(株)カプロラクタム-blog

果たしてココは何処なのだろうか・・・
否!ココは(株)カプロラクタム代表取締役兼社員αのweblogである!

金トレード

2017年03月31日 | 時事
正男氏遺体、北朝鮮に到着=関与疑惑の書記官らも
大切な自国民には換えられないということで、容疑者と証拠を手放すこととなってしまいました。

最初は北朝鮮にいるらしい別の容疑者との人質交換なのかと思っていましたが、どうやら在北朝鮮の大使家族と交換したとのこと。日本では現在も在韓国大使が帰国中ですが、外交的な交渉カードとしても使える大使を逆に人質に取られてしまったこのトレードでは、完全にマレーシア側の敗北ですよね。まあこのままでは国際社会が黙ってはいない、とは言うものの、「よろしいならば戦争だ」とはならないのが今の時勢です。ミサイルや核実験か何かもほぼ週1で動きを見せるほど活発になっていますし、このままやりたい放題にさせていて良いはずがありません。拉致被害者を抱える日本としてはしっかりマレーシアと連携して「被害者連合」の包囲網を築いていくしかありませんな。

東芝赤字一兆円

2017年03月30日 | 時事
【東芝株主総会】東芝が臨時株主総会 綱川社長が巨額赤字を謝罪 半導体分社化を承認
どうしてこうなった・・・

経緯はよくわかりませんけど、どうやらアメリカの原発関係の投資?に失敗したのが原因のようですね。その額なんと1兆円・・・流石に大企業なので即つぶれることはないと思いますけど、社員や株主にとっては気が気でない事態の模様です。

サザエさんを存続させている場合じゃなくなってしまうのかも・・・?

ドラえもん映画

2017年03月29日 | 時事
『映画ドラえもん』新シリーズ、興行収入累計400億円突破
もう第37作まであるのか・・・タイトルを見ると結構リバイバル作品も多いみたいですね。

とりあえずwikiから表題だけ引用してみます。
01.のび太の恐竜
02.のび太の宇宙開拓史
03.のび太の大魔境
04.のび太の海底鬼岩城
05.のび太の魔界大冒険
06.のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)
07.のび太と鉄人兵団
08.のび太と竜の騎士
09.のび太のパラレル西遊記
10.のび太の日本誕生
11.のび太とアニマル惑星(プラネット)
12.のび太のドラビアンナイト
13.のび太と雲の王国
14.のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)
15.のび太と夢幻三剣士
16.のび太の創世日記
17.のび太と銀河超特急(エクスプレス)
18.のび太のねじ巻き都市(シティー)冒険記
(藤子F先生死去)
19.のび太の南海大冒険
20.のび太の宇宙漂流記
21.のび太の太陽王伝説
22.のび太と翼の勇者たち
23.のび太とロボット王国(キングダム)
24.のび太とふしぎ風使い
25.のび太のワンニャン時空伝
(声優交代につき2005年は映画休み)
26.のび太の恐竜2006
27.のび太の新魔界大冒険  〜7人の魔法使い〜
28.のび太と緑の巨人伝
29.新・のび太の宇宙開拓史
30.のび太の人魚大海戦
31.新・のび太と鉄人兵団  〜はばたけ 天使たち〜
32.のび太と奇跡の島  〜アニマル アドベンチャー〜
33.のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)
34.新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜
35.のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)
36.新・のび太の日本誕生
37.のび太の南極カチコチ大冒険

18作までが藤子F先生の作品で、その後は藤子プロのスタッフの作品になります。また1980年から毎年25作連続で公開していましたが、2005年は声優陣が一新したため映画は作成されず、26作は新しい声で第1作を作り直し、その後は新作にちょこちょこ焼き直し作品を挟んでいる感じですね。まあ30年一世代ですから丁度良いのかもしれません。

どのラインが好きかどうかで世代が分かりそうですね(笑)自分は鉄人兵団から日本誕生あたりかな?

