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メタボだと胆石が増える原因解明

2017-02-15 09:35:36 | 健康・医療
メタボリックシンドローム(メタボ)の人は胆石ができやすくなる一連のメカニズムを、解明したと東北大学の研究チームが発表しました。

この胆石の発症には、肝臓の酸素不足が大きく関与しているようです。私はメタボとは全く縁のない体形をしていますが、メタボになると胆石ができやすいということは初めて知りました。

胆石はコレステロールや胆汁の成分(これもコレステロールの仲間です)が固まったもので、中年以降の太った人、コレステロール値が高い人、糖尿病などに多く見られるようです。胆石は肝臓や胆嚢、胆管にできる結石で、推定発症率は欧米で成人の10~20%、日本を含む東アジアで5~10%とされています。

この記事によるとメタボの人は、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝になって胆石症が発症しやすいとしてされていましたが、詳しいメカニズムは分かりませんでした。この胆石症は日本人の10人に一人は持っているとされるようですが、あまり身近に聞いたこともなく、それほど多い病気のような気はしませんでした。

症状もほんとが全く自覚症状はなく、あっても腹部の違和感とか腹部の膨満感など胃や腸の症状と区別がつきにくいようです。胆管中に結石ができると、腹痛や発熱、場合によっては黄疸が出たりするようです。

この研究グループは、脂肪肝になって肝臓内の一部の血流が減少すると、肝細胞が酸素不足になることに着目しました。これを遺伝子改変マウスを使って色々実験したようです。その結果、肝細胞が酸素不足になると肝臓の細胞が反応して「低酸素誘導因子HIF-1α」という分子が活性化し、胆汁に水分を供給するのに必要なタンパク質(アクアポリン8)は減少することが分かりました。

このため肝細胞から胆汁への水排出が減って胆汁が濃縮してしまい、胆石ができるという一連のメカニズムが明らかになりました。「低酸素誘導因子HIF-1α」分子が働かないようにした遺伝子改変マウスは、胆石の形成が抑えられたため、この分子が一連のメカニズムでもポイントになっていることが明らかになりました。

このHIFという低酸素誘導因子は、ガン細胞中での働きが注目されています。ガン細胞は激しく増殖しているので、栄養不足や血流不足のため低酸素状態となります。ガン細胞が生き延びるためには、新たに血管網を形成する必要がありますが、その時このHIFが遺伝子の転写を促進するために誘導されるようです。そのHIFがこんなところにも出て来るとは、生命の仕組みというのは面白いものです。

また胆石の患者では、このHIF分子が増加していることを確認できたため、このメカニズムはヒトにも該当するとしています。