写真説明:
これは南海電鉄の旧天下茶屋駅です。今は、路線の高架、大阪市営地下鉄堺筋線の始点です。新幹線の駅のような豪華な駅になりました。すっかりイメージチェンジしました。
新しい天下茶屋駅の堺筋地下鉄線には阪急の乗り入れで、京都河原町までつながっています。
ここの地名の天下茶屋とは、関白、秀吉が住吉に参拝の折りに、付近の茶屋で休憩したにちなんだそうです。
近くの車庫跡地には「大阪フィルハーモニー会館」があります。
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早撮りの巨匠 下
前後編通して、「中抜き」で処理する監督さんは、渡辺邦男さんぐらいでしょう。
セット本位で「中抜き」をやりますから、チーフ助監督、キャメラマン、記録のスクリプターさんは大変です。
キャメラマンは渡辺孝さんです。以前は友成達雄さんがよくこの監督に付き合っていました。
「中抜き」とは数多く予定されているセットで今、撮影しているセットを前後編通じて集中的に撮影することです。
演じられる演技はバラバラにされて、断片的な演技が続きます。
セットで俳優Aさんの
「アッ…」
驚く表情のカットを撮ります。
おなじセットで今度は俳優Bさんが
「ただいま、到着いたしました」
おなじセットで今度は俳優Cさんが
「おいとまいたします」
同じセットで三人の俳優さんの演技を撮ります。この3カットは前編のどこそこ、後編のどのシーンのどのカットと編集でつなぎ込まれますから、監督以外はわかりません。
このスケジュールでセットの撮影が進行しますから、予定表より早くあがることがあります。
セットに入る俳優さんのスケジュールが大幅に繰り上げられます…。
俳優Dさんが、まだ大丈夫と俳優部屋に居る間に、セットで出番が来ることがありました。
監督はそばに俳優Dさんが居ないとわかると、すぐに代役を立てます。
俳優Eさんに君、俳優Dさんの弟になってくれと
「兄△△は急病で伏せっております。弟××が参上仕りました」
のセリフを言わせてOKにします…。
慌ててセットにやってきた俳優Dさんは、真っ青です…。
外地から引き揚げてきた中学生の私は、浜松の新東宝の直営館で現代劇、藤田進、黒川弥太郎、野上千鶴子の「誰か夢なき」を見ました。
教会の鐘が大写しでガランガランと鳴る、新東宝のタイトルが好きでした。
なんとその監督が渡辺邦男で、キャメラマンが友成達雄さんでした…。