殉死をきっかけに
今後
どう豹変していくのか!
しかも
ジウは伊崎基子に
興味を示し
次のターゲットにしちゃいましたからね~

ジウの存在は
まだ霧の中
ですが
キャラクターが少しづつ詳らかにされます
人を殺した事のある基子
そして
人を殺すことに
なんら意思を持たないジウ
岡村和紀が語るところの
‘殺せる目’
ジウのダークな部分が
伊崎基子のそれと
妙にリンクしているのが気になります

ジウの幼少時代
岡村和紀の元を離れてから
現在に至るまでの経緯
それらもおいおい語られるのでしょうか

わくわくです

ICO -霧の城- (下) 126

2010-12-07 | 読書
断崖絶壁に建つ夢の城にやってきたイコは
鳥篭に囚われた一人の少女と出会う

君は誰?
どうしてここにいるの?

少女の名はヨルダ
彼女いったい誰!?

なぜ霧の城は
‘ニエ’を求めるのか
古のしきたりと
ヨルダの真実とは!?

彼女に触れると見える
不思議な幻覚
二人が手を取り合ったとき
この城で起きた
悲しい事件の幻が現れ始める

ここにいちゃいけない
一緒にこの城を出よう!
二人ならきっと大丈夫

イコは
ヨルダを連れて
霧の城から脱出出来るのか
そして再び
村へ帰れるのか…


疲れた…

エピローグも
何だか救われないね~

何だか
哲学的な雰囲気の作品でした

生きるべきか死ぬべきか
シェークスピアのハムレットじゃないけれど

イコもヨルダは
常に何かしらの岐路に立たされていて
始終
迷い悩んでおります
しかも
選んだ道が
果たして正解だったのかも判らない

明確(明瞭?)な達成感がなくて
すべては霧の中…
暗中模索するにも
限界があります!


あのエピソードの結びでしょ…
悶々とした気持ちだけが残った感じです
気分が滅入る

そうだ 京都へ行こう Part5

2010-12-06 | 神社仏閣
まぁ~
お参りするのに
大変な行列でした
縁結びの神様がおわす
神社ですからね~

でも
連日
こんなに大勢お参りに来て
頼みごとされたら

頼まれる方も
大変ですね



野宮神社境内の奥には
子宝安産・商売繁盛を祈願する
白福稲荷大明神
交通安全・財運向上を祈願する
大山弁財天がございます



京福嵐山本線で一路
四条大宮へ
そこから
市バスで智積院(ちしゃくいん)へ向かいます



昨年も訪れた
真言宗智山派総本山・智積院(2009-12-14)
山号:五百佛山(いおぶさん)
寺号:根来寺(ねごろじ)

長谷川等伯の
障壁画「楓図」他
があるお寺さんです

庭園は
池泉座視式
山は「廬山」を
池は「長江」をモデルにしているそうですよ



猫が…
悠々と闊歩

君の庭かいな
贅沢な猫くんだよまったく




平成に入り再建されたという
総檜造りの講堂
相変わらず美しいです



金堂周辺の紅葉が
これまた綺麗なのです!
‘侘・寂’系と言うよりは
不謹慎な言い方だけど
儲かってまんなぁ~
流石
真言宗智山派総本山…

どうなる横浜F・マリノス

2010-12-05 | スポーツ
大丈夫なん!?

シーズンが終了していないのに
戦力外通告しちゃ

まずいっしょ

しかも
8人もの大量解雇

モチベーションっしょ

これで
勝てと言うのも…

Mr.マリノスの称号を持つ
木村和司
戦力外通告を受け
マリノス以外で選手を続けるつもりはない!
そう言い放ち
現役を退いたの
忘れてませんよσ( ̄∇ ̄;)は…

愛着だけでは駄目だって
理想と現実の狭間で
木村和司何を思う

σ(^_^;)が
競技場に足を運んでいたのは
遥か昔

井原正巳に松永成立が
現役バリバリで
三浦文丈とか鈴木健仁あたりの選手
好きだったよぉ~
川口能活や松田直樹は
新人でした

時の流れを感じるよ…


あの頃現役で
今も現役なのって
三浦知良とか中山雅史くらい?
この二人は
ホンと
伊達公子並みの凄さ!


川崎から東京へ去り
J1からJ2へ降格し
その運営・存在すら危うい
某チームのようには
ならないと思うけれど
J2の水は飲みそうな予感…


今季
横浜F・マリノスは
8位と言う
中途半端な順位でシーズンを終えました
天皇杯常連だった頃が
夢のようです

ICO -霧の城- (上) 125

2010-12-05 | 読書
霧の城が呼んでいる
時が来た
生贄を捧げよと…

イコは
トクサ村に
何十年かに一人生まれる角の生えたニエの子
その角を持つ者は
「生贅の刻」が来たら
霧の城へ行き
城の一部となり永遠の命を与えられるという

親友トトによって
特別な御印を得たイコは
「必ず戻ってくる」と誓い
村を出立するが…

地の果て
断崖に立つ古の「霧の城」
‘角’の生えた子イコは
イコは‘ニエ’として
霧の城で永遠の命をえて暮らすのか
それとも
大好きな友達
トトたちの待つ村に
戻る事が出来るのか!?


