
今月発表の芥川賞受賞作 荒地の家族 佐藤厚志をさっそく読んだ。
作者は仙台在住の丸善の書店員
あの災厄・・・震災を災厄として言葉を使っている、物語の中ではこの言葉
がすごくしっくりくるようだ。
震災文学というジャンルがあるならそれにははいらないかもしれない
震災後の10年あまりの生活を主人公の植木職人の生活を通じて描いている。
道路ができる、橋ができる、建物が立つ
人が生活をする。
それが一度ひっくり返されたら元通りになどなりようがなかった。
やがてまた必ず足下が揺れて傾く時が来る。
海が膨張して押し寄せてくる。
この土地に組み込まれるようにしてある天災がたとえ起こらなかったとしても
時間は一方向にのみ流れ、一見停止してるように見える光景も
絶え間なく興亡し、目まぐるしく動き続けている。
災害のあとの力強く生きているのだろうけれど、そんな気負った感じはなく
たんたんと一日一日生きているそんな感じがする。
厳しいのだけど・・たんたんとという感じが印象的だった。