格安旅行会社破産

2017年03月28日 | 時事
「てるみくらぶ」破産=代金99億円、大半返せず―格安旅行、海外に2500人
安すぎる旅行にはこんな落とし穴が待っているのかorz

破産は経営上何かあったわけなので仕方ないとしても、現在旅行中の客に「自力で帰れ」は流石にないでしょう。自分は国内ならツアーより個人的に回ったほうが安くなるという認識でいますが海外は流石にツアーとかでないと怖いので、もし行くなら多少高くてもちゃんとしたところを選びたいものです。


表層雪崩事故

2017年03月27日 | 時事
スキー場で雪崩、高校生ら8人心肺停止 栃木・那須
登山講習会中に参加していた生徒達が巻き込まれてしまった模様です。

大会で優勝するようなレベルの山岳部を集めての合宿訓練ということですから、高校生とはいえ素人ではなく、ある程度の知識をもった経験者集団だったと見てよいでしょう。当然指導者となる引率教員もベテランのはずですし、雪崩の危険があると判断すればそもそも訓練自体をやめるという選択もして然るべきだったのではないか・・・と登山に関しては完全な素人である自分もそう思いますけど、教育者としては気持ちは分からなくもないという複雑な心境ですね。

自分が中学の頃、野外学習で登山をするというイベントがありましたが、あいにく雨で結局最終日にちょっと登って帰るだけになってしまいました。まあ個人的には登れるか不安だったのでホッとしたわけですけど(笑)先生が後で「下見に2回も登ったのに・・・」と愚痴っていたのを聞いて、大変なんだなぁと思ったことがあります。また特別支援学校の修学旅行引率では、事前の下見で全ての施設のトイレの構造や非常口の有無など綿密に調査しましたし、当日体調不良になった生徒がいましたが、自分が車椅子を押してディズニーランドを回りました。宿で休ませる選択肢もありましたけど、「この子達のほとんどはおそらく生涯で1度きりの旅行になるだろう」という思いからどうしても連れて行きたかったのです。ただ、結果的に無事で済みましたけど、万が一体調が悪化していたら当然自分の判断ミスということになっていたでしょう。

今回の講習に来ていた高校生は、おそらく今後登山関係の仕事に就くこともありえる高いレベルだったことでしょう。そうなると、やはり雪山での訓練は「将来の万が一」に備えて学ばせてあげたい所です。雪崩が起きてしまったのは残念ですが、これまでにも同じような判断で訓練を決行していたことがあったのではないでしょうか。「中止する」という判断は、現場では中々選択し難いものがあります。もちろん命には代えられないことは十分に承知しています。雪崩だけでなく台風や落雷、津波など、天災は時に人間の想像の範囲を超えてくるものです。しかし、例えば落雷でプールの事故が起きたとして、「今後雷注意報が出たら中止」という判断を忠実に守るとすると、経験上夏休みに2~3回しか開催できないレベルになってしまいます。リスクを避け続けて「学習しない」ことによるリスクも考えないといけません。しかしこういう場合の学校や教育委員会はサンドバックにしかなりませんからねえ・・・

考えられる対策としてはもう事前に「こういう場合には責任をもてません」という免責事項を用意し、署名してもらうくらいしかありませんな・・・

稀勢の里連続優勝

2017年03月26日 | 時事
稀勢の里が奇跡の逆転優勝! 涙止まらず…4人目新横綱V 照ノ富士に連勝
「痛みに耐えてよくがんばった!感動した!」←まさにコレでしたね。

先場所優勝して横綱になったものの、やはり「2場所連続優勝」を達成していない、というのは本人もずっと気にしていたのでしょう。今場所は白鵬の早期休場もありましたけど、明らかに横綱としての相撲を意識した取り組みで、結果もしっかりついてきていました。ただし悪夢は13日目に・・・勝負事なので日馬富士を責めることはできませんが、自分ももう流石に優勝はないだろうと諦めていました。昨日も全然力が出ない感じでしたからね。

しかし、このようなドラマが待ち受けているとは・・・表現はアレですけど八百長を疑うレベルで神がかっていたと思います。何せ怪我を押して一度勝ち、さらに決定戦ですからね・・・誰もが「もういいよ」と思ったのではないでしょうか。それにしても凄い取り組みでした。横綱初土俵優勝は貴乃花以来の22年ぶりとか。一瞬あれっ?と思いましたけど、確か貴乃花は2場所連続全勝優勝で横綱になり、その初日でいきなり負けたので、その場所も優勝したという記憶が飛んでいたようです(笑)それだけ難しい記録なのでしょうね。