ん~
σ(ーー;)的には
非常に読みづらい
と申しますか

表現がくどい
と申しますか

展開が遅過ぎる
と申しますか

イコとヨルダの
心の迷いに
始終イライラさせられっ放しの感が…

珍しく
途中で読むの面倒くさくなってしまい
放棄しそうになりました

後半も
こんな感じで展開するんでしょうか…




野田MAP公演「南へ」

2010-12-04 | 舞台/役者
今日は
10時から
向井理初舞台
「ザ・シェイプ・オブ・シングス~モノノカタチ~」
の一般発売でした

会員先行1次&2次で落選
本日の一般発売も
6分で完売でした
見事
撃沈でした

青山円形劇場だからね~
元々座席数が少ないから
倍率高いと
予想はしておりましたが…


そして
もうひとつ

野田MAP 第16回公演「南へ」
抽選申し込みの
結果発表の日でもありました

これまで

宮本亜門演出
「金閣寺」
蜷川幸雄演出
「サド侯爵夫人」
「わが友ヒットラー」

会員最速先行も
先行も一般も撃沈…

三島由紀夫の作品だし
亜門さんだし
蜷川さんだし
是非とも観劇したかった…

通常でも
争奪戦なのに
ジャニーズ絡んじゃってるのが
最悪なんだわ…
(斗真くん好きだけど)

と言うことで
連敗記録更新中なのでした

5連敗は
何としても避けたい!



結果




取ったどぉ~~~

そうだ 京都へ行こう Part4

2010-12-04 | 神社仏閣
前日の雨もすっかりやみ
散策日和

北野天満宮・仁和寺・野宮神社
天竜寺・智積院
養源院は時間がなくて参道の紅葉だけ観賞しました

修学旅行の学生さんでしょか
6人一組位のグループで
行動していました



七五三の時季ということもあり
晴れ着姿の女の子や
袴姿の男の子が
ぼちぼち見受けられました

遥か
はるか昔
自分もあんな頃があったなぁ~



続きまして
仁和寺でございます
11時前だったので
まだ観光客も少な目でした



ボランティアの方々が
散った落ち葉を集め
境内を綺麗にして下さってました



一眼レフを片手に
これでもか!
とシャッターを切る姿

その姿を
思わずカシャ




五重の塔を取るなら
紅葉入れた方がいいんじゃない?


撮影をしていた
ムッシュの意見を参考に
と申しますか
そのムッシュの
三脚の隣に陣取りまして
写してみました



カメラを持っていると
撮影するのに集中し過ぎて
自分の目で
リアルな紅葉を愛でるのを
忘れがちになってしまいます

撮影することが目的ではなく
紅葉を含め
京都のリアルを感じることが大切!



仁和寺の庭園も綺麗でした

庭園の様式には
池泉(ちせん)庭園
枯山水(かれさんすい)
露地(ろじ)
の3つに大きく分類されるそうです



ちなみに
仁和寺の庭園は

<池泉庭園>
自然の山水の景色を写してつくられる庭園の様式で
山・川・池がある庭をいいます
この様式の庭には
「水」という要素が取り入れられています

<枯山水>
水を象徴した白砂を庭に敷き詰め
その白砂の上に景石を置いたり
白砂に波紋を描き
島・海洋・波といったものを表現する形式
この様式の庭には
「水」という要素がありません



庭を観賞するにも
観賞式・回遊式があるそうで
因みに仁和寺は

<観賞方式>
庭には下りず
座敷に座って眺めて観賞する方法

だそうです

姫川玲子シリーズ2 ~ソウルケイジ~ 124

2010-12-03 | 読書
多摩川土手に放置された車両から
血塗れの左手首が発見された
近くの工務店のガレージが血の海になっており
手首は工務店の主人のものと判明

死体なき殺人事件として
捜査が開始された

遺体はどこに?
なぜ手首だけが残されていたのか?

姫川玲子ら捜査一課の刑事たちが捜査を進める中
驚くべき事実が次々と浮かび上がる


高岡賢一こと
内藤和敏の生きた人生
過酷です
むごいです
自らの命を金に換えるための行為
その代償は
余りにも大きい

彼の閉ざされた心の闇に
一筋の光
希望があったとしたら
それは三島耕介の存在に他ならないでしょう

だからこそ
高岡賢一は自らの命を犠牲にして
耕介の人生を守ろうと
あんなことまで…


耕介のためだけでなく
戸部真樹夫の存在が
本当の家族や
中川美智子の未来をも奪いかねない
そして
これまでの悶々とした思いが
爆発してたのだと思う

思うが
だからと言って
あそこまで出来るかと言えば…

相変わらず誉田哲也氏の描く世界は
エグイ描写&表現が多いです
ですが

井岡博満菊田和男
日下 守姫川玲子
姫川玲子菊田和男
姫川玲子に対する葉山則之の視線&態度

楽しませてくれるエピソードもございます

何より
井岡博満の不思議キャラが発するオーラに
玲子が侵食されることなく
絶妙なバランス成立しているコンビが面白い

いやぁ、お腹空いたときとか
頭がこんがらがりそうなときに噛むと
エエんですわ、いりまへんか?

…もらうわ


と井岡が差し出したスルメを
銜えながら
新宿通りを闊歩する玲子さん…

スルメを噛りながら
頭の中はフル回転!

おかしい
何かもう一つ
ピースが足りない
それより何より
今はまずスルメが足りない


そう玲子さんにノタマワセル
誉田哲也
恐るべし…

高岡だと思われていた死体が
実は…

高岡賢一が
実は…

冒頭に登場したホームレスが
実は…