ごっとさんのブログ

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土用の丑の日のうなぎと梅干しなぜ悪いのか

2022-08-11 10:31:27 | グルメ
今年の土用の丑の日は7月23日と8月4日となっています。

本来土用とは季節の変わり目を指す言葉で、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を指すとされています。今年は立秋が8月7日のためその前の7月23日から8月6日が土用で、そのうち干支が「丑の日」が7月23日と8月4日となるわけです。

私の家はこういった季節の行事をするのが割と好きで、例えば豆まきをしたりしょうぶ湯に入ったりしています。

当然土用の丑の日にはウナギを食べるのですが、近年ウナギが高騰していて高級食材となってしまいました。そのため年々ウナギが小さくなっていくような気がしますが、今年も何とかウナギを食べました。

この時昔から「ウナギと梅干」は食べ合わせが悪いといわれていますが、本当にそうなのか栄養学の専門家の解説が出ていました。

ウナギというと粉山椒をかけて食べますが、山椒は日本で古くから使われている香辛料のひとつです。粉山椒は熟した山椒の実をすりつぶしたもので、ピリっとした辛味にさわやかな酸味があります。

山椒の辛い成分であるサンショオールは、消化を助けることで知られています。脂質の多いウナギとは相性が良く、抗菌効果があり食中毒の予防にもなるとされています。

さて梅干しですが、この酸味の主成分であるクエン酸は疲労回復効果の他に抗菌作用によって食中毒の予防に役立ちます。また消化酵素の分泌を高めるため、夏に弱った胃腸の消化吸収を助ける働きも期待できます。

こういった栄養面ではウナギと梅干を一緒に食べても特に相性が悪いところはないようです。この通説が生まれた経緯には、昔は冷蔵庫が無く食材の保存環境が良くなかったことが関係しているのではないかという説もあります。

ウナギは痛んでくると酸味が出ますが、酸っぱい梅干しと一緒に食べると気づかないので、一緒に食べない方が良いといわれるようになったというものです。

梅干しの酸味には食欲を促進させる働きがあります。梅干を食べると口の中がさっぱりとするので、脂っぽいものでもつい食が進むでしょう。身体のことを考えて食べ過ぎを防ぐため、あるいは高価なウナギを多食しないようにそのような通説が生まれたのかもしれません。

このようにウナギと梅干については、栄養学的には一緒に食べても全く問題ないようですが、昔からの通説には何か意味があるような気がします。

昔からの知恵の中から出てきたものですので、現代の科学で否定できたとしてもあえて一緒に食べることはしない方が良さそうな気がします。このような「ウナギと梅干」や「スイカと天ぷら」といった言葉は受け継ぐものかもしれません。

水分補給にお茶よりレモン水を推奨

2022-08-05 10:27:55 | グルメ
私は自宅にいても水分補給には気を付け、保温カップに氷水を入れて飲んでいます。

テニスなど運動をしたときにはスポーツドリンクを飲んでいますが、今レモン水が注目されているようです。

レモン水には美容効果が高いとされ女性に人気がありますが、軽い運動でもレモン水が優れた飲物となってきたようです。もともとは食前にレモン果汁としょうがのしぼり汁を入れた常温水を飲むと、体内に留まった毒素の排出が促進され、健康に良いというところから始まりました。

ここではレモンのような果物や生野菜、魚や肉に含まれる酵素に注目し、酵素は食べ物の消化や吸収、分解排泄などをサポートし、代謝を正常に保ってくれます。酵素を豊富に含むレモンはいわゆるデトックス効果が高いとされますが、その他の健康効果も持っています。

特にレモンに含まれる成分の中でも、クエン酸、ビタミンC、ポリフェノールが重要です。クエン酸の働きは、レモンの酸味のもととなる成分で、ミネラルを吸収しやすくするキレート作用を持っています。

ビタミンCは、血管や筋肉を丈夫で健やかに保ち、活性酸素を除去する抗酸化作用を持ち、酸化による体の不調や老化を和らげます。ポリフェノールはほとんどの植物が持つ苦みや色素で、抗酸化作用を持っています。

この様にレモンに含まれる成分は健康面に多くのメリットをもたらしますが、特に運動をする場合は是非取り入れたい食品といえるようです。

運動をすると発汗が促されるため、体内から汗と一緒にミネラルが失われて行きます。ミネラル不足は筋肉の機能低下など身体の不調に直結しやすく、運動の前後や運動中は意識的にミネラルを摂取する必要があります。