まずはゆっくり体を休めて、今後も様々な記録を打ち立てていってほしいですね。

タリウム事件無期

2017年03月24日 | 時事
元名大生に無期懲役=「完全責任能力あった」―女性殺害、タリウム投与・名古屋地裁
当時未成年の学生に対して無期は非常に重い判決ですね。

通常、判決は主文(刑の言い渡し)を先に読まれますが、死刑など重い判決が出る時には先に説明が始まることもあります。被告人は未成年で一応亡くなった方は一人ですから死刑は判例上でないので、事実上の最高刑という意味で先に説明がなされたのでしょうね。
ところで、少年法の年齢引き下げが議論に上がって久しいです。自分は職業柄かつては何となく反対派でしたが、18歳選挙権などを経て、今はもう段階的に18歳を成人とする世の中の動きにあるのではと考えています。やはり高校までは親元を離れる子はそう多くありませんけど、19歳という年齢は社会に出たり進学で一人暮らしなどを始めたりする年齢であるので、それなりの責任を背負うべき年齢なのではないでしょうか。そもそも少年法は少年の更正に主眼を置いた法律ですけど、それを逆手にとって「少年法で守られているから逮捕されない」「俺達は無敵」とすら言っている若者もいる始末です。しかしこれは大きな間違いで、若いうちから悪行に手を染め、反省する機会を与えられなかった人物はその負の成功体験がありますから、いずれ成人年齢に達してからも同様の過ちを繰り返してしまうものなのです。そしてその時に与えられる罪はより重いものになってしまうでしょう。この女子大生がまさにその例ですね。無期懲役は仮に模範囚として出所できたとしても30年はかかりますし、50代で実社会に出てからどう生活していくのか、助けてくれる親族が健在かどうかも定かではありません。果たして自身が満たしたかった興味・欲望は本当に人生の大半を無駄にするに相応する行為だったのか・・・長い年月をかけて思い知ることになるでしょう。親や教育機関の庇護下にあったうちに問題行動を制止できなかったか、本当に悔やまれるところです。

それにしても名古屋大学はひどいとばっちりだなあ(笑)1年生なんて単に試験に受かっただけで名大は全く関係ないのに・・・名前が出せればそれで呼ばれたでしょうけど、こういうところにも少年法の弊害が出ていますな。

いやこれは単にマスコミのせいか。

WGC

2017年03月23日 | 時事
ワールド碁、朴九段が優勝…井山はAIに敗れる
WBC決勝だけでなく、こちらワールド碁チャンピオンシップも気になっていました(笑)

日本トップの井山6冠と、話題の日本製AI「DeepZenGO(ZEN)」、韓国トップのパクジョンファン、中国2位のミイクテイの3名と1台(笑)が3日間リーグ戦で戦っていました。中国トップで現世界ランク1位のカケツが辞退したらしいのは残念ですが、まさに日中韓とAIがガチ勝負するチャンピオンシップにふさわしい大会ですね。
ZENは東洋囲碁で9段相手に勝率8~9割を誇るバケモノになりましたけど、基本的には1手30秒の早碁であり、持ち時間3時間という長さはどちらかというと人間有利に働きそうです。井山も去年は前人未到の7冠王を達成し、今期のNHK囲碁トーナメントで優勝したことで、国内の主要棋戦は全部一度は冠したことになりました。しかし世界棋戦になると壁が厚く、中々勝てないのが現状。今年は棋院も世界戦に力を入れるらしいので楽しみです。

その記念すべき初大会でしたが、井山3連敗、ZEN1勝、ミ2勝、パク3連勝という結果に終わってしまいました。パクジョンファンはまあ順当な優勝として、まさか井山がAIに敗れるとは・・・まあZENはどうやらヨセで大ポカをやる癖を修正できなかったらしく、前2戦も勝ち碁を落としたようでしたが、井山は最終盤まで打たずに投了したので、そのまま打ち続けたらバグって逆転、ということもあったかもしれません(笑)3位と4位は賞金が一緒なのでそこまで勝ちにこだわる必要もなかったということでしょう。それにしても残念でした。


