「この地域住めないと言う時期来る」 原発避難で石破氏
議論はあるでしょうが、自民党幹部がこういう発言をしたことは評価できますね。
現状では、放射能の影響から立ち入り禁止の区域を避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域の3つに分けていますが、最低でも“困難”なだけであり、政府としては「いずれは不可能ではない」という見解でいるわけです。確かこの区分は自分が
南相馬市に立ち寄った翌日に設定されたものだったと記憶しています。
2012年3月31日の時点ではまだ「半径20kmは一律立ち入り禁止」でしたからね。この新区分の名称を聞いて、避難を強いられている方達は、「いずれは帰れる日が来る」と希望をもったことでしょう。何年後、何十年後かはわかりませんが、その前提の上での避難所生活であるわけです。
ちなみにこの変更をしたのはまだ民主党政権でした。自民党は当時から現在に至るまで、「原発事故は民主党政権下で起きたこと」というスタンスであり、脱原発論はもはやピエロのような人しか叫ばなくなってしまいました。自民党の、と言うか日本の悪い所は、縁起の悪いことは極力口に出さず、こうした切迫している事態を何だかんだで先送りしてしまう“言霊思想”にありますが、ココに来て「永久に帰れないかも」という見解を示したというのは、それまでの立場を一転させたことで議論を呼ぶ発言であること以上に、この悪しき風習からの脱却を図る転換点になりうるという意味があります。
例えば学校では、地震が来て建物から避難する訓練はどこでも毎年行っているでしょうけど、実際に東日本大震災に遭うまで、「避難してからどうするか」までをだれも想定していませんでした。で、今でこそ取ってつけたように「引渡し訓練」も追加してやっていますけど、本当に有事の際は逆に学校へ皆が避難してくるわけで、引き渡して終わりですらないわけです。ではなぜそんな訓練になっているかと言うと、「引き渡せば学校の責任はそこで終わる」からです。最悪をシミュレートし、最善を尽くすには、最後まで責任を負う覚悟が必要です。だから誰も言おうとしない。後で「想定外だった」と言っている対応を、今までどれだけ見たことでしょうか。
当然、「二度と帰れません」とするなら、政府が被災者に対して今のような一時的な手当てでなく、土地を買い取り新たな住居を手配するなど、その後の生活までちゃんと補償を行うということになります。現状は、誰もそこまで責任を取りたくないので「いつか帰れます」と誤魔化しているに過ぎません。今回の発言も、「いずれ誰かが言うだろう」というに留まっており、石破氏が宣言したわけではありません。しかし、除染にも限界が見え始め、このまま何年、何十年も蛇の生殺しのような生活を続けていく被災者の気持ちを考えると、誰かがどこかで決断しなければと思うわけです。今の日本には、本当の意味で責任を取れるリーダーシップを発揮する人物が望まれています。
現時点では安倍総理に期待するしかありませんが、経済のことしか頭にないからなあ・・・となると、ピエr・・・げふごふ、山本氏に期待かな(笑)