レモンはミネラル吸収を促進するキレート作用を持ち、ビタミンCも豊富に含んでいます。また強度の高い運動を行うと、体内では活性酸素が発生しやすくなります。活性酸素は細胞にダメージを与え、老化や免疫機能の低下を引き起こす恐れがある物質です。

レモンのような抗酸化作用を持つ食品には、活性酸素を取り除き身体の酸化ストレスをやわらげる働きが期待されます。日本人にとってお茶は身近な飲料水で、多くの種類が販売されており家庭でも簡単に作り安いものです。

ただ運動中のお茶の摂取は控えるべきで、お茶には利尿作用を持つものがあり、体内からの水分排出を促進してしまいます。特に避けたいのはカフェインを含むお茶です。

このように運動中にはお茶よりレモン水を飲むメリットは多いのですが、レモン水を自分で作る手間は面倒な気がします。ここではスポーツドリンクとレモン水の比較は出ていませんが、テニスの時など市販のレモン水に代えてみようかとも思っています。


賞味期限の切れた食品は食べられるのか

2022-06-24 10:28:07 | グルメ
現在はほとんどすべての食品に賞味期限や消費期限の記載がありますが、私はあまり気にせず期限から数日であれば食べています。

こういった期限を記載することで、安全な食品となるのかもしれませんが、一方で食品ロスにつながるような気もします。

私の年代では(75歳ですが)昔はこういった期日の表示がなく、安全かどうかは自分の鼻や味覚で確認していた世代ですので、あくまでおいしく食べられ目安程度に考えているのかもしれません。

賞味期限は食品表示法に基づく内閣府令である食品表示基準において「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう」と定義されています。

これにはただし書きが有って「ただし当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されることがあるものとする」となっています。

こういったことから私は賞味期限というものは美味しく食べられる時期であって、それを過ぎても味が落ちるかもしれないが食べても良いと判断しています。

この期限はすべての食品に義務付けられていますが、砂糖や塩、チューインガム、アイスクリーム、氷など品質劣化が極めて少ない食品は省略することができるようです。

昔は日本の加工食品は、食品の包装年月日を製造年月日として表示することだけが義務付けられていました。それが1995年になり、賞味期限の表示に移行されました。

これは表示開始当初はかなりいい加減なもので、私に関連したある凍結乾燥食品(フリーズドライ)を扱っているメーカーでは、本来の賞味期限は5年以上ありました。

これを5年後の表示ではおかしいということで6か月ぐらいを表示し、消味期限切れとなった商品を回収し年月日だけを新しくして再出荷するというようなことやっていたようです。まあこんなこともあって賞味期限をあまり気にしないようになったのかもしれません。

その後いろいろ改定もあり、2015年からはかなり厳しい検査が義務化されています。まず菌の繁殖などを調べる微生物検査、濁りや粘り、色や酸化などを調べる理化学検査と、実際に食べてみた食感や味、臭いなどを評価する官能検査です。

それでも賞味期限の決定は各食品企業に任されていますので、ある程度のばらつきは出ているのかもしれません。専門家や食品メーカーは、賞味期限が過ぎたらなるべく早く食べるとしか言っていませんので、各食品によって違うものと考えるべきもののようです。

それでも1週間ぐらいは大丈夫そうな菓子類が3日というように、安全を見込んでか、かなり短く設定されているのも確かなような気がします。

強い酒をお湯や水で割って飲む文化は焼酎から

2022-03-25 10:25:45 | グルメ
私が勤務していた会社は飲料用アルコールの大手製造を行っていましたので、日本酒は作っていませんでしたが焼酎の製造販売を行っていました。

しかし残念ながらこの焼酎はあまりうまくなく、ほとんど飲んだことはありません。私が退職する少し前に当社はこの酒類事業から撤退し、ヒトも含めて大手酒造会社に売却してしまいました。

それでも当時の焼酎の銘柄名はそのまま残っており、スーパーなどでこの名前を見ると懐かしい感じがします。

さて現在の強い酒などをお湯や水で割って飲む文化は、この焼酎が起源となっているようです。かつて焼酎は「強い酒」と思われてきましたが、この常識が覆ったのは昭和50年代初頭からのお湯割りの飲みかたが広まってからのことです。

これを歴史的に見ると、明治時代の製法では芋焼酎はアルコール度が低い焼酎しか作れず、米焼酎や泡盛が35度ぐらいなのに20度ぐらいのものでした。

これはストレートで飲んでも米焼酎よりずっと低いのですが、芋焼酎を作っていた薩摩の人たちはこれくらいの濃度の焼酎を飲みなれていたのです。これが大正から昭和の時代になると、芋焼酎の醸造法が大きく変わり、高濃度の芋焼酎が作れるようになりました。