WBC連続4強

2017年03月22日 | 時事
侍日本、痛恨の守備 米国に1−2、準決勝で敗れる
というわけで、第4回のWBCも前回と同じ4強止まりとなりました。

まあ主催国であるアメリカは過去1度も決勝には上がっていませんでしたから、お互い譲れない戦いでしたね。雨のイレギュラーか、肝心なところで日本にミスが出てしまい、1点差の惜敗となりました。ここまで破竹の6連勝でしたけど、確か下馬評はそこまで高くなかったわけで、致し方なしというか納得の結果ですね。パワーで劣ると思いきやホームランも連日のように飛び出しましたし、オランダ戦のタイブレークではおそらく高校野球時代からやっているであろうバントからの得点圏進出という基本に充実なプレイも見られました。すばらしい侍っぷりだったと思います。

とりまこれで明日結果を気にしなくて良くなったかな(笑)



会員制ゴルフ場

2017年03月21日 | 時事
霞ケ関CCが正会員に女性を容認 ゴルフ協会、五輪組織委「心から感謝」
流石にこのご時勢に女人禁制はおかしいですな。

オリンピック会場になったことで発覚し規約変更に至った模様ですけど、まあずっと男性のみでやっていたのならやはり更衣室なりトイレなり、色々と増やさないといけないのですぐには難しいのでしょうね。ゴルフは紳士のスポーツと言われますが、女子プロゴルファーの活躍も普通に聞く時代になりましたし、他にも同じような所があれば5輪を機に解禁していくとよいですね。

百条委員会

2017年03月20日 | 時事
石原元知事「担当者に一任」「記憶にない」連発 百条委「期待外れ」の声も
つくづく「記憶にない」は便利な言葉だなあと思いました。

この百条委員会は通常の議会の質問に比べて非常に強い法的拘束力をもち、万が一偽証したり証言を拒否したりすると罪に問われることもあるのだとか。最近では猪瀬氏の際に設置されましたがその翌日に辞職しましたし、桝添氏も匂わされただけで逃げてしまいました。地方ではここでの発言が後に偽証とされ辞職においこまれた人もいたのだとか。このことから議会にとっては最後の切り札であり、現在相当の地位にいる者にとっては恐怖の対象なのでしょう。

しかし今回の石原氏は元都知事とはいえ当の昔に引退して脳梗塞も患ったご老人。それこそどこかの団体が言う様に「もし逮捕されても生活に影響がない」人物です。しかもそれを逆手にとって「知らぬ存ぜぬでいきます」と初っ端に宣言する老獪ぶり(笑)審議時間も短くすることに成功し、完全に先行逃げ切り作戦がはまった感じでしたね。というか、今回先例を作ってしまったので、今後百条委員会の招集を印籠のように使うことは難しくなってしまったのかもしれません。

トップの責任より「一億総懺悔」を選択するのが日本社会です。政治家である以上、もう過去の非がどこにあったかを明らかにするのは歴史家に任せ、差し迫った問題の解決策を模索するほうに心血を注いだ方が良いですね。

速度警告音

2017年03月19日 | 時事
クルマの「♪キンコン」いつ消えた? 速度警告音が聞こえなくなったワケ
そういえば昔は鳴っていましたね。

自分が車を買うようになってからは既に鳴っていた記憶がないので、随分早いうちに撤廃されていた模様です。まあ確かに日本では100kmが最高(法定)速度であり、それを超える場合に警告するのは理に適っていますが、一方「スムーズな交通の流れを作る義務」があるので(笑)高速道路走行中はともすると鳴りっ放し状態になりますから、単調なリズムで眠気を誘うとまずいという理由でなくなった模様です。ちなみにコレは日本独自のシステムであり、当然輸出する際に撤廃を求められることも大きいでしょうね。今ではシートベルトをせずに発進すると鳴る方が標準仕様になっている模様です。

