ごっとさんのブログ

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日本の高齢者は「やせ過ぎ」

2019-12-24 10:20:52 | 健康・医療
歳を取ればやせてきても当たり前と考えてしまうかもしれませんが、実は高齢者の場合にはむしろ太っていたほうが、要介護や死亡のリスクが少なくなることが分かってきました。

日本人の高齢者(65~79歳)を11年間フォローした研究では、やせている人よりも太っている人の方が死亡のリスクが低くなることが分かりました。身長と体重から算出されるBMI(体重(Kg)/身長(m)の2乗)という数字が体格の基本としてよく使われます。

一般的には22が標準、25を超えると肥満、18.5を下回るとやせとされていますが、高齢者の場合女性は軽度肥満(23~24)、男性は中等度肥満(27~29.9)の人が最も死亡のリスクが低くなります。

海外でも同様の報告がされており、アメリカの研究では、高齢者は軽度肥満(25前後)の人が最も要介護になりにくく、中等度肥満(27前後)の人が最も死亡のリスクが低くなっていました。

茨城県で行われた大規模な研究では、年齢と共に少しずつ体重を増やしていくのが、安全な(死亡リスクの低い)年の取り方であることが分かりました。60代では男性は25.1、女性は22.8、70代では男性25.5、女性24.1が最も死亡リスクが低くなります。

高齢者は年齢とともに少しずつ太っていくのが安全な歳の取り方、という事が分かってきているのですが、日本では全く逆のトレンドがあります。高齢者は年齢とともにどんどんやせていくのです。

たとえば在宅療養している高齢者の平均BMIはなんと18.1であることが分かっています。安全な太めの高齢者はわずか4%で、やせとされる18.5よりも上の人を全部合わせても40%しかいませんでした。

日本の在宅高齢者の実に6割は、18.5未満のやせ過ぎの状態といえます。16未満の重度のやせの人が28%もいることが分かりました。死亡リスクのデータによれば、高齢者が16を下回ると、22の人と比較して何と2.6倍になります。

私は多分BMIは18程度でやせに入りますが、実はこの数値は若い時からほとんど変わっていません。いわば一生もう少し太ることを目標としてきたのですが、これは遺伝的体質のようで全く変わりませんでした。

ですからこの記事のように高齢者は太った方が良いと言われても、たぶん無理なことのような気がします。まあこういった疫学研究の結果は、統計的にどちらが良いかというものですので、あまり気にすることでは無いかもしれません。

それでもどんな名医にかかっても、どんなに高級な薬を飲んでも死亡のリスクは大して変わらないのに、やせている人はしっかり食べて体重を取り戻すだけで、死亡のリスクが半分以下に下がるというのは、なかなか面白い結果といえるのかもしれません。