そこで低濃度の芋焼酎になれていた薩摩では、芋焼酎がお湯割りで飲まれるようになりました。この時水割りではなくお湯割りだったのは、水を加えることによるアルコール濃度の低下や温度の低下によって、芋焼酎に含まれる不飽和脂肪酸のエステルが溶けきれなくなって白濁し、べたつき感が感じられたためとされています。

現在は過剰量の白濁成分をろ過により除去して商品化しているため、水割りでも美味しく飲むことができるようになっています。これが広がり現在では芋焼酎に限らず、水割りやお湯割りで飲むことが一般的になり、この「割って飲む」文化が焼酎らしさの原点をなしていると考えられるようです。

焼酎の飲みかたでは「ロクヨン(焼酎6にお湯4)」という言葉が聞かれますが、25度焼酎のロクヨンのアルコール度数は15%です。焼酎は蒸留酒でありながら、清酒やワインと同じかそれより低いアルコール度で飲まれています。

この低濃度であることが繊細な和食の風味を損なわず、脂っこい料理にもよく合う食中酒としての万能性を備えているとしています。また焼酎の酔い覚めの良さも、蒸留酒であることと低アルコールで飲まれることに由来しています。

焼酎の良さとしては、糖質やプリン体が少ないなどいろいろ宣伝されており、健康にも役立つという報告もあるようです。私は風呂上りにウイスキーや焼酎、近頃は自家製梅酒の水割りを飲んでいますが、確かに文化といってよいほどに定着しています。

別に焼酎にこだわっていませんが、割って飲むという習慣は飲み過ぎという点でもよい効果を出しているのかもしれません。

日本の食文化の中心である「旨味」のはなし

2022-03-16 10:27:15 | グルメ
私は若いころから薄味が好きでしたが、塩味などの濃いものが嫌いというよりは、出汁の「旨味」を好んでいるのかもしれません。

日本人は昔から昆布や鰹節、シイタケなどからとっただしを料理に使ってきました。1907年に昆布の出汁に含まれるグルタミン酸がこの成分であることを発見し、それを旨味と名付けました。

この旨味は日本人にとっては基本的な味のひとつですが、海外では甘味、苦味、酸味、塩味のような基本味と捉えられていませんでした。それが変わり始めたのが、2000年ぐらいからの味覚受容体の発見です。

ヒトの場合は主に舌にある味蕾によって物の味を感じます。味蕾とは味を感じる味細胞が数十個集まっている器官ですが、この味細胞が味覚センサーとして機能するのは、そこにタンパク質分子である味覚受容体があるからです。

味覚受容体は味を構成する成分に反応する分子ですが、ひとつの味覚受容体が様々な味全てに応答するわけではなく、甘味には甘味受容体、苦味には苦み受容体と役割が決まっています。

こうした解析が進むなかで、T1R1/T1R3と呼ばれる味覚受容体が、ヒトでは旨味成分であるグルタミン酸によって強く活性化されることが2002年に分かりました。つまり旨味とは塩味などが混ざった味ではなく、特定の旨味受容体が応答する基本味であったことが判明しました。

昆布の旨味成分であるグルタミン酸はアミノ酸の一種ですが、鰹節の旨味成分はイノシン酸、干しシイタケの旨味はグアニル酸で、これらは核酸系の旨味物質であるヌクレオチドという化学物資です。

こういった核酸系の旨味成分は旨味受容体において、グルタミン酸などのアミノ酸とは異なる部位に結合し、受容体の活性を増強することが分かりました。

この分子メカニズムが解明されたのは2008年のことですが、日本人はこの現象を経験から知っており、合わせ出汁という調理法を古くから用いていました。

味覚受容体が発見され、その遺伝子情報が分かったことで、培養細胞にその遺伝子を導入することが可能になり、味覚受容体がどのような物質に反応するかという研究が加速しました。その結果ここ20年ほどの間に味覚のメカニズムが急速に解明されたのです。

この旨味受容体の解明は、味覚の基本味に旨味を加えただけではなく、生物の進化の解明にもつながっているようです。この味覚の変化によって食性が変わり、新たな進化をした生物は非常に多いと言われています。

私はこの日本の食文化であるだしを取るという調理法から出てきた旨味が、umamiとして基本味に認められたというのは非常にうれしいような気がしています。