こういう感じでいつの間にか変わっているシステムは他にも多いのだろうなあ。

2日目のカレー

2017年03月18日 | 時事
園児ら76人、2日めのカレーで食中毒 東京・世田谷の幼稚園
「一晩煮込んだカレー」という表現もありますけど、これが心配なのですよね。

ウエルシュ菌は熱に強く、また酸素には弱いという特徴があり、特に給食やお店など、大きな鍋で肉類を調理したあとで放置する場合に、一定の温度が保たれかつ酸素不足となる中央部分で繁殖しやすいそうです。家庭ではそこまで発生しないので、俗に給食病とも言われているのだとか。まあそこまでひどい症状にならないそうなので、運が悪かったと思うしかないですな。

ところで自分も一昨日家でカレーを食べてから昨日今日と腹の調子が悪いのですが、まさか家庭を営業停止にするわけにはいきませんよね(笑)集団調理となると当然衛生管理は厳しくしなければいけませんけど、飲食店ならまだしもこういう行事的なものでそこまで厳しくするのは難しい気がします。段々と学校の調理実習などもなくなっていくのかもしれませんね。

幻庵

2017年03月17日 | Weblog
百田尚樹さんの小説「幻庵」を読みました(ネタバレアリ)

「カエルの楽園」の時にも触れた江戸時代の囲碁棋士の話ですね。あの後図書館で調べたら予約が可能になっていたので、1ヶ月ちょっと待って手に入れました。ちなみに自分の囲碁の腕前は、東洋囲碁で18級から育てていたアカウントが晴れて初段になり、また海外用ので1級から登録したアカウントは先月ついに2段に上がりました。初段は正直1級とそこまで変わらない印象でしたけど、2段はちょっと甘いとすぐにやられてしまうので、段の壁の厚さを感じているところです。段位からは昇段基準がまた厳しくなるので中々上がれない代わりに落ちにくくもなり、勝敗にこだわらず色々試して打てています。まあ年齢的にもこのあたりがピークで、3段に上がれれば御の字でしょうね(笑)いわゆる高段者と3子程度で勝負になれば個人的にゴールかなと思っています。百田さん自身は6段の腕前とのこと。出版記念イベントでは、NHK囲碁フォーカスに出ている戸島花さん(元AKB、1桁級?)に4子置かせて25目勝ちでしたから、高段者なのは間違いないですね。

その百田さんの囲碁愛を存分に発揮した渾身の作品です。彼の作品はしっかり取材をして忠実に描く印象があり、自分も江戸時代の碁打ちは名前くらいしか知らないので非常に楽しみでした。ただし戦争とか石油とかの話と違って、囲碁という題材はやったことない人には内容が全く分からないという恐れも秘めています。そのために序段は現代の囲碁界隈の話から始まり、囲碁のルールや用語などはその都度解説をしていく感じになっていました。この辺が難しいところで、囲碁を知っている自分にとっては蛇足に思えても、知らない方にはおそらくこの程度では理解できないのではないでしょうかね。「囲碁好きに楽しんでもらう作品」と「囲碁に興味をもってもらう作品」の両方を目指し、その結果中途半端になってしまっている気がしました。というか、いくら解説がいるとはいえ物語の最中にちょくちょく作者が「説明しよう!」って感じでしゃしゃり出てくるのは前代未聞なのではないでしょうか(笑)物語の世界にどっぷり浸かろうとしてもそのせいで強制的に現実に引き戻される感じがしました。小説なのですから、仮に取材で不明だったり複数説あったりする話は別にフィクションでいいのに、そういうのも正直に書いてしまっては小説の体を成しません。どちらかというと「伝記」を目指しているのかな?とも思いました。まあ面白かったのですけど、小説は余計な挿入なしにまとめ、思うところは別に解説本として出すべきだったかもしれませんな。「カエルの楽園が地獄と化す日」という石平さんとの対談本も読みましたけど、こんな感じに古碁収集家のプロ棋士とかと対談し、是非一冊出して欲しいものです・・・マイナーすぎるか(笑)

