ごっとさんのブログ

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睡眠に起源はあるのか

2025-02-16 10:32:45 | 自然
このブログでも睡眠はよく取り上げますが、私は比較的よく眠れるようです。ベッドに入ってネコとしばらく遊び、その後すぐ眠りについています。トイレで起きたりしますが、これもすぐに眠れています。

動物と植物は共通の祖先から枝分かれして進化してきたのですが、おそらくその分岐が起こってからしばらく経たずに睡眠は生まれていたようです。少なくとも6億年くらい前からは眠っていたはずとしています。

2000年代くらいから、複雑な脳を持つ動物だけでなく、もっと単純な生物も眠ることが分ってきました。はるかに小さいショウジョウバエも寝ますし、わずか1000個くらいの細胞で構成される線虫も眠ることが発見されました。

当初はそれでも睡眠がみられるのは脳がある生物だけではないかと考えられてきました。ショウジョウバエには小さな脳がありますし、線虫にも中枢神経系があり、それはいわば原始的な脳に値するのでしょう。

ところがヒドラにように脳や中枢神経系を持たない生物もおり、このヒドラも眠ることが発見されました。ヒドラは体長が5〜10ミリくらいのとても小さくて単純なつくりの生き物です。

ヒドラは日本を含めた世界中の淡水に棲んでいるのですが、体をバラバラに切り刻んでもそれぞれの断片が完全な体に再生するとか、ほとんど老化の兆候を示さないといった興味深い特徴があり、昔から生物学者の関心を集めてきました。

2017年にカリフォルニア工科大学の研究グループが、クラゲの一種であるサカサクラゲにも睡眠が見られることを報告しました。クラゲは線虫より大きな生物ですが、中枢神経を持っていないのでこの報告はかなり話題になりました。

この研究ではクラゲの睡眠の詳しいメカニズムは解明されていませんでした。その後2020年ヒドラも寝ることと、遺伝子の研究によってその睡眠のメカニズムは哺乳類などの他の生物と共通していることが発見されました。

睡眠について議論するには、まず眠りを定義する必要がありますが、意外と難しいようです。ヒトの睡眠中には特徴的な脳波が現れるのですが、脳がないヒドラでは脳波を計測することもできません。

睡眠はざっくりと外界への反応が鈍って行動が停止する、可逆的な状態、そして睡眠恒常性という一定の睡眠量を保とうとする性質のある状態と定義されていますが、もっとシンプルに覚醒していない状態とも表現できます。

今の生物の祖先として運動性を持った生物が出てきます。同時に外部を知覚して情報処理をするための神経系も発達していったでしょう。そのとき外部を認知する覚醒の状態が誕生したのではないでしょうか。

覚醒時の脳ではシナプス結合が強化され、睡眠中にはそれを弱めているというシナプス恒常性仮説が唱えられました。

睡眠にはいろいろな仮説があるようですが、やはりまだよくわかっていない分野といえるのかもしれません。