ごっとさんのブログ

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花粉症の「舌下免疫療法」

2019-12-15 10:23:21 | 健康・医療
毎年花粉の時期になると鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどが出現するスギ花粉症の患者は、年々増加しているようです。

この症状を和らげる治療薬の種類も増え、眠気が出にくい飲み薬や、皮膚に張るタイプの薬、コンタクトレンズを装着したまま使える点眼薬など、新しい薬が次々に登場しています。

ただしいずれも出てしまった症状を和らげる「対症療法」にすぎず、症状そのものを出ないようにするわけではありません。私は幸いなことにこの歳になるまで花粉症になったことはないので、花粉症とは無縁の生活を送れそうです。

私が勤務していた研究所は、少し離れた杉の山からの花粉が、ちょうど降りて来る地域のようで、朝車を止めておくと帰るまでに黄色い花粉に覆われてしまうというところでした。

そのため新入社員や転勤者たちは、1年目に花粉によって感作され、次の年は花粉症を発症するという、花粉症の人が非常に多い研究所でした。

近年花粉症の症状を元から絶つ治療として広がっているのが、舌下免疫療法です。この治療法は、アレルギー反応を引き起こすスギ花粉の「抗原」を、少量ずつ体内に入れることで体を慣れさせて、アレルギー反応が起きないようにする方法です。

1日1回薬を舌の上にのせてしばらく保持してから飲み込む方法なので、舌下免疫療法と呼ばれます。この治療法が保険適用になった2014年から現在までに、既に10万人以上のスギ花粉症患者がこの治療に取り組んでいます。

この舌下免疫療法を受けている患者にアンケートを行い、治療の効果を確認しています。その結果治療を受けた9割以上の人が、治療効果が「非常に良い」あるいは「良い」と答えており、治療1年目からかなり効果があることが明らかになっています。

10%の人には効果が出ないわけですが、どんな方法もすべての人に効くというのは難しいようですが根本的な治療法といっていいのかもしれません。

治療の開始時期は花粉症のオフシーズンで、スギ花粉の飛散が完全に納まった6月ごろがベストですが、それ以後のタイミングで開始することも可能なようです。治療は1日1回、少量から開始し徐々に量を増やしていきます。

少量とはいえ抗原を体内に入れるため、アレルギー反応で副作用が出ることもあるようですが、多くは口の中のかゆみや腫れにとどまります。

この治療に使われる抗原は、当初は「シダトレン」という液剤だけでしたが、2018年に同じ成分を錠剤にした「シダキュア」が発売され、現在はこちらが主流になっています。

90%の人に効果がある治療法ですので、花粉症の人は試してみる価値があると言えそうです。