では内容。江戸時代、囲碁は家元制で、その総元締めとなる役職である「名人碁所」を目指してどの家もシノギを削っていました。名人と9段はほぼ同義であり、その時代の第一人者を表します。4つある家元(本因坊・安井・井上・林)の当主が7~8段、跡目(筆頭)が6~7段といった感じで、それぞれ棋力差に応じて手合いのハンデがつけられていました。当時はコミがないので黒有利なわけですが、名人となれば白を持って誰にも負けないくらいの実力が必要でした。しかし幻庵の若い頃は長い間名人不在だったそうです。これは囲碁界全体が実力不足だったわけではなく、強い打ち手が2人ないし複数いて、その中で互いの黒番を出し抜けずに抜きん出ることができない状態、といった感じだったようですね。
今の互先は一局で勝負をつけるので6目半のコミがあり、黒が勝つには盤面で7目リードしなければいけません。大体プロの対局だとプラマイ3目くらいの幅で勝負が決まることが多いそうですが、コミがないということは黒番を持てば劣勢でもさらに3目くらい余裕があるということなので、黒は今とは逆にじっくり打つことでかなり負け難くなるわけです。丁度テニスのサービスキープくらいの有利さでしょうか。そのため、昔の互先は白黒交互に何局も打ち、たまにブレイクを入れていってその勝ち星差が一定(+4勝)以上になると手合いが変わるというシステムになっています。1段差の手合い(先々先)でお互いに黒番を勝てば、4つ勝ち越すのに12戦(白黒黒白黒黒白黒黒白黒黒で+4)もする必要があるわけですな。もちろん互先だと永久に決着がつかないこともありえます。2段差が定先(常に黒)であり、7段上手にこの差をつけて勝つという9段名人はとんでもない実力差が必要であったといえるでしょう。さらに当時は持ち時間などないので、1局に3~4日間打ち続けられることもザラだったとか。実力もさることながら体力も相当必要であり、またかなりの対局数も必要なので、名人碁所挑戦権とも言うべき4家の当主(8段格、半名人)に上り詰めるだけでも相当年月がかかります。10代や20代で敵なしでもまだ段位が低く、名人への挑戦は体力や実力が衰え始める30代以降になってしまうため、大抵はその時代に台頭してきた若者の黒番に潰されてしまうと。それは幻庵も例外でなかったようです。
史実では、この時期に本因坊丈和という人が40年ぶりに名人碁所に就いています。その人物が幻庵のライバルとなるわけなので、この話は激しく名人位を争って負けた方が主人公なのですね。まあその方がドラマチックだろうという判断なのでしょう。幻庵は「ヒカルの碁」に出てくる本因坊秀策と打った「耳赤の一手」で有名であり、自分も名前は知っていました。しかしこの本を読んで、限りなく名人に近づきながらなれなかった悲劇の人物であることが良く分かりました。それにしても、時代背景の説明だけでこんなにかかるとは(笑)百田さんも苦労するはずだ・・・

現代は一流棋士の棋譜や定石研究、詰碁など、あらゆる情報が本やネットで簡単に手に入りますけど、江戸時代はそれこそ門外不出の「お家芸」であり、個人で黙々と研究するのが常でした。そうなるとモノを言うのがやはり読みの力ですね。現代の人間が定石だからと考えなしに打っているような手も、おそらく何十手先何百手と読み込んで打っていたのでしょう。時間制限もないので、残っている棋譜を定先手合いとして見ると、ほとんどミスがなく今のプロと比べても遜色ない打ち回しをしていたのだとか。読みの力は、現在人間が唯一AIに勝てる分野だろうと言われています。ディープラーニングは過去に打たれた手を評価して「良い形」を学習するシステムなので、何十手先に待っている秘策みたいなものまでは読みきれません。またモンテカルロは全部読みきることが不可能な局面で枝打ちをして効率化を図る手法ですが、その際に読み抜けた手にはまると一気に悪くなることもあります。ヒカ碁にもありましたけど、この時代の碁打ち達がもし現代に現れたら、きっとものの半年で最新情報を吸収し、トッププロやアルファ碁にだって引けを取らないのかもしれませんね。